インフレーション理論という言葉を知っていますか?今回はそれを唱えた物理学者、佐藤勝彦のおすすめ本を5冊ご紹介します。宇宙論の神秘的な世界を思う存分ご堪能ください。
佐藤勝彦は1945年生まれ、香川県出身の物理学者です。宇宙論を専門としていて、初期の宇宙は指数関数的なインフレーションをしたとする「インフレーション宇宙論」の提唱者として知られています。このインフレーション宇宙論はアメリカの物理学者であるアラン・グースも提唱しています。
現在は東京大学名誉教授を務めるだけでなくNHKの「アインシュタインロマン」や「サイエンスZERO」などにも出演。物理学者として宇宙の魅力などを多くの人に伝えています。
宇宙物理学に関するさまざまな著書を発表している佐藤勝彦。本書は著者が、自身の提唱するインフレーション理論を中心にまとめた最初の一冊です。
宇宙の始まりの謎に科学の言葉で答えていく、そんな佐藤勝彦の「科学の言葉」が堪能できるでしょう。
- 著者
- 佐藤 勝彦
- 出版日
- 2010-09-22
最初に本を開くと飛び込んでくるのがヒンドゥー教の神様「シヴァ神」です。
このシヴァ神は宇宙を破壊させる神とされています。神話や伝承には、宇宙にまつわるものが非常に多いのも古代の人々が宇宙創生に大きな興味を持っていた証拠でしょう。近年、科学的アプローチによって宇宙の仕組みが明かされるようになる前までは、宇宙学とは哲学的・宗教的側面を広く持っていたそうです。
シヴァ神のエピソードを読んだ後はインフレーション理論以前の宇宙像という話に入ります。宇宙の創生・発展・破壊を司る絶対的な存在への疑念を人類が持ち始めた軌跡をうまく科学的歩みへと繋げ、自身がインフレーション理論を考えるきっかけとなった「力の統一理論」へとうまく導いています。
こんなに簡単にインフレーション理論が理解出来るなんて、と多くの人から喜びのため息が聞こえてきそうな一冊。絵や図も豊富でSF小説を読んでいるようにインフレーション理論を理解することが出来ます。ぜひ手にとってみてください。
佐藤勝彦が古代から21世紀にかけての宇宙研究の軌跡をゆっくり丁寧に記した一冊です。
古代インド人の宇宙観とは?アリストテレスが描いた宇宙像とは?こんな疑問に答えてくれる、宇宙や物理に関する知識のない人にも読みやすい宇宙論入門書だといえるでしょう。
- 著者
- 佐藤 勝彦
- 出版日
- 2012-12-06
「特に昔のひとびとは、『星占い』で吉凶を占ったように、宇宙の出来事が自分たちの生活に直接的な影響を与えると信じていました。それに比べると、現代の私たちにとって宇宙はあまりに広大で遠い存在になってしまい、日常の生活とは無縁のように思えるかもしれません。」(『眠れなくなる宇宙の話』より引用)
昔の人の宇宙観と歴史を知ることでわかる人類の宇宙論の歩み。宇宙論とキリスト教との関係や、エジプトの太陽暦と宇宙論の関係など広い範囲をカバーしていますが、著者の幅広い知識がやさしい言葉で書かれているため分かりやすく、読者を理解へと導くことを可能にしています。
本書は「眠れない夜は宇宙に思いを馳せよう」という佐藤勝彦の思いによって書かれていますが、その内容の面白さについついページをめくる手が止まらなくなるでしょう。
夜眠る前に枕元で読んでもらいたい一冊。面白くて眠れなくなるかもしれないので注意が必要かもしれません。
宇宙の全貌を知るために頭を悩ませた多くの物理学者たち。そんな物理学の世界に一石を投じたのがアインシュタインの「相対性理論」です。
そんな相対性理論を佐藤勝彦がやさしく解説したのが本書。読者の相対性理論の理解を助け、最新宇宙学の世界へと導いた一冊です。
- 著者
- 佐藤 勝彦
- 出版日
- 2005-11-19
広大な宇宙の謎をひとつひとつ解明し続けた偉大な物理学者たち。本書ではマックスウェルやボーア、ルメートルなどの功績にふれ、ビッグバン理論や大統一理論など先人たちが解き明かした宇宙の謎を語りかけるように読者に伝えています。
本書の魅力は相対性理論を分かりやすく解説するだけでなく、その相対性理論を物理学者たちがどのように発展させたのかまで網羅しているところでしょう。インフレーション理論を提唱した佐藤勝彦ならではの視点で、さらりと新しい知識や発見へと私たちを導きます。
多くの物理学者の宇宙の全貌を解明したいという思いが、少しずつ解明への扉を開いていくことを実現させた、そんな偉大な人類の歩みを感じることが出来る一冊です。相対性理論について知ってみたい人はぜひ手にとってみてください。
かつて物理界を騒がせた「相対性理論」。謎の多かった宇宙論を飛躍的に前進させた理論として知られていますが、それからおよそ100年。宇宙論はどのように発展を遂げたのでしょうか?
- 著者
- 佐藤 勝彦
- 出版日
- 2010-09-18
宇宙の約75%を占めるという正体不明の物質「暗黒エネルギー」、素粒子の要素は粒子でなく「ひも」であり、そのことから宇宙は5次元以上から成り立っているとする「超ひも理論」など、一般的に難解なイメージのある数々の理論を、本書では佐藤勝彦が分かりやすく解説しています。
この本を読めば、文系で物理が苦手な人でも宇宙論の輪郭を楽しくとらえることが出来るでしょう。物理学の面白さを伝えたいという思いが、取っつきにくいと敬遠されていた物理学を多くの人が楽しむ機会をつくり出してくれています。
本書では、歴代ノーベル賞受賞者の功績についても言及されています。ノーベル賞受賞が素晴らしいというのは衆目の一致するところですが、では具体的に何が素晴らしいのか知らない人は意外と多いかも知れません。 佐藤勝彦がそれらの功績についても平易な言葉で解説してくれています。
さまざまなことが理解出来る大満足な内容となっていますので、宇宙の分野に詳しくない方にもおすすめできる一冊です。
「量子論」という言葉を聞いたことがありますか?ある意味相対性理論よりも難解で宇宙創生の謎を解明する鍵を握っているとされている理論ではないでしょうか。
量子論の実に奇妙で面白い世界を紹介したのが本書。本書を手に取れば超難解とされる量子論が理解出来るようになるかもしれません。
- 著者
- 出版日
- 2000-04-01
本書は量子論のさまざまな可能性を読者に伝えてくれます。量子論が可能にすること、ヒトの遺伝子の究明や宇宙を構成すると考えられている素粒子の仕組みなどが図とシンプルな文章で語られます。量子論は、ミクロの素粒子など小さなものを扱う学問なのに、宇宙の正体という非常に大きなものの謎を解くことが出来るのです。
「量子論を使える人はいるが、完全に使える人はいない。この本を読んで混乱するということは、量子学を正しく理解しているということだ」(『「量子論」を楽しむ本 ミクロの世界から宇宙まで最先端物理学者が図解で分かる!』より引用)
宇宙の始まりについて知ってみたい人はぜひこの本を手にとってみてください。佐藤勝彦による量子論の熱い徹底解説に興奮を覚えること間違いなしでしょう。
いかがでしたか?今回は物理学者、佐藤勝彦のおすすめ本を5冊ご紹介しました。物理学の世界をのぞいてみたい人はぜひ読んでみてください。新たな視界が開けると思います。