『思考は現実化する』……ナポレオン・ヒルについて知らなくても、この作品名を見たことがある方は多いのではないでしょうか。今回は、成功哲学の第一人者、ナポレオン・ヒルについて学ぶ本をご紹介いたします。
ナポレオン・ヒルは、1883年、アメリカのヴァージニア州で生まれました。父親はイギリスからの移民で、加治屋や農夫、新聞の発行などさまざまな仕事をしていましたが、生活は決して楽ではなかったようです。
彼の運命を劇的に変えたのは、鉄鋼王アンドリュー・カーネギーの示唆により、社会で成功した500人以上の著名人へのインタビューをまとめた作品、『思考は現実化する』の発表だといわれています。
成功する人に共通している法則を見出し、誰もが実践できる、いわば成功へのパスポートともいえる理論を展開し、一躍注目を浴びることとなります。後に「ナポレオン・ヒル・プログラム」として有名になる成功哲学の誕生でした。 その後も彼はこのプログラムの見直しを行い、1960年に完全版を完成させています。
79歳の時には「ナポレオン・ヒル財団」を創設。その財団は現在でも活発な活動を続けています。
1:拳銃を振り回す問題児だった
少年時代のヒルは、拳銃を振り回してはトラブルを起こす問題児でした。そんな彼を立ち直らせたのが継母であるマーサによる励ましと、彼女が与えてくれたタイプライターだったのです。彼はタイプライターを習熟するなかで、文才に目覚めたのでした。
2:初めてお金を稼いだのは13歳の時だった
彼が仕事をすることで初めてお金を稼いだのは、なんと13歳の時でした。彼がおこなったのは石炭採掘の仕事で、賃金は1ドルだったとのことです。
3:19歳で弁護士事務所のマネージャーとなった
彼は18歳の時に、ルーフェス・エアーズという弁護士のもとで働き始め、弱冠19歳でとある事件を解決し、事務所のマネージャーとなりました。
4:20代前半という若さですべての財産を失った
彼は22歳の時に、務めていた材木会社の共同経営者に抜擢されます。しかしその後アメリカを襲った大恐慌によって会社は破たん。彼はすべての財産を失ったとのことです。
5:成功哲学を説きながらも、自ら興した事業は失敗の連続だった
成功哲学の第一人者として知られるヒルですが、自らが興した事業では失敗をくり返していました。たとえば30歳の時に設立したキャンディ―会社は、共同経営者に乗っ取られてしまいますし、その後組織した通信教育施設も同様に乗っ取られました。さらに、雑誌の発行を手掛けますが、こちらも仕事のパートナーから編集権を奪われてしまいます……彼の成功哲学の裏には苦労と失敗が多くありました。
6:ナポレオン・ヒルの成功哲学の誕生秘話は作り話だった
彼の成功哲学の誕生は、鉄鋼王アンドリュー・カーネギーの示唆によるものであるという秘話は、その後の調査で作り話だったとされています。カーネギーの伝記作家デビッド・ナッソーは、カーネギーはヒルに会ったことはないとしています。また、500人にもおよぶ著名人へのインタビューがおこなわれたという証拠も見つかっていません。
どうしても達成したい目標があるけれど、それをクリアするためのハードルが高くて尻込みしてしまう……このような経験は誰にでもあるのではないでしょうか。そんな時に、あきらめるなと背中を押してくれる本です。
ヒルが本書でで述べているのは、誰でも現状を変えることができる可能性を持っている、ということです。どうせダメだと自らを卑下するよりも、自分の持つ可能性を信じて行動してみましょう。
- 著者
- ナポレオン・ヒル
- 出版日
- 2014-04-10
そのために本書が提案していることのひとつとして、自分が決めた目標を書き出し、毎日声に出してみる、というものがあります。いわば自己暗示をかけることで目標達成へのモチベーションを維持しようというわけです。
このように簡単ですぐに実行できそうな方法が、『思考は現実化する』には具体的な成功例を交えていくつも紹介されています。ヒルは目標を明確にして努力することで、それを現実のものにしていくことができることを教えてくれます。
頑張りたいあなたにおすすめの本です。
『思考は現実化する』のうち、巨富を築くという点に関係する内容をまとめたものです。ヒルは、ヘンリー・フォードをはじめとする実業家の成功の軌跡を研究し、それを紹介することで、誰もが成功する可能性を持っていることを示しています。
巨富を築くために必要なもののひとつとして紹介されているのが、「協力者との間に良きチームワークを作る」ということです。強制ではなく、自主的に協力をしてもらえる人間関係を持っているかどうかで、事業の成功が左右されるというのです。
- 著者
- ["ナポレオン ヒル", "Napoleon Hill"]
- 出版日
- 2001-03-27
「巨富」というと金銭面のことだけかと思いがちですが、本書では精神的な豊かさについても言及されています。
マハトマ=ガンジーがインドを開放できたのは、彼が謙虚さを忘れずにいたからだ、と彼は語ります。自分の間違いを率直に認め、失敗を他人に押し付けない謙虚さこそが成功者の重要な資質だというのです。ガンジーは金銭的な成功者ではありません。しかし彼は精神の巨人として、歴史のうえに不滅の輝きを放っています。
ポイントが絞られているので、『思考は現実化する』は少し敷居が高いなと思っている方にもおすすめです。
本書は、成功するための答えを書いたハウツー本ではありません。成功するために越えなければならない問題を、解決することができる人間になるにはどうすればよいのか、について書かれた本です。
いわば、問題解決の能力を引き出すためにするべきことが紹介されています。
- 著者
- ナポレオン・ヒル
- 出版日
「人生の成功は苦闘なしには考えられない」「苦闘を乗り越えた経験は自分の財産となる」というヒルの言葉は、困難な状況に置かれている人へのエールとなるでしょう。
また他人に対する誠実な態度は、周囲の自らへの評価を高め、味方を増やしていくことにも通ずるということも述べられています。
作者のカレン・マクレディは、自己啓発や株式などのビジネス書を手がけるライターです。
本書にはヒルの哲学のエッセンスがまとまっており、これだけ読んでも十分に参考になります。章立てがそのまま成功哲学のまとめとなっているので、目次を見るだけでも内容の理解が進むように書かれています。
- 著者
- カレン・マクレディ
- 出版日
- 2009-07-22
そのなかに、「アイディアを実行にうつす」というものがあります。たとえば今いる会社の業績を上げたいのであれば、自分が関わっている仕事の価値を高めるために何が必要なのかを誠実に考え、提案し、すぐに実行することが大事だというのです。
ナポレオン・ヒルの成功哲学入門編としておすすめです。
ナポレオン・ヒルについては、アンドリュー・カーネギーの示唆の有無が引っかかります。けれども、彼の成功哲学によって人生を大きく変えることができた人は枚挙にいとまがありません。このことは彼の哲学が現状を変える力を持っていることの証でもあるでしょう。
自分の人生を見つめなおしてみようと思っている方、ぜひ彼の作品を手に取ってみてください。