橋爪大三郎のおすすめ本5選!言語や宗教にくわしい社会学者

更新:2017.8.31

宗教社会学という分野の研究で得た見地から、社会学や宗教に関する多くの入門書を手掛けている橋爪大三郎という人物がいます。彼が発表した著作のなかから、おすすめの本を紹介していきます。

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宗教社会学者・橋爪大三郎

1948年生まれ、神奈川県出身の社会学者です。東京大学に進学し、当時盛んだった全共闘運動の活動に積極的に参加し、大学教育に対する批判などを行っていました。

東京大学大学院へ進んだ後、東京工業大学で宗教社会学の教授などを務めながら、社会学者として数多くの著作を発表してきました。

彼が論じる対象は構造主義など思想だけにとどまらず、宗教や文化論など広範囲です。その中でも、初心者向けに分かりやすく書かれた一連の入門書は高い評価を得ています。また気鋭の学者との対談本も多く、独自の切り口をもって日本社会や世界情勢に切り込んでいく評論にも定評があります。

そんな橋爪大三郎が手掛けた著作のなかから、おすすめの本をご紹介しましょう。

橋爪大三郎による、現代思想の入り口に立つための道案内

現代思想を代表する思想の1つである「構造主義」のエッセンスについて、中学生や高校生などの初心者にも分かりやすく伝えることを目的として書かれた本です。

構造主義はどこで生まれ、誰が、なぜその考えを広めようとしたのかを、構造主義を確立した人類学者・レヴィ=ストロースの業績を中心に説明していきます。

著者
橋爪 大三郎
出版日
1988-05-18

本書は1988年に出版されましたが、構造主義とは何かを理解するために最初に読むべき本として、いまだに高い評価を受け続けています。

その理由は、レヴィ=ストロースがフィールドワークや研究を重ねるなかで、構造主義の発想に至るまでの経緯を具体的に説明することで、構造主義が何のため生まれた思想なのかをはっきりさせてくれるからです。

構造主義について、本書では「人間や社会のあり方を、歴史(と言って悪ければ、西欧思想の色めがね)抜きに直視する方法」と説明されています。このような現代思想の入り口に立つための道案内として、本書は学生ばかりでなく、大人の方々にとっても有用です。

宗教にくわしくなるために読みたい本

本書はタイトルが示す通り、宗教社会学者である橋爪大三郎によって書かれた、宗教社会学に関する入門書です。

キリスト教、イスラム教、ユダヤ教、そして仏教といった世界を代表する宗教について、その成り立ちや構造、現代に与えている影響などを解き明かしていきます。

著者
橋爪 大三郎
出版日
2006-05-01

橋爪大三郎は、日本人は「宗教オンチ」であると言います。宗教に対して関心を持たず、軽蔑さえしている状態に強い危機感を抱いてきました。

そして、世界中の人間社会の中に存在し、文化や価値観の骨格となってきた宗教について知ることこそが、日本人が自らの社会を正しく捉えるきっかけになる、というのが橋爪の主張です。

本書の見どころは、プロテスタントが生まれることとなったキリスト教における宗教改革と、日本の鎌倉時代に新仏教が生まれた動きとを比較して論じるなど、興味深い切り口を提供している点にあります。

宗教についてきちんと理解したいと思う人におすすめの本です。

橋爪大三郎から、キリスト教にはじめて触れる中学生に向けた本

まだキリスト教の聖書というものに触れたことがない中学生を読者として想定し、聖書に取り組む前の手引きとして書かれたのが本書です。

聖書を理解するうえで特に重要なポイントに解説を加え、どのようにして聖書を読むべきかを案内してくれています。

著者
橋爪 大三郎
出版日
2014-12-19

橋爪大三郎自身がプロテスタントの「日本福音ルーテル教会」の信者であるということもあって、その経験に基づいたキリスト教への理解の深さには、納得させられるものがあります。

キリスト教において重要である「愛」や「十戒」などのテーマに沿って、聖書からの引用も交えながらストーリーを理解できるようになっている、とても読みやすい本です。

「クリスマスの本当の由来は何か」といった身近な話題から入っていくので、キリスト教をよく知らない人であっても読み進めやすいのではないでしょうか。

キリスト教に興味を持ったら、最初に読むべき本だといえます。

仏教最高の経典を解明した人物との対談

仏教において最高の経典とされる「法華経」を、サンスクリット語の原典から日本語に翻訳した功績で知られる植木雅俊と、宗教社会学者・橋爪大三郎との対談をまとめた本です。

この翻訳作業によって判明した「法華経が本来伝えたかったこと」を通して、仏陀の教えに近づくための手がかりが示されています。

著者
["橋爪 大三郎", "植木 雅俊"]
出版日
2015-10-05

日本で読まれていた法華経は、もともとは中国において鳩摩羅什(くまらじゅう)という僧がサンスクリット語から漢語に訳し、それがさらに日本に輸入されたものです。

植木雅俊は、法華経が成立した時代のインドの状況や、原典と漢語訳との表現の違いを丁寧に検証した結果、法華経が持つ本来の意味を見出したというのです。

この本は対談形式になっているため、問答を通じて一緒に考えていくという読み方ができます。特に法華経に対してもっと色々な角度から理解を深め、疑問を解消したいという意欲のある方にはうってつけの本だといえるでしょう。

橋爪大三郎という社会学者ならではの日本史の読み方

多くの人に読まれ賛否両論を巻き起こしたベストセラー『ふしぎなキリスト教』を世に送り出した、橋爪大三郎と大澤真幸の2人の社会学者が、日本の歴史をテーマに語り合った対談本です。

なぜ古墳は作られたか、なぜ日本独特の「幕府」が成立したのかなど日本史にまつわる18の疑問について、今の日本とどのように関係するのかも考えながら取り上げています。

著者
["橋爪 大三郎", "大澤 真幸"]
出版日
2016-10-19

歴史の勉強といえば、起こった出来事や活躍した人物をとにかく覚える、ということに終始しがちです。 しかし本書では、特に日本史上有名な話題について、2人の社会学者が知識と知恵をフル回転させながら、さまざまな角度から「なぜ?」と切り込んでいきます。

たとえば、「なぜ織田信長は明智光秀にあっけなく殺されてしまったのか」という問いに対する「信長が家臣団とは別の直属軍を用意しなかったからだ」という答えは、この2人ならではの視点といえるでしょう。

歴史好きの方にはぜひ読んでいただきたい良書です。

いかがでしたか。橋爪大三郎の著作は難しいテーマを扱っていても読みやすいものがそろっていますので、ぜひ手に取ってみてほしいと思います。

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