ビスマルクにまつわる6つの逸話!ドイツ帝国を築き上げた鉄血宰相とは

更新:2021.11.9

現在のドイツをつくったといっても過言ではないビスマルク。「鉄血宰相」の異名も有名ですが、皆さんは彼の成し遂げたことをどれくらいご存知でしょうか?今回はビスマルクにまつわる逸話とともに、彼の生涯をよりよく知ることができる本をご紹介します。

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ドイツの鉄血宰相、ビスマルクとは

ビスマルクは1815年、プロイセン王国の東部にあるシェーンハウゼンで生まれました。貴族(ユンカー)の子どもとして生を受けたため、20代のころには数年間、地主として自分の領地の管理をして過ごした時期もあります。

1847年にプロイセン連合州議会の代議士として政界入りし、4年後にはドイツ連邦議会においてプロイセン王国の外交官として活躍していきます。ドイツ連邦とはプロイセンを含む39ヶ国ほどの大小さまざまな国が参加する国家の連合体で、議長国は隣国オーストリアが担っていました。

オーストリアとの間でドイツ連邦の主導権争いが進行するなか、ビスマルクは1862年にプロイセンの首相に任命されます。 5年後にはオーストリアとの戦争(普墺戦争)が起こり、これに勝利。プロイセンの主導する北ドイツ連邦を樹立します。続いてフランスとの戦争にも勝利し、現在のドイツの基礎となるドイツ帝国をつくり上げました。

ドイツ帝国首相となった後も巧みな外交をおこない国家間の関係を安定させましたが、国内では社会主義者や労働者への弾圧を執行するなど、民衆の反感を買う政策も断行します。 

1890年に皇帝が代わると、折り合いの悪かったビスマルクは首相を辞さなければいけなくなり失脚。 長年にわたる暴飲暴食で病気がちの面もあり、1898年に死去しました。当時のヨーロッパの地図を塗り替え、ドイツを扇動し続けた83年の生涯でした。 

ビスマルクについて知っておきたい逸話6選!

1:とても大柄で、大食いだった

写真を見ただけではわかりにくいのですが、身長は約190㎝、体重は多い時で123㎏もありました。目の前にあるものを手あたり次第に食べるような暴飲暴食を繰り返していたため、医者からは再三にわたり体重を減らすよう注意を受けていたそうです。

食事に関する逸話もたくさん残っています。「牡蠣を一度に175個食べた」というのが彼の自慢話のひとつでした。また、卵が大好きで、1度の食事でに15個の卵を食べたそうです。現在でもピザやアスパラガスに半熟卵を載せる料理が「ビスマルク風」と呼ばれています。

2:聖書を読むのが好きだった 

彼の趣味は狩りや乗馬、釣りに読書でした。年を取ってからはより多くの本を読むようになりましたが、なかでも聖書が一番の愛読書だったそうです。

3:私生活は質素だった

貴族の家に生まれ、一国の首相にまでのぼり詰めたビスマルクでしたが、その生活は素朴で質素なものを好んでいたそうです。そんな彼は「生活にはイスとテーブルと、雨がよけられる場所があればいい」と語ったといいます。

4:たくさんの博士号を持っていた

ギムナジウム時代(現在の日本でいう中高一貫校)から語学の才能を発揮していて、ラテン語やフランス語の成績優秀者でした。議論や読書で教養を深めることも好きだったそうで、生涯にわたり、哲学、法学、政治学、神学、医学の博士号をとっています。

5:日本の政治家にも大きな影響を与えた

世界各国を回り明治の日本に国際事情を持ち帰ろうとしていた岩倉使節団は、1873年にドイツでビスマルクと面会しています。欧州列強のなかで存在感を放つドイツの首相のアドバイスに、使節団の面々はおおいに触発されました。

あの伊藤博文も彼に強くあこがれ、帰国後も真似をして葉巻を吸っていたのです。また、大久保利通も友人への手紙の中で、ビスマルクのことを「大先生」と呼び慕っていた様子がうかがえます。

6:肉声が残っている

1889年、発明王エジソンの助手が新しい蓄音機の営業の途中で、ビスマルクの自宅に立ち寄りました。この時に録音された音声が2012年に発見されたのです。ドイツ語やフランス語で歌ったり、ラテン語で詩を読んだりする彼の声は現在も残っています。この録音が行われた翌年に、彼は失脚し政界を引退しました。

新書で読みやすい、ビスマルクの生涯を理解するための一冊

ビスマルクという人物について網羅的に知りたい方におすすめなのがこちらの本です。幼少期から政界引退後までの軌跡を時系列で追うことができ、読みやすい一冊となっています。

著者
飯田 洋介
出版日
2015-01-23

新書ですので本格的に勉強する前に、全体像を把握するのにも適しています。

特に、ビスマルクを語るうえでは欠かせない外交術をポイントとしてみることで、彼がどんな人物だったのか、なぜバラバラだった国々をまとめることができたのかに迫ることができます。

8章では引退後の様子が書かれていますが、彼の人間らしさが垣間見え、「鉄血」と称された一人の男の人生を想わずにはいられなくなるでしょう。

読みやすく手に取りやすい入門書

入門書として最適なのが、こちらの本です。全87ページとページ数がそれほど多くないので、初めの一冊として手に取りやすいでしょう。

著者
大内 宏一
出版日
2013-05-01

ビスマルクのなしたことについてさらっとおさらいするのに最適です。

「彼はなぜプロイセンの指導者になれたのか」、「なぜドイツを統一できたのか」といった疑問について考察することで人物像を浮き上がらせていきます。各ページに注釈もついていますので、理解を深めながら読むことができるでしょう。 手にしやすい価格もポイントです。

ビスマルクという男の人生

より本格的にビスマルクの生涯について勉強したい方へはこちらの本をおすすめします。こちらは上下巻にわたり濃密な伝記となっています。

著者
ジョナサン スタインバーグ
出版日
2013-08-30

 

本書の特徴はビスマルクの功績だけでなく、一個人としてのプライベートな一面がより詳細に書き出されている点です。

彼を知る人の証言や手紙などの資料をもとに、これまで知ることのなかったエピソードや考察が与えられています。大容量の本ですが、彼の内面まで描き出す貴重な一冊です。

ビスマルクの外交に学ぶ

ビスマルクの政治と外交について書かれた専門書です。外交官として、また政治家としての彼を深く学ぶことのできる一冊です。

著者
飯田 洋介
出版日
2010-08-27

ドイツ帝国を樹立することでばらばらだった諸国の統一を成しとげた後の彼は、領土の拡大にそれほど関心を示さず、周辺国との外交を積極的におこなうことでヨーロッパにつかの間の平穏をもたらしました。

その天才的かつ巧みな手腕で存在感を示したビスマルクの外交政策をまとめたのが本書です。専門的な本ではありますが、読み進めるうちに国と国との駆け引きや外交術に読み入ってしまうでしょう。

引退後もビスマルクはドイツ国民に大変な人気を誇り、たくさんの銅像が建てられました。彼の名を冠した通りや地名も少なくありません。ドイツを訪れる機会があればきっとどこかで彼の名前を目にするでしょう。

現在のドイツの基礎をつくり、外交で国々を調整し続けた大物政治家、「鉄血宰相」ビスマルク。現代においてもその功績から学ぶことは多いはずです。まずは1冊、手に取ってみませんか?

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