『ファイアパンチ』衝撃作の魅力を全巻考察!【最終8巻ネタバレ注意】

更新:2021.1.12

本作は、2016年9月に宝島社から発表された「このマンガがすごい!」ランキングの「オトコ編」で1位に選ばれた作品です。少年漫画とは思えないような、過激なテーマを扱っており、話題を呼んでいます。今回は、そんな本作の魅力を紹介していきます。 ネタバレも含みますので、ご注意ください。

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漫画『ファイアパンチ』を最終回まで全巻ネタバレ考察!

2016年4月から集英社のウェブコミック配信サイト「少年ジャンプ+」にて連載中の、藤本タツキの作品です。

「復讐」「カニバリズム(人肉を食べる)」「グロテスクな描写」といった、少年マンガでは考えられないようなタブーな内容で、連載当初から強いインパクトを残している本作。

人々が飢えと狂気に支配される極寒の世界。そのなかで迷い、奮闘する少年の姿を描いた『ファイアパンチ』の見どころと魅力を全巻ご紹介していきます!

著者
藤本 タツキ
出版日
2016-07-04

漫画『ファイアパンチ』に、ひとりの男の人生を見る【あらすじ】

極寒に覆われた世界は、雪と飢餓、狂気につつまれていました。人々はそれを「氷の魔女」と呼ばれる存在がもたらしたものだと信じ、寒さや飢えに怯えながら暮らしています。

そんななか、生まれながらにして「祝福」と呼ばれる奇跡の力を使える人間、「祝福者」が生まれるようになったのです。主人公の少年アグニと妹のルナは、身体の傷がすぐに完治する「再生能力」の祝福者でした。

しかし、身寄りのない2人には壮絶な運命が待ち受けています。貧しくも平穏な暮らしをしていた兄妹は、どうなっていくのでしょうか……?

『ファイアパンチ』の魅力1:ジャンプ作品なのに世界観がハード

 

数々のヒット作品を生み出してきたジャンプ漫画。夢が膨らむような明るい作品が多く、冒険やコメディー、スポーツ、学園ラブコメなどをテーマにしていました。ところが2019年4月現在「少年ジャンプ+」に掲載されている本作は、その印象とは真逆のもので注目を集めたのです。
 

「……俺の肉を食べなかったんだ! 缶詰だけじゃ食料が足りるはずないのに……!」(『ファイアパンチ』1巻より引用)

永遠の冬となった世界で、アグニは村人のために自身の再生能力を使い、腕を切り落として食料にします。第1話の冒頭部分にして、秩序がなくなるほどに荒んだ世界だということがわかるでしょう。

「ルナは塵に近かった 俺よりも再生能力が弱いからだ」
(『ファイアパンチ』1巻より引用)

 「生きて……」(『ファイアパンチ』1巻より引用)

べヘムドルグという国から来た兵士のドマは、「着火したものを燃やし尽くすまで消えない炎」の祝福をもっていました。彼はアグニの住む村で人肉を食べる習慣を目撃したことで憤怒し、村に炎を放ちます。塵となった村に残ったのは、再生するために燃えつづけるアグニとルナだけでしたが、再生速度の遅いルナは、「生きて」という言葉だけを残して亡くなってしまいました。

「生きてと言われた 憎しみの炎に覆われた 奴を塵に返さねば」
(『ファイアパンチ』1巻より引用)

ルナが死にそうになるのをみて、自分も楽になろうとしていたアグニでしたが、彼女の言葉で思いとどまります。生きることを選んだ彼は8年もの時間をかけて能力と炎を制御し、ついに動き出したのです。

第1話から大切な妹を亡くし、「復讐」を糧にして生きていくアグニの姿は読者を惹きつけるでしょう。少年漫画とは思えないハードな世界観が本作の魅力のひとつです。

 

『ファイアパンチ』の魅力2:キャラのクセが強い!トガタは唯一無二!

見どころのひとつに、登場するキャラクターの個性の強さがあります。 再生能力と消えない炎を制御しながら、妹ルナの復讐のため奮闘するアグニはもちろん、彼を「神」と崇める少女のような見た目の少年サンや、「男性の言うことは絶対」という徹底的な男尊女卑の村で育った少女、ネネトも魅力的なキャラクターです。

さらに、ルナにそっくりな130歳の女性ユダ。彼女はドマの所属するベヘムドルグ国の幹部のひとりで、「神の声をきくことが出来る人物」と崇められていますが、実際は集団をまとめるための演技でした。

「……私はいつまで演技をしていればいいの……」
(『ファイアパンチ』2巻より引用)

架空の敵、存在しない神様、これまでひとりで抱え込んでいたものを吐露しているユダのシーンです。普段は感情をほとんど表すことのない彼女が少しだけ怒りを表した場面は、読者の心に残りました。

著者
藤本 タツキ
出版日
2016-10-04

そんな個性的なキャラクターのなかでも特に抜き出ているのが、謎の女性、トガタです。物語のなかで1、2を争う年長者だと思われます。映画が好きな彼女は自分で作ることを決意し、その主人公にアグニを選びました。勝手に主人公にされた彼は、終始トガタに振り回されることとなるのでした。

「脳みそが男なのに体が女なんだよ!!」
(『ファイアパンチ』5巻より引用)

いつもひょうきんで気丈に振る舞っているトガタですが、シリーズ第5巻である秘密が明かされます。彼女は性同一性障害で、ずっと自分を偽って生きてきたのでした。このシーンは物語の大事なポイントで、彼女はキーマンになっている唯一無二の存在だということがわかります。

『ファイアパンチ』の魅力3:予想外の展開で読者を振り回す!

本作はダークファンタジーとジャンル分けされています。メインはアグニの復讐劇ですが、巻数が進むにつれてジャンルが変わっていくのが『ファイアパンチ』の特徴です。

1巻はアグニ視点の復讐で、2巻はトガタ視点の映画撮影準備、そして3巻からは「信仰」や「生きる意味」などを問うシリアスなテーマに変化していきます。

ではここからは、2017年9月現在6巻まで発売されている『ファイアパンチ』の変化や見どころなどを、あらすじと一緒にわかりやすくご紹介していきます。

変わってしまった世界、狂気にみち秩序がなくなった人々【1巻ネタバレ注意】

大切な妹を失ったアグニ。彼は復讐の炎に身を包み、宿敵ドマを探して旅に出ます。

その途中、彼は奴隷として捕らえられていた人々を助けます。そのなかにいた少年サンは、アグニを「神」と崇め、旅に無理やりついていきました。最初は鬱陶しく思うアグニでしたが、だんだんと情が湧いてきた矢先、2人はベヘムドルグの兵士に捕らえられてしまいました。

サンは奴隷になり、アグニはユダに斬りつけられ「首だけ」の状態で連行されます。

しかし不幸中の幸いか、連れてこられた先のベヘムドルグには、探していたドマと、亡き妹のルナにそっくりな容姿と「再生能力」の祝福を持つ女性、ユダの姿があったのです。

著者
藤本 タツキ
出版日
2016-07-04

衝撃の第1巻ですが、やはりもっとも印象的なのは、1話目でルナが亡くなるシーン。

「生きて……」(『ファイアパンチ』1巻より引用)

彼女の言葉はアグニの枷となり、今後も彼を苦しめていきます。

そして見どころは、ベヘムドルグの暮らしです。そこには「奴隷制度」「男尊女卑」「宗教で束ねられた人々」など、秩序の乱れきった世界があります。この国でのエピソードは、物語の世界観を築く大切な部分となっていますので、本作を読む際はよくチェックしてください。

謎の女トガタが現れ、彼女の映画製作がはじまる【2巻ネタバレ注意】

ドマを目の前にしたアグニは彼を殺そうとしますが、またも彼の炎を受けて動けなくなってしまいます。それをみたユダは、仲間たちとともにアグニを海に捨てにいくことにしました。

一方、映画好きのトガタがここで物語に登場します。彼女はベヘムドルグによって、住居とともに大切な映画を燃やされてしまい、生きる意味を失っていました。しかし部下がたまたま映像におさめたアグニを見て、彼を主人公にした映画を制作することを決めます。

アグニを捨てるために海へ向かう途中の電車内で、トガタはカメラを片手に登場。圧倒的な戦闘力でベヘムドルグの兵を殺し、アグニと「復讐を手伝う代わりに、撮影をする」という契約を結んだのです。しかし手伝うといったものの、トガタはひとりでベヘムドルグへ向かいます。そしてユダにこう持ち掛けるのです。

「一緒にアグニを殺そう」と……。

著者
藤本 タツキ
出版日
2016-10-04

 

第2巻はトガタの映画製作への道が描かれた内容です。全巻のなかで1番わかりやすくジャンルが変更され、物語の視点がアグニからトガタへ変わっていくのがわかります。そして何といっても彼女の電車での登場シーンは大きなインパクトを読者に残しました。

「……なんだよ!ホラ私の事は気にしないで!
 いいからそいつを犯せよ」
(『ファイアパンチ』2巻より引用)

 

 

電車に突然現れて発した第一声です。困惑する周囲をよそに、トガタは自分の世界に入り込んでいたのでした。

 

ファイアパンチの誕生【3巻ネタバレ注意】

トガタはアグニに戦い方を教える一方で、ユダにはアグニを倒す作戦を教えていました。すべては、「映画の見せ場」を作るための用意だったのです。なにも知らないまま予定通りベヘムドルグへ向かったアグニは、彼女の仕込んだ凶悪な祝福者たちと対峙することになりました。

彼は瀕死状態になりながらも、壮絶な戦いに勝利します。奴隷たちは何度も立ちあがるアグニを見て「神様」と讃えはじめました。

奴隷たちも逃がし、 最後にのこったのはユダだけ。彼が彼女にルナの面影を重ねながらも、炎で焼いてしまおうとしたその時でした。炎が首に到達する寸前で、何者かが再生能力のあるユダの首をはね、その命を助けたのです。深くフードをかぶり顔の見えないその者は、自身を「氷の魔女」と名乗りました。

著者
藤本 タツキ
出版日
2016-12-02

ベヘムドルグでの戦いで注目していただきたいのは、圧倒的な強さを見せつけ、何度も立ちあがるアグニの姿です。

なかでも、人々から「ファイアパンチ」と呼ばれるきっかけとなったであろう渾身の一撃を打つシーンは圧巻です。

ついに暴かれる「氷の魔女」の正体【4巻ネタバレ注意】

助けられた奴隷たちはトガタとともに逃げますが、ベヘムドルグの残党に追いつかれてしまいます。そのとき、アグニを神様と呼ぶ祝福者たちが現れ、追手をまくことに成功しました。「燃える男アグニ」の噂は、いつのまにか各地に広まっていたのです。

救われた人々はアグニを「神」とし、そしてあらわれた祝福者たちを「神の弟子」と崇め「アグニ教」という宗教が誕生しました。そんなある日、生き残ったベヘムドルグの兵士が捕らえられてきます。彼らの口から、宿敵ドマが生きていることをきいたアグニは……。

一方、氷の魔女と名乗る人物に助けられたユダが見たものは、自分と同じ顔をしたスーリャという女性でした。唯一違う部分は、彼女の片目から木が生えていることだけです。そしてスーリャは、世界の真実を語り始めるのです。

雪に包まれた原因は、ただ「氷河期」がきたからだということ。氷河期がくる前の旧世代の人間は、宇宙へ飛び立ち地球を捨てたこと。そしてスーリャは地球を暖める木を生やすために、地球やその他の星の命をすべて犠牲にしようとしていること。

そしてその理由は、「スターウォーズの続編が見たい」からだということ……。

著者
藤本 タツキ
出版日
2017-03-03

 

この巻での見どころはラストの衝撃的なシーンです。ついに語られた氷の魔女と世界の真実。そしてスーリャの私欲のための恐ろしい計画を話す場面は、そのいきいきとした表情から狂気を感じられることでしょう。

「何万年時間をかけてもいい……!スターウォーズが作られた年代とまったく同じ文化と教養レベルを作ってスターウォーズの新作を見る! これはそのための破壊だ!」
(『ファイアパンチ』4巻より引用) 

 

すべての元凶ドマとの対峙、そしてトガタの秘密【5巻ネタバレ注意】

逃げ延びた先で、「人の心をよむ能力」の祝福者により、性同一性障害だとばれてしまったトガタは、これまで身を寄せていた「アグニ教」信者の村を離れていくのでした。

それに気づいたアグニは彼女を引き留めますが、口論になってしまいます。このシーンは、彼女がはじめて弱みを見せ、涙を流したシーンです。説得の途中、「面白いことをすれば村に戻る」と提案したトガタのため、アグニはドマに会いに行くことを決意します。

こうして2人でドマのいる村に向かい、ついにアグニはドマと対面しました。2人は意外にも冷静に話し合い、ドマはアグニの故郷を焼いたことを「過ちだった」とし、アグニは彼が現在住む村で20人近くの孤児たちの面倒を見ているということに情けをかけ、それぞれ帰路につきました。

しかし、ふとアグニの頭に、ルナの言葉がよぎるのです。「ドマを殺して 私のためにファイアパンチになって」と。

次の瞬間、いつの間にかアグニは、ドマも、村も、そこにいた人々のことも焼きはらっていました。自分の「正義」を抑えることができなかったのです。

朽ちない体に消せない炎をまとい、これまでに罪のない何人もの人々を戦いに巻き込み、死に追いやってきた自分こそが「悪」なのだと考えてしまったアグニは、自らの意思で湖に落ちました。

目を開けると、彼はなぜか映画館にいて、そこにはトガタと、死んだはずのルナもいます。上映されていた映画は、トガタの子供時代のもの。彼はそれをみて涙を流しました。その映画は彼にとって走馬燈のようなものだったのでしょう。

ふと気がついて現実世界に戻ると、なんとそこには湖に落ちたアグニを助けようとして燃えている、トガタの姿がありました。

炎に焼かれて塵になりながらも、トガタは最後に「生きて」と、ルナと同じ言葉を残して燃え尽きてしまうのでした。

著者
藤本 タツキ
出版日
2017-06-02

 

第5巻はこれまでで1番濃い内容が描かれているといっても過言ではありません。宿敵ドマとの対峙のすえ、残ったのは「悪に染まった自分」だったこと。湖に落ちる前のアグニのセリフは考えさせられるものになっています。

「俺はルナと一緒に 死んでればよかったんだ」
(『ファイアパンチ』5巻より引用)

そして、ようやく打ち解けたかと思えたトガタとの死別。彼女の亡骸を抱えて立ち尽くすアグニの姿は、言葉にし難い哀愁をまとっています。

 

妹ルナの姿を求めつづけたアグニ。その果てにあるものとは?【6巻ネタバレ注意】

トガタの亡骸を抱えて村に戻ったアグニが見たものは、すべてが破壊された村と、そこにたたずむ大きな木でした。人々の頭には根が這い、養分を吸い取られています。またもや彼は絶望し、立ち尽くしました。

すると、木から「すべての元凶は私」「私を殺して」という言葉が聞こえてきたのです。その木の正体は、ただ「映画の続きが見たい」というだけの目的を持ったスーリャによって「生命を吸い取る木」になってしまった、ユダだったのです。

木の頂上にたどり着き、木の一部になりかけたユダを見たアグニ。何度見てもやはりルナとユダは瓜二つで、彼はまだ奇跡が起きるのを信じて「ユダを倒せばルナの人格が戻ってくるのではないか」と考え、ひたすらユダを殴りつづけるのでした。

やがて木は崩壊し、アグニは波打ち際で目を覚まします。彼の右腕は再生されておらず、身にまとっていた炎もなぜか消えていました。

ユダはすべての記憶を失い、無邪気にはしゃいでいます。アグニはどうしてもルナとユダを重ねることをやめられず、ユダに対して「ルナ」という名前を与え、自分が兄だということを教えたのです。

2人は近くに建物を見つけます。そこで運良く先住の女性グループと一緒に住むことを許されますが、実は彼女たちはベヘムドルグの国民で、ドマが面倒を見ていた少女たちでした。

ある時グループのひとりが攫われてしまう事件が起きます。アグニがひとりで敵のアジトへ向かうと、かつての自分を呼び覚ますかのように体に炎をまといます。するとなくなった右腕も再生し、敵を皆殺しにしました。

残念ながら攫われた女性はすでに死亡しており、仲間たちは悲しみました。するとグループのひとりが、アグニにこう懇願するのです。

「すべての原因はベヘムドルグやドマ先生を殺したファイアパンチにある。」「ファイアパンチを殺して……」と。

著者
藤本 タツキ
出版日
2017-08-04

 

この巻での注目ポイントは、妹の姿を求め続けたアグニの姿です。

「こいつはルナじゃない 俺は兄さんじゃない もうアグニでもない 主人公でも 神様でもない 俺が誰かはいつも他人が決めてきた」
(『ファイアパンチ』6巻より引用)

 

 

最後のシーンで女性に言われた言葉で、いままで自分が誰なのかは他の誰かが決めていて、本当は自分が何者でもない、という考えにたどり着きます。このシーンは、読者が持つ次の巻への興味をグンッと引きあげたことでしょう。そして、考えたすえにアグニは答えたのです。

「わかった…… 俺がファイアパンチを殺す……」
(『ファイアパンチ』6巻より引用)

 

罪悪感と死者たちの言葉に苦悩するアグニ【7巻ネタバレ注意】

 

6巻でファイアパンチを殺して、と言われたアグニ。ドマの娘であるテナや彼の教え子たちと暮らすようになり、ますます彼らへの罪悪感と、自分を殺さなくてはいけないという責任感に駆られてしまいます。

しかしいつもそれを止めるのが、妹のルナやトガタに言われた「生きて」という言葉でした。ふたつの言葉に板挟みにされ、ますますアグニは精神を病んでいきます。

しかし、ある日ついに罪悪感に耐えきれなくなった彼は、入水自殺を図ろうとします。それを見ていたユダはあとを追い、彼を抱きしめてこう言います。

「いきて!」
(『ファイアパンチ』7巻より引用)

その言葉を聞いたアグニは、今まで心の中で堰き止めてきた疑問を彼女にぶつけます。生きる価値のない自分になぜ生きて、と言うのか、どうやって、何のために生きるのか。

そんな彼に、ユダは、ただ日々を生きてほしいと言います。「ためしに あした…だけいきて」と。そしてそんな風に食べて、寝て、人間の営みをしながらも、日々心を壊していくアグニ。気づくと10年の時が経っていました……。

 

著者
藤本 タツキ
出版日
2017-11-02

7巻の見所は、そんな日常との対比ともいえるように、アグニを神と崇め、ユダを憎しみの対象として宗教を拡大していくサンの姿です。

アグニが過ごす日常が、表面上は平和なものに対し、アグニ教はどんどん大きなうねりを巻き起こし、神である彼にどんどん近づいていくのです。

そして罪悪感を重ねながらも守ってきた平和な日々が、彼らのユダ奪還作戦によって終わりを告げ……。詳しい内容は7巻でご確認ください。ユダを失い、再び復讐の炎をまとうことになった彼の行く末から目が離せません!

圧巻の最終回!結末まで読者を振り回す!【8巻ネタバレ注意】

 

開始早々、主人公の腕が断絶、食人、復讐、映画撮影と、ジェットコースターのように読者を振り回し続けた本作。8巻でついに最終回を迎えます。

再び復讐の炎をまとうことになったアグニは、奪われたユダを取り戻すため、サンのもとへと向かいます。そしてユダが宗教としてファイアパンチを崇拝するサンたちに燃やされようとしてたところに、ギリギリで現れました。

しかし顔が異なるアグニに、サンは拒絶反応を示し、それじゃ自分の思い描いていた正義のヒーローではない、まるで悪役だと彼を攻撃し続けます。

そしてその衝撃で確かに顔が戻ったものの、同時に記憶を無くしてしまったアグニ。しかし、何も思い出せないながらも、彼はこう考えるのです。

「生きたい…」
(『ファイアパンチ』8巻より引用)

 

著者
藤本 タツキ
出版日
2018-01-04

それまでずっと死に場所を求めていたアグニ。しかしまっさらな状態になった今、彼はやっと何にも縛られずに生きる環境を手に入れたのです。

しかし何者をも演じなくてよい状況になってもなお、彼はまた他人の人生を生きることになり……。

ここまでの流れならば、あらすじだけで誰しも想像しやすい展開でしょう。しかしこれは8巻、そして結末までのちょっとした前座に過ぎません。

ここから物語はさらに予想外の方向に進んでいくのです。たとえここであらすじを買いても意味が分からない展開に思われる方もいるのではないかと思えるほどです。

しかしそれは人類の起源の物語、神話を見ているかのような圧倒的なスケールとパワーを持っています。連載開始時に匹敵するような、「よく分からないけど何かすごい感じ」が再び体感できるのです。

最初から最後まで予想外の方向に読者を引きずり回したストーリーの最終回をあなたはハッピーエンドとするでしょうか?それともバッドエンドでしょうか?ぜひご自身の目でその終わりを見届けてみてください。

内容はもちろん、作画もトップクラスの作品です。一度読んだら絶対に楽しめるので、ぜひお試しください!


藤本タツキの話題作『チェンソーマン』について紹介した<ジャンプ史上最「狂」!『チェンソーマン』最大の魅力は、主人公・デンジの痛快さだ!>もおすすめです。ぜひご覧ください。