中谷宇吉郎のおすすめ本5選!「雪」を研究した物理学者

更新:2017.8.15

自然が織りなす奇跡の形状である雪の結晶。この雪について研究した日本人物理学者をご存知ですか?今回は雪の研究の世界的第一人者である中谷宇吉郎のおすすめ本を5冊ご紹介します。

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中谷宇吉郎とは

中谷宇吉郎は明治33年生まれの物理学者です。28歳でイギリスに留学しキングス・カレッジ・ロンドンで学んだのち32歳の時に本格的に雪の結晶の研究を始めました。その後わずか4年で世界初となる人工雪の制作に成功。気象条件と結晶が形成される過程の関係を解明しました。

また小学校卒業と同時に父を亡くしたり、28歳で妻を感染症で亡くしたりと、波乱万丈な人生を歩んできたことでも知られています。そんな中谷宇吉郎は国際的な物理学者としてだけでなく、名随筆家としても活躍し多くの著作も残しました。

冷たい雪に関する熱い解説書!

本書は昭和10年代に初版が発表されましたが、戦前に書かれた本とは思えないくらい、現代にも馴染みやすい雪に関する中谷宇吉郎のエッセイです。雪に関する解説、雪の研究をした際のエピソードなどが楽しめる一冊になっています。

著者
中谷 宇吉郎
出版日
1994-10-17

中谷宇吉郎が研究仲間と一緒に雪の結晶の写真を撮るために十勝岳を訪れた時のエピソードや、6角形・12角形などの雪の結晶のエピソードなど読み物としても雪の結晶を知るための参考書としても読み応えがあります。専門的な内容を書いているはずなのに、なぜかスラスラ読めてしまう彼の文章。中谷宇吉郎の随筆家としての力が表れています。全てのエピソードが雪に関するものでまとめられているので、どのページを開いても雪への情熱と愛情を感じずにはいられないでしょう。

時代を全く感じさせない、いつ読んでも新しい内容です。中谷宇吉郎のライフワークとなった雪の研究が、現代の研究にどのような影響を与えたのかなど現代とも絡めた包括的な構成になっていますので、過去と現在が繋がるような面白さを感じることも出来ます。一級品というのは時を簡単に超えてしまうのだという事実にあなたは本書で直面するでしょう。ファンには欠かせない中谷宇吉郎の代表作です 。

石鹸入りのサラダとは?

中谷宇吉郎は言わずと知れた世界的物理学者ですが、それと同時に随筆の書き手としても才能を発揮していました。本書ではそんな彼の味わい深い随筆40篇を楽しむことが出来ます。

著者
中谷 宇吉郎
出版日
2006-03-16

内容は科学エッセイから日常生活の出来事を描いたものまで様々。「地球の円い話」では地球は円いという当たり前の概念に疑問を呈しながらも、物理を知れば知るほど見落としがちなポイントを指摘したりと、身近なテーマで科学の面白さを分かりやすく伝えたりしています。中谷宇吉郎の知識に富んだ頭の中を覗いているかのような面白さを感じることが出来るでしょう。

イギリス留学中にサラダの中に石鹸のようなものを入れていて、その正体が30年以上分からなかったというエピソードを明かした「サラダの謎」も面白いです。世界的物理学者である中谷宇吉郎があの食べ物を30年間知らなかった……。サラダの謎の答えは一体何なのでしょうか?答えを知りたいあなたは本書を読んでそれを確かめ、中谷宇吉郎の親しみやすいおっちょこちょいな一面に触れてみてください。物理学者以外の顔が垣間見れる読者に嬉しい一冊になっています。

色褪せない科学エッセイ

『雪は天からの手紙』は中谷宇吉郎の2冊目となる科学エッセイです。世界初とされた人工雪を誕生させるまでのエピソードを綴った一冊。科学の面白みや奥深さを伝えてくれる味わい深い内容になっています。

著者
中谷 宇吉郎
出版日
2002-06-18

科学の世界をまだ知らない人に向けて易しく分かりやすく書かれたこのエッセイ。大人だけでなく小学校高学年ぐらいの子供から楽しめると思います。中谷宇吉郎が少年のように科学に対峙して勇敢に研究に没頭する姿は、子供の持つ純粋な好奇心と通じる所があるのではないでしょうか。科学者としての豊富な知識の素晴らしさに加え、随筆家としても滋味に溢れる文章も秀逸です。「超能力と科学の関係」「雷鳴現象とアルタミラの洞窟壁画について」など興味を引くトピックが散りばめられていますので、知的好奇心が満たされること間違いなしでしょう。

これから科学を勉強する若い人にお勧めしたい一冊。色褪せることのない中谷宇吉郎の科学への新鮮な視点に、あなたも驚きの気持ちを覚えずにはいられないでしょう。科学の観点からも、文学の観点からも楽しむことが出来ると思います。

極上の25篇のエッセイ集

生物学者である福岡伸一が集成した中谷宇吉郎のエッセイ集。専門である雪から温泉の話まで、幅広いエピソードを縦横無尽な知識で束ねた一冊です。

著者
中谷 宇吉郎
出版日
2013-04-05

本書は明治生まれの生物学者、中谷宇吉郎が当時の日本人の科学の受け入れ方を瑞々しく語っている貴重な内容になっています。金沢に下宿していた時代について記したエピソードでは西洋文化に染まっていない金沢の人々が「うさぎを飼うと十五夜には月に帰ってしまう」と信じていたことを紹介し物事を「科学的に理解する」ことの難しさを紹介しています。

日本人が科学を受け入れて、それを理解し、発展させていく過程を直に見てきた中谷宇吉郎だからこそ書ける貴重な証言が本書には詰まっているのです。科学で証明できることだけが世の中の真実だとは限らない難しさ。物理学者としての葛藤が素直に描かれており、現代を生きる読者にとっては貴重で知的好奇心をくすぐる一冊だと言えるでしょう。

「現代に住む者が、現代を見ることは、至難の業である。しかしいかに困難であっても、 時々はそれをじっと正視することが必要なのである」(『科学以前の心』より引用)

こう語る中谷宇吉郎。科学とは何か考え直すのにぴったりな一冊です。

何十年も残り続ける一級品

科学的な考え方とは何か、そもそも科学とは何なのか、について中谷宇吉郎の考察を記した一冊。科学に人間が向き合う時にベースとなる構え方を教えてくれるかのような一冊になっています。

著者
中谷 宇吉郎
出版日
1958-06-17

1958年に出版された本書ですが、今の時代に読んでも新しい気づきを与えてくれる本書。1958年当時に未来の科学論として書かれた方向性が、まさに言い当てられていることにも驚かされます。科学では説明出来ない事象が多く存在する、それは「そもそも科学とは人間が自然界の中から現象として取り出すことの出来る自然像のことを指すから」だとする主張は、私たちの科学への固定概念をぐるりとひっくり返すような斬新な主張です。

科学を追求し続けた中谷宇吉郎だからこそ知り得た科学の可能性と限界。こんな風に本書では記されています。

「火星へ行ける日がきても、テレビ塔の天辺から落ちる紙の行方を知ることはできないというところに、科学の偉大さと、その限界がある」(『科学の方法』より引用)

科学技術が発達した現代にこそ読みたい一冊。特にこれから科学を本格的に学んでいく学生などにとっては、理系の道を歩む者としての姿勢を大きく正すきっかけとなる一冊になるかも知れません。科学への誤解と幻想を少しずつ引き剥がしてくれる良書です。

いかがでしたでしょうか?今回は雪に関する研究者・中谷宇吉郎のおすすめ本を5冊ご紹介しました。最後までお読みいただきありがとうございました。

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