私は普段、ファンタジーやSFといった非現実的な作品を好んで読むのですが、気分転換したくなることもしばしば。そんな時! 自然と手が伸びてしまうのが警察小説なのです。警察小説は、私の頭の中を整理してくれる存在。どんなに突飛な話を読んだあとでも、警察小説を読めば元どおーり!! ひゃほーい!! リアリティのある作品が多いためか、頭を現実世界に引き戻してくれるんです。
言うなれば、香水ショップに置いてあるコーヒー豆のような存在(コーヒーの香りで嗅覚をリセットする的なやーつ)。なので私は、ある一定の周期で警察小説を読みます。なくてはならない存在ですわね。はい。そんな私のお気に入り作品を、4冊ほど紹介していきまーす!
犯人に告ぐ
今回一押しの作品! 今のところ、私の中の警察小説ランキングで堂々の1位に輝いております。
神奈川県にて発生した連続幼児誘拐殺人事件。その捜査責任者に抜擢されたのは、長髪で刑事らしからぬ風貌の主人公・巻島史彦。難航する捜査を打開するため、県警上層部は起死回生の策を練ります。それは、マスコミを通じて目撃情報を集めるとともに、直接犯人に呼びかける「劇場型捜査」というもの。巻島はニュース番組に出演し捜査を試みるが、なかなか思うような成果は出ず。失敗かと誰もが思い始めていた頃「バッドマン」を名乗る犯人から手紙が届き、事件は思わぬ展開へ……。
今作の魅力は、その独特な捜査方法に加え、警察内部でのいがみ合い、報道番組の裏側など盛りだくさん。また、サスペンス色が非常に強く、特に後半戦はドキドキが止まりません! 気持ちが昂ぶって眠れなくなる恐れがありますので、深夜に読むのは避けたほうが賢明です。……えぇ。わたくし、まんまと寝れなくなりました。ご注意を。
隠蔽捜査
大人気のシリーズ物! ドラマ化や舞台化、第27回吉川英治文学新人賞受賞といった経歴を持つ傑作。警察小説を語る上で欠かせない存在となりました。もちろん、その面白さは折り紙つき。何を読もうか迷っている方は、まず今作を選んでおけば間違いありません!!
主人公は、警視長・竜崎伸也。現場の刑事ではなく、警察庁のキャリア官僚です。キャリア官僚とは、国家公務員試験をクリアし、幹部候補生として採用された人々のこと。その他の職員(ノンキャリア)とは異なる人事管理が行われており、より早いスピードで昇進します。つまり! エリート街道まっしぐら!! うらやましすぎーる!! そんな羨望の眼差しで見られそうな人物が主人公だなんて、なんだか読んでいると斜に構えてしまいそう……。と思いきや、この竜崎という男、これがまた憎めないやつなんです。
私利私欲とは無縁で、原理原則に忠実。誠実で正義感が強く、部下からも上司からも信頼は厚い。という輝かしい存在の竜崎。おいおい……。まぶしい……。まぶしすぎるぜ兄貴っ…… !! こんなやつ現実にいるのかいな!ってぐらい出来た男なのですが、これがまた共感を呼ぶんですねぇ。はい。
今作の魅力は、登場人物たちの生き様にあると思います。人間追い込まれると本性を現します。正義を貫く者、保身に走る者など実に多種多様。すごーく生々しく描かれています。もはやフィクションだとは思えないほど。納得の面白さでございます!!