『エルフェンリート』可愛すぎ…。胸キュンエログロ漫画のネタバレ紹介

更新:2021.11.8

2002年から約3年間、「週刊ヤングジャンプ」で連載された『エルフェンリート』。ミュータントと人類が描くドラマと、双方の存亡を掛けるストーリーです。国内だけでなく、海外でも高い評価をされています。ここでは作品全体と登場人物について紹介・考察します。

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漫画『エルフェンリート』がエログロで可愛い!?

著者
岡本 倫
出版日
2005-11-18

『エルフェンリート』は『週刊ヤングジャンプ』にて2002年から2005年まで連載された、岡本倫による作品です。

頭に2本の角と、「ベクター」という見えない腕を持つ、少女の姿をしたミュータント「ディクロニウス」と人間とが出会い、複雑に絡み合う彼らの関係を描いた物語。可愛いキャラクターやナンセンスなギャグシーン、ベクターによるバトルシーンはまさに痛快です。

しかし、この作品の特徴はそれだけではありません。数多くの美少女が登場する可愛らしい絵柄の作品であるにもかかわらず、手足、頭、胴体がスパスパと切られるスプラッターシーンの数々が。また、ロリコンの変態による性的な児童虐待、ヌードなどのエロスシーン、上司によるセクハラなど……エロかったり、グロかったり、残酷だったり、鬱になりかねないトラウマ級のシーンが頻発します。しかし、そのギャップこそがこの作品最大の魅力なのです。
 

しかし、そのギャップこそがこの作品最大の魅力なのです。

そんな本作を原作に、2004年にはなんとアニメ化も果たしています。しかし、放送開始前に警告テロップがでたり、「検索してはいけない言葉」に認定されたりと、やはり一筋縄にはいかないようでした……!監督は神戸守で、声優は小林沙苗や松岡由貴が務めました。

 


エロやグロに定評のある岡本倫のおすすめ作品を紹介した<岡本倫のおすすめ漫画5選!アニメ化された作品『エルフェンリート』など>の記事もおすすめです。気になる方はあわせてご覧ください。

漫画『エルフェンリート』あらすじ

人類を絶滅させることを目的とする新人類・ディクロニウスのルーシーは、国家機密の研究所で隔離、研究されていました。

ディクロニウスたちが持つ「ベクター」に触れた人間は、ベクターウィルスに感染します。ちなみに、このウイルスは男性にしか感染しません。また、感染者との間に生まれた子供はディクロニウスとして生まれてきます。その子供は生殖機能を持たず、別名「ジルペリット」と呼ばれます。

ベクターは人間には視認できませんが、ディクロニウスなら目視が可能。射程、本数は個体によって異なります。高周波による微振動で物体を切ったり、物理攻撃をそらしたりと、応用の効く使い方ができますが、質量が大きい鉄球など運動量の大きな攻撃はそらしきることができません。

また、ディクロニウスが強い痛みを感じている時はベクターを出せなくなります。それに、むやみに乱用すればするほど体組織を崩壊していき、融解することもある諸刃の剣です。

そんな特殊能力を持ったルーシーは、一瞬のスキを突いて研究所から脱走しました。その際に頭部に受けた衝撃が元で人格が分裂し、別の人格を生んでしまうなどの影響をうけますが、海岸で倒れていたところを大学生のコウタと、妹のゆかんに保護され、彼らの住む「楓荘」で一緒に暮らすこととなります。

この時のルーシーは、別の人格が現れていたせいで「にゅうにゅう」という鳴くような声しか発せられなくなっていました。そのため、コウタたちは彼女を「にゅう」と名付けます。そんなにゅうの正体を知らないまま彼女を連れ帰ったコウタとユカの元に、にゅう捕獲のために多くの刺客が送り込まれてくることなど、彼らは知る由もありません。

その過程でにゅうは、ルーシーとしての自分を思い出していくのです。

初対面かと思いきや、実はコウタとルーシーには過去に出会っていました。コウタとの関係をすべて思い出した彼女は贖罪の気持ちや、共に過ごした思い出など、様々な感情の間で迷いますが、自ら死を選びます。そして、他でもないコウタに自分を殺してもらうため、拳銃の引き金を引かせるのでした。

「にゅうにゅう」って鳴き方反則すぎ!【ルーシー】

著者
岡本 倫
出版日
2002-10-18

ルーシーは本作の主人公で、唯一生殖能力を持ったディクロニウス。人類を滅亡させるという目的を持っています。ルーシーのベクターは全部で4本、射程は2m程度です。

研究所から逃げ出した際、頭に戦車からの攻撃をくらって記憶喪失となり、幼児化し表れたもう一つの人格が「にゅう」です。服を着ることも知らず、話せる言葉は「にゅう」だけ。海岸に一人裸でいるところを保護され、コウタとユカと共に暮らすことになりました。また、頭に生えた角のせいでいじめを受けていたなど、悲しい過去もあります。

「にゅうにゅうにゅうにゅう」と鳴く姿が、とにかく可愛い!おっぱいを揉んだり、揉まれたりする姿も無邪気でほのぼのさせられます。しかも、トイレも1人でできないために放っておくことができず、お世話するシーンなどもあります。ちなみににゅうの状態の時は、ベクターは使えません。

にゅう、もといルーシーには「楓(カエデ)」という本名があります。8年前、ルーシーは楓としてコウタに出会っているのでした。ひと夏のほんの短い間、友達として……。

些細なすれ違いから楓はコウタの妹・カナエと父親を惨殺してしまっています。楓はこのとき、二度とコウタに会わないと心に決めました。この時コウタは、カナエの胴体が真っ二つになり、父親の首が飛ぶというショッキングな光景を目の当たりにしたために記憶を失い、楓のことも忘れてしまっていたのでした。
 

一生懸命なアホの子は可愛い【ナナ】

著者
岡本 倫
出版日
2003-05-19

研究所で実験用の個体として扱われていた少女・ナナはディクロニウスですが、ルーシーと違って生殖能力を持たないジルペリットです。彼女のベクターの射程はルーシーより少し長い程度。髪はショートカットで、ネクタイをリボン代わりに結んでいます。研究所での呼称は「7番」でした。

日々残酷な実験を受けていますが、蔵間(研究所室長)のことを父親と思い、心の支えとして耐えています。 蔵間の命令でで鎌倉に来ていた際、ルーシーと遭遇。そのまま戦闘へともつれ込み、はじめはルーシーよりも長さがあるベクターで戦いを優位に運んでいましたが、最後にはルーシーにより、手足を切り取られて敗れました。

その後は蔵間の手で義肢を付けられ、海に流されます。そんなナナも、コウタたちの住む町の海岸に流れ着き、楓荘で一緒に住むことに。

物心ついた時にはすでに研究所での実験体であったため、お金の価値がわからず焚火に使ったり、初めて食べるアイスクリームの美味しさに感動したり……、そんな一般常識を欠いている様子が、アホで可愛いのです!

楓荘の生活では、いわゆる天然で常にハイテンション。同じく楓荘に住む少女で、冷静な性格をしたマユ(身寄りのない普通の人間)とはいいコンビです。基本的には心優しく、人を攻撃することはありませんが、たまに怒ると目つきが変わり、ディクロニウスとしての一面を見せることも。

しかし他のディクロニウスとは違い、ナナは感情を上手くコントロールできます。マリコ(後に詳細があります)を失ってから廃人同然になってしまった蔵間を見た際も、彼を見捨てず、守る道を選びました。全てが終わった後は蔵間の娘ではなく奥さんになろうと決意しており、本作品中唯一最後まで生き残ったディクロニウスです。

無邪気に殺す最強少女!【マリコ】

著者
岡本 倫
出版日
2003-11-01

わずか5歳にして最強のディクロニウス、マリコ。研究員内での呼称は「35番」です。そんなマリコは、実は蔵間の娘。長いおかっぱ頭にリボンを結んでいます。無数のベクターを操ることができ、その最大射程はなんと11m!腕力も強い最強の存在です。

蔵間は生まれてきた子がディクロニウスだとわかった時点で、マリコを処分しなければいけない立場でした。しかし、我が子の可愛さから研究所に幽閉。愛や思いやりの暖かさを知らず育ったせいか、子供特有の無邪気さがそのままディクロニウスの本能である殺人衝動に繋がったような残酷な性格をしています。

人間を見ると即座に殺すなど、あまりに暴力性と危険性の高い強さから、彼女の身体には携帯電話で遠隔操作できる爆弾が埋め込まれています。そんなマリコは、自分を幽閉した父・蔵間を憎む一方、彼を強く渇望し、愛してもいました。

ルーシーとの戦闘では長いベクターで終始優勢に立ちますが、一瞬の隙に両足をもがれてしまいます。死ぬ間際まで戦おうとする姿を見せましたが、その抵抗も虚しくラストには死亡してしまうのでした。

この作品は新人類と人類との戦いが魅力の物語である一方、コウタとルーシーの複雑に絡み合う心理描写が見どころ。漫画『エルフェンリート』は完結しているわけですが、特に最後のシーンは意味深で、読者に解釈をゆだねられます。完結したけれど、その後も想像して楽しめる、泣ける名作です。最後のシーンにたどり着くまで読んでみて下さい、是非!

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