フロイトの驚くべき事実7選!精神分析学の創始者を知る本も紹介

更新:2017.8.11

1800年代後半に、現在にも続く精神分析学の基礎を作ったとして名を残した科学者。彼の生涯や人柄、そして提唱した理論はとても奇抜なものでした。今回はそんな彼の理論から、彼の人生についてまでを知ることの出来る本をご紹介します。

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精神分析学の創始者フロイトとは

ジークムント・フロイトは、1856年、オーストリアで毛織物商人を営むユダヤ人の家庭に生まれました。

体がひ弱で神経質な子どもであり、家での読書等の静かな時間をとても好みました。そのおかげもあって常に成績は優秀で、17歳の頃には名門であるウィーン大学へ入学します。大学では物理などを学んだほか、医学部の研究所に所属し、両生類を主とする生物の細胞分析などを意欲的に行います。更には脳性まひや失語症の研究などを並行し、生物の神経について幅広い知識を学びました。

科学協会にて発表されるほど優秀な功績を残したフロイトは、研究者としての将来を希望しますが、「ユダヤ人では研究者になることはできない」という教授の忠告を受け、研究者としての道は諦めます。しかしその知識を生かし、医者になることを志しました。

1885年、29歳の時に留学奨学金の選考に合格してパリへ留学し、有名な神経学者であるジャン・マルタン・シャルコーに師事し、ウィーンでは決して得ることの出来なかった最先端の神経学の知識を学びました。このことが、彼が人間の持つ精神という分野の研究にのめり込んでいくきっかけとなります。

その後ウィーンに戻ると、開業医として生計を立てながら研究を続け、精神の不調の原因を人間の有する無意識の中から特定し、原因を取り除くことによって治療を行う「精神分析」と名付けられた、現在に続く最先端の治療法を発表しました。

しかし一見、一種の催眠術のようで怪しげなことと、ウィーンの保守的な知識では理解できぬこと、そして何より彼がユダヤ人であったことなどが理由により、彼の理論は激しい反感と非難を受け、医学界で孤立してしまいます。

その後、世界中で多くの事を学んだ新しい医学者たちが、彼の精神分析法を支持し始めますが、医学界の反発は根強く、支持するものは学会で討論を禁じられ、職を失うものまで出てくるなど、彼の発表した理論は存命中に評価されることはありませんでした。

フロイトの驚くべき事実7選!

1:フロイトは13年間コカインを楽しみ、健康に対してのメリットを説いた

コカインがまだ合法であった時代、軍からコカインを譲り受け使用してみたところ、一気に疲れがとれ、その有効性に感動したフロイトは、コカインを魔法の物質と称え、友人や当時の恋人に薦めていました。

その後、コカインの持つ人体への悪影響が徐々に明らかになり、有害物質として避けられるようになってからは、知人に推薦するようなことはなくなりましたが、本人は以降13年間にわたってコカインを常用し続けています。

2:彼はノーベル賞にふさわしくないと判断された

「精神分析学」を確立し、後の医学に多大な貢献をしたとして、ノーベル賞の選考の際に何度も名前が挙がりましたが、彼の特殊な研究と、彼の人格について批判的な意見を持つ研究者も多く、ノーベル賞を受賞することはありませんでした。

本職の医学生理学分野では栄光を受けることはできなかった彼ですが、彼の著作の持つ芸術的な創造性は評価され、文学賞の権威であるゲーテ賞を受賞しています。

3:フロイトの死は医師の補助による自殺だった

晩年の彼は、健康を省みることのなかった生活や、末期の喉頭ガンの影響でひどく衰弱し、全身を駆け巡る苦痛に耐えながら生きていました。

ついに苦痛に耐えかねた彼は、長年の友人であったシュール医師に「これ以上生きることは無意味である」という旨を伝えると、フロイトの娘の許可を取ったシュール医師により、致死量のモルヒネの投薬を受けその生涯を閉じました。

4:彼は重度の喫煙者であり、それが原因で30ものガンを引き起こした

20代で煙草に手を出した時から、一日に20本以上の葉巻を吸う重度の喫煙者になり、喫煙が想像力を生み出すと信じていたフロイトは、医師の幾度に渡る勧告にも関わらず、決して喫煙をやめませんでした。そのような生活が災いし、1923年に初めて喉頭ガンの腫瘍が見つかってからは、以後16年間に渡って30回もの手術を受けることになったのです。

5:ナチスはフロイトの本を燃やし、オーストリアへと追いやった

新しい理論を提唱してもなかなか受け入れられることのなかったフロイト。その大きな要因の一つが、彼がユダヤ人であったことにあります。

当時、ドイツを支配していたナチスドイツは、ユダヤ人に対しての迫害を徹底的に行っており、フロイトもまた、著作を禁書として燃やされるなどの被害をうけました。彼は常に逮捕の恐怖に怯えながら、最終的にはオーストリアへと逃亡することになります。

6:フロイトはウナギの性生活を研究した

生物学の研究を熱心に行っていた大学時代、彼は教授の指示でウナギの生殖器の生態調査を行う事になります。その調査の中で彼が見つけたウナギの精巣に関する新たな発見は、長年に渡って生物学を悩ませてきた謎を解明するものとして、生物学界に大きな発展をもたらしました。

7:小児発達に関する広範な研究を行っていたにもかかわらず、フロイトは精神分析学において1人の子供しか見なかった

「幼年期の出来事が後の精神的な傷を作る」という理論をもと、小児発達の分野においても研究を行いましたが、その精神分析を実際に実践したのはたった一人の子どもに対してだけでした。実践や検証を繰り返すことなく、彼の理論が次から次へと拡大していったという事もまた、実践でのデータの集積を重要視する医学界において、彼が批判を浴びた要素の一つでもあります。

フロイトの思想の集大成

19世紀に科学を人間の心に向け、後の医学の発展ばかりではなく、芸術や哲学の分野にも大きな影響を与えたフロイトですが、彼の提唱した理論は専門的な医学用語が頻出し、いざ興味を持ってもなかなか理解が難しいかもしれません。

本書では、大学教授で医学博士である小此木啓吾のもと、フロイトの残した理論や思想を、医学知識のない方でも分かりやすく理解することが出来るように書かれています。

著者
小此木 啓吾
出版日
1989-01-06

フロイトは生前に、人間の心についての分野から、彼の代名詞ともいえる精神分析まで、たくさんの論文を残しました。そんな多くの論文の中から、彼の理論や知識を、より深く理解できる論文や著作を厳選し、丁寧な解説をつけながら、具体的に実践できるようにまで説明しています。

フロイトの理論についてのまとめともいえる本書は、初めて彼の理論に興味を持った方や、自身の心を見つめ直してみたい方などに読んでほしい内容です。

天才に対し、もう一人の天才の出した回答とは

多くの妨害を受けながらも、自らの信じた精神医学の最先端を研究し続け、学会から厄介者として扱われていたフロイトですが、彼のことを当時から支持していた研究者もいます。

物理学や化学、そして精神分析学と医学の観点から、「戦争と平和」や「これからの世界」について、二人の偉大な研究家が意見し、語り合ったのが本書です。

著者
フロイト
出版日
2008-02-07

1932年、国際連盟がアルバート・アインシュタインに対し、「現在の文明について、最も意見を交換したい人物と書簡を交わしてほしい」という依頼を出します。

そんな依頼を受けたアインシュタインが指名したのが、世界の全てを数式で解明しようとした彼の物理学とは全く逆で、人間の心の持つ無限の可能性を研究していたフロイトでした。

人間には戦争せざるを得ないような衝動があるのではないか。というアインシュタインの問いに対し、フロイトが返答した内容とともに、自己破壊的な衝動を持つ人間の性質について深く分析を行った講義を掲載した本書は、人間の性質と戦争とのつながりを的確にとらえ、とても心に残る問題提起を与えてくれます。

常識に対しての真っ向からの批判

フロイトの生きていた時代はもとより、今現在においても宗教というものが人々に与える影響はとても大きなものがあります。

本書は、当時から大きな役目を果たしていた宗教を科学的に分析し、その社会的影響力を批判することによって、人々から大きな批判を受けた代表的な2つの論文を表題とした書籍です。

著者
ジークムント フロイト
出版日
2007-09-06

本論文を通じて、無神論者であったフロイトは、なぜ宗教は生まれたのか。そして、なぜ、宗教は信じられているのかという大きな問題に切り込んでいます。

今でこそ、宗教学として一つのジャンルを形成する分野ではありますが、当時、宗教は国を統治するうえで大きな役目を果たしており、そういった内容を論じたこの論文は、もちろん大きな批判を浴びました。

しかし、彼は自らの研究の手を止めることなく、最終的には宗教を精神の病気であると理論づけ、宗教という神経の病気を治療すべきである。とまで言及しています。

世間の常識など一切構わずに、批判を恐れず自らの心理学を信じたフロイトの論文は、少々過激な内容ではありますが、彼が医学を通じて世間と戦ったその信念に深く触れることが出来るため、思わず引き込まれてしまいます。

決して評価は受けることのない生き方

精神分析の第一人者として今もなお名を残すフロイトですが、研究者としてではなく、個人としての彼の生涯は、薬物や喫煙など多くの依存症にあふれ、批判を受けることも少なくありません。

本書は、そんなフロイトの人生と彼の研究の歴史を克明に綴りながら、その中で、彼の思想や研究に触れることの出来る伝記ともいえる内容になっています。

著者
ラッシェル・ベイカー
出版日

彼の誕生から亡くなる瞬間までを時系列的にしっかりと整理し、多くの迫害や批判を受けながらも、研究を続けたフロイトの人生をわかりやすく知ることができます。

その思想と銘打ってはいますが、彼が残した思想についての言及は最小限に抑え、要点だけを整理し掲載しています。そのため、研究論文にありがちな急激な話の変化は少なく、しっかりと彼の生涯とともに、その思想の発展を順に追っていくことが可能です。

あまり範囲を広げすぎず、本当に知りたいことや、重要なものだけを有効的に知ることが出来るようになっている本書は、フロイトに興味を持った方に初めて手に取ってもらいたい、入門書といえるでしょう。

精神分析を実践する

人間の心や意識について解明すべく、生涯を研究に捧げたフロイトですが、彼の研究が最も有名になったのが、彼が提唱した精神分析という全く新しい治療法でした。

本書では、彼が提唱したその理論はもちろんのこと、精神分析の具体的な効果や使用法などをわかりやすく紹介しています。

著者
鈴木 晶
出版日
2004-01-01

人間には「無意識」が存在し、人間の行動は無意識によって左右される。という理論のもとに、その無意識を意識が抑制することによって精神のバランスが崩れ、多くの神経症の原因となっている。と提唱したのがフロイトの精神分析です。

そのような現代の医療の最前線においても、常に参考にされる彼の理論をテーマごとに分けて詳しい図解を用い、より理解できるようにと書かれたのが本書です。

「可能な限りやさしく記述した」と著者が説明しているように、本書は理論の一つ一つを分解しながら分かりやすく解説し、その繋がりや考え方を体系的に構成しているため、悩むことなくフロイトの精神分析について知ることができます。

本書の知識を理解することによって、日々の悩みや自己の性格の問題と思う部分の核心に迫りながら、より良い方向へ向かっていけるような生き方を学ぶことができるでしょう。

以上、フロイトの生涯や、理論をよりわかりやすく知ることの5冊になります。人間だれしも悩みやストレスはあるものです。そのような心の不調の改善に真剣に取り組んだ彼の研究や、彼自身のの思想に触れることによって、悩みやストレスとより良く付き合っていけるような、そんな生き方を学ぶことが出来る本を厳選してご紹介させていただきました。

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