漫画『コウノドリ』に感動!泣けるエピソードを最新24巻までネタバレ紹介!

更新:2021.11.27

累計150万部以上を売り上げ、2018年現在も『モーニング』で連載中の大ヒット漫画『コウノドリ』!産科医の現状をテーマにした作品で、医師や妊婦、その家族の立場から出産をリアルに描いています。 今回は、最新24巻までの感動エピソードをご紹介します!

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『コウノドリ』の魅力はリアルさ!実在の医師がモデルのドラマ化漫画が面白い!

『コウノドリ』は産科医のリアルな姿を描いた漫画です。生まれてくる全ての赤ちゃんを幸せにしたいと望む彼らの姿を描くことで、まだまだ未知の世界である、出産・妊娠にまつわるリアルなエピソードを読者に届けます。

ここまでリアルに描くことができるのは、作者が実際の医療現場や医師に対して綿密な取材をしているからです。主人公・鴻鳥サクラも、実在する荻田和秀医師がモデルとなっています。

妊娠や出産は、「経験がないこと」や「個人差があること」から他人ごとになりやすく、経験者であっても、「自分は大丈夫だったから……」との安易な考えからマタハラにつながることもある、デリケートな世界です。しかし、1つとして同じ出産はありません。

『コウノドリ』では出産にまつわる現状を知ることができ、また実感することができるリアルなストーリーが描かれています。

著者
鈴ノ木 ユウ
出版日
2013-06-21

ちなみに、モデルとなった荻田和秀医師も、『嫁ハンをいたわってやりたい ダンナのための妊娠出産読本』という本を出しています。豊富な臨床経験や、多くの赤ちゃんの両親に接してきた経験から解説する、やさしくて厳しい説明書です。

本作の主人公・サクラも、そんな、赤ちゃんや妊婦さん、新人パパのことも考える、優しく経験豊かな荻田和秀医師の性格をしっかり継いでいます。

今回の記事では、『コウノドリ』に登場する、リアルな出産の現状が分かるエピソードを紹介します。妊娠・出産を体験した方も、されていない方も、奥様をサポートする立場になる男性の方も、出産なんて自分には関係ないと思っている方も、全ての人に読んでいただきたい作品です。

自然に行われる出産だからこそ、いつ自分や家族が経験することになっても、どこで妊婦さんと関わることになっても不思議ではありません。今までの常識が変わる感動のストーリーを、ぜひ読んでみてください!

『コウノドリ』はどんな産科医漫画?あらすじをご紹介!

『コウノドリ』はどんな産科医漫画?あらすじをご紹介!

出典:『コウノドリ』3巻

主人公の鴻鳥サクラ(こうのとりさくら)は、妊婦さんに安心を与える「産婦人科医」と、熱狂的なファンに支えられる「ジャズピアニスト」という二つの顔を持っています。

しかし、本業はあくまで産婦人科医。ピアニストとしての演奏中であっても、コールがかかれば勤め先の「ペルソナ総合医療センター」にとんぼ返りという忙しい毎日です。搬送されてきたさまざまな事情を持つ妊婦や、時には家族を含めたケアに奔走しています。

『コウノドリ』では、主人公のサクラだけでなく、他の産科医や助産師、また出産に悩む家族にもクローズアップし、さまざまな立場から出産にまつわるリアルな現状を描いた作品です。妊婦の受け入れ拒否や、未成年の妊娠などの社会的問題、マタニティーブルーなどの精神的問題、夫のDVや虐待など、家族の問題にも斬り込みます。

現場の過酷さ、それを乗り越えた出産の感動、そして生んだ後の苦悩まで、現実に起こっていることがそのまま読者に伝わることでしょう。

ネタバレエピソード1:突然、赤ちゃんを助けるか、助けないかの判断に迫られる【1巻】

ネタバレエピソード1:突然、赤ちゃんを助けるか、助けないかの判断に迫られる【1巻】

出典:『コウノドリ』1巻

前日の定期健診までまったく問題がなかったのに、突然の切迫流産で少量破水し、流産になりかけてしまった妊婦さんのお話です。21週目にさしかかった赤ちゃんは、今すぐ出産すると助からない可能性が100%という状態。助けるためには、すぐに入院して24時間の点滴で薬を摂取し、なるべく長く赤ちゃんにお腹の中に居続けてもらう必要があります。

24週目を超えれば赤ちゃんが助かる可能性は50%。しかし、助かったとしても赤ちゃんは合併症を起こし、障がいを抱えてしまう可能性も高いです。産科医のサクラは、そのリスクを説明したうえで、2日以内に赤ちゃんを助けるか助けないかの決断を下すよう夫婦に告げます。

切迫流産は、誰に、いつ起こっても不思議ではありません。さらに、医師にも予測がつかないので、症状が出てしまった場合には、今まで大事に育ててきた赤ちゃんを助けるか助けないかの選択を突然迫られることになります。どちらを選んでも正解はなく、今後どうなるのかも分からない難しい問題です。

この夫婦がどんな選択をしたのでしょうか?そして、産婦人科医のサクラはどんなサポートをして、赤ちゃんはどうなるのでしょうか?それは、数多く起っているケースの1つでしかありません。

あなたならこの決断を迫られた時、どんな選択をしますか?

ネタバレエピソード2:未成年の娘が妊娠したら、どうする?【2巻】

ネタバレエピソード2:未成年の娘が妊娠したら、どうする?【2巻】

出典:『コウノドリ』2巻

厚生労働省の発表によれば、2016年度に行われた未成年の中絶件数は、16,113件。2万件を超えていた2012年度に比べれば年々減少傾向にありますが、それでもまだまだ多いです。もしも大切に育てた娘が、未成年にして妊娠してしまったら、息子が妊娠させてしまったら……、その時あなたはどうしますか?

未成年で産んでも、周りのフォローで立派に育児をする方もいれば、結果として育てられない方もいます。しかし、「中絶」という選択肢を選んだ場合も、中絶をしたという罪悪感から立ち直れなくなってしまう「中絶後遺症候群」で長く悩む方や、中絶を繰り返してしまう方もいるそうです。

サクラは、この一見相反している2つのケースは、どちらも「中絶と向き合わないまま中絶を行ってしまった」ことで起こると考えています。

未成年カップルの出産や育児にはお互いの両親のサポートが必要です。そのため、生まれてくる子供は、未成年カップルだけでなく、その両親も含めた家族の子供だと作中では語られます。未成年で妊娠してしまった場合、当事者も悩みますが、どんな結果を選択したとしても、家族のフォローが大切になることを教えてくれるエピソードです。

ネタバレエピソード3:風疹が気付かぬうちに、他人の命に影響しているかもしれない【4巻】

ネタバレエピソード3:風疹が気付かぬうちに、他人の命に影響しているかもしれない【4巻】

出典:『コウノドリ』4巻

妊婦さんが風疹にかかると、赤ちゃんに「先天性風疹症候群」という障がいが出る可能性があります。先天性風疹症候群は、先天性心疾患や難聴、白内障などの重篤な症状を起こします。妊娠7週目の妊婦さんが風疹に罹った場合の赤ちゃんの発症率は80%と、とても高いです。

重篤な症状ですが、妊婦さんが風疹にかかった経験があったり、予防注射をしていたりと抗体を持っている場合は、阻止できる障がいです。しかし、風疹に罹っている人が抗体のない妊婦と接触した場合、移した側も移された側もまったく気付かないまま、お腹の赤ちゃんは障がいを持ってしまうことになります。

日本には風疹のワクチンを打つことのできなかった空白の期間があります。そのため、先進国の中で唯一、現代も風疹が流行る国です。

このエピソードでは、先天性風疹症候群のために白内障と心疾患の障がいを持つ、ハルカちゃんという女の子が登場します。ハルカちゃんは、最近妊娠が発覚した夫婦の旦那さんに、胸に秘めていた本音を打ち明けてくれました。

でもたまに私の病気のせいで、お父さんとお母さんがケンカしたり、お母さんが私に隠れて泣いてたり、お父さんが笑わなくなったりすることがあるから。だから私はずっと笑っていようって決めたの。
だって私が悲しい顔してたら、お父さんとお母さんはもっと悲しくなっちゃうでしょ。
でもさ……ずっと元気にして笑ってるのも、これが結構疲れちゃうんだな。 だから伊達さんの赤ちゃんに、そんなこと決めさせたらかわいそうだよ。

(『コウノドリ』4巻から引用)

本作はフィクション作品ではありますが、ハルカちゃんの台詞は、先天性風疹症候群をもって生まれた子が思っていることなのではないでしょうか。風疹の予防接種を受けていない方は、知らないうちに子供に障がいを負わせてしまっているかもしれません。3分でできる予防接種の重要性の分かるストーリーです。

ネタバレエピソード4:赤ちゃんが未熟児で生まれた場合【7巻】

ネタバレエピソード4:赤ちゃんが未熟児で生まれた場合【7巻】

出典:『コウノドリ』7巻

なんらかの原因で未熟児で生まれてきてしまったり、生まれつきの病気や妊娠や出産中に具合の悪くなったりしてしまった赤ちゃんは、新生児集中治療室(NICU)に入院します。

入院と言っても、作中では治療をしているのではなく「未熟で生まれてしまい、自分のできることが少ない赤ちゃんに力を貸している場所」として描かれています。NICUは、赤ちゃんを治す場所ではなく、赤ちゃんを育てる場所なのです。

このエピソードに登場する、未熟児の赤ちゃんを産んだお母さんは、最初は小さく生んでしまった自分を責めてしまいます。しかし、NICUでママ友からアドバイスをもらい、必死で生きようとする我が子を見て、頑張ろうと決意するようになります。NICUで我が子を見守るお母さんたちは、そうやって励まし合って赤ちゃんを育てていました。

また、このエピソードでは、NICUの現状も描かれています。ベッド数の限られるNICUでは、いつでも新生児を受け入れる体制が整っている訳ではなく、時にはいまいる赤ちゃんがベッドを譲ることで新しい赤ちゃんの命が助かることもあるようです。

また、赤ちゃんが運よくNICUに入れたとしても、障がいが残る可能性を聞いて、必ずしも赤ちゃんを受け入れられないご両親もいます。

NICUのスタッフたちは、いつ容体が急変してもおかしくない赤ちゃんと接しながら、両親のフォローにもあたっています。感謝されるだけでなく、助けた赤ちゃんに障がいが残ってしまった場合は、これでよかったのかと自分を責めてしまうこともある大変な仕事。

子供を産む機会があっても、なかなか知ることのないNICUの、赤ちゃんの家族の立場、スタッフの立場、その両方から見た現状が描かれたお話です。

ネタバレエピソード5:無痛分娩はお産ではないのか?【10巻】

ネタバレエピソード5:無痛分娩はお産ではないのか?【10巻】

出典:『コウノドリ』10巻

無痛分娩は、鎮痛作用のある麻酔を使って陣痛を和らげておこなう分娩方法です。赤ちゃんへの影響はないですが、数万人に1人の割合で麻痺が残ることもあるそうです。専門の準備が必要なため、まだ無痛分娩が全ての病院でできる訳ではないですが、病気などで体に負担のかけたくない妊婦さんに必要な分娩方法ですし、希望者も増えています。

しかし、日本の文化では、自分のお腹を痛めないで産む無痛分娩を「楽して産んだ」とか、「子供に愛情がない」というように考えてしまう人もまだまだいるようです。10巻のお話に登場する妊婦さんも、自然分娩で産んだ友人の話を聞いて、無痛分娩に躊躇してしまいます。

しかし今回の妊婦さんは、心臓に病気があるため、無痛分娩で産むことが絶対条件になってしまうのです。

妊婦さんを安心させるためにサクラがした丁寧な説明は、ぜひ実際に読んでほしいと思います。友人の悪気ない言葉に振り回されてしまった妊婦さんが、実際に赤ちゃんを出産した後どんな感想を持ったのかも、感動のポイントです。

周りに無痛分娩に対して偏見のある方がいたら、紹介してみるといいかもしれません。

ネタバレエピソード6:亡くなってしまった赤ちゃんとのお別れ【11巻】

ネタバレエピソード6:亡くなってしまった赤ちゃんとのお別れ【11巻】

出典:『コウノドリ』11巻

本作は産科医のリアルな現状を描いている作品なので、時には読者の方がつらい思いをしてしまうかもしれないエピソードも描かれています。11巻で書かれるお話は、赤ちゃんが残念ながら死産となってしまったときのお話です。22週以降になって赤ちゃんが亡くなってしまった場合は、流産ではなく、死産として扱われます。

しかし、なぜ死産となってしまったのかの原因は、25%は分からないそうです。このエピソードでも、死産の原因は分からないままでした。妊婦さんは、現実が受け止められず、赤ちゃんが亡くなってしまったのは、自分の行動が悪かったからではないかと自分を責めてしまいます。

さらに、亡くなった赤ちゃんが母体に吸収されてしまうと、出血が止まらなくなる可能性があるということで、死産が分かった翌日に分娩をすることになりました。産科という場所は、生だけではなく、死も扱われる場所であることを思い出させるエピソードです。

医師としても辛いですが、夫婦はもっと辛い現実と向き合わなければなりません。2人がどうやって赤ちゃんの死を受け入れていくのかが描かれています。

ネタバレエピソード7:自然分娩と帝王切開の違い【16巻】

ネタバレエピソード7:自然分娩と帝王切開の違い【16巻】

出典:『コウノドリ』16巻

1人目のお子さんを帝王切開で産んだ場合、2人目の出産も基本的には帝王切開となるようですが、2人目を自然分娩で出産することもできるようです。それが「VBAC」という方法です。今回は、VBACだと産後の経過が楽になるという理由で、VBACを望んだ妊婦さんのお話をご紹介します。

VBACを希望する方は「産後の回復を早くしたい」、「入院期間を短くしたい」、「陣痛を経験したい」などの理由で増えているそうです。しかし、VBACをおこなう場合は、通常の出産よりも子宮破裂の可能性が高まり、100人に6人は赤ちゃんが亡くなり、100人に1人は妊婦さんが亡くなるというリスクがあります。産科医のなかでも、VBACについては賛否両論あるようです。

このエピソードに登場する妊婦さんは、そのリスクを承知したうえでVBACに踏み切ります。しかし、自然分娩ではうまくいかず、子宮破裂の危険が高まってしまいました。出産を他人事のように考え、協力的でなかった旦那さんの判断に注目が集まるお話です。

ネタバレエピソード8:耳の不自由な妊婦さんとサクラがどう接するのか【18巻】

ネタバレエピソード8:耳の不自由な妊婦さんとサクラがどう接するのか【18巻】

出典:『コウノドリ』18巻

18巻では、4回も流産を繰り返してしまった妊婦さんのお話や、完全母乳にこだわりすぎる新米お母さんのお話、初めての妊娠が安定期前に流産してしまった妊婦さんのお話など、今回もいろんな事情を抱えた妊婦さんがサクラの元を訪れます。

ここでご紹介するのは、耳の不自由な妊婦さんが初出産するお話です。

18話最後のお話では、耳の不自由な妊婦さんがサクラの元を訪れます。補聴器をつけても会話が聞き取れず、旦那さんの手話なしではコミュニケーションを取ることができません。サクラもそういう妊婦さんと接するのは初めてで、慣れない筆談に四苦八苦します。

ただでさえ大変なお産中に、筆談でコミュニケーションを取るのは妊婦さんにとって大変難しい試みですが、サクラはどうするのでしょうか?また、サクラたち病院のスタッフは、「なんとか赤ちゃんの産声を聞かせてあげよう」と奮闘しますが成功するのでしょうか……?

ネタバレエピソード9:診断ミスから繋がる不信感【19巻】

19巻からは白川がメインのエピソードをご紹介します。

研修期間を終えて少しずつ自分に自信が出てきた白川。今橋のもとで学んでいる彼は、師の教えの意味も、現在働いている新生児科のことについても理解が深まり、さらに上の段階を目指そうと意気込んでいました。

まだ26週で未熟な状態で生まれた赤ん坊が仮死状態に陥っても冷静に対処。

出典:『コウノドリ』19巻

「白川先生がいてくれて本当助かったよ」と現場で言われるほどにまでなりました。

しかし無事命をとりとめたその赤ん坊はなかなかうまく酸素を取り込めません。白川は肺に原因があると診断し、処置を行います。

しかしなかなか良くならない赤ん坊。周囲のスタッフたちは違和感を覚え始めますが、彼は自分の下した判断に固執してしまいます。

ところが生後3日目に撮ったX線とエコーの結果、原因は心臓疾患だと判明しました。

そのことを両親に告げると、白川は医療ミスではないかと責められてしまうのです。

今回の場合、母子ともに無事命をつなぎとめることができ、判断が遅れたとはいえ、白川はできうる限りの処置をしたかと思われます。確かに周囲の助言をきちんと聞かないところはありましたが、なかなか医療の現場において正しい判断するというのは難しいこと、ひとつひとつ可能性をつぶし、地道に考えるしかないのです。

しかしそれでも未熟児として生まれた我が子を不安な思いで毎日見つめていた両親からすると、致命的になる前に分かったからいいものの、白川に疑念を持ってしまっても仕方ありません。そして、一度医師に疑念を持ってしまうと、なかなかその思いはぬぐえません。

どちらの気持ちも痛いほどに伝わってくるこのエピソード。ジリジリと身を焼かれるようん白川の辛さも、両親の不安で余裕のない気持ちも、リアルに描かれています。

すこし辛い展開が続きますが、それだけで終わらないのが『コウノドリ』。このあとの白川と今橋の会話は胸にくるものがあります。

この他にも2〜3万分の1の確率で発症し、母体死亡率が60%以上ともいわれる羊水塞栓症についてのエピソードも収録した19巻。本当に本作は読めば読むほど出産というのは奇跡の産物なのだと、命に感謝したくなる作品です。

ネタバレエピソード10:産後うつ【20巻】

さまざまな妊娠、出産前後の知っておきたい知識が詰め込まれたエピソードがいくつか入っていた20巻。

そのなかでもこれから具体的な予定はなくとも父親、母親になるであろうすべての人に知っておいてほしいエピソードが産後うつのエピソードではないでしょうか。

著者
鈴ノ木 ユウ
出版日
2017-10-23

このエピソードはいきなり赤ちゃんを置き去りにしたまま自殺しようとした母親の話から始まります。正確には妊娠中のうつです。

いきなり重い展開ですが、実はこの産後うつはかなり身近なもの。約10人に1人が経験する心の病だとされ、厚生労働省では2017年から検診を受ける費用を助成し始めたほどです。

20巻に登場する妊婦さんは夫の転勤にともない、新天地で暮らすことになった女性。しかし慣れない土地にほとんど顔見知りがいない状況、頼れる人が夫以外にいないという環境で少しずつ心の健康を崩していきます。

そして病院での検診でも7週目から人が変わったかのように暗くなってしまうのです。そしてついにお酒に手を出してしまい、彼女はさらに自暴自棄になっていきます。

母親としてしっかりしなければいけないというプレッシャーと、孤独。核家族が増えた現代ならばなおさらこのような状況に陥りがちかもしれません。

夫も検診的にサポートしようとしますが、とうとう彼女は自殺に踏み切ってしまいます。

予断を許さない状況での手術、そしてその結果、そこから読み取れることとはいったい何なのでしょうか?

この他にもふたりめの出産時に知っておきたい母子感染の話や、超音波検査の重要さ、四宮の成長など見所盛りだくさんですのでぜひ作品本編でご確認ください!

ネタバレエピソード11:災害時の医師たち【21巻】

21巻は序盤では女性なら知っておきたい子宮内膜症とピルのお話、妊婦の糖尿病、奥さんが妊娠した男性には読んでおいてほしい心得などが紹介されます。

そのなかでも地震の多い日本で暮らすすべての方に読んでほしいのがDMATのお話。これは日本語で言うと、災害派遣医療チームのことを指します。

このチームが発足したきっかけは1995年1月17日に起きた、阪神淡路大震災。マグニチュード7.2、死者6434人、行方不明者3人、負傷者約4万人という未曾有の大地震でした。

のちにこの震災では平時であれば救えた命が多数あったことが報告され、その時の教訓をもとに2004年に東京DMAT、2005年に厚生労働省の指導で日本DMATが発足されたのです。

著者
鈴ノ木ユウ
出版日
2017-11-22

今回、鴻鳥と同じ病院の救命救急部門で働く加瀬が招集されました。計4〜5名のチームをつくって現場へ向かうのですが、DMATは被災地の情勢に頼らない「自己完結型」のチームでなくてはいけません。

被災地に迷惑をかけない、それがこのチームの第一条件なのです。

そんなDMATでしたが、現場で加瀬が出会った知り合いのマホという女性は「災害時小児周期リエゾン」という名目で派遣されていました。

それは災害時に普通に機能しなくなってしまう妊婦の搬送システムをスムーズになるよう調節する連携チームのことでした。しかしまだ発足したばかりで認知度も低く、現場での手探りな状況だと言います。

そこでトリアージという患者の緊急度によって優先度を決めるオペレーションがなされます。加瀬は忙しく立ち回りますが、そこで妊婦がきて専門外の患者に少し戸惑ってしまいます。

しかし現状では問題なさそうだと安心したところに、その妊婦に破水のような症状が出るのでした。まだ妊娠8ヶ月という状況での破水がどういうことを意味するか分からない現場のスタッフたち。加瀬はマホの言葉を思い出してリエゾンに連絡をとります。

そうしながらもとりあえず彼女を産婦人科のある近くの病院に搬送することになったのですが、そこにマホから一本の電話が入ります。

「すぐに搬送を中止して!」

マホはこの状況での妊婦への対応の最適解を出すのです。

詳しい内容はぜひ作品で。

つい私たち患者からすると、不安な時、特に震災で右も左も分からない状況になったらお医者さえ見つければ安心してしまうところがあると思いますが、彼らにも専門がありますし、特にDMATは外部から来た医師たちです。

産婦人科系は独自の知見が必要でしょうし、DMATで慣れない土地に来ていれば病院の細かな情報もないので彼らも手探りな部分があるということが伝わってきます。

リアルな医師たちの苦労を知ることができるエピソード。

翌日加瀬たちは各避難所を回り、そこで対応をすることになります。そのエピソードはどうやら22巻に持ち越されるよう。そちらもどうなるか今からとても気になりますね!

ネタバレエピソード:緊急搬送!満床のなか、新しい命を救い出せるか【22巻】

22巻は、まだ妊娠23週だけど緊急に生まれるかもしれない、という患者が病院に受け入れてもらえず、たらい回しになっているエピソードからはじまります。

NICUも満床で、新井は受け入れるかどうかすぐに決めることができません。ただ、他の病院からも断られていることを聞き、どうにか保育器を開けられないか考える時間をもらいました。

一番保育器を出られそうな可能性のある乳児の親御さんに、相談しに行こうとする新井。他の医師たちは、まだ乳児が1300gだったこともあり、その判断に反対でした。

はたして、新井は緊急を要する妊婦を受け入れ、新生児を救うことができるのでしょうか。

著者
鈴ノ木 ユウ
出版日
2018-03-23

保育器が空いておらず、困っていたところ、ある患者が譲ってくれることになりました。乳児は、他の医師たちが反対した、まだたったの1300g。しかし、親御さんが譲ってくれる決断をしたのは、理由があったのです。

それは、以前自分たちも緊急時に保育器を譲ってもらったことがあったからでした。その時に繋いでもらった命のバトンを、今度は自分たちが届ける番だと気づいたのです。

人と人が思いやりあう、感動のエピソード。助け合いで人は生きていくのだと、あらためて感じさせられます。さて救急車が到着し、緊迫した空気が漂う手術室。新しい命を救うことはできるのでしょうか?続きは、本作でご確認ください。

ネタバレエピソード13:出生前診断との付き合い方【23巻】

23巻は、出生前診断をベースに主に2組の夫婦が描かれます。

1組目は、ダウン症で1歳で亡くなった姉を持つ夫と妻。2組目は、バリキャリとして働き、もしも子供がダウン症だった場合、堕ろすことを決めている妻と、彼女を支えようとする夫。

この他にも23巻序盤からダウン症の子は育てられないと決意した夫婦や、何の気無しに診断を受けようとする女性の様子なども描かれます。

著者
鈴ノ木 ユウ
出版日
2018-06-22

そんな23巻は、新しいキャラが登場。それは臨床検査技師でもあり、認定遺伝カウンセラーでもある真田ケンジ。認定遺伝カウンセラーとは、病院にやってくる人々を患者ではなく相談者(クライエント)と捉えて向き合い、遺伝や遺伝子によって起こる病気や体質を分かりやすく説明する、心理的・社会的なサポーターのことです。

なかなかつかみどころのない彼ですが、ある夫婦の決断に向き合ったあと、こんな言葉をこぼします。

「皆さん違いますが 皆さん同じですね

問題に直面した夫婦の対処の仕方はそれぞれです

新型出生前診断(MITP)に関して言えば…
検査を受ける方は病気がわかれば
中絶を選択するという夫婦が大半です……

その夫婦にも全て共通していることがあります」

(『コウノドリ』23巻より引用。中略あり)

その共通していることとは、いったい何なのでしょうか?

妊娠・出産を経験している人はもちろん、それ以外のすべての人に読んでほしい、命と向き合う診断の物語。あなたは子供に障害があると分かったら、どうするでしょうか?

ネタバレエピソード13:養子縁組で描かれるドラマ【24巻】

24巻ではサクラがベイビーとしての活動をしている時にともにライブをしたサリーの突発性難聴のエピソード、子宮頸管無力症による早産へ向き合った家族のエピソード、2組の家族にまつわる養子縁組のエピソードが描かれます。

今回は養子縁組のエピソードを少しご紹介しましょう。

著者
鈴ノ木 ユウ
出版日

今まで『コウノドリ』ではさまざまな妊娠・出産のエピソードが描かれていました。今回の養子縁組のエピソードは、どれも変わらず尊いものの、とりまく人々の環境によって妊娠がプラスに働くか、マイナスに働くか難しい面があるというのを考えさせられる内容です。

ある日、サクラの病院にやってきたのは体外受精11回目にして、2度目の流産を告げられた坂上夫婦。体外受精は1回30〜40万円の費用がかかるうえに、体への負担も並ではありません。気丈に振る舞うものの、やはりショックを隠せない奥さん。その後、彼女はサクラの出身でもあるエレーネ乳児院の前を通りかかり、何やら考えている様子です。

そんななか、サクラの診察室には中学生の少女とその母親が来ていました。すでに妊娠してから24週が経過しており、堕ろすことは難しい状態になっています。

母親はかつては優等生だった我が子がいつからか荒れ始め、ついには妊娠してしまう状態になったことに驚きを隠せません。しかも周囲に何て言えばいいのだ、と体裁を気にする始末で、2人の間でコミュニケーションがとれていないのは明白です。しかも少女本人は産むこともそのあとのこともすべて母親の言うがままになっており……。

ここに至るまでの2つの家族の今までの歴史が明かされ、それぞれに難しいものを背負ってきたことが伺えます。望まない妊娠と、いくら望んでもできない妊娠。それぞれの物語がどう交わるのか。考えさせられる2つの家族の決断を、ぜひご覧ください。

『コウノドリ』は実際の出産をリアルに描いた作品。赤ちゃんや妊婦さんの命と毎日真剣に向き合う産科医の姿に感動できるストーリーです。出産の現場がどうなっているのか、妊婦さんがどんな不安を抱えているのか、一つとして同じ出産はないということが良く分かる物語となっています。出産を経験した方も、そうでない方も、全ての方に読んでみてください。


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