藤田晋のおすすめ著書5選!サイバーエージェントを設立した実業家

更新:2021.11.9

アメーバブログ略して「アメブロ」を作り上げたのが藤田晋。IT企業の寵児だった彼はかつて絶望の縁に立たされ、見事な復活を遂げました。今回は、天才起業家の仕事論、経営論、人生論を学べる著書をご紹介します。

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渋谷ではたらく社長として一躍有名になった、藤田晋

藤田晋(ふじた すすむ)は、東証1部上場の株式会社サイバーエージェントの創業者にして代表取締役社長です。社名を知らない方でも「アメーバブログやAbemaTVを運営している会社」といえばすぐにお分かりいただけるでしょう。

2000年代には、ライブドアの堀江貴文や、楽天の三木谷浩史と並んで「ヒルズ族」の一員として一躍有名になりました。しかし実際のところ、当時は六本木ヒルズ森タワーにも、六本木ヒルズレジデンスにも縁がなかったそうです。要するに若くして起業し、成功を収めたというイメージがそう呼ばせたのでしょう。

1998年に藤田晋が24歳で設立した株式会社サイバーエージェントは着実に成長し、2000年には当時としては史上最年少の26歳で東証マザーズ上場を果たしたのです。

また、彼自身は2010年にThe Japan Timesの「次世代を担う100人のCEOアジア2010」に選ばれたり、2014年には日経ビジネス「社長が選ぶベスト社長」に選出されたりしています。このように、藤田晋は経営者として高く評価されているのです。

今回はそんな彼の考え方がわかる、選りすぐりの5冊をご紹介します。

くすぶっている自分に活を入れたい時におすすめ

IT業界のカリスマ経営者が藤田晋であるならば、出版業界においてカリスマ経営者のひとりとして知られるのが、幻冬舎の見城徹です。本書は、そんなカリスマと呼ばれる2人の共著になっています。

といっても、対談形式になっているわけではありません。本をパラパラめくると目に留まるのは、手書きの文字で書かれた印象深いフレーズの数々です。

タイトルになっている「憂鬱でなければ、仕事じゃない」のほか、「小さなことにくよくよしろよ」「スムーズに進んだ仕事は疑え」「良薬になるな。劇薬になれ」「無謀を演出して、鮮烈に変えよ」といった見出しは、すべて見城徹の言葉であり彼直筆のものです。

著者
["見城 徹", "藤田 晋"]
出版日
2013-06-20

これらの情熱的な言葉に、見城徹と藤田晋がそれぞれの見解を短くまとめる形で綴られていくのが本書の特徴です。藤田は「実体験を交えた僕なりの解釈を若い人にわかりやすく書き添えた」と説明しています。

情熱を前面に出していくのが見城徹なら、藤田晋の語り口は冷静で内容をより噛み砕いて解説してくれます。ときには考え方に違いがあることも正直に明かすところに誠実な人柄がうかがえるでしょう。

2人に共通するのは、創業経営者として成功していることです。仕事に対する考え方や取り組み方には、目を見張る部分も、グサリと読者の胸を刺すような厳しい意見もあります。一方で「かけた電話を先に切るな」「正直一番、正々堂々」など、人として身に付けておくべき基本的なことにも重きを置いていることがわかります。

仕事でくすぶっている人や憂鬱に感じている人、そんな自分に活を入れたいと思っている人に「もう一度頑張ろう」という原動力を与えてくれること間違いなしの一冊です。

「熱狂」が人生を変えることを教える一冊

先に紹介した『憂鬱でなければ、仕事じゃない』の第2弾として、1年後に出版された『人は自分が期待するほど、自分を見ていてはくれないが、がっかりするほど見ていなくはない』を文庫化したものが、本書『絶望しきって死ぬために、今を熱狂して生きろ』です。

文庫化にあたって変更されたこのタイトルは見城徹の座右の銘であり、藤田晋は「見城さんの生き様そのもののようなこの言葉に、僕は強い感動を覚えました」といっています。

著者
見城 徹 藤田 晋
出版日
2013-06-20

「気合をいれろ」「死ぬ気になってやれ」という言葉はいまや死語のように受け止められがちですが、それに代わる言葉が「熱狂」ではないかと藤田晋は考えているのです。

「あらゆる進歩の裏には、自分の考え出したことが素晴らしいと思い込み、諦めず、やり切った人たちが存在する」(『絶望しきって死ぬために、今を熱狂して生きろ』から引用)

藤田は自らの成功を振り返ると、上記に当てはまるといっています。

仕事にまつわることについての言及が多かった前作と比べると、本書は人としての考え方や生き方により重きが置かれています。猛烈に熱狂して大胆な行動力で仕事に打ち込んできた2人の実話が要所要所で描かれる一方で、とても細やかな気づかいで人に接してきたことも窺えるのです。

単なる仕事論にとどまらず、どうやって他者や自分自身と向き合っていくべきなのかについての人生論まで学ぶことのできる一冊となっています。

伸びる人伸びない人の差はどこでつくのか?藤田晋の仕事術がわかる

「日経ビジネスアソシエ」で大好評だった藤田晋の連載「渋谷ではたらく社長のキャリアアップ塾」。数多あるコラムのなかから厳選して77のセオリーにまとめ、書籍化したのが本書です。

セオリーは77つもありますが、1項目3ページでまとめられているため、サクサク読むことができるでしょう。また、自身の経験談や実際に株式会社サイバーエージェントで取り入れられているやり方など、実例が実践的かつ豊富なので説得力があるのです。

何より本書の魅力といえるのが、著者の誠実さがにじみ出ているところでしょう。仕事で紆余曲折したこと、やってみたけれど失敗したこと、自らの成長のために努力したことまで、隠すことなく書かれています。

著者
藤田 晋
出版日
2014-11-05

著者は、本書の中で「ビジネスの世界に身を置くようになってから12年経ちますが、同世代の誰よりも成長してきたと自負しています」というほどです。だからこそ、どういう人が伸びるのか、逆にどういう思考や仕事のやり方が成長を阻害するのか、よく理解しているのだといいます。

また経営者として人の上に立つ立場にいるからこそ、現代に蔓延する活躍の場がないことに対する閉塞感や、若手の間に広がる失望感に強い危機感を抱いているのです。「そんな空気を打ち破るような若手が出てきてほしい」という思いから、本書をまとめたと解説しています。

本書は、まわりより一歩先に進みたいと望む若い人や、これからビジネスの世界に入ろうとする人たちにうってつけの一冊です。ビジネスの基本はもちろん、ワンランクもツーランクも上にいくための考え方や仕事の仕方、心構えが学べます。

また、仕事にいきづまっている人や伸び悩んでいる人の突破口を見つけるヒントにもなるでしょう。管理職の人にとっても、部下をどういう視点でマネジメントしていけばいいのか、経営者である著者の視点を通して参考にすることができます。、

藤田晋を一躍有名にしたはじめての自叙伝

本書『渋谷ではたらく社長の告白』は、著者の自叙伝的な内容となっています。

著者はなぜ高校生にして起業することを心に決めたのか。大学卒業後に入社した会社で脇目も振らずに猛烈に仕事をし、一年目にしてとてつもない営業成績を残した原動力は何だったのか。そこで培った営業力をもって起業したのち、困難に直面しては必至に乗り越えた苦悩の日々や、絶望的な転落から復活していった過程など、これらすべてが小説仕立てで臨場感たっぷりに描き出されています。

著者
藤田 晋
出版日
2013-06-27

著者は小説家を志したこともあるというだけあって、引き込まれる文章で書かれている本書は一気に読めてしまうでしょう。メディアの作り出した虚像とは裏腹に、泥臭く、人間臭い藤田晋の真の姿を知ることができます。

たとえば、株式会社サイバーエージェントを起業したばかりの著者が立てた目標は「週110時間働くこと」でした。平日は9時に出社して深夜2時まで17時間働き、土日は12時間働く。生活のすべてを仕事に捧げる著者の熱狂的な仕事ぶりが、会社の成長を支えたことがわかるのです。

一見、穏やかで優しげな風貌の著者が持つ猛烈なまでの熱意を知っていくうちに、彼がいかにして絶望的な危機を乗り越え、会社を立て直していったのかに興味が湧くこと間違いありません。

物語としての手に汗握る面白さはもちろん、仕事、経営、そして成功とはどういうものなのかについての実例を知ることができる一冊となっています。

天才起業家、藤田晋の見えざる苦悩を描いた一冊

本書について藤田晋は、2004年に出した『渋谷ではたらく社長の告白』の続編ともいえる内容と紹介しています。

2000年のネットバブル崩壊後、株価が暴落するなかで、いかにしてサイバーエージェントを立て直していったのか……。経営者だからこそ誰にも言えなかった苦悩と孤独を、著者自身の視点から余すところなく綴ったのが本書です。
 

著者
藤田 晋
出版日
2015-08-05

同時期に起業したIT企業がM&Aで事業拡大していったり、または不正によって消えていってしまったりするなか、藤田晋がこだわったのは自前のメディア事業「アメーバ」でした。
 

ところがアメーバ事業は低迷しており社内外から批判が絶えなかったといいます。それでも著者自身は成功を信じて突き進み、実際にアメーバ事業は黒字へと転じていったのです。そこに至るまでの壮絶な苦闘の日々を「記憶が鮮明なうちに書き残すべき」と考え、著者は筆をとったのだといいます。

アメーバというサービスがいかに生まれ育ったのかその過程を知ることができる面白さや、「同世代の起業家のトップランナー」を自負する著者の経営者としての魅力、また同世代の起業家である堀江貴文との関わりも知ることができます。

本書を読めば、ヒルズ族と呼ばれた著者が、実は孤独のなかで苦悩し決断して成功を勝ち取ったことがわかるでしょう。きらびやかで優雅な世界と思われがちなIT社長のイメージが一変すること間違いなしの一冊です。

以上、株式会社サイバーエージェント社長の藤田晋が書くオススメの本をご紹介しました。見た目どおりの誠実で穏やかな一面と、圧倒的な努力家でありとんでもない熱意を胸に秘めている人物であることが、どの本からも窺い知ることができるでしょう。「このままでいいのか」「何かしなくてはいけない」という焦燥感にかられている人や、閉塞感や失望感に押しつぶされそうになっている人に「まだまだやれる」という勇気をくれます。ぜひ手にとってみてください。

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