アニメの2期が公開される『七つの大罪』の団長メリオダスについて、明らかになっている情報をもとに、エリザベスとの関係や正体など考察をまじえながら紹介していきます。30巻までのネタバレも含みますので、先を読んでいない方はご注意ください。
2012年から連載されている鈴木央原作の漫画『七つの大罪』。リオネス王国の王バルトラによって「七つの大罪」が結成され、王国を護る聖騎士として活躍していました。しかし、ある事件に巻き込まれ、これまでとは一変して、追われる身となってしまいます。
- 著者
- 鈴木 央
- 出版日
- 2013-02-15
「七つの大罪」が王国を追われて10年、リオネス王国は2大聖騎士長、ドレファスとヘンドリクセンによって実権を握られ、国民が苦痛を強いられることに……。7人の大罪メンバーはリオネス王国を取り戻すため、再び集結するのです。しかし、その裏には強敵「十戒」の復活が隠されていました。
メリオダスは「七つの大罪」を率いるリーダーで、酒場「豚の帽子亭」のオーナーです。「憤怒の罪(ドラゴン・シン)」を課せられていて、左腕にはドラゴンの刻印があります。
見かけは少年のような姿で、手配書では30代前後。推定年齢は3000歳以上で、秘密が多い人物です。
人気のテレビアニメ第4期『七つの大罪 憤怒の審判』が、2021年1月から放送、さらに同年7月には劇場版『七つの大罪 光に呪われし者たち』の製作も決定した本作。
アニメで彼の声を演じるのは梶裕貴。『進撃の巨人』のエレン役など、メインキャラの声を多く務める人気声優です。2018年には『からかい上手の高木さん』の西片役を演じることも決まっています。
魔神族の力がバトル中に現れるようになり、その都度、感情の変化が大きいキャラクターをどのように演じてくれるのでしょうか?
ちなみに、彼の兄弟であることが明らかになった十戒のゼルドリスの声も梶裕貴が演じます。
詳しくは、TVアニメ&劇場版「七つの大罪」公式サイトをチェックしてみてください。
それでは、本編や外伝で明かされている情報に、考察を加えながらメリオダスというキャラクターを紐解いていきます。
「七つの大罪」と「十戒」についておさらいしたい方は以下の記事もあわせてご覧ください。
「七つの大罪」と「十戒」の強さを30巻までネタバレ考察!神器と闘級も紹介
2期のアニメ化が決まっている漫画『七つの大罪』。主要キャラクター7人と、魔神族「十戒」との最終決戦を目前に控え、この先の行方が気になるところです。戦いに入る前にまずは、「七つの大罪」の魔力や神器、「十戒」らの魔力や闘級について紹介しつつ、考察していきます。
メリオダスはこれまで、闇をまとうことが何度もありましたが、そのたびに「魔神族」ではないかと言われてきました。また、「リオネス奪還編」では、女神の琥珀に閉じ込められた彼がヘルブラムから決定的なことも言われています。
「チミィ…端から混じっとるね?」
「後づけで魔神の血を取り込んだギーラたちとは まるでモノが違う」(『七つの大罪』7巻から引用)
この時点で、すでにメリオダスが魔神族であると、証明しているようなものですが、魔神族ならなぜ…?というような疑問もあり、いま一度ハッキリしない部分もあったのです。闇を纏う姿から、バンやキングからも、本当に味方なのかを問いただされていました。
「キミは 本当に味方なのか?」(『七つの大罪』17巻から引用)
メリオダスは秘密主義なので、不審に思われても仕方ありませんが、彼には決して話せない理由もあったのです。それに関しては、下記の「エリザベスとの関係」で紹介します。
彼は魔神族であり、魔神王の息子であることが明らかになっています。かつては「十戒」の統率者でもありました。「十戒」だったころの彼は、エスタロッサの憧れであり、次の魔神王として認めていた存在だったと話しています。
現在とは、風貌も顔つきも全く異なり、漂う冷酷な雰囲気はまさに魔神族。また、メリオダスが死んでも生き返るのは、魔神王に掛けられた呪いのせいで、死を選ぶたびに煉獄にいき、魔神王に感情を少しずつ喰われていくのです。
そしていずれは、「十戒」だった頃に戻ってしまいます。彼が闇を纏うと、額に紋様が浮かびあがりますが、それも徐々に変化して大きくなっています。初めは右の眉上だったものがだんだん大きくなり、中心に寄ってきました。
22巻で「十戒」だった頃が描かれていますが、その紋様は額の中心に大きく出ています。さらに24巻でフラウドリンを倒したとき、その際浮かび上がった紋様が「十戒」だった頃に近しくなっているのです。
しかも、フラウドリンの倒し方も非情で、顔には現在の面影すらなく、まるで「十戒」だった頃の顔と同じです。近くにいたドレファスやヘンドリクセンが、本当に彼なのかと疑うほど変わっていたのです。
「あれは本当にメリオダス殿…なのか?」(『七つの大罪』24巻から引用)
もしかしたら、あと1,2回死をくり返したら、完全な「十戒」へと戻ってしまうかもしれませんね。28巻から29巻にかけては、仲間のエスカノールと戦っています。この時、もはや別人といえるほどまがまがしい姿でした。その様子については、後ほど詳しく紹介していきます。
22巻でくり広げられる、メリオダスと十戒の闘い。十戒のメンバーに囲まれて、絶体絶命のピンチに陥ります。
次々と十戒から攻撃を仕掛けられ、ダメージを食らう彼は、「リベンジ・カウンター」で反撃に出ます。しかし、兄弟だと推測されるエスタロッサが彼の攻撃をいとも簡単に片手で止めてしまうのです。
エスタロッサはさらに追い込みます。このときの彼の発言によって、以下が判明しました。
窮地に追い込まれる彼を救ったのは、バンでした。魂を抜き取り、とどめを刺そうとしているメラスキュラの背後から「絶気配(ゼロサイン)」で近づき、彼女の首を捻じ曲げます。
さらにバンはエスタロッサを倒そうと接近するも、力およばず剣で心臓を刺されてしまうのです。上位魔神族には心臓が7つある、と語るエスタロッサ。次々とメリオダスの体には無残にも剣が刺さり、死亡してしまいました。
戦いが終了した後、彼の安否を心配してエリザベスが転送してきます。彼のむごい体を抱きすくめて号泣するエリザベス。彼女の姿が切なすぎて、見ていられません。彼女は彼を連れてかえり、治療を施します。
時はすぎ、23巻188話でのシーン。ザラトラスとエリザベスが、王都に魔神が集まってきていることを聞き、不安を抱えながらも駆けつけます。
そこで対峙するのがデリエリ。彼女はエリザベスに会った瞬間、いかにもエリザベスを知っているようなセリフを言い残しています。と誰かと勘違いしているようなセリフを告げます。さらに、デリエリの攻撃を「聖櫃(アーク)」で止めるのです。これは女神族が発することができる技であったため、エリザベスの正体の謎に迫るシーンでもあります。
次の瞬間、デリエリを攻撃してエリザベスを守ったのがメリオダスでした。
エスタロッサとの闘いで死んだはずの彼は、3千年前にかけられた呪いによって何度も生き返る体質であることが判明。これに関しては、後ほど詳しく考察していきます。
彼は「憤怒の罪(ドラゴン・シン)」を背負っていますが、その理由は彼が何度かくり返している「暴走」が原因だったのです。
16年前、かつてダナフォール国で聖騎士団長を務めていた彼は、魔神族のフラウドリンと死闘をくり広げています。結果はメリオダスの勝利。
ただこの戦いで、彼は目の前で恋人リズの命を奪われています。最愛のリズを殺され、怒りのあまりに暴走して、ダナフォール王国を消滅させてしまったのです。
彼の魔力は、とても大きく危険なもの。怒ったときの彼は、尋常ではない恐ろしさがあります。エリザベスが危険な目に遭ったときも、何度かそういう姿が確認されていますが、大切な人を奪われたら、きっと誰もが憤怒になってしまうことでしょう。
彼が課せられている「憤怒の罪」は、怒りをコントロールできずにダナフォールを滅亡させてしまったことが理由でした。憤怒のシンボルが龍(ドラゴン)とされているため、メリオダスの腕にマークが刻印されているというわけです。
だから彼の印も、ドラゴンが刻印されているというわけです。
エリザベスとの関係は、3千年前に遡ります。当時、「十戒」を統率していたメリオダスが、突如仲間を裏切って魔界を破壊し、居合わせたふたりの仲間を惨殺して、女神族の彼女への愛に走ったのです。
これによって、魔神族と女神族の均衡が崩れ、5種族をも巻き込んだ「聖戦」へと発展してしまいました。メリオダスは、妖精族やドロールたちと女神族を長とした「光の聖痕(スティグマ)」として、魔神族を迎え討っていたのです。
女神族でさえ手を出さないほどの、強さと非情さだった彼が、なぜ突如エリザベスの愛を選んだのかは不明。ただ、彼にはハーフ説も出ていたので、非情な魔神族になりきれない部分が、あったのかもしれません。
彼とエリザベスは、敵対する種族ということもあり、ふたりが手を取り合うのはとても危険なことでもありました。それぞれ魔神王も女神族の長「最高神」もふたりを許すはずがありません。
彼は魔神王から、彼女は最高神から、それぞれ呪いを掛けられてしまったのです。メリオダスは歳を取らず、死んでもまた生を受ける「永遠の生」、エリザベスは前世の記憶を忘れ、短い人生で何度も生まれ変わる「永劫の輪廻」。
さらに、エリザベスが生まれ変わっても、必ず彼と出会い必ず恋に落ち、前世の記憶を取り戻した3日後、彼の前で命を落とすと言うものなのです。
こうして、3千年の間に106人のエリザベスの死を見取り、107人のエリザベスと出会いました。エリザベスが彼に質問をしても答えてくれなかったり、はぐらかしたりしていたのは、前世を思い出させないためだったのです。
彼は3千年前、エリザベスが亡くなった後、初めに出会ったエリザベスがいました。彼女は狩猟民族だったようで、声も名前も顔もすべて同じだったことで、エリザベスの生まれ変わりだと確信していました。
ふたりは出会ってすぐ、恋に落ちて一緒に暮らしましたが、あまりの嬉しさに過去の彼女の話をしたのです。すると、彼女はすべてを思い出し、「自分たちは呪いを掛けられているから、いつか呪いを解いてほしい」とお願いしたのです。
その3日後、エリザベスは彼の目の前で、木の杭が胸に刺さって、命を落としてしまいました。そこから彼は、どんなエリザベスと出会っても、決して前世に触れないようにしていたのでしょう。
この呪いを解くには、呪いをかけた魔神王と最高神を上回る力が必要です。しかし、ゼルドリスによって、彼女は前世を思い出してしまいました。残るは3日、メリオダスはエリザベスを護れるのでしょうか。
エリザベスについては以下の記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。
『七つの大罪』エリザベスを徹底考察!リズの生まれ変わり?【ネタバレ注意】
『七つの大罪』のヒロインで、リオネス王国の第3王女エリザベス・リオネス。聖戦の情報と共に、彼女の正体が女神族だということも明かされました。メリオダスがなぜ、エリザベスを命がけで護ろうとしているのか、その理由とふたりの関係性を解説します。
神器は、「魔剣ロストヴェイン」で「豚の帽子亭」の開業資金を作るために売ってしまったという経緯があります。その後、15巻でマーリンによって買い戻されていたことが発覚し、無事にメリオダスのもとに戻っています。
「10年前 団長殿がキャメロットの質屋で売った後 私が買い戻しておいた…」
「利子は高くつくぞ?」(『七つの大罪』15巻から引用)
「魔剣ロストヴェイン」は、片手剣で剣の中心に5つの穴が開き、メリオダスの印と同じ、ドラゴンの紋章が刻まれた、反りのある形状をしています。これがあることで、複数の分身を出すことができるようになりました。
分身ひとりひとりの闘級は少なくなりますが、同時に攻撃できるので、そういった面では優勢ですね。さらには、「全反撃(フルカウンター)」とは相性もよく、ほどゼロに近い力で跳ね返すことができます。
神器を売った経緯については、下記にある「ホークとの出会い」に記してありますので、そちらをご覧下さい。
闘級は、当初3370(魔力400/武力990/気力2010)、魔神の力を使用したときは4400、暴走した時は1万3000で、マーリンに奪われた力を取り戻したときは、3万2500まで上がっています。
その後、エスタロッサに敗北し煉獄から復活した後には、6万にまで跳ね上がりました。どうやらメリオダスは、死んで煉獄に行くたびに、闘級がアップしています。それは、非情な「十戒」に近づくという意味でもあります。
27巻では、ゼルドリスの6万1000に次ぐ2番目の強さですが、「十戒」を統率していた過去からしても、もっと上がるのではないかと予測できますね。しかも6万が計測されたのは、通常時の数値で、その後すぐ闇を展開した時のは、数値は出ていませんが、フラウドリン曰く
「メリオダス…き…貴様の その魔力はまるで…まるでかつての………!!」(『七つの大罪』24巻から引用)
魔神化した場合は、さらに数値が上回るので、現時点でどれほどの闘級があるのかは不明です。29巻の冒頭では、闘級が14万2000まであがっていることが明かされています。今後、さらに上昇していくことは自明でしょう。
半分の魔力(技)は、魔神の力によるものですが、「全反撃(フルカウンター)」はエスタロッサも使う技ですよね。ただ、メリオダスの場合は、物理攻撃は跳ね返すことはできません。エスタロッサの場合は逆で、物理攻撃を跳ね返すことができるので、同じ技でも多少の違いがあるようですね。
バンと出会ったのは、物語の舞台から16年前のことです。「妖精王の森」を全焼失させた大罪で、死刑宣告されていたバンは、33回の死刑執行の全てを生き残っていました。首をはねても、火刑にしても、何をしても決して、死ぬことはなかったのです。
バンが囚われていた牢獄は、通常よりも厳重な造りになっていました。当時、リオネス王国の聖騎士だったメリオダスは、その牢獄を訪れ、今から牢を出てもらうと言いました。
エレインを失ったバンには、外の世界に何の魅力も無かったのでしょう。メリオダスは、そんな男が牢獄にいると聞いて、「七つの大罪」にスカウトしに来たというわけですね。
結局、彼の一撃で「外」に出されたバンは、それが面白くて仕方がないといった感じで、もう一回やろうとせがみます。彼はバンの回復力に呆れながらも、続けたければオレと組めと言うのです。その返事の代わりにバンは、ニカーッと満面の笑みで答えました。
こうして、バンは「七つの大罪」に加入し、彼を「団ちょ♪」と呼ぶようになったのです。そして、リオネス王国転覆の汚名を掛けられてから10年後、バンはリオネスのバステ監獄に幽閉されていました。本人曰く「暇つぶし」とのことですが、相変わらずここでも拷問をうけていたようです。
いつでも脱獄が出来るのにしなかったのは、バンにとって、「七つの大罪」がバラけた時点で、再び楽しみが無くなったのでしょう。しかし、メリオダスが生きている事を知ると、自力で難なく脱獄して10年ぶりの再会を果たしたのです。
その後、リオネス王国奪還編で、「七つの大罪」らが王国奪還で戦う中、バンはひとり城の地下にある「ケルヌンノスの笛」の元にいました。
「ケルヌンノスの笛」は、女神と交信でき、願いを叶えてくれると言われており、バンは自分の命を引き換えに、エレインを生き返らせて欲しいと願っていたのです。
しかし、「ケルヌンノスの笛」は、メリオダスを亡き者にすれば、願いを叶えるといいます。バンは一度だけ自分の気持ちを殺して、団長に牙をむきました。団長はバンの思いを受け止め、とりあえず今は「七つの大罪」としてなすべきことをして、いずれ決着をつけると約束したのです。
しかしバンは、たとえどんな理由があったとしても、親友を殺そうとしたことは、許されるべきではないと思ったのでしょう。一度は「七つの大罪」を抜ける決心をしましたが、自分を育ててくれた恩人ジバゴの言葉で、再び「七つの大罪」として復活したのでした。
2人は、喧嘩するほど仲のいいという言葉がよく似合うコンビです。きっとお互いの気持ちも通じ合っているのでしょうね。
次に、バンの傷について解説します。バンの傷は、「常闇の棺」を触ろうとして、キレたメリオダスに付けられたものです。手足をバラバラにしても、火刑されても不死身だったバンが、なぜその傷がきえないのかは、魔神の力で切られたから。
6巻で、魔神の力を手に入れたジェリコに斬られた傷も、なかなか回復しませんでしたよね?最終的には回復したのですが、普通よりも回復するのが遅くなるのです。ただ、ジェリコの場合は、作られた魔神の力だったので、純粋な魔神族に斬られたものは回復しないということなのかもしれません。ただ、「十戒」との戦いで負った傷も回復しているので、メリオダスだけが特別な存在なのかもしれませんね。
「王国全騎士に包囲された!!”団長すまない”」(『七つの大罪』12巻番外編「相棒」から引用)
こんなセリフで始まる番外編。メリオダスが目を覚ますと、目の前に豚が一匹いました。道端で倒れていた彼を、自分の住処に連れてきて介抱してくれていたのです。この時、ある事件の濡れ衣で王国を追われる身となった「七つの大罪」ですが、メリオダスは何が起こったのか、覚えていませんでした。
ホークの言葉遣いから、メリオダスはダナフォールで相棒だった、「ワンドル」というオウムのことを思い出していました。17巻の回想シーンで描かれていますが、ワンドルは、リズと同じようにダナフォールで命を落としています。それが、フラウドリンによるものなのか、メリオダスの暴走によるものなのかは不明です。
ホークもワンドルと同じように言葉を話し、悪態をつくのも同じどころか、ワンドルと全く同じ言葉を言ったので、メリオダスはホークがワンドルの生まれ変わりだと思ったのかもしれません。
ホークがワンドルの生まれ変わりではないか、という考察もあがっており、ホークとのやりとりも伏線になっていたのです。
前世の記憶がうっすら残っているような感覚がある、というホーク。空を飛んでいたような気がする、ということから、前世は鳥か竜のような生き物だったのでしょうか?
このセリフは、14巻でマーリンの「意味なきことに意味が生まれる」という場面の、背景に描かれている動物が、まさにそれを意味しているのではないでしょうか。
鳥から馬になり竜となって豚になる。そういう流れですが、マーリンの言葉通り、「全てを逆転して考える」と、不自然な行動の答えが現れるとすれば、メリオダスがホークと出会ったのも、相棒として側にいるのも、不自然なようでも自然な流れで、出会うべきして出会った、ということなのかもしれません。
ゼルドリスは顔が似ていて、エスタロッサはメリオダスの手配書になっていましたね。「十戒」の登場で、3人は兄弟ではないかと言われていましたが、ストーリーが進むうちに、3人は兄弟だと確定しました。
23巻のエスタロッサvsエスカノール戦では、ゼルドリスはエスタロッサを兄者と呼び、メリオダスは「エジンバラの吸血鬼」で、ゼルドリスが弟だと言っています。
また22巻では、エスタロッサが「十戒」だった頃の様子を語る回想シーンでは、明らかにエスタロッサの方が若いので、1番上がメリオダス、2番目がエスタロッサ、3番目がゼルドリスということになると思われます。
しかし、エスタロッサは歳相応(?)になっているのに、ゼルドリスは3千年前の聖戦の頃と、まったく変わっていないのも不自然です。メリオダスの場合は、呪いによって歳を取らないのですが、ゼルドリスは、なぜ変わらぬ姿なのでしょうか。
この辺りはまったく明かされていないので、あくまでも考察ですが、「エジンバラの吸血鬼」と関係があるようにも思えます。
3千年前の聖戦で、吸血鬼族は魔神族に隷属という形で、共に戦っていました。しかし、その水面下で吸血鬼族の王が、謀反を企てていたのです。
謀反は失敗に終わりましたが、反逆の見せしめに吸血鬼一族は処刑を宣告され、その処刑人となったのがゼルドリスでした。しかし、ゼルドリスは彼らを処刑をする代わりに、封印を選んだのです。
それは、吸血鬼一族のゲルダという女性と、心を通わせていたから……。愛する人を処刑することなど出来ません。ゼルドリスはそうとう悩んだようですが、魔神王に反論することなど、できるわけがありません。
だから、せめて処刑から封印にしてもらえるよう、自分への呪いと引き換えにしたのかもしれません。ゼルドリスは、ほかの「十戒」たちよりも、さらにメリオダスへの憎しみが強いような感じがしますが、それもほとんどが「エジンバラの吸血鬼」が原因ではないでしょうか。
メリオダスらが、リオネス王国追放になる前、エジンバラ国が吸血鬼に支配された事件が起こりました。3千年前に、吸血鬼一族を封印したはずの、古の石棺が破壊されたことが原因で、封印が解けてしまったとのこと。リオネス聖騎士長は、その調査のために「七つの大罪」の出動を要請したのです。
エジンバラ城内では、それぞれが吸血鬼一族と対峙していましたが、メリオダスの元にはゲルダという女性が現れました。ゲルダはただ血を吸って生きるのは嫌だと、自分を殺してほしいと彼に願い出ます。
ただ3千年前、ゼルドリスが吸血鬼一族を、処刑でなく封印を選んだのはゲルダを護るためだったので、どんな事情があろうと、彼女を殺したメリオダスを、許すことができないのでしょう。また、仲間をも裏切らず、なおかつゲルダを護るには、封印せざるを得なかった。しかし、彼が仲間を裏切ってまでも、愛する人の元へ行ったということも、憎しみが強い要因となっているのかもしれません。
28巻で、城塞都市コランドにて、十戒のメラスキュラと対決する七つの大罪。圧倒的な力で相手の勝利を許さないメリオダスでしたが、負のエネルギーが暴走し、十戒を統率していた頃のような禍々しい姿になってしまいます。
闇の力をまとった彼を止められるのは、最強の男・エスカノールただひとりだけ。ここにきて、仲間同士で戦う事態に陥ってしまいました。
普段の仲間思いの団長からは想像もつかないほど邪悪な姿です。強力な負のオーラを発していて、彼に飛びかかるエスカノールを簡単に足蹴にしてしまうほどの強さでした。
しかし、時刻が正午を迎えようとしていたとき、エスカノールは「天上天下唯我独尊(ザ・ワン)」の力を発揮し、太陽を味方につけてパワーアップします。そして、闇の力で暴走するメリオダスに「聖剣エスカノール」で強力な一撃を喰らわせるのでした。
その結果、魔神族の血を暴走させた団長に勝利。やっぱりこの男は最強すぎる……! 29巻冒頭で、メリオダスの闘級が14万2000になっていることが明かされていたので、エスカノールはそれ以上の力を秘めているということになります。
ただ、相当のパワーを消耗する模様。この対戦の後、2人は意識を失って倒れています。メリオダスは負のエネルギーをまとったまま。さて、復活するのはいつになるのでしょうか?
29巻でほぼ壊滅状態の十戒に代わり、新たな脅威となるのがチャンドラーとキューザックです。キューザックはゼルドリスの師で、メリオダスはチャンドラーから教えを受けています。
彼は「おしゃぶりの鬼」と称されていて、その名前は敵の髄液まで吸い尽くすほど執念深い戦いぶりに由来します。メリオダスを「坊っちゃま」と呼び、再び魔神族の力をまとった弟子の姿に涙を流すほど。その姿は師匠というより、執事のほうがしっくりきてしまいます。
ややおちゃらけた様子も見受けられる人物ですが、さすがは師匠。闘級こそ明らかになっていませんが、七つの大罪を1人で相手するほどの力を持っています。
- 著者
- 鈴木央
- 出版日
- 2017-12-15
ここで、簡単に29巻で彼が使う技を見ていきましょう。
・「全反撃(フルカウンター)」
相手の攻撃を跳ね返す技です。メリオダスが得意としている技で、実は師匠に教わったものでした。
・「絶対強制解除(アブソリュート・キャンセル)」
魔術師マーリンがよく使う技です。チャンドラーはこの技を使って、エリザベスとメリオダスが守られていた「パーフェクト・キューブ」の魔法を解除してしまいました。
・「極微(ミクロスピック)」
相手の体を小さくさせる技です。この技によって、ディアンヌはミニマムサイズになってしまいました。
・「隕星(メテオワークス)」
空から大量の隕石を降らせる技です。
・「絶対強制命令(アブソリュート・オーダー)」
自分の手に呪印を書き記し、相手を服従させる術。これに逆らえば、大きなダメージを食らってしまいます。
・「竜爪(ドラゴンクロー)」
巨大な爪を出現させ、相手を狩る技。エリザベスに向けて技が仕かけられましたが、ディアンヌが重金属(ヘビメタ)で守っています。
・「真紅の葬送(クリムゾンレクイエム)」
手の先から真っ赤な炎を出して、その熱で相手を溶かす技。
・「怨恨刃(えんこんじん)」
携えている杖から、鋭い刃のようなパワーをくり出す技。
ここまで見ていただけると分かるように、チャンドラーは魔術で操るものから強力なダメージを与えるものまで、実に多彩な技を使い分けることができます。
「全反撃(フルカウンター)」をメリオダスに伝授したことは明らかになっていますが、そのほかの技も彼が教えているのでしょうか。また、エスタロッサも「全反撃」の技を使えることから、彼もチャンドラーの弟子である可能性も考えられます。
29巻でエスカノールとの対決に破れ、意識を失って倒れていたメリオダスが30巻で復活します。
一度は七つの大罪、応戦してくれた十戒のグロキシニア・ドロールに破れたかと思われたチャンドラーでしたが、弟子を奪い返す執念は非常に根深いものでした。再び大罪メンバーに脅威が襲いかかります。
敵の気配を察知し、大罪メンバーが外に出ると、辺りは真っ暗になっていました。チャンドラーが夜を伴ってきたのです。そして、倒れていたはずのメリオダスがエリザベスを片手で抱え、黒い羽で宙に浮いていました。闇の帝王然とした態度で佇んでいたのです。
十戒を統率していた頃の姿に戻った弟子をみて、感極まって涙を流すチャンドラー。それだけ彼を溺愛していることが窺い知れます。
心配そうに見つめる七つの大罪に向かって、メリオダスは「大切な仲間だった」と告げるのです。思いやる気持ちは依然として残っているようですが、過去形なのが気になるところ。そして、仲間たちに向かって「七つの大罪の解散」を宣言し、チャンドラーとともにゼルドリスの元へ旅立ってしまうのです。
ここにきて、まさかの解散宣言でした……。エリザベスの記憶が戻って1日目、死の危険が迫るまで、残るのはあと2日ほど。呪いを解くために行動に出るメリオダスですが、はたして大罪の仲間たちはどう受け止めるのでしょうか?
- 著者
- 鈴木 央
- 出版日
エリザベスとの呪いを解くため、七つの大罪から離れて行動をしているメリオダス。呪いを解くためには、魔神王ほどの力が必要であることがわかっています。
30巻に収録された248話では、彼が魔神王になることを決意し、エリザベスとそのことについて議論していました。
魔神王になってしまえば、その強力な魔力によって彼の記憶や理性は失われ、ブリタニアを離れることになるかもしれません。エリザベスは彼を説得しようと試みます。
しかし、呪いを解くためには、この方法しかないのだと言うのです。
ただ、呪いが解けてしまえば、もうメリオダスには会えないかもしれない……。それでは、呪いを解くのに何の意味があるのか?それが彼女の言い分でした。
それに対して彼は、「呪いが解ければ、俺を好きな気持ちも忘れるだろう」と言うのです。
その言葉には、エリザベスも反論。だったら、私がいくら転生しても、私以外の人を好きになればよかったじゃない、と言います。
しかし、メリオダスは「仕方なかった、どんなエリザベスも好きだったんだ」と言いました。
呪いさえなければ……お互いに大切に思っていることはゆるぎない事実なのに、非常にもどかしい関係なのです。
この後、エリザベスは彼の魔神王化を阻止すべく、七つの大罪と力を合わせていきそうな展開に。エリザベスの残りの命もわずかになっているなか、はたして2人の呪いは解けるのでしょうか。
数多くある名言のなかから、ほんの一部をシーン解説とともに紹介します。
バステ監獄に投獄されているバンの救出で、立ちはだかった聖騎士の魔力に、操られたメリオダスとディアンヌを、エリザベスが命がけで救ったときのシーンです。エリザベスに重傷を負わせた聖騎士に放ったセリフです。
「しょうがねぇ…お前は オレの大切なもんを傷つけた」
「それがお前の罪だぜ」
(『七つの大罪』2巻から引用)
バイゼル喧嘩祭りで、当時ダナフォールの聖騎士をしていたケインが、なぜ仲間を裏切ったと責めている場面です。真実を知らなかったケインに、放った言葉です。
「守ろうとした……全てを守りたかった」
「でも…できなかった」
「それが俺の罪」
「だから 今度こそ守らなきゃならねぇんだ!!」
(『七つの大罪』6巻から引用))
リオネス奪還の際、人質に取られたマーガレット王女を救い、ギルサンダーをその呪縛から解き放ったときに、ギルサンダーへの絆を示した熱いセリフです。
「ギル坊が好きな女のため 命を張ってんだ」
「オレも命を張るのが男の友情ってもんさ」
(『七つの大罪』11巻から引用)
ヘンドリクセンとの最終決戦で、意識を失うほどの大怪我を追ったエリザベス。他人のことばかりを考えて、自分への治癒を拒むエリザベスに、放った愛が溢れた優しい名言です。
「もし お前がいなくなればオレの生きる目的がなくなるーーーーーだから頼む」
「オレのために生きてくれ」
(『七つの大罪』13巻から引用)
マーリンがメリオダスから奪った力を返すには、暴走を抑制しなければなりません。ドルイドの村で修行し、エリザベスを守るために、過酷な修練に耐えたときのセリフ。リズを忘れることなどできない、でも大事なものは心にしまってあると言う意味です。
「大事なモンは 全部ここにあるぜ!!」
(『七つの大罪』17巻から引用)
エレインを生き返させるために、「ケルヌンノスの笛」から、メリオダスを殺害しろと言われたバン。一時は愛を選び、「七つの大罪」を抜けましたが、再び仲間の元に戻ったバンに放った言葉です。
「行こうぜ親友 互いに 守るモンのために」
(『七つの大罪』20巻から引用)
エスタロッサ戦で、一度死んで煉獄から戻ったメリオダスが、何の躊躇も無く、しかもフラウドリンを倒したときに、とても気分が良かったといいます。死ぬたびに魔神王に感情を食われ、少しずつ「十戒」だったころの自分に戻る日が近いと、メリオダス自身が感じて涙を流したシーンのセリフです。
「オレは昔の自分に戻るのが怖いよ」
「でも…元のオレに戻らなくちゃ…お前を救うことができねぇんだ…」
(『七つの大罪』24巻から引用)
いかがでしたか?『七つの大罪』メリオダスについての情報や考察を上げてみました。2018年1月にはアニメ2期も放送されるので、ぜひ原作と合わせてお楽しみくださいね。