ネットでの買い物は今や多くの人にとっての日常ですが、そうでなかった時代にネット事業に参入し大成功を収めたのが楽天です。創業者の三木谷浩史はどう考え、どう行動して世界長者番付に載るまでにのぼりつめたのか。成功の秘密がわかる著書をご紹介します。
三木谷浩史は、約1億人の会員数を誇るネットショッピングモール「楽天」の創業者にして、現在も経営トップとして活躍している人物です。アメリカの雑誌『フォーチュン誌』の若手富豪ランキングに名が上がるほどの成功を収めています。
その経歴はというと、一橋大学を卒業したあと、日本興業銀行(旧みずほ銀行)に入社。その後会社の留学制度を利用してハーバード大学のビジネススクールへ留学し、1993年にMBAを取得、その2年後には退社して起業します。
三木谷が最初に立ち上げたのはコンサルティング会社でした。その約2年後、コンサルティング業での稼ぎを軍資金にしてネットショッピング事業へと打って出たのです。
今や彼の資産は1兆円とも言われます。楽天はプロ野球チームのオーナーにまでのぼりつめ、まさに日本を代表する実業家の1人といっていいでしょう。その経営ノウハウや成功法則などが気になる方におすすめの本をご紹介します。
いまや知らぬ人はいないほど有名な日本発祥のネットショッピングサイトといえば「楽天」でしょう。
この「楽天」を三木谷浩史が立ち上げてから、たった10年という期間で流通総額1兆円に成長させていくまでに、どのような道を辿ったのか。創業社長である著書が自らの経営において大切にしてきた「5つのコンセプト」を柱として、その経営哲学を余すところなくまとめたのが本書です。
- 著者
- 三木谷 浩史
- 出版日
三木谷浩史が本書を著したのは、楽天が創業10年の節目を迎えた時でした。開業時はわずか6名のスタッフしかいなかったといいます。開業に際して6人が1ヶ月間駆け回り、出店してくれる運びとなったのはわずか5店舗だったそうです。
しかし、三木谷は「僕はそれを、たったの5店舗とは思わなかった。5店舗も集まったのだ。これはすごいことなんじゃないだろうか、と思っていたのだ」「ゼロは何倍にしてもゼロだが、1でも2でも数字があれば改善してそれを増やすことができる」と考えたのです。
そして実際に、どんな困難にぶつかり、どんな改善を重ねて成長していったのか、その道のりを本書で知ることができます。
本書の内容は楽天の成長物語だけではなく、彼が持つ仕事に対する価値観についても綴られています。方法論というよりは「いかに仕事と向き合うか」、「何を大切にするか」、「どう考えるか」といった仕事への意識や心構えの持ち方について学ぶことができるでしょう。
どの業界のビジネスマンでも参考にできる1冊です。
前に紹介した『成功のコンセプト』が仕事に対する三木谷浩史の価値観の総論であるとすれば、本書はその5つのコンセプトをより細分化し、日々どのように考え行動すればいいかについて細かく分類し、まとめたものといえます。
「92ヶ条もあるの?」と思われるかもしれませんが、どの内容も飛び抜けて難しいわけではありません。「小さな成功で自信を築け」「あらゆる情報に敏感であれ」「他人の立場になって考える」といった、今すぐにでもできそうな法則がいくつもあります。
- 著者
- 三木谷 浩史
- 出版日
- 2012-08-02
もちろん、それだけでは終わりません。「考えて行動するのではなく、考えるために行動する」「右脳と左脳のキャッチボールをする」「人生は生から考えるか、死から逆引きで考えるかによって、大きく変わる」など、目次を見るだけでその中身が気になる項目もたくさん見つかります。
しかも、それらすべての成功法則が「楽天の成功」という事実をベースにして書かれているので、説得力も十分です。また、どの項目も簡潔に短くまとめられており、サクサクと読み進められます。
成果を出せずにくすぶっている人、さらなる高みを目指して頑張っている人は、本書の目次を見てまずは自分にもやれそうなこと、気になることから取りくんでみれば、突破口が開けるかもしれません。新しいステージに踏み出したい!そう望んでいる方におすすめです。
本書『競争力』は、三木谷良一との共著となっています。三木谷良一を知らない方もいると思いますが、なんとこの人物は神戸大学名誉教授であり、日本金融学会の会長を務めたこともある世界的経済学者であり、三木谷浩史の父親なのです。
つまり本書は、それぞれ「経済学者」と「起業家」という肩書を持つ父子が、日本経済、教育、政治、規制緩和、イノベーションといった事柄について徹底的に討論する、という対談形式でまとめられた本なのです。
- 著者
- ["三木谷 浩史", "三木谷 良一"]
- 出版日
- 2013-09-05
本書は、あのマイクロソフト創業者であるビル・ゲイツも注目し、2016年に自身のブログ「gatesnotes」にて「この夏の必読書5」という記事の中で取り上げました。
この本で三木谷父子が主に述べているのは、「これからの日本が、よりグローバル化の進む世界において、より発展して勝ち残っていくために必要なものは何か、変えていかなければいけないものは何か」ということです。
内容もさることながら、世の中のことについてお互いが深い見識を持ち、それをベースにやり取りを交わせる親子関係のすばらしさもまた本書の面白さに繋がっています。自身もかなりの論客であったという父が、息子の話を受け止め、受け入れ、その上で自身の考え方もきちんと伝えていく様子に、感銘を受ける読者も少なくないはず……。
父親の三木谷良一は、本書を刊行されたあとも亡くなっています。戦後の日本を知り、日本を代表する経済学者が、現代を見て何を考えていたのかを知ることができるという点でも、貴重な1冊となっています。
楽天という企業は、TBS買収やプロ野球チームの経営に乗り出したり、Jリーグとのパートナーシップ契約を締結したりするなど、さまざまな面で話題にのぼってきました。そのなかでも記憶に新しいのが「社内公用語英語化」です。要するに、楽天の社内では文書も会議もすべてを英語でおこなうことになったのです。
果たして、三木谷浩史はどのような思惑でもって「社内公用語英語化」を実行するにいたったのでしょうか。
- 著者
- 三木谷 浩史
- 出版日
- 2014-10-08
「ルールにぶつかっては異議を唱え、おかしいと思ったルールは書き換えていく」「世界の変化についていくには、絶え間ないルール破りが必要」「世界の最先端を走りつづけるために常に変化が求められる」と、三木谷は考えます。
成功するには、既存の枠にとらわれず、ルールを自ら書き換えることで新しいことを実現していく姿勢が必要だと三木谷は指摘しているのです。たとえば彼がルールを書き換えてきた対象は、「買収」や「インターネット」、「eコマース(電子商取引)」など多岐に渡ります。
それらを1つずつ取りあげ、彼がどう考え、どうルールを破り、その結果楽天がどんな劇的な結果を引き起こしたのかが語られています。
数々のIT企業が立ち上がっては消えていくなか、20年以上にわたってトップをひた走ってきた楽天。その成功の秘密を知ることができる1冊です。
以上、天才起業家のひとり三木谷浩史のおすすめ著書をご紹介しました。かつてはヒルズ族の1人としてもてはやされ、買収騒動や社内公用語英語化など型破りでセンセーショナルな部分ばかりが目立ちがちです。しかし、その裏には深い知識と揺るがない考え、堅実な努力と確かな行動力があることが著書からはうかがえます。成功者の考え方を知りたい人、仕事において壁を打ち破りたいと望んでいる人、自らも起業を志している人など、向上心あふれる方たちにおすすめしたい著者のひとりです。