わたしたちは、普段から常々、死と隣り合わせに生きているのだと思います。とても小さい頃、宇宙について想像を巡らせるのとほとんど同じ様に、人が死ぬっていうことについて漠然と考えたりしては不思議な気持ちになったりしたものです。今回は生死をめぐる物語の本を5冊、紹介します。
ひとりの若い女性が死にました。この娘とはほとんど他人のような、なんの関係もない「わたし」が、この死について語ることから始まり、話題は自然から時間から、あらゆるところに及んでいきます。
- 著者
- ["セスゴロン", "田辺保"]
- 出版日
“胎内の生と死とがあまりにも強く触れ合う暗がり”(本文より)に授かった子供を流産で亡くしてしまった夫婦。まるでその子と入れ替わりのように現れた子猫を2人は飼うことにした。
- 著者
- 沼田 まほかる
- 出版日
- 2010-09-16
物語冒頭、旦那と子供を亡くしたばかりの馨と、恋人を自殺で亡くした智明が出会います。“泣きたい時はいくらでもお泣きなさい、それはいいことよ、そのかわり泣くのも泣きやむ時もひとりよ”(本文より)という馨の母の教えもあってなのか、馨はいつも「誰かになんとかしてという不純物がない、まっさらの泣き方」で思い切り泣きます。
- 著者
- 吉本 ばなな
- 出版日
- 2002-09-30
人は死んだらどうなるんだろう。こんな疑問に誰だってきっと一度は触れたことがあるんじゃないか。不登校になった中学生の少女「まい」が、自然の豊かな田舎で暮らすおばあちゃんの元で魔女修行をしながら過ごした1カ月が描かれています。
- 著者
- 梨木 香歩
- 出版日
- 2001-08-01
「私」が、夏休みに来ていた鎌倉由比ヶ浜で「先生」に出会い、2人の交流が始まる。“平生はみんな善人なんです、それが、いざという間際に、急に悪人に変わるんだから恐ろしいのです”とは物語序章の先生の「私」への忠告とも取れるセリフですが、後の告白体の文章を見れば特に自分のことについて責め立てた言葉にも思えます。
- 著者
- 夏目 漱石
- 出版日
本と音楽
バンドマンやソロ・アーティスト、民族楽器奏者や音楽雑誌編集者など音楽に関連するひとびとが、本好きのコンシェルジュとして、おすすめの本を紹介します。小説に漫画、写真集にビジネス書、自然科学書やスピリチュアル本も。幅広い本と出会えます。インタビューも。