藤沢数希のおすすめ本5選!『ぼくは愛を証明しようと思う。』他

更新:2021.11.8

最近何だかちょっと物足りない……そんなときにおすすめなのが藤沢数希です。よくよく読めば書いてあることは至極真っ当、深い知識と緻密な分析に裏打ちされているのに、挑発するかのように刺激が強くクセになる文章を書く、有名ブロガーの世界をぜひご堪能ください。

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謎の金融ブロガー藤沢数希とは

藤沢数希という人物をご存知でしょうか。彼は業界では知る人ぞ知る「金融日記」という有名ブログを運営しています。経歴などは基本的に非公開とされていますが、最近では著書の中から推察したり、著者紹介で明かされたりして、ある程度の人物像が見えてくるようになりました。

どうやら彼は日本の大学を卒業後にアメリカで博士号を取得し、欧米のどこかで研究職についた後、外資系投資銀行に就職した……という経歴をもつ人物のようです。

ブログではタイトル通り、金融や経済の話題はもちろん、書評や科学についても述べられていますが、もうひとつ「恋愛工学」なるものについても取りあげられています。

「恋愛工学」というのは、心理学やリスク・マネジメントの技法を恋愛に応用するという新しい学問であり、藤沢はこの「恋愛工学」を生み出した第1人者とされているのです。

ブログの他に「週刊金融日記」というメールマガジンも好評で、多くの読者を集めています。また、ツイッターのフォロワー数は2017年8月現在12万人を超えており、ネット上における彼の人気は間違いありません。

特徴は、金融や経済、投資についての知識が深いことはもちろん、歯に衣着せぬ物言いで、一部の人には反感を買いそうなことをさらりと言ってのけること。その独特な筆致を活かして、数々の著書も発表しています。

恋愛から経済、社会問題まで幅広いテーマで執筆する藤沢の作品のなかから、選りすぐりの5冊をピックアップしてご紹介します。

藤沢数希の「恋愛工学」を学びたい方へ

本書はいわば、藤沢数希が提唱する「恋愛工学」の集大成といっていいでしょう。注目すべきはこの本が小説のかたちをとっているということです。

ワタナベくんという、モテないどころか女性に貢がされ、あげく捨てられるような男性が、恋愛工学マスターのモテ男、永沢さんに教えを受けることで大変なモテ男へと変貌をとげていくというストーリーです。

実のところ本書は、「愛のことなど何も書いていない」「ただのナンパのハウツー本」と批判する読者と、「ものすごくためになる」「小説として純粋に面白い」と支持する読者とに分かれ、ネット上で賛否両論がうずまき話題にもなりました。

著者
藤沢 数希
出版日
2015-06-24

確かに単純に言えば「いかにナンパのテクニックを駆使して女性をベッドに連れ込むか」について書かれている本であり、女性をランク付けしたり、とっかえひっかえする印象もあって受け入れがたく感じる読者もいるでしょう。

一方で「こういう世界もあるだろう」というリアル感があるのも確かです。女性をどう誘えばいいのか、どう気を引けばいいのかと悩む男性のためのヒントは、無数に本書のなかに転がっています。恋愛工学は、あくまで女性を口説いてその気にさせて……という過程を踏むので、恋愛ベタな男性には大いに参考になるはずです。

またここで紹介されているテクニックは、恋愛はもちろん営業など仕事での人間関係スキルを上げるのに間違いなくひと役買うでしょう。ストーリー仕立てになっているため、テクニックがわかりやすく学べ、物語の展開が刺激的なのでどんどん読み進めてしまいます。

コミック版も発売されているので、もっと気軽に読みたい方はそちらもおすすめです。

タイトルに反感を覚えた人は絶対読むべき

「愛しているから結婚する」という人もいれば、「結婚なんて勢いでするものだ」という人もいるし、「子どもができたから結婚した」という人もいるでしょう。

結婚する理由はどうあれ、いざ結婚しようとするとき大抵の人が考えるのは「幸せになれるだろうか」「この人とずっと一緒に生きていきたいだろうか」のような感情的な面であることが大半です。

しかし藤沢は、感情にとらわれることなく、結婚というものを「金融商品」として考えるべきであると説きました。その考えをまとめたのが本書『損する結婚 儲かる離婚』です。

タイトルから反感を覚える人もいらっしゃると思いますが、本書は結婚する前にぜひ読んでほしい一冊です。世の中ではおおっぴらに語られていない、結婚と離婚にまつわる「金銭的な損得」について、ひいてはその理不尽さについて詳細に書かれています。 
 

著者
藤沢 数希
出版日
2017-02-16

本書は、真面目で高収入のエリート会社員が、浮気した専業主婦の妻と離婚するために4000万円近くの大金を支払わなければならなかった……という衝撃の話からはじまります。

そしてこれがとくに珍しいことでも特殊なケースでもなく、日本に生きる既婚者たちが離婚しようとするとき、誰にでも起こりうる恐ろしい現実であるということが、説明されていくのです。

なぜ浮気された側が、大金を支払わなければならないのか?逆に慰謝料として大金をもらうはずではないのか?その疑問は当然ですが、日本の法制度にかかるとそれらはまったくの夢物語になってしまうことが、次第にわかってきます。

しかし、だからと言って結婚自体を批判しているわけではありません。藤沢が指摘するのは、時代遅れな日本の結婚制度や法制度についてです。愛あるうちは問題にはならないであろう、結婚と金と法のいびつさを知っておかなければ、人生が大きく狂う可能性もあると警告しています。

本当の意味で幸せになりたいのなら、本書を読んで決して損にはならないでしょう。

経済がわからないけどわかったフリをしている人に最適の本

経済を苦手とする人は、少なからずいるものです。しかし、正面切って苦手とはいいにくいのも事実でしょう。また景気や投資について学びたいと思ってはいても、難しそうに感じたり、苦手意識が先に立ったりして躊躇したままの人もいるのではないでしょうか。

そんな人に最適な経済の入門書となるのが本書です。

著者
藤沢数希
出版日
2011-10-15

タイトルに入門とあるとおり、経済学について初歩的な部分がまとめてあり、難しさはありません。

また本書の魅力は、藤沢特有の挑発ともとれる文章で、世の中の「経済政策」についてバッサバッサと切り捨てているところでしょう。近年起こった経済政策、経済問題、社会問題を取りあげ解説しているので「あのニュースはつまりこういうことだったのか」と世の中のことがよくわかっていくのです。

本書が書かれたのは2011年。「世界同時金融危機」「福島原発事故」「サブプライム・ローン」「非正規社員」など、ニュースでよく見た文言が次々と現れます。言葉は知っているけれど結局どういうことだったのか?でも今さら聞くに聞けない……と思っていたことは、本書が解決してくれます。

経済に苦手意識を持っていたり、世の中の動きをもっとよく知りたいと思う方におすすめの一冊です。

藤沢数希がリーマンショック前後の世界経済を紐解く

本書の真髄はタイトル通り「外資系金融」について、その内情が実に詳しく書かれている点です。
 

やや経済や投資の玄人向けの本といえるでしょう。

著者
藤沢 数希
出版日
2012-09-14

経歴については一部ベールに隠されている藤沢ですが、外資系投資銀行で働いていたことは明らかになっています。本書は外資系金融で働いていたからこそ知り得る実態が暴露されているのです。

給料は数千万、ボーナスは歩合制で億にまでなることもあり、高級レストランで食事するのはいつものことで、なかにはストリップバーで特別サービスを受ける人もいたんだとか……。

もっともこのような話だけでなく、投資銀行というものは一体何をしているのか、なぜ儲かるのか、ヘッジファンドとは何か、その他リーマンショックの背景やギリシャのデフォルト問題、ユーロ危機などについて説明されている部分も読み応えがあります。

外資系企業への転職を志している人や、これから就職活動をするなかで外資系金融も視野にいれている学生などは、外からはわからない実情を知ることができる最適の一冊です。

藤沢数希が語る原発問題

福島第一原発事故は、日本中に衝撃を与えました。あれほど安全をうたっていた原発が、爆発し、煙を上げ、崩れ落ちる映像がテレビで幾度となく流れ、多量の放射性物質が流れ出てしまったと大々的に報道されました。その後、世論は一気に「脱原発」へと向かっていきます。

痛ましい事故であり、2017年現在も問題を抱え続けています。だからといって、本当に原子力発電は完全に拒絶されなければいけないほどの悪なのか――そう疑問を投げかけたのが本書です。

著者
藤沢 数希
出版日
2012-02-17

経済分析のプロである藤沢は、そのスキルを活かして、原発事故や原子力発電所、また原発を廃止して取り入れるべきとされる再生可能エネルギーについて、多くのデータを地道に集め、徹底的に分析しました。そして、原子力は本当に危険なのか、経済的に取って変わることのできるエネルギーが本当にあるのかについてあくまで冷静に語っています。

冷静に、とは要するに「放射性物質が流れ出るなんて恐ろしい」「福島の人たちがかわいそう」といった感情論に流されないということです。そういう現実があることを認めたうえで、原発にも経済面、また環境面における利点はあり、電力の安定性においても他のエネルギーよりメリットがある点などを論理的に解説しています。

震災時の事故を目の当たりにすると、「原発は怖い」という感情からなかなか逃れられない人が多いのも事実です。本書を読んで別の角度から原子力発電所というものを知ったうえで、あらためて「脱原発」を進めるのか、他の道を探るのかについて考えてもいいのではないでしょうか。

以上、藤沢数希の著書から5作ご紹介しました。すべての作品に共通して言えることは、とにかく面白く読みやすいということです。難しい経済の話を書かせても、女性にモテるナンパのテクニックを書かせても、その読みやすさと、痛快さがまったく変わらないというところに、彼の力量が見えるのではないでしょうか。賛否両論が巻き起こるというのもまた、藤沢の興味深いところです。ぜひご一読ください。

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