2017年上半期に1巻が発売された漫画おすすめランキングベスト5!

更新:2021.1.14

おもしろい漫画は、次々と生み出されています。広く話題になってから読むのもいいけれど、話題になる前におもしろい漫画を「目利き」する楽しさもありますよね。けれど毎年数多くの新作が増え、何を読んだらいいか分からない! ……そんなあなたにお送りします。2017年1月から6月まで(上半期)に1巻が発売された漫画のなかから、ホンシェルジュ編集部が厳選の5冊をおすすめしました。

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2017年上半期に1巻が発売された漫画でおすすめランキングを出してみた

ホンシェルジュは、「新しい作品と出会いたいけれど、なにを読んだらいいのか分からない!」という人のためのサービスです。ここを訪れる人のなかには、マンガ好きも数多くいます。

そんなマンガ好きの方々へ、「まだ話が始まったばかりの、これから注目」の作品のなかから、珠玉の5つを選んでみました。編集部総出で数百タイトルのマンガを読み漁り、しかも5タイトルに絞らなければならないという辛いお題。どっぷり深いコアなマンガ好きは自らの目で探せるでしょうから、ちょっぴりライトなマンガ好き層が、このおすすめランキングの対象読者です。

編集部の票や意見をもとにランキング形式にしてはいますが、それぞれジャンルが違うので、「各ジャンルのおすすめNo.1を5冊選んでみた!」と思ってお読みください。

この機会にぜひ新しい世界と出会っていただけることを、願っております。
 

5位.僕は(私は)あの頃、あの人と。『やれたかも委員会』

2017年の上半期に1巻が発売された漫画として、これを紹介しない訳にはいきません。ノスタルジック&ナンセンスエロギャグ漫画『やれたかも委員会』です。

まず、タイトルが秀逸ですね。「やれたかも」という哀愁と希望が交じり合った言葉に加え、「委員会」という清純さや厳格さの言葉が添えられている。

『やれたかも委員会』は「男性におすすめしたい漫画」という位置づけで今回選ばれた作品なのですが、編集部のなかでは、実は女子票もかなり多く獲得しています。

甘酸っぱい思いを抱える「男性」に特におすすめですが、男女関係なくおもしろく読める、新しい境地をうまく見つけだした漫画でしょう。しかし一方で本作は、新しすぎてどう見れば良いのか分からない作品でもあります。果たしてあなたはこの問題作をどう感じるでしょうか。

著者
吉田 貴司
出版日
2017-06-28

作品の世界観としては、とある会議室のような場所に座っている3人の審査員のもとに「迷い彷徨う人々」が訪れるというもの。相談者は証言台のような場所に立ち、その後、審査員に「やれたかもしれない」エピソードを話します。そして、「やれた」、「やれたとはいえない」の判断をしてもらうのです。

多数決の結果、やれたかどうかを決定してもらえるのですが、下世話と笑っていいのか、感動していいのか分からないテンションで話は進んでいきます。

一話一話のタイトル名もまた秀逸です。「干し芋と横たわるあの子」、「焼きそら豆と内もものぬくもり」、「いつかのメリークリスマス」、「『飲んでみ?』なんて君が言うから」などなど。下ネタで笑えるかと思いきや、ちょっとノスタルジックな気分にさせられる雰囲気が伝わるでしょうか?

相談者のエピソードがそれぞれ個性がありおもしろいのですが、しかしほとんどの相談者は、唯一の女性審査員である月満子(つきみちこ)女史に、「やれたとはいえない」と一刀両断されます。女史のリアルな考察で思い出をぶち壊されるのですが、この考察がまた的を射ており、キツい。

それに対して男性審査員はむしろ同胞意識からか、ほぼ「やれた」しか出しません。多数決で「やれた」思い出になった直後、ノスタルジックな気持ちに浸っていただけに、相談者たちは満子女史の辛辣な指摘に哀愁を漂わせます。やり場のない怒りすら覚えてしまうかもしれません。

しかしこの審査の最大の目的は、その記憶を「生きる糧」、「人生の豊穣」として大事にしていくことなのです。そのためには、現実にもどるための厳しい考察も必要です。

審査員のひとり、犠星塾の塾長・能島明は最後にさまざまな言葉のはなむけを送ります。

「『やれたかもしれない夜』は人生の宝です
後生大切になさってください」(『やれたかも委員会』1巻より引用)

まだたまに痛む古傷が、良い思い出として変わる瞬間です。余談ですが、ほとんど「やれた」を出さない女史が「やれた」を出した話の週は、連載されているcakesの読者界隈でザワついた空気が流れていました。

感動? いや、くだらないか? やはりテンションのやり場に困る作品です。

「やれたかもしれない夜」という人生の宝を抱えた方々。大人になったものの、あの頃の少年の心が忘れられない紳士なあなたにも、そして絶賛「やれるかもしれない」瞬間を生きている大学生にも、すべての男性におすすめしたい作品です。

合掌。(やっぱりこの作品をどんなテンションで見届ければいいのか分かりません)

4位.これはキャラ萌えしてしまう! ファンタジー好き女子におすすめな『百年のワルキューレ』

「百年に一度の運命の恋が、世界に戦乱を呼ぶ」

こんなコピーで紹介されるファンタジー×恋愛漫画が『百年のワルキューレ』です。コピーのもつ雰囲気からも分かるように、女子受け要素がふんだんに盛り込まれた作品となっています。

作者・三月薫は雑誌「デザート」で少女漫画を描いていた漫画家。本作はファンタジー漫画としてもおもしろいうえに、作者のバックグラウンドが活かされた恋愛展開と絵柄の美しさも魅力の作品です。

特に恋愛展開は、障害の多い純愛ということで、ふたりを取り巻く環境が過酷であればあるほどストーリーが盛り上がっていきます。

著者
三月 薫
出版日
2017-06-16

世界は「ギフト」と呼ばれる閃光を待ちわびていました。その閃光は「剣乙女(ワルキューレ)」を選ぶために百年ごとに天から落ちてきます。剣乙女は自ら選んだ者に神剣を授けます。神剣によって授けられた力と形は、女性たち(ワルキューレ)によって異なるようですが、その力はあまりに強大なのです。

そんな世界のなか。主人公のニコライはある国の第一皇子でした。しかしワルキューレに神剣を授けられた男ヴィクトルによって家族を殺されてしまいます。ヴィクトルは、90年ものあいだ誰にも神剣を授けることのなかったワルキューレから選ばれたことにより、その力をもって征服を進めていたのでした。

その後、ヴィクトルの気まぐれから命を永らえたニコライ。復讐の炎を絶やすことなく、ともに生き残った弟のアレクセイと生きていくために、クラウスという名に変え、軍人として生きていくこととなりました。そして7年後。

任務で剣乙女を探すため、自国ハイデルブルグから隣国ローレシアにやってきたクラウスは、その途中、雪山のなかを裸で逃げる奴隷の少女と出会います。悲痛な表情で助けを求める彼女に、クラウスは極秘の任務にも関わらず、追っ手たちの前に姿を表し、彼らを追い払います。

この奴隷の少女アーシャこそが、新たに表れたワルキューレなのでした。もともとは奴隷だったこともあり、ハイデルブルグは保護するという名目で彼女の身柄を引き取ります。

しかし彼女を追っていた隣国ローレシアとしては、アーシャを取り戻さねばなりません。そしてこの隣国のトップは、かつてクラウスの家族を皆殺しにしたヴィクトルなのでした。
 

ひとりの少女をとりあって戦うふたつの国。それぞれの国に属するクラウスとヴィクトル。その争いはクラウスの過去の因縁にも関わってきます……。

奴隷だったアーシャと皇子だったクラウスの恋愛展開。身分の差やその他の複雑な要因が絡まって一筋縄ではいかないストーリーが楽しめます。

名作の予感大な、骨太作品です。

3位.結婚に悩む大人女子におすすめ。読んでさらに悩んじゃってください『1122』

生涯未婚率(50歳時点で一度も結婚したことのない人の割合)が、2015年の国勢調査によると男性 23.37%、女性 14.06%となりました。2010年の前回調査による男性 20.14%、女性 10.06%という結果から「急上昇」したことが話題になりました。

未婚者が結婚しない理由の上位は、「適当な相手にめぐり合わない」「結婚資金が足りない」ということでした。

もともと結婚について夢の無い情報が溢れていた現状で、2017年は不倫騒動が多くあり、さらに結婚というものについて考えてしまう人が多かったのではないでしょうか。

そんなあなたにおすすめな漫画が『1122』です。メディアでは結婚できないことばかりが問題になりますが、結婚してからもまだまだ道のりは長いということを感じさせられる作品となっています。

著者
渡辺 ペコ
出版日
2017-05-23

本作の主人公は、結婚7年目を迎えた35歳のいちこ、おとやん夫婦。彼らはレス気味ではあるものの、互いに理解があり、恋愛感情ではないにしても愛し合い、辛い時には支え合っています。

いちこ自身も、他者から見てもいい夫婦だと思うようなふたりなのです。しかし、ふたりはある致命的な約束をしています。

それは、公認不倫。

ある日いちこがセックスを断ったことをきっかけに(それもかなりぞんざいな言葉で)、心が折れてしまったおとやん。そこからいちこの言葉いわく、「うちで生活 そとで恋愛」な日々が始まりました。

外に「好きな人」をつくるおとやん。彼女は「合理的だと思った」と言うのですが、本当にいちこはいろいろと雑なところのある女子です。

しかしもちろん人の心は論理的にだけできている訳ではなく、おとやんが恋人のために結婚記念日の日付をずらそうとして"いちこ"とギクシャクしたり、いちこからのセックスの誘いを断って傷つけてしまったりと、少しずつ不穏な雰囲気が漂っていきます。

いちこはふたりの関係をこう語ります。

「キラキラルンルンの恋愛感情ではない
ムンムンの欲情でもない
静かで 広くて 暗くてよく見えなくて
でもそこにはいろんなものが含まれていて
夜の海にも似ているような

そういうのを 愛とか呼んじゃうのは 
あつかましいでしょうか」(『1122』1巻より引用)

まさにカオス。ひとことでは表しきれない関係性は夫婦というものなのでしょう。

結婚、夫婦というものの複雑さを「公認不倫」という角度から考えた本作。お年頃の大人女子におすすめしたい作品です。(男子にもね)

これを読んだらさらに悩んでしまうかもしれませんが、作品に答えを求めるというのもなんですから、ぜひそのままたくさん悩んじゃってください。この作品に何かヒントがあるのではないでしょうか。

2位.硬派な物語好きなあなたに! 時代漫画の名作の予感『五百年目のマリオン』

舞台は第二次世界大戦中のパリ。そこでひとり、街でみなし子として暮らしているのが15歳のマリオンでした。本作は彼女が過酷な時代を強く生き抜いていく物語です。

あらすじからも分かるように、本作はとても硬派。戦時中の暗い影がところどころで匂わされ、史実に沿って進んでいきます。

そして主人公もまた、朝ドラのように過酷な運命に翻弄されながらもまっすぐ生きる王道タイプ。孤児院で育ち、その後引き取られた場所も未成年の売春宿だったという生い立ちで、そのままパリで露頭に迷うことになってしまったのです。

しかし家なき子でありながらも気位が高く、凛とした性格。過去のトラウマから男嫌いではありますが、普段しなやかな強さが全面に感じられる分、そんな人間らしさが可愛らしくも映ります。

著者
日笠優
出版日
2017-01-20

史実に基づいた戦時中の物語に、朝ドラのようなヒロイン。これらを聞くと地味な物語に思われるかもしれませんが、本作は「演劇」という設定が花を添えています。

実はマリオンは歌うことが好きで、また才能にも恵まれているのです。当初売春宿に売られたのも舞台女優になれるという名目でのことでした。彼女が歌うシーンは作者の画力が存分に活かされたとても華やかなもの。つい見入ってしまいます。

そんななか、マリオンがみなし子となってから1年がすぎたころ。彼女の歌の才能に目をつけた、老舗のミュージックホールで働く作曲家アーロンが近づいてきます。彼はマリオンに、ジャンヌダルクという役で舞台に立ってみないかと誘います。

トラウマから警戒心を抱く彼女でしたが、自分が夢を叶えることは孤児院のみんなを勇気付けることでもあるのだというシスターの言葉を思い出し、自分を奮い立たせました。

そして、マリオンは舞台でジャンヌダルクになることを決めるのです。

しかし戦争の足音は刻一刻と近づいてきており、ドイツの支配の手はデンマーク、ノルウェーにまで及んでいました。しかもアーロンは何か罪悪感を抱いている様子で、ひとりになるとしきりにマリオンへの謝罪の言葉を口にします。

戦争下の暗い時代、周囲の思惑など、さまざまな困難が降りかかるなかでも、マリオンはジャンヌダルクのようにしなやかに運命に立ち向かうことができるのでしょうか。

こちらも今後に期待大な名作の予感がする時代漫画です。

1位.毎日「演じる」ことに疲れたあなたに、『ブタイゼミ』

あなたは日々、何を演じていますか?

この言葉だけ聞くと唐突で意味が分からないかもしれませんが、人は日々「何かを演じている」のではないでしょうか。職場、家族や恋人、友人とのプライベートの場、趣味の場。それぞれで少しずつ周囲に望まれるような言動をするように気をつけている人も多いのではないかと思います。

さらに詳しく言うと、上司として、部下として、母として、父として、子どもとして、親友として、その場で決められたポジションで、ふさわしい言葉を行動をしてしまうことはよくあることかもしれません。それは相手のためだったり、単に楽だからだったり、その場が円滑に回るからだったり。

著者
みかわ 絵子
出版日
2017-03-07

そんな私たちの日常に本作のヒロイン、今日子は疑問を投げかけてきます。

「何て言ったらいいんだろ…
時間!! 限られてるの時間って
皆それに気付いてなくて
毎日を全力で生きなきゃいけないんだけど」(『ブタイゼミ』1巻より引用)

彼女はまるでセミのように、ただ、生きています。生命力という光を発して、メッセージ性など考えず。しかし、だからこそ彼女を見ると何か意味を受け取られずにはいられません。

そんな今日子ですが、彼女こそが演技の申し子であり、演じるということに取り憑かれた女性でもあるのです。

本作はボーイミーツガールのストーリー。読者は主人公の千石とともに、彼女の生命力に惹かれ、物語に引き込まれていきます。

何かを演じることに疲れたら、ただ演じ、生きている、しかし何か秘密を抱えている今日子に影響されるのもいいかもしれません。

演じる、日々生活する、生きることに対して考えさせられる力作です。

『ブタイゼミ』については<傑作演劇漫画『ブタイゼミ』を知っていますか?>で詳しく紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。

5選いかがでしたでしょうか? あなたの好みの漫画はありましたか?

ぜひこの選書を参考に新しい世界と出会っていただければ幸いです。今後、下半期も選書予定なのでそちらもお見逃しなく!