『世にも奇妙な物語』というテレビシリーズが小さい頃から好きで、放送がある日を指折り数えて楽しみにしていました。胸糞系、どんでん返し系、ホラー系など、回によって内容は様々でしたが、どの作品にもある程度の不気味さがありました。日常のひずみや、奇妙なものって時々とても魅力的に感じます。今回は私が愛している類の「違和感」をお裾分けしたいと思います。
童話のような短編を集めた本です。耳の中にいる豆粒サイズのおばさんの話、イボを取ってくれる神様のお話など、独特の世界が繰り広げられています。小さな頃に感じた罪悪感や、昔大人達に聞かされた言い伝えのように、久しぶりに思い出す懐かしいものものを噛み締めながら読みました。
- 著者
- 東 直子
- 出版日
- 2015-04-25
大学生のマリ、その姉のエリ、トロンボーン吹きの高橋、ラブホテルで働く元女子プロレスラーのカオルなど、ユニークなキャラクターたちが登場する群像劇です。偶然高橋と再会したことで、ラブホテルで起きた事件に巻き込まれてしまうマリ。とある1日の深夜から夜明けにかけて繰り広げられたその一部始終が、時間の経過とともに描かれています。特徴的なのは「私たち」として登場する語り手です。空間や時間を自由に行き来して登場人物たちの物語を実況する彼らですが、その正体は明記されていません。彼らに対する意味づけが読者に委ねられているのもこの話の面白いところです。
- 著者
- 村上 春樹
- 出版日
- 2006-09-16
数ある手塚マンガの中でも、異彩を放つ1冊です。由緒ある名家の末娘として産まれた奇子でしたが、その出生は大きなタブーとともにありました。奇子の秘密が露呈することを恐れて、過ちの連鎖が起きてしまいます。その結果、奇子は死んだことにされ蔵に幽閉されてしまうのです。世間と断絶された環境で成長する奇子のねじれた愛情感覚や常識に、哀しさと不気味さを感じる1冊です。
- 著者
- 手塚 治虫
- 出版日