『七つの大罪』のヒロインで、リオネス王国の第3王女エリザベス・リオネス。聖戦の情報と共に、彼女の正体が女神族だということも明かされました。メリオダスがなぜ、エリザベスを命がけで護ろうとしているのか、その理由とふたりの関係性を解説します。
2012年から「週刊少年マガジン」で連載中の、鈴木央原作による漫画『七つの大罪』。本編はいよいよ「七つの大罪」と「十戒」との最終決戦に突入しています。また2018年1月には、待望のアニメ2期の放送が決定するなど、もっとも注目されている旬な作品です。
- 著者
- 鈴木 央
- 出版日
- 2013-02-15
『七つの大罪』のヒロインであり、リオネス王国の第3王女エリザベス・リオネス。彼女には、様々な謎が問いただされていましたが、徐々に紐解かれてきました。
当初、聖騎士たちに実権を握られた、リオネス王国を取り戻そうと、たったひとりで「七つの大罪」を捜していたのです。たどり着いたところは幸運にも、「七つの大罪」団長メリオダスが営む「豚の帽子亭」。
ここから、メリオダスと「七つの大罪」捜しを始め、ついに彼らが顔を揃えました。しかし、聖騎士長の体は魔神族に乗っ取られており、ついには「十戒」の復活を許してしまいます。
エリザベスは「七つの大罪」とともに、「十戒」を討つため、彼らの力となっていくのです。また、物語が進むなかで、彼女がもつ癒しの力も判明し、人間ではなく女神族ではないかと言われていました。
また、過去メリオダスがダナフォール王国を滅ぼした原因であるリズの生まれ変わりであることや、自分の前世の全てを思い出しましたが、それはエリザベスとの別れを意味するもの。
なぜ彼女が記憶を取り戻すと、別れが訪れるのでしょうか。メリオダスとの関係やその理由を、ネタバレを含めて紹介します。
ちなみにアニメでエリザベスの声を演じるのは雨宮天(あまみやそら)。『アカメが斬る!』の主人公や『この素晴らしい世界に祝福を! 』のヒロイン役を演じるなど、幅広い作品で活躍している女性声優です。
おしとやかで可愛らしい声のなかにも、力があるのが魅力的。メリオダスはじめ、七つの大罪と旅をするエリザベスにぴったりの声音です。
「七つの大罪」と「十戒」の強さを考察した<「七つの大罪」と「十戒」の強さを30巻までネタバレ考察!神器と闘級も紹介>の記事もおすすめです。気になる方はぜひご覧ください。
エリザベスの闘級は、1925(魔力1700:武力5:気力220)。武力はほぼゼロに近いですが、魔力は比較的高めです。比較するとすれば、リオネス聖騎士のギーラ(闘級:1350)、ジェリコ(闘級:270)よりも全然上です。
魔力名は不明ですが、傷ついた者を癒したり、相手の魔力を跳ね返したりと、どちらかというと、ドルイドの「浄化(パージ)」に似通った魔力で、さまざまなものを癒すことができます。
13巻のヘンドリクセン戦では、エリザベスの放った光が、傷ついた仲間たちを包み込むと、傷がどんどん消えて、しまいには王都を包むほどの大きさにまでなっていました。虫の息ほどの者も、何事もなかったかのように、元気な姿へと戻っています。
しかし、命を落としたものには効かないようで、ヘンドリクセンに攻撃され、黒こげになったホークはそのままでした。傷を癒すことは出来るものの、失った命は元に戻すことは出来ないということです。ただ、そのあとホークは復活しています。これがエリザベスの力によるものであったかは定かではありませんが、彼女は今後も仲間たちに迫る危機のたびに力を発揮するのです。
エリザベス自身には、自覚はなかったものの、これまでにも同じようなことが、何度も起こっていました。27巻では、ゼルドリスの魔力に囚われていたマーリンを、光の魔力で打ち破るなど、徐々にその力が、増しているようにも思えます。魔力が増しているということは、エリザベスが前世の記憶を戻す日も、近いことを示しているのでしょう。
あらゆるものの生命を癒す「癒しの超魔力」。この技は、エリザベスが覚醒したときに発するもので、先ほども説明しましたが、光で包むことによって、どんなに重傷を負った者でも、死んでいなければ治すことが出来ます。
また、その範囲もかなりの広範囲にまで達し、敵味方も関係なく、草花や動物や虫に至るまで、命あるものすべてを回復させます。
「十戒」との大喧嘩祭りでは、対戦したマラキアの民の傷を、光で癒していました。このとき、共闘したエレインとのこんなやり取りがあります。
エレイン「よかったの?私たちを殺そうとした人間よ?」
エリザベス「うん…でも放っとけないわ」(『七つの大罪』21巻から引用)
女神族については<漫画『七つの大罪』女神族一覧!女神なのに悪!?【29巻ネタバレ注意】>の記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。
初めは無自覚でしたが、この頃には、すでに女神族の素質というものが、しっかりと表面化していますね。ただ、優しすぎるのと他人を思う気持ちが強すぎて、自分自身の治癒を拒んでしまう傾向もありました。
もうひとつは、ドルイドの「浄化(パージ)」を上回る魔力「聖櫃(アーク)」。23巻で、「七つの大罪」聖騎士長補佐のデンゼルが、自分の命を代償に女神族ネロバスタを、その身に顕現させました。
「十戒」相手に戦っていましたが、ネロバスタもこのとき「聖櫃(アーク)」を使っていたので、この魔力(技)は、女神族固有のもので間違いないようですね。
「聖櫃(アーク)」は、魔神族の闇とは相反する力で、対象を光の粒子で分解してしまうというものです。また、エリザベスはこの力で、「十戒」の攻撃から仲間を守るために、デリエリの右手の力を封じ込めています。
この他にも、3千年前では化石の谷を襲っていた魔神族に「話をしただけで」撤退させたいうことですが、その魔神族も逃げた理由については「分からない」とのこと。エリザベス(女神族)の目を見ていると、戦うことが嫌になると言っていたことから、違った癒しの魔力もあるかもしれません。
女神族の力として、闇を浄化する魔力もあるようです。
聖戦で、デリエリとモンスピートが、7つのうちの6つの心臓を捧げて闇と契約し、魔神でさえも忌み嫌う、伝説の獣【破壊の権化】インデュラ化したときは、ふたりの前にエリザベスが立ちはだかり、四大天使のサリエルと、タルミエルの力を借りながらも、ふたりをインデュラの闇から解き放ちました。
そのとき「光あれ」といいながら、強大な魔力を放出させていましたが、これは28巻でエリザベスにも確認されています。
30巻までにわかっている能力をまとめてみましょう。
【エリザベスの能力・技】
・「癒しの超魔力」
傷を追った対象に癒しの効果のある光を放つ技です。幼少期のエリザベスは、無意識でこの力を発揮していました。メリオダスはじめ、七つの大罪の傷を治癒していきます。
バイゼル祭りでは、倒れた敵にもこの技を発揮しています。
・「聖櫃(アーク)」
魔神族に対して発揮される技です。強力な光で敵の技を封じ込めることができます。
・「光あれ」
清い巨大の光を発動し、魔神の力を浄化する技です。渦を巻いた花の光が相手を突きます。3千年前の聖戦では、インデュラ化したモンスピートとデリエリに対して発動しています。
28巻では、魔の力に支配されたディアンヌにこの技を使い、救うことができました。
・「健やかなれ」
毒素におかされている対象に向けて放たれ、一瞬のうちに浄化させる技です。城塞都市コランドで十戒のメラスキュラと対戦した際、毒にやられたバンを救い出しました。
・「安らかなれ」
相手の瘴気を抜きとる術です。大蛇に姿をかえたメラスキュラは、エリザベスに術をかけられて元の小さな蛇に変えられました。
メリオダスは憤怒によって暴走し、ダナフォールという一国を滅ぼした過去があります。その原因となったのが、当時のメリオダスの恋人リズの死でした。
リズは元々、ダナフォールの敵国の女騎士で、ダナフォールに奇襲を掛けて失敗し、捕られてしまいました。メリオダスはその時、ダナフォールの聖騎士だったわけですが、処刑宣告されたリズを救ったのがメリオダスです。
リズは女騎士だけあって、とても威勢のいい女性でしたが、メリオダスと関わり合ううち、いつしか大切な存在となっていったのです。しかし、かつてのダナフォールで、メリオダスと戦い敗れたフラウドリンが、密かに生き延びて、復讐の機会を狙っていました。
そしてその機会を得たフラウドリンは、その復讐として、メリオダスの愛するリズを、目の前で殺害したのです。これに憤怒して暴走したメリオダスが、ダナフォールを滅ぼす結果となったというわけなんですね。
リズの名前もエリザベスで、彼女の生まれ変わりですが、メリオダスにとって「リズ」は特別な存在だったのかもしれません。
「十戒」が復活した際、マーリンが奪った力を返してもらいにと、17巻でドルイドの村を訪れて、暴走しないための修行をしていました。その修行は、何度も何度もリズの死を見せられ、怒りを抑えるといったものでした。メリオダスにとっては、とても過酷な試練だったでしょう。エリザベスでさえ、こんな辛そうなメリオダスを、見たことがないとも言っていました。
リズのことなんか、忘れてしまえばいい、リズが死ぬことに慣れてしまえばいいと、自分に言い聞かせるメリオダス。しかし……
「こうして 幾度も出会いと別れを繰り返すたび 愛しさが増してしょうがねぇ…怒りが増してしょうがねぇんだ!!」(『七つの大罪』17巻から引用)
これまで何度も、彼女の死を見てきたメリオダスですが、過去のエリザベスではなく、「リズの死」がトラウマになっていました。本来の姿に一番近かったのか、それとももっと違う感情をリズに抱いてたのかもしれませんね。
だって、リズと一緒にいるときのメリオダスは、とても魔神族とは思えないほどの、暖かく優しい目で、彼女を見つめているのだから……。
メリオダスについて紹介した<『七つの大罪』団長メリオダスを徹底考察!エリザベスとの関係は?>の記事もおすすめです。気になる方はあわせてご覧ください。
エリザベスは、リオネス王国のバルトラ王の実子ではなく、養女として迎えられました。ダナフォール王国を滅ぼしたとき、メリオダスが抱えていた赤ん坊が彼女です。このシーンでのメリオダスのセリフは、名言としても有名ですね。
当時、リオネス国王のバルトラと、同行していたザラトラスは、ダナフォールの崩壊を目の当たりにしました。その直後、大怪我をしているメリオダスと、彼に抱かれている赤ん坊を見つけたのです。
ザラトラス「キミ!!ひどい怪我じゃないか 少し横になるといい!!その赤子は私が預かろう!!」
メリオダス「…触るな オレの女に気安く触るな!!!」(『七つの大罪』23巻から引用)
バルトラは千里眼で、滅亡するダナフォールで出会った赤ん坊が、3人目の娘になると言う予兆を見たので、ダナフォールに向かっていました。
つまりは、エリザベスを迎えるといったことですが、それにはメリオダスが「自分を雇う」ことを条件に、バルトラの養女として迎えられたのです。
しかし、メリオダスが赤ん坊を助けたのは、偶然でなく必然。この子は「リズ」の生まれ変わりだからです。メリオダスはそれを知っていたから、エリザベスの側にいて護ろうとしていたのですね。
のちに判明するのが、現在の彼女が107人目だということ。「リズ」はエリザベスの愛称であることから、リズも生まれ変わりの1人だったことになります。
なぜ彼女は何度も生まれ変わるのでしょうか?また、そのたびにメリオダスが彼女に出会っている理由とは……。その答えは、3千年前に起こった聖戦が関係しています。
ここで、3千年前の聖戦に遡ります。25~27巻の前半にかけて、3千年前の聖戦の様子が描かれていますが、当時メリオダスは、女神族を長とした「光の聖痕(スティグマ)」として、魔神族と戦っていました。
そして女神族には、リオネス王女にそっくりな、女神族のエリザベスがいます。彼女は、女神族の最高神の娘で、メリオダスは魔神王の息子で、十戒の統率者でした。敵対する種族でしたが、ふたりは惹かれあって恋に落ちるのです。そして、メリオダスは十戒の仲間を裏切り、愛する人と一緒になることを選びました。
一方でエリザベスは、敵味方関係なく命を救い、戦うことを善しとは思っていませんでした。
女神族「仇敵である魔神族に情けなど無用!!」
女神族のエリザベス「なら その価値は誰が決めたの?誰が決めていいものなの?」(『七つの大罪』26巻から引用)
元々、光と闇が馴れ合うことなどできませんが、古代から光と闇はいがみ合っていました。エリザベスは、すべての命の価値は、どんな種族であろうと、同等のものだといいます。だからこそ、それが「十戒」であっても、負傷している者や、闇に包まれて己を見失っている者も、光の魔力で治療していたのです。
しかしどんなことをしても、魔神族はメリオダスを許すわけもなく、エリザベスもまた、女神族の長が許すはずもありません。
ふたりは魔神王と最高神によって、魔神族でありながら女神族の手をとり、仲間を裏切り、女神族でありながらも魔神族と結ばれ、さらには「十戒」を救った罪で、罰をうけたのです。
魔神王と最高神の圧倒的な力を前に、なす術もなく吹き飛ばされてしまいます。メリオダスは目がさめると、隣でエリザベスが息絶えていることに気づき、絶望感に苛まれるのです。彼女の亡骸を抱えた彼は、いつのまにか聖戦が終わっていたことを知りました。
魔神王と最高神との戦いに破れ、さまよい歩くメリオダスの前に、エリザベスにそっくりの女性が現れます。彼はこのとき直感でわかりましたが、彼女はメリオダスのことを知らなかったのです。
ふたりはすぐに心を通わせ、メリオダスは彼女がエリザベスだと確信し、ただただ喜んで過去の話をしたのです。すると、彼女は次第に記憶を思い出し、「いつかこの呪いを解くと約束して」と告げます。その3日後、メリオダスの目前で木の杭が胸に刺さって、亡くなってしまったのです。
3千年前からずっと、メリオダスは歳を取ることなく、死んでも生き返る「永遠の生」、エリザベスは前世の記憶を忘れて、短い人生をくり返す「永劫の輪廻」の呪いが掛けられていたことに気づきました。
そして、彼女が前世の記憶を思い出すと、3日後に死が訪れるのです。それだけでなく、生まれ変わるたびに必ずメリオダスと出会って恋に落ち、彼の前で命を落とすという呪いでした。
命がけで守ったり、重要なシーンで話をはぐらかしたりしていたのは、彼女に「過去を思い出させないため」だったのです。メリオダスが何よりも恐れているのは、魔神王でも「十戒」でもなく、彼女が記憶を取り戻すことだったのでしょう。
いずれにせよ、この呪いを解かなければ、ふたりは出会いと別れを永遠にくり返さなければなりません。呪いを解くには、魔神王と最高神に匹敵する力が必要ですが、今はともあれ「十戒」を倒すことが、一番の目的というわけです。
彼女の目には、次第に紋章がはっきりと現れるようになってきました。昔の記憶を思い出しはじめたことと同時期であることから、彼女が女神族だったことに気づく日も近いかもしれません……。記憶が戻った3日後には、死んでしまう身です。今後、メリオダスがどのように彼女を救おうと行動するのか、目が離せない展開となっていきます。
魔神王と最高神による呪いによって、記憶が戻ってから3日で死ぬ運命にあるエリザベス。とうとう28巻で彼女の記憶が蘇ってしまいました。単行本28巻の表紙は、大きな羽を生やし、目にくっきりと紋章が現れたエリザベスが描かれています。
以下、30巻までのネタバレを含みますのでご注意ください。
- 著者
- 鈴木央
- 出版日
- 2017-12-15
記憶を戻したきっかけは、ディアンヌの一言でした。キングと一緒に3千年前の修行に出たとき、エリザベスに会ったと言ったのです。
さらに、ゼルドリスから「記憶を取り戻せ」と責められたことも引っかかっていました。
次第に両目にはっきりと女神族の紋章が現れ、過去の出来事を話しはじめるようになります。特に印象的なのが、マーリンに対して「もう姉々って呼んでくれないの?」と迫るシーン。
あのクールビューティーなマーリンが、姉々と呼んでいたなんて……!エリザベスが記憶を戻したことも驚きですが、こちらも衝撃的でした。
過去の記憶が戻ったということは、あと3日後には死んでしまうことを意味しています。はたして、どんな結末を迎えることになるのでしょうか……。
30巻では、メリオダスが「七つの大罪解散宣言」をしてしまいます。すべてはエリザベスと自分にかけられた呪いを解くため。2人の運命はいかに!?そして、これを受けて大罪メンバーはどう動くのでしょうか?
クライマックスに近づいてきた『七つの大罪』ですが、明るくやんちゃなメリオダスの裏には、エリザベスの死という過酷な運命を背負っていましたね。彼女は前世を完全に思い出してしまうと、3日後に死が待っています。はたしてメリオダスが十戒を倒し、強敵「魔神王」と「最高神」をも倒して呪いを解くまで、彼女の命はもつのでしょうか……。