ニコラ・テスラは、1800年代後半から1900年代前半に活躍した発明家です。我々が普段使っている交流電流や、日々の暮らしに欠かせない蛍光灯などを発明しました。そんな偉大な彼のことがわかる意外な事実と本をご紹介します。
ニコラ・テスラは、1856年、現在のクロアチアにあたるオーストリア帝国で、セルビア人の両親のもとに生まれました。彼が5歳のころ、非常に優秀だった兄が亡くなってしまいます。敬愛する兄を超えるために、テスラは勉学に励みました。
1880年には交流モーターと交流発電機を考案し、1884年に渡米してエジソンの会社で働きます。
彼の最も偉大な功績は、交流電流の発明と言われています。いわゆるコンセントから流れてくる電気は、彼が発明したもの。また無線やラジオ、リモコンなどに使われる遠隔操作の技術も発明しました。
エジソンとは確執があり、彼が推す直流電流と、テスラが発明した交流電流とで、電流戦争と呼ばれる争いがくり広げられましたが、最終的には交流電流が全世界で使われるようになり、この争いはテスラに軍配があがりました。
後年は無線技術について研究し数々の業績をあげましたが、次第に資金繰りが悪化し、段々と貧しくなってしまいます。さらに精神障害を患い、1943年にニューヨークで亡くなりました。
1:幼少期は空想と強迫性観念に囚われ、成人後は異常な潔癖症だった。
幼少期に兄のデン・テスラが亡くなってから、彼は空想と強迫性障害に囚われてしまいます。しかし、この空想のおかげで、自分の頭の中に思い浮かんだ発明を具体化させることができるようになりました。
また、貧しかったテスラは大学を中退して働かなくてはならず、その時にやった仕事の影響で感覚異常になり、さらには潔癖症になってしまいます。そしてそれは、生涯治ることはありませんでした。
2:環境問題に熱心で、再生可能燃料を推進し、研究していた。
彼は石油などの化石燃料がなくなってしまうことを懸念し、再生可能燃料を推進していました。実際に彼は自分の実験室で、雷のような大量の電流を作り出すなど、地球のエネルギーを使った再生可能燃料の実験をしていたと言われています。
3:テスラは人間中心主義であったため、人の生活を豊かにするのは金ではないと考えていた。それゆえ、多くの発明や社会貢献をしたにも関わらず貧しかった。
彼はヒューマニストであり、人を豊かにするために発明をし続けました。金のために研究をするような性格ではなかったために、貧しくなっていきます。そして86歳のとき、ニューヨークのホテルでひとり寂しく亡くなりました。
4:彼は記憶力に大変優れており、書籍の内容を非常に詳細に覚えていた。
彼は本を1度読めば、その内容を最初から頭の中だけで読み返すことができたと言われています。本のページを写真を撮ったかのように覚え、それを再生できるといった特異な才能を持っていたようです。驚異的な記憶力と想像力があったため、思いついた発明品などをメモせずに、頭の中だけに止めておけるほどの天才でした。
5:若い少女を好きになる傾向があったが、研究の妨げになると考え、独身であることを選んだ。
彼は長身でルックスも良かったため、非常にモテていたと言われていますが、若い少女を好きになる傾向があったようです。発明の資金援助をしてくれていたJ・P・モルガンの娘に手を出してしまい、援助を打ち切られたという話もあります。
6:テスラは多くの賞を受賞しているにも関わらず、ノーベル賞を受賞することはなかった。
テスラとエジソンが同時にノーベル賞の候補に選ばれたとき、2人には確執があり、同時に受賞はしたくないということで辞退をしたためです。
7:1日2時間しか寝ていなかったので、その分多くの時間を研究に集中した。
彼は1日2時間しか寝なかったそうです。それが感覚異常によるものなのか、意図的なものなのかは定かではありませんが、その分多くの時間を研究に費やしていました。
彼の発明品や設計図は数トンに及び、現在はセルビアの首都ベオグラードのニコラ・テスラ博物館に保管されていて、ユネスコ記憶遺産にも登録されています。
本書では、天才発明家といわれた二コラ・テスラの生涯に光を当てています。
多くのベンチャー企業が彼を尊敬し、電気自動車会社であるテスラモーターズにも名前が使われています。あのエジソンとライバル関係にあった彼の生涯とは、いったいどんなものだったのでしょうか。
- 著者
- 新戸 雅章
- 出版日
- 2015-02-16
電気のない生活というのは、想像もできない方が多いのではないでしょうか。私たちが家庭で使っている電気のほとんどは、「交流」という電気の種類です。
その他にも数多くの発明をした彼の、アイディアの源流に迫ります。
本書は彼の回顧録になっていて、全身全霊をかけて研究に臨んでいた様子がわかります。
- 著者
- ニコラ・テスラ
- 出版日
- 2013-01-16
本書には、テスラの研究の着想や未来予想などが書かれていて、天才発明家と言われながらもヒューマニストだった彼の考えや主義をうかがい知ることができます。
研究に取り組む真摯な姿勢が随所にあらわれていて、それが時が経っても読者に刺激を与え、メッセージを残してくれているのです。
実際に、偉大な発明家の肩書きはエジソンのものになり、無線の発明者という称号もマルコーニに譲ることになってしまいました。しかし彼の能力はエジソンを超える天才と評されています。
本書は彼の伝記で、セルビア人だった彼の人生を深く掘り下げていきます。
不遇な発明家、二コラ・テスラは、様々な面を持ちあわえていました。食通であり、詩人もあり、また名講演者でもあったそうです。また彼が友人に送った手紙にはジョークの効いたものが多く、多彩でユニークな人物であったということがわかります。
- 著者
- マーガレット チェニー
- 出版日
- 1997-08-25
読みやすい伝記になっているので、発明家としてではなく、ひとりの人間として彼のことを知りたい人はまず本書から読んでいただくことをおすすめします。
ニコラ・テスラの天才的な発想は、いったいどうやって培われたものなのか、本書ではその源泉を辿っていきます。
彼は1856年、現在のクロアチアで生まれ、幼いころから空想の世界に浸ってきました。もしかしたらそれが、彼の発想力のもとなのかもしれません。
- 著者
- 新戸 雅章
- 出版日
- 2002-02-01
空想やオカルティックな部分も強調されていますが、彼は生涯、精神異常や強迫性障害などさまざまな病に悩まされてきたと言われているので、そういったことが発想に影響を与えているのも頷けます。
テスラに関する他の本には見られない切り口から人生を読み解いているので、彼についてさらに詳しく知りたい方におすすめです。
今回は、エジソンと並ぶ天才発明家でありながらも、あまり知られていないニコラ・テスラについて様々な角度から読み取れる本を紹介しました。偉大な発明をしたにも関わらず不遇な人生を送り、寂しい最期を遂げた彼からカタルシスを感じたい方にもおすすめです。