医療といえば私たちのごく身近にあるもの。漫画やドラマの中だけと思いがちの病気ですが、いつなったとしてもおかしくはありません。いざそうなったときに慌てないよう、患者になった目線で想像しながら医療漫画を読んでみるのも面白いもの。珠玉の作品をご紹介します。
あの漫画の神様と言われる手塚治虫が手がけた代表的な作品です。その人気振りから10年続き、全242話にも渡る医療漫画になっており、一般の病院ではできない手術を主人公『ブラックジャック』が破格の料金で請け負う普通ではありえない状況から命を救っていきます。
時には女の子が組み立てられ、アッチョンブリケというセリフで有名なピノコと言われる人物も登場します。笑いあり、人情あり、感動ありの医療漫画です。
作中に聞いた事のない病名が飛び交いますが、解説の言い回しが非常に秀逸で、とても読みやすく、幼い方でも読む事ができ、なお且つ理解をする事ができます。
- 著者
- 手塚 治虫
- 出版日
- 2004-10-12
ありえない医者、非現実的だと感じる面もあるかと思いますが、日本のどこかにこういう医者がいるかも知れないと思いたくなり、そういう意味でもリアルな医療漫画です。クスッと出来る会話の場面や、『ブラックジャック』が垣間見せる人情なども見所です。
医療漫画といえば?と聞くと大半の方がこの作品を1番に思い出すでしょう。アニメ化された時の視聴率もよく老若男女から今でも愛される王道の医療漫画です。
『ブラック・ジャック』の作品に関しては、以下の記事で詳しく紹介しています。
『ブラック・ジャック』5分でわかる10の意外な事実!天才無免許医の謎を解く!【ネタバレあり】
1970年代半ば、「古い漫画家」と言われどん底にいた手塚治虫の起死回生の一作となった本作。医療漫画という新たなジャンルを切り開いたこの作品には、隠された意外な事実がいくつもあります。 今回は、手塚治虫が「漫画の神さま」と言われるゆえんと、『ブラック・ジャック』の10個の意外な事実をご紹介します。 本作は漫画アプリから無料で読むこともできるので、ぜひご利用ください。
医療漫画は病院を舞台にしているものがほとんどで、主人公の大半は医師です。病気になれば誰でもお世話になるものですが、その仕事内容はおおまかなイメージはつくものの、事細かに知る人はあまりいないのではないでしょうか。
病院内の仕組みやパワーバランスなど、組織だからこそ起こるさまざまな事柄は、一般人とは縁遠いものです。
『医龍-Team Medical Dragon-』は、難病に立ち向かう天才医師と、彼を支えるチーム、そして病院との確執を描いた作品。実写ドラマ化もされました。
緻密な手術描写と確かな専門知識、そして主人公の朝田龍太郎をはじめとした濃いキャラクターたちが織りなす人間ドラマが見どころです。
- 著者
- 乃木坂 太郎
- 出版日
- 2002-09-30
天才的な技術を持つ外科医の朝田は、訳あって東北の寒村に住んでいました。そこに、明真大学医学部助教授の加藤晶が訪ねてきます。
自身の教授選出や、大学医療革命のためにスカウトに来た彼を朝田は1度拒否しますが、同僚の救命救急の処置をしたことで自身の医師としての情熱を再認識。心臓外科医として復帰を果たすことになります。
明真大学付属病院の胸部心臓外科医となった朝田は、チームを結成し、難手術を次々とこなしていきました。
しかし封建的な大学病院のなかで、彼は規格外な存在。アクの強い教授たちが実権を握る大学病院内で、権力闘争に巻き込まれいくのです。
本作の登場人物たちはみな強烈なキャラクターですが、曲がらない信念と強い意志、そして情熱を持っています。特に朝田を中心とした「バチスタ(拡張型心筋症に対する手術のこと)チーム」の、命に対して真摯に向き合い全力を尽くす姿には、胸が熱くなります。
一方の大学病院の教授たちは、時おり妖怪とも思えるような描写をされており、まさしく院内に棲みついた病巣という印象を受けるでしょう。
朝田のような信念のある医師には頼もしさを感じますが、病院内の権力闘争がリアルにおこなわれているのは、患者側からすると困りもの。だからこそ、彼らバチスタを純粋に応援することができるのです。
医療関係者の頑張りと、人間同士の関わりから生じる深い業、そして登場人物たちの豊かな表情にも要注目ですよ。
超一流の永禄大学医学部を卒業し、同大学院付属病院の研修医としてスタートを切った斉藤英二郎が医療の現状に立ち向かっていくというストーリーです。研修医としての給料だけではとても食べていけないために当直のバイトで生計を立てなければいけないのです。
初めてのバイトで目の当たりにする医療の現場で英二郎はショックを隠しきれず、英二郎が思い描いていた医者とはまったくの別物で、不安を抱え困惑しながらも必死に悩み、正面から立ち向かっていく勇気に読者も引き込まれていきます。
医療についてまったくの無知でも、主人公とシンクロし素人目線でしっかり読める医療漫画です。そこはおかしいと思える内容も主人公が代弁し、戦ってくれて、もう諦めればいいのにと思う場面でも、諦めずに周りに影響を与え、引き込んでいきます。
- 著者
- 佐藤 秀峰
- 出版日
- 2002-06-19
清々しいほどに正義感溢れる主人公で読者側を気持ちよくさせてくれるのですが、そんな英二郎がこんな言葉を放ちます。
「医者とは一体なんなんだ」
外科、内科、小児科、精神科と様々な科の研修を受け、様々な患者、医者と出会い、この自問自答に答える事が出来るようになるのか必見です。
研修中に出会った看護師との恋の行方も気になるところです。『ブラックジャックによろしく』というタイトルも、医療漫画を代表するブラックジャックとは真逆な主人公だからこそ付けられたタイトルだと思います。
題名の通り獣医の話なのですが、獣医の卵の大学生達が作り出す日常的なコメディ漫画で、1987年から始まった少し昔の漫画です。
主人公西根公輝が子犬のチョビと出会うところから物語が始まります。元々その子犬は大学の実験用の犬で西根公輝は大学教授から半ば無理やりその子犬を預けられ、教授に「君は獣医になる」と宣言され、公輝は獣医を目指していた訳ではないのですが、チョビと教授の出会いのおかげで獣医学部の学生になります。
- 著者
- 佐々木倫子
- 出版日
- 2013-10-04
医療漫画=人間×人間のストーリーと思う方が多いんですが、この漫画は人間×動物の少女漫画に属します。絵のタッチとしては、少し怖いと言うか昔の漫画を感じさせますが、かなり独特な世界観で、逆にそれが社会現象を巻き起こすほどの人気を作り上げたのかも知れません。
動物を飼ってない方からすると動物を飼いたくなり、特にシベリアンハスキーを飼いたくなるでしょう。
獣医のイメージは?と聞かれるとまったく想像がつかない方もいらっしゃるかと思いますが、この作品によって、イメージがしやすくなり、幼い子から大人まで全ての方が読める漫画なので親子でクスッと笑いながら楽しめます。
病院は人の死と深く関わっている場所です。医療従事者のなかには、人の死に耐えられず、去っていく人もいるのだとか。
しかし病院のすべてが悲しみに包まれているわけではなく、喜びを産む現場もあります。産婦人科は、出産に関わる場所。悲しみも喜びも、より大きく感じられることでしょう。
『コウノドリ』は、総合病院の産婦人科医を主人公とした物語。実在する医師をモデルとしており、エピソードも実際の患者を参考にしたものが多く、リアリティがあります。
なにより妊娠や出産は、自身が経験しないとなかなか縁遠いもの。産婦人科はどういう雰囲気で、そこで働く医師たちはどんな仕事をしているのか、理解することができるでしょう。
- 著者
- 鈴ノ木 ユウ
- 出版日
- 2013-06-21
聖ペルソナ総合医療センターに勤める産婦人科医、鴻鳥サクラは、もじゃもじゃした髪型がトレードマークの男性医師。温厚な性格ですが、ひとたび現場に立てば、冷静な判断力と、現実を見極める確かな目を持っています。
産婦人科は、新しい命が生まれるという一種の奇跡と幸せに満ちた場所ではありますが、すべてが順調にいくわけではありません。切迫流産の危機、障害のある子どもを産むか否かの選択、人工妊娠中絶など、命が失われるエピソードも少なくないのです。
子どもができることはいいことだと、漠然と考えている人も多いかもしれませんが、生まれてくることができなかった命や、生まない選択をしなけれればならなかった家族のエピソードに、簡単に言葉を紡ぐことは難しくなってしまいます。
しかしサクラたち産婦人科の医師たちは、患者の話をよく聞き、その心と真正面から向き合うのです。小さな命から受ける衝撃は大きく、生まれてくる命の尊さを感じることができるでしょう。
また、サクラの意外な副業にも注目です。
『コウノドリ』の作品に関しては、以下の記事で詳しく紹介しています。
漫画『コウノドリ』に感動!泣けるエピソードを最新24巻までネタバレ紹介!
累計150万部以上を売り上げ、2018年現在も『モーニング』で連載中の大ヒット漫画『コウノドリ』!産科医の現状をテーマにした作品で、医師や妊婦、その家族の立場から出産をリアルに描いています。 今回は、最新24巻までの感動エピソードをご紹介します!
この医療漫画では、主人公南方仁が現代医療の知識を持ち、幕末の時代にタイムスリップします。
事の始まりは、当直で病院にいた南方仁は急患の手術をした際に奇形の腫瘍見つかったことでした。その形がまさに胎児の形をしていたのです……。
奇形腫瘍を取り除いた時から南方仁はおかしな空耳と頭痛に悩まされ、恋人からも振られてしまいます。なにか嫌な予感を感じている南方仁は患者に聞きたい事がありますが、患者は目を覚ましません。
その日の夜、急に患者が集中治療室から姿を消し、南方仁が階段で患者を発見しますが誤って階段から落ちてしまい、タイムスリップするというところから物語の歯車が回り始めます。
- 著者
- ["村上 もとか", "酒井 シヅ", "富田 泰彦", "大庭 邦彦"]
- 出版日
まさに物語としては非現実的な内容の医療漫画ですが、現代の医学が幕末の時代で大活躍し、その度に現代医療の発展に誇らしさを感じます。やはりどの時代にも嫌な人間とはいるもので、南方仁の存在を敵視する者や疑問に思う者が出てきます。
それでも協力してくれる人とともにその時代で病気と戦っていく姿は感服します。医療の現場がリアリティに溢れているため、医療×ファンタジーの新ジャンル医療漫画として楽しめます。
南方仁は果たして現代に戻る事ができるのか、その目で読んで見てください。
超人的な力や魔術、誰にも打ち破れない特殊なスキルを持った主人公に憧れを抱きつつ、漫画を読む人が多いのではないでしょうか。魔法などの神秘的なものが登場しない場合、その憧れの眼差しは、純粋な力や技術、知識に向けられます。
医療漫画の場合は、奇跡ともいえる天才的な手術の腕や、難病を治療する手段を探しあてる知識に注目することでしょう。
『スーパードクターK』の主人公である、「KAZUYA」こと西城カズヤもそのひとり。タイトルに違わぬ腕前を見せてくれます。
- 著者
- 真船 一雄
- 出版日
- 2003-03-12
どこかの病院に所属し、院内の権力闘争を交えながら医療の現場が描かれる、という展開の作品が多いなか、本作は主人公がフリーランスの医師というというのが最大の特徴だといえるでしょう。
彼が生まれたのは、世界的にも高い評価を受ける医療技術を持ちながら、裏社会を中心にその腕を振るってきた一族。彼自身も、医師でありながらテロリストやマフィアなどにその命を狙われています。
人脈は一般人から一国家の首脳と幅広く、国境もありません。マントをかぶり、ひと目でアウトローだとわかる姿をしています。筋骨隆々で無敵の肉体を持っているというのも、新鮮な印象を受けるでしょう。
流浪の医師らしく、物語の舞台は選びません。学校に校医として招かれたり、バイオレンスな現場があったりとさまざまな場所で医師としての務めを果たします。
コミカルな展開のなかで、カズヤの医師としての成長も楽しめる、エンタメ性の高い作品です。
病理医という職業をご存知でしょうか?初めて聞く方も多いかと思います。病理医とは血液や排泄物、細胞や体液を分析し病気の原因を目に見えないところから答えを導き出すという職業です。この医療漫画では、そんな病理医が主人公となっています。
主人公の岸京一郎はその人相とひねくれた性格で、周りからの評判は良くありませんが、岸京一郎の腕は確かで、そんな変わった主人公に惹かれた宮崎智尋医師と検査技師の森井とともに分析結果を元に本当の病気を見つけ出していくストーリーの医療漫画です。
- 著者
- 恵 三朗
- 出版日
- 2014-11-21
病理医とはどんな職種かどんな仕事内容なのかまったく見当がつかないと思います。
病理医は患者側からはなかなか見えづらい医療です。しかし、医師達はこの病理医の判断がないと正確な診断を患者に出せないのです。
この医療漫画『フラジャイル』は日常では見えない部分を扱っている分、物語の内容に興味持つことができ、一巻読み終えた後すぐに次巻を読みたくなる疾走感もあります。その人気振りから、ドラマ化もされています。
人間誰しも、できれば楽をして生きたいと考えてしまうことがあるでしょう。その欲望を我慢するのは至難の業で、少しくらいという気持ちに負けてしまいがちです。自身に一切の甘えを許さない人の生き方には、純粋に尊敬の念を覚えます。
私生活だけではなく、仕事に関して妥協を許さないことは、「信頼」が重要視されている職種においては必須のことです。
『天医無縫』の主人公・毒島丈(ぶすじまじょう)は、まさしくその信頼できる医師のひとり。本作を読めば、彼のような医師が近くの病院にいてほしいと思ってしまうはずです。
- 著者
- 伊月 慶悟
- 出版日
- 2004-02-19
かつてアメリカで働いていた毒島は、超一流の海外の医師からも一目置かれるほどの腕の持ち主。しかしその経歴は一切不明で、文苑会都南中央病院でアルバイト医師として勤務しています。
彼はどんな状況でも患者の命を救うことに信念を注いでおり、十分な設備が無い状況でも必至に手を尽くすのです。
事故や突然の病状悪化など、医療現場においては誰もタイミングなど考えてはくれません。しかしそんななかで自分にできる最大限のことを惜しまずにする独島は、読者の目にも頼もしく映るはずです。
また彼はかなりストイックな性格をしていて、外見のワイルドさもあってか一匹狼のような渋さの魅力もあります。
「医療は算術である」と金もうけに腐心する院長や同僚たちとの確執も描かれていて、やはり病院とお金は切っても切り離せないものなのだなと感じられるのが悲しいところ。しかし、自分の仕事に誇りを持ち、全力で治療にあたる毒島の奮闘は、医師を見る目を少しだけ変えてくれるはずです。
比較的症状の軽い怪我や病気に罹った時は、大抵の人が予約時間に合わせて病院に向かいます。しかし、怪我や病気の容体は、人の都合を考えてくれるわけではありません。交通事故が昼間にしか起こらないわけがなく、子供が夜間に高熱を出して重篤化するケースもあるでしょう。
そんな時に頼りになるのが、救急医療です。人々が寝静まる夜間に命を守る、最後の砦ともいえる場所。運び込まれてくる患者はさまざまで、幅広い知識と瞬時の判断能力が必要とされる過酷な現場でもあります。
『Dr.アシュラ』は、そんな救急医療に従事する女医の活躍を描いています。
- 著者
- こしの りょう
- 出版日
- 2015-07-18
語り手となるのは、両親の経営する皮膚科を継ぐつもりでいる研修医。彼が配属されたのは、帝釈総合病院の救急科です。そこには、病院の受け入れ外である重症患者も引き受け、命を救おうと奮闘する「アシュラ」こと杏野朱羅がいました。
朱羅が所属する救急科は、本来はすぐに命にかかわるほどではない患者を受け入れる、二次救急医療機関というもの。しかしたびたびニュースなどでも報じられるように、救急の現場において命の危機にさらされている重篤な患者の受け入れ先を探すのは、難しいことがあるのです。
そんな時、朱羅のような存在はありがたいもの。救急の現場という緊迫した空気と緊張感が、作品全体に流れています。
本作でも病院内の権力闘争が描かれますが、悪役たちは相応の報いを受けていくので、その点はスッキリできるはず。朱羅はクールビューティ―かつ恵まれたプロポーションを持っており、ちょっとしたお色気展開もあります。