シリーズ累計発行部数は600万部以上!第1巻の発売から31年を経て完結した名作ラノベ『アルスラーン戦記』。世代を超えた人気を誇る作家田中芳樹によるファンタジー戦記です。この記事では、完結まで全16巻分の魅力をたっぷりご紹介します。
『アルスラーン戦記』は、人気作家・田中芳樹によるファンタジー小説。第1巻が刊行された1986年から2017年12月まで続いた長編小説です。2013年には『鋼の錬金術師』などで知られる漫画家・荒川弘によってコミック化、2015年、2016年には2期に渡ってテレビアニメ化もされました。
1巻から7巻は、14歳のアルスラーンの初陣から王都の陥落、そして奪還までを描いた第一部。8巻からは国王となった彼の治世と、それを脅かす魔軍との戦いを描いた第二部となっています。
心優しいアルスラーンと、優秀な臣下たちが縦横無尽に活躍する心躍るファンタジー戦記です。
田中芳樹については、以下の記事がおすすめです。気になった方はぜひご覧ください。
田中芳樹おすすめ作品ランキングベスト5!知れる、星雲賞受賞作家の魅力
スペースオペラから歴史小説まで、様々な世界観の物語に、多くの魅力的なキャラクターを登場させる田中芳樹。ここでは、根強いファンが多いことでも知られる、田中芳樹のおすすめ作品をランキング形式でご紹介していきます。
- 著者
- 荒川 弘
- 出版日
- 2014-04-09
交通の要で様々な物資に恵まれ、幾度となく他国からの侵略を跳ねのけてきた大国「パルス」。主人公・アルスラーンは、そんな国の王太子として生まれました。
偉大な父である国王アンドラゴラス三世、そして母の王妃タハミーネとは良好な関係を築けなかったものの、
大将軍であるヴァフリーズをはじめ、最強の武将と名高くパルス国の武将の称号「万騎長」の肩書を持つダリューンなど、心の優しいアルスラーンを慕う臣下もおり、彼は無事に成長していきます。
14歳になった彼は、パルスへと侵攻を開始した「ルシタニア国」を迎え撃つための戦で初陣を飾ることになりました。
それまで無敗の大国として勝利を欲しいままにしていたパルス軍は、今回も勝利を確信していたのですが、アルスラーンを襲ったのは信頼していたはずの臣下の裏切りで……!?
- 著者
- 田中 芳樹
- 出版日
- 2012-04-12
主人公のアルスラーンは、武勇のみを認める父・アンドラゴラス三世から認められず、母のタハミーネから興味を示されず、孤独な子供時代を過ごしていました。心優しく温厚な性格のアルスラーンは、勇ましく敵を倒すようなタイプではありませんでしたが、そのぶん自分でも無意識のうちに兵を叱咤したり、敵味方関係なく相手と最良の接し方をしたりすることができる才能を持っています。
そんなアルスラーンも14歳になり初陣に臨むことになるのですが、そこで待ち受けていたのは、臣下のカーラーンの裏切りと、それによるパルス軍の敗北でした。さらに追い打ちをかけるように、パルス国の王都「エクバターナ」も、侵攻してきたルシタニア国によって陥落してしまいます。
敗北したアルスラーンは、昔から親交を持ってきた武将のダリューンと共に戦場から逃げのび、ダリューンの親友であるナルサスを頼り、彼を軍師として仲間に迎えることになりました。ここから彼は、王都奪還に向けて動き出すことになります。
パルス最強と言われる武将のダリューン、軍師として類稀な才能を持つが毒舌なナルサスなど、優秀な臣下に囲まれたアルスラーン。彼らに比べると、アルスラーンはどこか平凡で優しい少年に見えます。しかし、そんな平凡な彼に優秀な臣下が忠誠を誓っていることは事実であり、それこそがアルスラーンの才能とも言えるでしょう。魅力的なキャラクターたちが縦横無尽に活躍する姿は、読者をワクワクさせます。
また、パルス国を危機に陥れた黒幕的存在の男・鉄仮面ヒルメスも、何やらその存在自体に謎がありそうです。ヒルメスの謎に余韻を残しつつ、まだまだ弱々しい少年王子と仲間たちの壮大な戦いが幕を開けたところで、物語は次巻へ。すぐにでも先を読みたくなってしまう第1巻です。
パルス国王の臣下であったカーラーンの裏切り、そして王都エクバターナの陥落。敵国・ルシタニア軍に追われる身となったアルスラーンは、ダリューンを始めとした数少ない仲間たちとともに、諸侯の1人であるボディールのいる「カシャーン城塞」へと向かいます。
アルスラーンはそこで歓迎を受けますが、ボディールの目的は、アルスラーンを操り自身が権力を得ようというものでした。一方、アルスラーンはパルス国の制度の1つ、奴隷制度に疑問を抱くようになりますが……。
- 著者
- 田中 芳樹
- 出版日
- 2012-08-08
前巻で、ルシタニア軍から追われる身となったアルスラーンたちは、追っ手を巻きながらパルス国内を流れることになります。もちろんただ逃げ回っているだけではなく、最終的にはルシタニアから祖国を奪還することが目的で、彼らはそのためにも戦力を集めなければなりません。
アルスラーンの仲間になり、この先の物語の中でも主要人物となるのが、エラムとギーヴです。
エラムは、奴隷の両親を持つナルサスの侍童。アルスラーンより1つ年下ですが、天才軍師ナルサスを師匠と仰ぎ、優れた知性を持っています。毒舌な辺りも師匠譲りですが、アルスラーンとは身分の違いもありうまく交流することができません。
ギーヴは、流浪の楽士を自称する飄々とした性格の美青年です。彼は人から当たり前のように守られ、助けられると思っている王族や貴族を嫌っているため、アルスラーンにも同じような感情を抱いていました。
2巻の見どころの1つは、彼らのような新しい仲間が、アルスラーンと交流をするうち、次第に心を開き、本当の仲間になっていく過程です。アルスラーンの身分にこだわらない心優しい性格も前巻より際立っており、彼の人柄をより楽しむことができるでしょう。
また一行が向かったカシャーン城塞で彼は、奴隷制度に疑問を持つことになります。この辺りはシリーズの中でも重要な分岐点で、後に「解放王」と呼ばれるようになるアルスラーンが、国の在り方や理想、そしてその実現の難しさを体感する大事なエピソードとも言えるでしょう。
一方で、ヒルメスとアルスラーンに何やら出生の秘密があるらしいことも示唆されるので、注目してみてください。
本巻の最後では、アルスラーンはパルス国東の要と言われる「ペシャワール城塞」へと腰を落ち着け、数万の兵を傘下に入れることになります。彼の成長、渦巻く謎、そして王都奪還へ向けて着々と進められる準備を、ぜひ手に取って楽しんでみてください。
ルシタニアを手引きしパルス国へと侵略させた人物・鉄仮面卿ヒルメスと相対するも、逃げられてしまったアルスラーンたち。その一方で、万騎長バフマンを仲間に加え、一行は東部の国境にあるペシャワール城塞へ向かうことになります。
しかし、そこにはパルスの近国「シンドゥラ国」が侵攻してきていました。シンドゥラ国は、王都陥落などのパルスの混乱に乗じてペシャワール城塞を落とそうとしていたのです。軍を率いるのは、シンドゥラ国第二王子・ラジェンドラ。
一行は、軍師ナルサスの知略を中心に、兵力差で劣る不利な状況でありながらラジェンドラ率いる軍を迎え撃つことになりますが……!?
- 著者
- 田中 芳樹
- 出版日
- 2012-12-06
前巻まではパルス国内での話でしたが、本巻ではアルスラーンたちが東国シンドゥラ国へ遠征する話がメインになります。一行がシンドゥラへ遠征するきっかけは、シンドゥラ国がパルス国へ侵攻してきたからでした。
前巻でアルスラーンたちは、ペシャワール城塞に腰を落ち着けましたが、このペシャワール城塞は、パルス国の東の要でもあります。パルス側にしてみると、ここを落とされるわけにはいかず、逆にシンドゥラ国にとってはここを落とせばパルスへの侵略の大きな一歩。シンドゥラはパルスがルシタニアに攻め込まれ、不利な状況であることを当然知ったうえで攻めてきたのでした。
シンドゥラ軍を率いるのは、シンドゥラ国第二王子のラジェンドラ。利己的で軽薄な性格で、アルスラーンの仲間のほとんどは彼を信用していませんが、彼はこれからの物語でも重要な人物となります。
また、新しいキャラクターとして、ラジェンドラの他にジャスワントというシンドゥラ人も登場します。凄腕の武将で超のつく真面目な性格、最初はラジェンドラの臣下でしたが、後にアルスラーンの護衛役を務め、そのまま彼の下で働くことになるのです。彼もまた、今後の物語活躍する主要人物です。
攻め込んできたシンドゥラ軍を、ナルサスの知略を中心に撃退したアルスラーンたちは、ラジェンドラと攻守同盟を結ぶことにします。こうすることで、一行がルシタニアと戦っている間に東部が攻められることを防ごうとしたのです。
シンドゥラはどこかインドのような雰囲気のある国で、戦闘にも象を使うなどの特徴があります。大量の象に乗った兵との戦は、文章からも迫力が伝わってきて、これまでとはまた違う面白さを感じるでしょう。
紆余曲折を経て、シンドゥラの王位継承問題を目の当たりにしたアルスラーンの成長も見どころの一つです。また、シンドゥラとの同盟締結により、アルスラーンたちは王都奪還への準備を整えることができました。
こうしてアルスラーンはぺシャワール城塞で、ルシタニアの討伐、そして自らが王となった暁には奴隷制度を廃止することを宣言したのです。ようやく整ったルシタニアへの反撃。物語の大きな変化を期待させてくれる巻なので、ぜひチェックしてみてください。
東方からの脅威を抑え込むことに成功したアルスラーンたちは、いよいよ王都エクバターナ奪還に向けて動き出します。アルスラーンが各地にいる諸侯たちに檄文を送ると、ペシャワール城には続々と軍が集結してきました。
これによって戦力を大幅に拡大することができますが、それに伴い、古くから王国に使える諸侯たちと、ギーヴやジャスワントといった新しい臣下たちの間で諍いが起こってしまいます。旧派閥にとっては、新参者が重用されることを面白く思っていませんでした。
そんなある日、ギーヴがパルス軍を離脱すると言い出します。アルスラーンが制止するのも聞かず出て行ってしまったギーヴでしたが、実はその行動にはある理由があって……。
- 著者
- 田中 芳樹
- 出版日
- 2013-06-12
前巻は舞台をシンドゥラ国へ移していましたが、本巻はパルス国内の話です。アルスラーンたちがいよいよルシタニア軍への反撃のため本格的に動き出します。
ペシャワール城塞でルシタニア討伐と奴隷制度廃止を宣言したアルスラーンは、王都エクバターナを奪還するため、各地の諸侯へ檄文を送りました。これにより諸侯はそれぞれの兵を率い、ペシャワールに集結してきます。こうしてパルスの戦力の多くはペシャワール城塞に集まることになるのですが、これが後にアルスラーンに思わぬ事態を与えることになってしまうのです。
その1つが、臣下同士の新旧争い。ギーヴやジャスワントなど身分が低かったり、異国人だったりする人間が、アルスラーンに重要視されているのを見た古い臣下たちが不満を持ってしまったのですが、これに対し、ナルサスはギーヴを軍から離すことで対処します。
実はギーヴがアルスラーン軍から離脱したのは、王都やルシタニア軍の情報を集めるという密命を帯びていたからなのですが、ギーヴを追放したように見せることで旧派閥の不満も抑えたのです。ナルサスらしい計略に、思わずニヤリとしてしまう読者も多いのではないでしょうか。
そして、本巻でもまた新しいキャラクターが登場します。それがルシタニア軍の騎士・エステルです。戦いの中で捕虜になったエステルは、実は男装した女の子でした。アルスラーンより1つ年上の彼女は、騎士の家に生まれるも男兄弟がおらず、自ら騎士見習いとなり従軍していたのです。
信心深いゆえに世間知らずなエステルですが、これから先、アルスラーンと交流するうちに少しずつ変わっていくので、そんな彼女の姿にもぜひ注目してみてください。
一方、王都エクバターナで捕虜になっているパルス国王アンドラゴラスや、さらにパルス国の北にある「トゥラーン王国」でも動きがあります。ルシタニアへの反撃を前に、不穏な予感に満ちたところで物語は次巻へと続いていくので、すぐに先を知りたい方は手元に次巻も合わせて用意しておくと良いかもしれません。
王都エクバターナへ進軍するアルスラーンたちでしたが、そこへペシャワール城から援軍の要請が来ます。東の遊牧国家・トゥラーン王国がパルス国の混乱に便乗して、ペシャワール城を落とそうとしていたのです。一行は、急遽ペシャワール城へ戻ることになりました。
一方、パルス国王アンドラゴラスは、ルシタニア王の弟ギスカールを人質に交渉の末、王都を脱出することに成功。アンドラゴラスはアルスラーンたちのいるペシャワール城へ向かいます。しかしそこには、解放されたギスカールのある思惑があり……!?
- 著者
- 田中 芳樹
- 出版日
- 2013-12-05
本巻では、パルス王国の北にあるトゥラーン王国がパルスへ侵攻してきます。トゥラーンもまたパルスの混乱に乗じての侵攻ですが、トゥラーン軍がペシャワール城を襲撃したことにより、王都エクバターナに向けて進軍していたアルスラーンたちは、ペシャワールへ戻らざるを得なくなってしまいました。
一方、エクバターナでは、国王アンドラゴラスが、ルシタニアの王弟・ギスカールを人質に取り、王妃タハミーネと共に王都からの脱出に成功します。そうしてアンドラゴラスもまた、ペシャワール城へと向かうことになりました。
こうしてペシャワール城には重要な人物が続々と集まってくることになります。アルスラーンたちはトゥラーン軍を退けることに成功、さらにアンドラゴラスとも合流することになるのですが、アンドラゴラスの復帰はアルスラーンの軍の指揮権が失われることを意味していました。
そのうえ、アンドラゴラスはアルスラーンに5万の兵を集めてくるようにと命令を下し、軍を追い出しにかかります。ペシャワールにはすでに、檄文に応えた諸侯の兵が集まっており、さらに5万の兵を集めることなど不可能に等しいのです。
しかも集めるまで帰ってこなくていいと言うのは、事実上の追放でした。これまでアルスラーンが仲間と共に築き上げてきたもの全てを奪ったアンドラゴラスには、読者も怒りを覚えてしまうかもしれません。
しかしここはアルスラーンと、その仲間たちの絆を感じることのできるエピソードでもあります。ダリューンやナルサスを始め、何人かの主要キャラクターたちは、国王への反乱者になるのもいとわずアルスラーンに付いていきます。それぞれのキャラクターの言い分からその性格が見て取れる、魅力の詰まったシーンです。
一方、ヒルメスは「デマヴァント山」という山に行き、伝説の宝剣ルクナバードを手に入れようとしています。これは、かつてパルス王家の祖である英雄王カイ・ホスローが、蛇王ザッハークを封印したという神剣のことで、パルス王の正統な証であるとも言われています。
デマヴァント山、宝剣ルクナバード、そして蛇王ザッハークは、この先の第二部でとても重要なキーワードとなっていきますので、ぜひ注目しておいてください。
パルス国王アンドラゴラスにより、パルス軍を事実上の追放をされてしまったアルスラーンたちは、南の港町「ギラン」にやってきます。ギランには豊かな資金を持った商人たちが多くいるのですが、海賊たちによる度重なる襲撃に悩まされていました。
ギランの総督であるペラギウスのもとを訪れたアルスラーンは、ペラギウスがルシタニア軍の侵攻による混乱に乗じて税金を着服していることに気が付きました。しかし、ナルサスはそのことを知った上であえて様子見をする構えを見せて……。
- 著者
- 田中 芳樹
- 出版日
- 2014-06-12
前巻でアンドラゴラスに事実上の追放をされてしまったアルスラーンたちがやってきたのは、南の港町ギランです。ギランは、提督ペラギウスの下で裕福な商人の集まる豊かな町でしたが、多くの海上商人が海賊の襲撃に悩まされている町でもありました。
本巻で登場する新キャラクターであるシャガードは、そんな海賊と裏で繋がっています。
実は、このシャガードはナルサスの遠い親戚に当たり、かつてはナルサスと共に奴隷制度廃止の理想を語り合ったこともある人物でした。しかし、そんなかつての理想はすっかりなくなっており、訪ねてきたナルサスを鼻で笑うほど人が変わってしまっていたのです。最初はシャガールに協力を要請するつもりだったアルスラーンたちでしたが、諦めることにします。
アンドラゴラスの5万の兵を集めるまで帰ってこなくていいという命令を逆手にとり、ゆっくりと準備を整えることにしたアルスラーンたちは、ギランの商人たちと海賊を討伐することを約束し、着実に兵力と資金を手にしていきます。
前巻ではアンドラゴラスのやり方に怒りを覚えた方もいらっしゃるかもしれませんが、それを逆手に取ったり、アルスラーンの人柄やナルサスの知略で次々に力を手に入れたりしていくストーリーには、胸がスッとするような心地良さがあります。
さらに、アルスラーンに忠誠を誓った新キャラクター、元海上商人の陽気な海の男・グラーゼも、物語に明るさを添えてくれて、楽しく読むことができるでしょう。
一方、アンドラゴラスが指揮権を握ったパルス軍とルシタニア軍は、王都エクバターナでとうとう激突します。第一部完結に向けてスピードを増してきたストーリーから目を離すことができません。
アンドラゴラス軍、ルシタニア軍、そしてアルスラーン軍が集結した王都エクバターナ。アルスラーン軍は、アンドラゴラス軍とルシタニア軍が正面衝突している間、密かに後方で動き、ルシタニア軍を追い詰めていきます。
一方、こちらも密かにエクバターナ入りしていたヒルメスは、民衆を動かし、自身がパルスの国王となるべく、現国王アンドラゴラスとの勝負に挑みました。そこでついに、ヒルメスの正体が明らかに!
さらに王妃タハミーネと合流したアルスラーンの出生の秘密も明かされて……!?
- 著者
- 田中 芳樹
- 出版日
- 2014-12-05
王都エクバターナで、ついにアンドラゴラス軍、ルシタニア軍、そしてアルスラーン軍が激突する本巻。激突といっても、彼らは正面からぶつかっていくのではなく、しばらくは密かに後方で動き回り、ルシタニアへ地道なダメージを与えていくことになります。
一方、アンドラゴラスはヒルメスと対決することになります。この対決により、とうとうヒルメスの出生の秘密が明らかにされるのでした。
1巻から匂わされていたヒルメスとアルスラーンの出生の秘密の暴露が、本巻の何よりの見どころと言っても良いでしょう。アルスラーンの方は、アンドラゴラス軍の拠点にいた王妃タハミーネから、その真実を語られることになります。
ヒルメスはアンドラゴラスの弟、そしてアルスラーンはタハミーネとアンドラゴラスの子供ではなく、乳母夫婦の子供でした。パルスでは女子は王位継承権がないため男子が欲しかったアンドラゴラスが、乳母夫婦の息子とタハミーネの産んだ娘を入れ替えたのです。
この真実は、後の第二部で登場するキャラクターや、エピソードに深く絡んでくるので、ぜひとも覚えておいてください。
しかし、この話が真実だとすると、アルスラーンは正統な王家の血筋ではないことになります。そこでアルスラーンは、新の王の証であるという宝剣ルクナバードを探すため、デマヴァント山へ行くことにしました。そこで、以前にヒルメスは手に入れられなかったルクナバードを手に入れることに成功します。
そうして、ヒルメス、アンドラゴラス、宝剣を手に入れたアルスラーンがとうとう対決することになるのです。この3人の決着をもって、第一部は完結になります。3人の戦いがどういう形で決着するのか、そこはぜひ、本書を手に取って確認してみてください。
ルシタニアとの戦争が終結して3年。アルスラーンは、「解放王」という名と共にパルス国の国王に即位していました。
即位前からの悲願だった奴隷制度を廃止し、解放した奴隷たちには土地を与え教育を施すなど、その統治は順調のように思えました。しかし近隣国の脅威や、パルス国内での反乱分子がなくなったわけではありません。奴隷制度廃止に反対する者たちは、国外にも国内にもまだ根強く存在していたのです。
そんな中、シンドゥラ国のラジェンドラと親睦を深める獅子狩りをしていたところ、「チュルク国」がシンドゥラの国境を侵してきました。アルスラーンたちはチュルク国を打ち払いますが、チュルクにはあのヒルメスの影がちらついており……
- 著者
- 田中 芳樹
- 出版日
- 2015-06-11
本巻より、第二部が始まります。舞台は、大戦が終結してから3年後、アルスラーンがパルス国王に即位し、統治しているところから始まります。
公言通り、アルスラーンは奴隷制度を廃止、解放した奴隷には土地を与えたり教育を施したりして、地道ではありますが着実に理想を実現しようとしていました。そんなことから彼は「解放王」と呼ばれています。
しかし、一方で彼のことを「簒奪者(さんだつしゃ)」「僭王(せんおう)」などと侮蔑したように呼ぶ者もいました。これは、アルスラーンが、自分が王家の血筋でないことを即位する際に公表していたためです。
こういったアルスラーンの考え方は、血統にこだわらない彼のキャラクターを表すと同時に、後に彼が伴侶を迎えたり子供を求めたりしない考え方にも繋がっていくことになります。
しかし、彼のそんな考え方を支持する人たちばかりではありません。現在も奴隷制度がある周辺国や、制度廃止に反対する国内の人間もおり、そういった者たちの動きが活発になってきていることを、ナルサスやアルスラーンは警戒していました。
そんな時、アルスラーンがシンドゥラを訪れていた際、チュルク国が侵攻してきます。実はこのチュルクにいるのが、あのヒルメスでした。復讐に燃えるヒルメスは、第二部でも敵キャラクターとして暗躍し続けます。
また、第一部では人間対人間が基本でしたが、第二部では人間対「魔物」が多くなっていきます。魔軍と呼ばれる魔導士や魔物集団が大量に登場し、一部とは少し印象が変わるかもしれませんが、ファンタジー色が濃くなったアルスラーン戦記を楽しんでみてください。
シンドゥラの国境を侵したチュルク国を、いったんは打ち払ったアルスラーンとラジェンドラでしたが、暗躍するヒルメスの組織した仮面軍団により、シンドゥラ国への侵入を許してしまいます。
ヒルメスの後ろにいるのは、チュルク国の王・カルハナ。陰険な性格をした彼は、ヒルメスを利用してパルス侵攻を企んでいたのでした。同盟国であるシンドゥラの窮状を知ったアルスラーンは、彼らを助けるために進軍を開始。再びヒルメスと対峙することになり……!?
- 著者
- 田中 芳樹
- 出版日
- 2015-12-08
チュルク国のシンドゥラ侵攻に一役買っていたヒルメス。彼は、統治者不在のまま不安定なトゥラーン国の傭兵を利用し、仮面軍団を組織します。そしてその軍団を率いシンドゥラを荒しまわり、同盟国として援軍を率いてきたアルスラーンたちと再び相対することになりました。
ここの対決の決着は案外あっさりとつき、敗れたヒルメスは命からがら逃げ出し、今度は「ミスル国」へと向かいます。
ヒルメス、仮面軍団、そしてチュルク軍との対決の他、本巻ではついに「有翼猿鬼(アフラ・ヴィラーダ)」という魔物が出現します。彼らは暗躍する魔導士たちによって作られたものなのですが、見た目も能力も人間とは遥かに違う有翼猿鬼たちは、パルス国の王宮を狙って襲撃してきたのです。
ヒルメスらを相手にあっさり勝ったように、人間相手にはほとんど無敵の強さを誇っているパルス軍ですが、今度の相手は魔物。人間とは違う高い能力を持った相手に、パルス軍がどのように戦っていくのでしょうか?今後も目が離せません。
有翼猿鬼(アフラ・ヴィラーダ)の襲撃から、ナルサスは魔導士たちによる蛇王ザッハークの復活を予期します。しかし、蛇王ザッハークだけに気を取られていては、いつ近隣国からの侵略があるかもわかりません。
そこでナルサスは、蛇王ザッハークが封印されているというデマヴァント山へ人を送り込むことにしました。一方、ダリューンに敗れたヒルメスはミスル国の漁村に流れついていましたが……?
- 著者
- 田中 芳樹
- 出版日
- 2016-05-12
前巻で「有翼猿鬼(アフラ・ヴィラーダ)」の襲撃を受けたアルスラーンたち。天才軍師のナルサスは、そのことからとうとう蛇王ザッハークが復活するのではないかと考えます。
蛇王ザッハークとは、パルス王家の祖である英雄王カイ・ホスローでさえも殺すことができず、その代わりデマヴァント山の地下に封印したという異形の姿をした恐怖の王のことです。そんなザッハークが復活すれば、パルス国がどのようになってしまうかは想像するに難くありません。
かといって、周辺国の動きが活発になっている中、ザッハークにばかり気を取られていては、背後から剣を刺されてしまいます。そこでナルサスは、デマヴァント山へ人を送りこみ偵察させることにしました。
そうしている間にも、魔物は続々登場してきます。前巻登場の有翼猿鬼に加え、今度現れたのは「鳥面人妖(ガブル・ネリーシャ)」という魔物です。いよいよ妖怪戦争のような雰囲気になってきましたが、一方でミスル国入りしたヒルメスがミスルを乗っ取ろうとするなど、人間たちのエピソードも盛り込まれています。
また、新キャラクターのレイラという少女も登場します。アルスラーンと同じ年齢の彼女は女神官見習いの孤児なのですが、なぜか王族や貴族しか持つことが許されない銀の腕輪を所有していました。
アルスラーンがパルス王家の血を引いていないことはすでに明示されていますが、彼と入れ替わったはずの本当の王家の娘はまだ登場していません。レイラがその娘なのか……それは本巻では明かされませんが、次巻以降、ぜひレイラにも注目してみてください。
3年前の大戦が終結後、アルスラーンたちと交流を持っていた女騎士エステルは、ルシタニアから正式に女騎士(セノーラ)の叙勲を受けていました。
エステルは、故郷ルシタニアの復興を目指し、ギスカールに戻ってきてもらうため「マルヤム」へと向かうことになります。一方、魔軍の動きがさらに活発になってきたパルス国では、食屍鬼(グール)が現れて……!?
- 著者
- 田中 芳樹
- 出版日
- 2016-08-09
第一部で登場した男装した少女騎士エステルが再登場します。本巻は、エステルやヒルメスの話も多く、アルスラーンたちの話は少し少なめですが、後に秘密が明かされそうな重要なキャラクターも登場するので、見逃せない一冊です。
3年前の大戦が終結した後、ルシタニアへ帰郷していたエステルは、そこで女騎士(セノーラ)の叙勲を受け、国のために働いていました。そしてかつての王弟ギスカールに帰国してもらうため、マルヤム国へと向かいます。
実は、ギスカールは大戦後にマルヤム入りをし、マルヤム国王となって国を動かしていたのでした。結局、エステルたちはギスカールをルシタニアに連れて帰ることに失敗してしまい、かといってルシタニアに帰ることもできず、そのまま流浪の身になってしまいます。
一方、ミスル国に流れ、国の乗っ取りを企むヒルメスに、孔雀姫フィトナという仲間ができました。彼女は「ナバタイ国」からミスル国に献上された娘なのですが、パルス人です。そして彼女がなんと、レイラと同じ銀の腕輪を持っていました。これで、パルス王家の娘らしい少女が2人登場したことになります。
一体誰がアンドラゴラスとタハミーネの娘なのでしょうか?
そして、アルスラーンたちパルス軍は、さらなる魔物の脅威にさらされます。前巻に引き続き、魔軍にはさらに「食屍鬼(グール)」、「四眼犬(オフルール)」という魔物が登場します。魔物についてもその正体の一端が明かされるので、その点についてもよく読んでおくと、後のストーリーをさらに楽しむことができるでしょう。
魔物の襲来に恐れた領民たちはペシャワール城へ避難。王都への知らせも走らされる中、魔軍はとうとうペシャワール城へ襲い掛かってきますが、魔軍対ペシャワール城の戦いは、次巻へのお預け。一気に読みたい方は、ぜひ次巻も合わせて用意してみてください。
戦いの準備を整えようとしている最中、魔軍の襲撃を受けてしまったペシャワール城。東の守りの要であるペシャワール城にはそれなりの戦力が詰めていましたが、それでも空から地からと襲ってくる魔軍にパルス軍は分断され、苦戦を強いられてしまいます。
今にもペシャワール城は落ちてしまうというピンチにパルス軍は……?
一方、ミスル国で暗躍しているヒルメスは、仲間になった孔雀姫フィトナの活躍もあり、いよいよミスル国の実権を握ることに!
- 著者
- 芳樹, 田中
- 出版日
魔軍に襲われてしまったペシャワール城。人間相手にはもはや無敵に近いパルス軍ですが、異形の姿を持った魔物相手には苦戦を強いられてしまいます。地上からはもとより空からも襲撃してくる魔物が相手では、いくら武に優れた将軍といっても、苦戦をしてしまうのは仕方のないことと言えますね。
そんなピンチをパルス軍がどう乗り越えていくのか、それがひとつめの見どころです。
一方、ミスル国乗っ取りを企むヒルメスですが、前巻で登場したフィトナの活躍もあり、予想よりも早くその目的を達成します。ミスル国の幼い王子は病弱で、さらに母親が平民であることもあり、王子でありながらもそれほど強い立場ではなく、後宮で静かに暮らしていました。
それを利用したヒルメスは、現国王ホサインを失脚させた後、幼い王子を国王にし、自分は影の支配者となることでミスルの実権を握ったのでした。
また、本巻ではタハミーネとアンドラゴラスの娘、つまりパルス王家の娘候補だと思われていたレイラに動きがあります。
タハミーネがレイラのことを自分の娘だと断言するのですが、肝心のレイラ本人は、なんと蛇王ザッハークの血を飲まされて魔軍に取り込まれてしまったのです。この出来事が、今後の物語にどう影響していくのか、注目していきたいところです。
戦いが続き、さらに魔物相手に苦戦するパルス軍など、全体的に不安な雰囲気が続きますが、そんな中でもいよいよアルスラーンによる恋愛を仄めかすエピソードもあります。ギスカールの帰国に失敗したエステルがパルスへやってくるのですが、途中で怪我をしてしまった際、彼に会いたいと願うのです。
一部からアルスラーンとエステルの関係に注目していた方は多いかもしれません。しかし、この2人にハッピーエンドが訪れるのかどうか……ぜひ次巻をチェックしてみてください。
ヒルメスを使ったパルス侵攻に失敗したチュルク国王カルハナは、次にアルスラーン暗殺を企てました。彼には子供がいないため、現時点で王位継承者のいないパルス国にとって、アルスラーンがいなくなれば王は不在となります。カルハナはそれを狙い、ジャライルという青年をパルスへ向かわせました。
しかし、暗殺は失敗、ジャライルは魔軍に捕らえられてしまいます。
一方、ミスル国の実権を握ったヒルメスは、ナバタイ国の侵略を受け、援軍を率いて城を出立しました。しかし、ヒルメスの不在を狙って城に攻め込んできた者がいて……!?
- 著者
- ["田中 芳樹", "丹野 忍"]
- 出版日
二部が始まってから本巻で5冊目。この辺りから、主要キャラクターの死亡が目立つようになっていきます。
著者の田中芳樹は、「皆殺しの田中」とファンから呼ばれるほど、主要・脇役に関係なくキャラクターを死なせることでも知られているのですが、もちろん無暗やたらと死なせているわけではありません。物語がクライマックスに移る上で訪れる必然的な死なのです。
ただ、これまで長い時間をかけて続いてきたシリーズの主要キャラクターが死んでしまうことや、その死に方については、読者を複雑な気持ちにさせるかもしれません。
王都奪還から活躍してきたダリューンやナルサスを始め、アルスラーンの臣下の中でも特に重要な臣下のことを「十六翼将」と呼ぶのですが、この16人の将軍が揃ったのは、実は本巻だけ。十六翼将の中にも死亡者が増えていくことになります。
前巻で、アルスラーンとエステルの関係がどうなっていくのか期待できるようなシーンがありました。しかしそのエステルが死んでしまいます。アルスラーンとの再会は叶いましたが、負った怪我が重く、そのまま死んでしまったのです。彼女の死については、希望から絶望に撃ち落とされたかのような衝撃を受けてしまう方もいるでしょう。
一方、チュルク国王のカルハナは、パルスを混乱させるため、王位継承者のいないアルスラーンを暗殺しようと企み、暗殺者としてジャライルを派遣します。
しかし、ジャライルは魔軍に捕らえられ、暗殺は失敗。カルハナの目論見も外れますが、このジャライルが後の蛇王ザッハーク復活に関わってくるので、少しだけ注目しておくといいかもしれません。
様々な思惑が絡む中、アルスラーンたちはナルサスの進言で、新たな策に出ます。それは、東の要であるペシャワール城を放棄するというものでした。これによってペシャワールを狙うチュルク軍、シンドゥラ軍、魔軍をぶつけ合わせるという考えなのですが、果たして事がうまく運ぶのでしょうか……。
いよいよ物語もクライマックスに近い雰囲気が漂い始めた本巻を、ぜひ手に取ってみてください。
ペシャワール城の守備が手薄になっていることに気が付いたシンドゥラ国王のラジェンドラは、さっそくペシャワール城に向けて侵攻を開始します。しかしラジェンドラは、そこで同じように侵攻してきたチュルク軍、そして魔軍と遭遇、戦いに発展してしまいました。
しかも、そのタイミングで大地震が発生。ラジェンドラはペシャワール城が空なのは意図的なものだと気が付きますが、その時にはすでに甚大な被害を受けてしまっており……。
- 著者
- ["田中 芳樹", "丹野 忍"]
- 出版日
前巻で、ナルサスが提案した奇手、ペシャワール城の放棄。その目的は、パルス国の東の要であるペシャワール城を空城にすることで、シンドゥラ軍とチュルク軍、そして魔軍を戦わせることでした。
ナルサスの思惑通り、ペシャワール城では三つ巴の戦いが起きたうえ大地震まで発生、ラジェンドラ率いるシンドゥラ軍は、象を400頭、兵を1万人近くも失い、チュルク軍に至ってはほぼ全滅状態になってしまいます。
本巻以降、たびたび発生するようになった地震は、蛇王ザッハークが復活したことによるものでした。デマヴァント山に封印されていた蛇王ザッハークは不完全ながらも、封印から復活していたのです。そして、不完全な状態を完全なものにするため、魔軍はある遺体を利用することにします。
さらに、チュルク国の征服を企む魔軍は、チュルク国の首都「ヘラート」を襲撃。この時、チュルク国王カルハナが死んでしまいました。
一方、アルスラーンたちパルスでも、前巻に引き続き死亡者が続出してしまいます。重要な臣下である十六翼将軍のうち、何と3人もの臣下が本巻で死んでしまうのです。1人は王都エクバターナを襲った地震でアルスラーンを庇い、2人は魔軍との戦いで死んでしまいました。誰が死んでしまったのか、それはぜひ本巻で確かめてみてください。
前パルス国王アンドラゴラスの死体を使い、蛇王ザッハークが完全復活。そのせいで、パルス国内では地震や噴火、天候不順などに見舞われ続け、国内はすっかり混乱してしまっています。
アルスラーンは国王としてやれることはやっているのですが、国民の不安は国王である彼への不満となり、国内は不穏な空気に満ちはじめていました。一方、ミスル国を逃れマルヤム国へ入ったヒルメスは、マルヤムの国王となっていたギスカールを脅してパルスへ侵攻しようと企てて……!?
- 著者
- 田中 芳樹
- 出版日
蛇王ザッハークが完全復活できたのは、前パルス国王アンドラゴラスの遺体を依代として使ったからでした。どうやら蛇王ザッハークが復活するために利用できるのは、パルス王家の血を引く体のみらしく、すでに死亡していたアンドラゴラスの遺体を利用したのでした。
蛇王ザッハークの復活のせいでパルス国内は混乱の一途を辿り、ペシャワール城に続いて東の要所である町「ソレイマニエ」からも撤退せざるを得なくなってしまいます。さらに地震や噴火の多発、天候不順などにより国民たちの生活も脅かされてしまい、国民たちの不安は不満となって、アルスラーンへ向けられるのです。
彼もできる限りのことはしているのですが、天変地異に対しては対処できないことが多く、どんどん追い詰められてしまいます。魔軍との戦いでも防戦一方であることが増え、読者からしてみても苦しい展開が続くかもしれません。
そんなアルスラーンに追い打ちをかけるように、本巻ではとうとう、「アルスラーン戦記」シリーズにおいて最も重要なキャラクターと言っても過言ではない、あのナルサスが死んでしまいます。
ナルサスの死は、前巻でマルヤム国入りしたヒルメスが、マルヤム軍を率いてパルスへ侵攻してきたことが発端となりました。ナルサスとヒルメスの因縁の対決が起こり、その戦いによってナルサスは死んでしまうのです。さらに、彼の妻であり、十六翼将の1人アルフリードも同時に死んでしまいます。
一部の初期からずっとアルスラーンと共にあった彼らの死は、あまりに衝撃的です。知らせを受けたアルスラーンやエラム、ダリューンたちも大きなショックを受けますが、それはきっと読者も同じでしょう。
数十年続いているアルスラーン戦記も、だんだんと終わりを予感させる展開へとなっていきますが、次巻の発売日はまだ未定。先が気になるところではありますが、待っている間は、ぜひここまでの巻を読み直してみてください。
蛇王ザッハークとの最終決戦が近づく中、アルスラーンは着実に決戦に向けた準備を進めていました。
一方、アンドラゴラス三世の遺体を依代にした蛇王ザッハークも、アルスラーンを倒すための強大な軍団を作り上げていました。そんな中、アルスラーンのもとに衝撃的な訃報が届き……。
- 著者
- 田中芳樹
- 出版日
第1巻が刊行されてから約30年。ようやく完結を迎えた「アルスラーン戦記」16巻です。前巻でナルサスとアルフリードの死という衝撃的な展開を迎えましたが、蛇王ザッハークとの対決は刻一刻と近付いています。アルスラーンも対決に備え、味方や捕虜などを移動することにしました。
しかし、その過程でまたも16翼将の中から死人が出てしまいます。今回死んでしまうのは、何とジャスワント。最終決戦前に亡くなってしまう死に方に、読者はまたも衝撃を覚えるでしょう。
一方、蛇王ザッハークは、自身がアンドラゴラス三世の姿をしていることを利用し、アルスラーンに対抗する軍団を作り上げていきます。8万もの兵力を擁する軍団とは、まさに最終決戦にふさわしい規模ですね。
また、死人はジャスワントだけに留まりません。最終巻ということで予想している方も多いかもしれませんが、他にもこれまで長く活躍してきたキャラクターが死んでしまいます。むしろ生き残る者を予想するような展開になっていきますが、そこで気になるのはアルスラーンの生死。
ここまで読んできた読者であれば、様々なところにフラグが立っていることに気が付いている方も多いはず。そのフラグがどう処理されているかは、ぜひ実際に読んで確認してみてください。30年間読み続けた読者にとって、ラストはきっと涙なくして読むことはできないでしょう。
- 著者
- 荒川 弘
- 出版日
- 2014-04-09
いかがでしたか? 全16巻で31年間の物語が完結したアルスラーン戦記。一部・二部と長い間さまざまな魅力的なキャラクターの活躍により盛り上がりを見せてきました。
アルスラーンはたくさんの戦いや仲間との関わり合い、仲間の死で大きく成長してきました。最終決戦の結末は?そして、アルスラーンの生死はいかに……
どんどん引き込まれていくストーリーを追いつつ、アルスラーンに待ち受けている運命を追いかけてみてはいかがでしょうか。
漫画『アルスラーン戦記』については以下の記事で詳しく紹介しています。
漫画『アルスラーン戦記』の魅力を9巻までネタバレ紹介!
敗戦によって母国を追われた王太子が、自ら母国奪還のために奔走する物語『アルスラーン戦記』。田中芳樹が作り上げた壮大なスケールの世界観を、荒川弘がリアリティの高い描写力で見事に表現しています。 両作家のファンを中心に人気を集め、単行本が9巻まで発売中です。