グラハム・ベルを知れる本5選!いわずと知れた電話の発明者

更新:2017.9.1 作成:2017.9.1

いまや当たり前のように使われる電話。グラハム・ベルはその発明者として有名ですが、実際に電話はどのようにして発明されたのかご存知でしょうか。今回は彼の生涯や人間性を伝える本をご紹介します。

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発明王グラハム・ベルとは

1847年、イギリスのスコットランドで生まれたグラハム・ベルは、兄の死亡や父親の病気の再発などの関係で1870年にカナダへ移住し、その後はカナダとアメリカを行ったり来たりする生活を送っていました。

父親が人間の発するあらゆる声を一連の記号に体系化した「視話法」の考案者であったことや、母親が聴覚障害者であったことが影響して、聴覚障害者教育に携わることになり、三重苦で知られるヘレン・ケラーとも交流がありました。

1872年に視話法を教える学校をボストンに開校し、教員になったベルは、聴覚機器の研究とともに音響学の研究も深めていきます。それが1876年の電話の発明に結びつくのです。

1876年3月には、液体送信機を使った電話実験に成功。最初の言葉は助手ワトソンへの「ワトソン君、用事がある。ちょっと来てくれたまえ。」でした。そして同年10月に2人は、マサチューセッツ州のケンブリッジとボストンの間で、電話線を通した世界初の通話にも成功します。

翌1877年に、アメリカ最大手の電話会社AT&Tの前身である「ベル電話会社」を設立します。そして1915年にはベルとワトソンの2人が、ニューヨークとサンフランシスコで大陸間横断の通話に成功するのです。

彼の研究範囲は電話だけにとどまらず、多くの科学分野にまたがっています。その後、無線電話のフォトフォン、水中翼船、飛行機などの実験や研究を行い、成功を収めました。

グラハム・ベルにまつわる逸話6つ!

1:小さいころはピアニストを志した

彼の母親は難聴にもかかわらず優秀なピアニストでしたが、息子であるベルにもピアノの優れた才能があることを見抜き、エディンバラの最も優秀なピアノ教師の下で稽古をさせました。彼自身も一時期はプロのピアニストを夢見ていて、この幼いころの音楽の経験が、後の音声学や音響学の科学的研究に大いに役立っています。

2:ヘレン・ケラーを教育したサリバン女史は、ベルの助言で派遣された

1歳半の時に重い病気で視力と聴力の重複障害になったヘレン・ケラー。1887年に彼女の父親が、教育の相談をしにベルのもとを訪れました。彼に対してベルは、ボストンにある視覚障害者のためのパーキンス学院を紹介します。そこの校長が、同校の卒業生であったアニー・サリバンを家庭教師として雇うことを薦め、ヘレン・ケラーのもとにサリバンが派遣されたのです。

3:ヴィクトリア女王の前で電話の通話実演を行った

1877年に結婚したベルは、ヨーロッパへ新婚旅行に出かけます。当時イギリスでは、国会の開会式で電話の実演が実施されるなど、電話の話題一色になっていました。そして彼は旅行途中の1878年1月、イギリス王室の離宮でヴィクトリア女王を前に、電話の機能を実演しました。女王のその日の日記には、電話に感銘を受けたことが記録されています。

4:ベルの電話機で英語以外に最初に話された言語は日本語だった

1876年の電話実験成功の直後に、日本人留学生の金子堅太郎と伊沢修二が日本語での通話を実験し、ベルは世界のどの言語でも通話が可能であることを確信します。翌1877年には2人の要請で、早くも日本に電話機が2台輸出され、これが電話機輸出の第1号となりました。

5:飛行機実験にも力を入れた

1903年12月、ライト兄弟による歴史的な初飛行が行われました。それから4年と少し後の1908年3月、ベルと仲間たちが結成した航空実験協会(AEA)によって、レッドウィング号がアメリカ初の公開飛行をニューヨーク州で成功させます。それまでライト兄弟は何度も飛行に成功していましたが、非公開でした。

6:地理学雑誌で有名な「ナショナルジオグラフィック協会」の会長をつとめた

著名な科学雑誌『サイエンス』の創刊にも出資したベルは、その一方で地理学雑誌を発行する「ナショナルジオグラフィック協会」の設立にも参加しており、2代目の会長に就任しています。彼のあらゆる科学分野への関心と貢献を示す例だといえます。

グラハム・ベルの発明はどのようにして生まれたのか

本書は「オックスフォード科学の肖像」という、世界の著名な科学者の伝記シリーズの1冊で、科学者であるベルの伝記入門書としておすすめできます。

著者
ナオミ パサコフ
出版日
2011-04-01

両親の影響で聴覚障害児の学校の教師となったベルは、父親が考案した視話法を用いて大きな成果をあげました。これが電話の発明に大きく関わっていくことになるのです。

「偉大な発見や発明は小さいものを観察することから生まれる」(『グラハム・ベル-声をつなぐ世界を結ぶ』から引用)

これは本書の第2章のタイトルですが、実は各章のタイトルはベルの言葉から引用されています。

研究から発明へとつながる彼の思考の過程がていねいに述べられていて、電話だけでなく飛行機などを含めた科学の各分野における研究への情熱も伝わってきます。聴覚障害者教育とヘレン・ケラーの交流も含めベルを知る上で格好の一冊です。

グラハム・ベルの研究がわかる

本書は、ベルが会長をつとめた「ナショナルジオグラフィック協会」に寄託された、彼に関する膨大な資料に基づいて執筆されました。

彼が送受した大量の手紙、論文、写真、研究所の記録、日記、法廷証書の写しなど、まさに彼の研究録と言っていい内容になっています。

著者
ロバート・V. ブルース
出版日
1991-05-01

彼は聴覚障害児の教育にも力を注ぎましたが、本書ではヘレン・ケラーとの交流についても詳しく語られています。ヘレン・ケラーの自伝『わが生涯』は次の言葉で始まります。

「アレキサンダー・グラハム・ベル -聴覚障害者の人々には話すことを教え、耳の聞こえる人々には大西洋からロッキー山脈まで話を聞くことを可能にした人- に私はこの生涯の物語を捧げる。」(『わが生涯』から引用)

彼女の言葉が、ベルの功績を見事に表現しています。

また本書では、彼の私生活における家族との関係も多く語られていて、それらが彼の研究や聴覚障害児の教育に深く結びついていることを伺い知ることができます。彼について幅広く知りたい人には恰好の一冊です。

グラハム・ベルの電話発明、その謎と真相に迫る

今回紹介している本の中で、本書は切り口が異なっています。サイエンスライターである著者が、ベルが電話の発明者であることに疑問を投げかけた内容なのです。

アメリカ議会図書館が新たにデジタル化してオンラインで公開した、彼に関する文書を詳細に検討、推理して新しい事実を描き出した、スリルに満ちたノンフィクションです。

著者
セス・シュルマン
出版日
2010-09-23

電話の特許については、ベルと同じ日に、同じく電話研究者のイライシャ・グレイも特許の出願をしていたことで有名です。

本書では、特許出願後も実験で失敗をくり返していたベルが、ワシントンに滞在した12日間後に、グレイの技術を用いて突然実験に成功し、そのことに疑問を感じた著者が12日間の謎を解明していくストーリーが展開されています。

また本文中では、上記で紹介したロバート・ブルースの『孤独の克服-グラハム・ベルの生涯』についても述べられています。ブルースの著書にもこの12日間については詳しい記述があるのですが、発明に関する特許競争に興味を持たれたら、ぜひこの2冊を読み比べてみてください。

字が書けない少年と発明王の友情の物語

本書は史実を考慮して書かれたフィクションです。

物語はエディという少年を主人公にして、カナダのノバスコシア州を舞台に展開されます。

著者
フィリップ・ロイ
出版日
2017-01-25

エディは文字がなかなか覚えられず、書くこともできません。つまり音と文字が結びつけられないという学習障害をもっていました。

友人に馬鹿にされることもありましたが、彼にも得意な分野があります。幼い時から科学に興味をもち、数学も好きであった彼がベルと出会うことによって大きく変化していきます。

「いいかい、われわれは失敗から実に多くのことを学ぶ。(中略)失敗することがなかったら、挑戦だってしなくなる。」(『ぼくとベルさん 友だちは発明王』から引用)

これは単語の文字がなかなか覚えられないエディに対し、何度も失敗をくり返しながら事を成し遂げた科学者ベルをだぶらせた言葉です。

この物語にはヘレン・ケラーも登場し、エディ少年、ベル、ヘレン・ケラー、そして少年の家族らの人間関係を通して、ベルの生き方や考え方、人間愛や家族愛を感じることができます。大人にも子供にもぜひ読んでもらいたい作品です。

トマス・エジソンとグラハム・ベル、発明戦争に勝ったのは?

ともに1847年生まれの発明家、トマス・エジソンとグラハム・ベル。本書は、1876年にフィラデルフィアで開催された建国100年記念の万国博覧会のゴールドメダルに、当初内定していたエジソンの多重電信機ではなくベルの電話機が選ばれたことで勃発した、発明戦争の物語です。

著者
木村 哲人
出版日

ベルの発明に対抗して特許訴訟を起こすエジソン、ベルの電話機より感度が3倍も高い「エジソン式送話器」を完成させ特許を取ったエジソン……彼らの戦いは、蓄音機、レコード録音、映画の研究、発明と続いていき、本書には、エジソンとベルそれぞれの研究所による戦いの様子が克明に描かれています。

19世紀は、多くの発明家による特許出願に火が付いた時代で、この2人以外にも多くの研究者が登場します。音響技術専門家の著者ならではのわかりやすい記述で、日米の特許裁判の違いや、電気工学の基礎なども学ぶことができるでしょう。

電話の発明以外にも多くの顔を持つグラハム・ベル。数多くの研究や発明に関わるエピソード、特許申請、聴覚障害者教育、ヘレン・ケラーとの出会い……ベルを知るためのそれぞれ切り口のちがった好著がそろっていますので、一読をおすすめします。