尾崎豊を知るおすすめの本5選!今でも多くの人の心に残る青春の歌

更新:2021.11.9

いわずと知れた天才歌手・尾崎豊。彼に影響を受けた人物が書いたおすすめの本をご紹介します。

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尾崎豊とは

メッセージ性の強い歌詞と精力的な活動で、多くの若者のカリスマ的存在となった尾崎豊。26歳で突如この世を去りました。死後20年以上経っても多くの人から支持を受ける、言わずと知れた日本を代表する歌手のひとりです。

1983年、高校在学中の18歳でCDデビュー。彼の歌う曲には、社会への反骨心や反支配をテーマにしたものが多く、それは閉塞的になっていた若者の心の支えとなり、瞬く間にカリスマ的な人気となりました。

音楽チャートでは1位、ツアーは常に満員など順風満帆のように見えましたが、その後精神的な不調に苦しみ無期限の活動休止に。大規模なツアー開催やプライベートでの結婚など、1度は復帰を果たすものの、再び精神的に追い詰められていきました。

復活を目指しながらも思うようにいかない日々に苦しんだ彼は、覚せい剤に手を出し、26歳で突然亡くなります。太く短い人生は、世の中に強烈なインパクトを与えました。彼の残した力強い若者像は、現代を生きる私たちも学ぶべき点が数多くあることでしょう。

兄が見つめる尾崎豊の人生

若者のカリスマとして世間の注目を集めていた弟を、兄はどのような目で見つめていたのでしょうか?家族にしかわからない尾崎豊の姿を、1番身近な視点から記しています。

著者は、尾崎が世間で脚光を浴びていた絶頂期には、あまり話をしていなかったそう。しかし苦しい時期を迎えると、時々連絡が来て、その心の内を聞いていたといいます。

著者
尾崎 康
出版日

家族写真が冒頭に登場するなど、ファンからの関心が高い作品です。尾崎豊が家族にしか見せなかった一面と、残された家族の視点が細やかに描写されています。弟を陰ながら支えてきた兄が、「死」という悲しい現実と向き合い、できる限りの真実を綴ろうとする姿勢が表れているのです。

尾崎豊の人生を振り返った一冊。彼が家族に残した最後の言葉には、おもわず涙を誘われてしまいます。

生前の言葉を詰め込んだ一冊

デビュー直後のインタビュー、生い立ちを振り返ったインタビュー、覚せい剤所持事件から釈放された2日後のインタビュー……彼の死後10年が経って初めて公開された、インタビュー集です。

彼は若者からの注目を集めていた一方で、反社会の姿勢に対する痛烈な批判も受けていました。しかしそのような言葉に臆することなく、自らの考えや想いをはっきりと言い切っています。決して一過性のものではない、力強い気持ちがそこにはありました。

再会 尾崎豊

尾崎豊
ロッキングオン

激しい思想や言動をピックアップされがちな尾崎ですが、実際は繊細な心の持ち主で、社会のなかでの自分を強く意識していたことが分かります。多くの理解を得ようとしたのではなく、ただありのままの自分を表現したかったのかもしれません。

尾崎の生の言葉が凝縮された本作は、人生に迷ってしまったときに私たちを前へと進めてくれる力を秘めています。クールな写真とともに、熱い魂が心を揺さぶる一冊です。

謎の死の真相に迫る 

自殺か、他殺か……いまでも謎が多い尾崎豊の最期。その実態を、彼のマネージャーを務めていた大楽光太郎がひも解いていきます。

天才シンガーの死は、大勢の人に影響を与えましたが、それは彼と親交の深い人物に対しても例外ではありませんでした。突然死の真相を迫られ、大楽と尾崎の兄・康は、精神的な負担を強いられることになり、ついには2人とも仕事を辞めてしまいます。

それは、尾崎が亡くなる直前に苦しんでいた姿を知っていたからでもありました。親しい関係にあった大楽の目には、もがく尾崎の姿が映っていました。

著者
大楽 光太郎
出版日

全5章で構成された本作。どれもかなり踏み込んだところまで記述されており、苦悩の裏側が明らかにされています。しかし、決して穏やかとはいえない日常もあり、真実とは思いたくないエピソードも多いのが事実です。

ミステリーのような要素を含みながら彼の晩年を追い、私たちのさまざまな思惑を裏切っています。心のなかで生き続ける彼に近づくことができる一冊。閉ざされた歴史の扉を開いて、その向こう側に進んでみてはいかがでしょうか?

尾崎豊と著者の歩みを振り返る

音楽プロデューサーとして尾崎豊の才能を見出した須藤晃。もっとも近くで尾崎の音楽活動を見守ってきた彼が、尾崎との出会い、レコーディングの裏側など、貴重な姿を振り返ります。

尾崎がレコード会社を移籍し、須藤との関係は遠ざかったように見えましたが、それでも2人の親交は完全には途切れませんでした。迷走ともいえる時期を進んでいく尾崎を、須藤はどのように見つめていたのでしょうか?そこには、腹の底でうごめく複雑な感情がありました。

著者
須藤 晃
出版日
1997-12-01

プロデューサーの視点から、「歌手・尾崎豊」を見つめた本作。苦しむ尾崎を受け入れて、ともに歩んでいく姿を示す須藤の姿が印象的です。

天才と呼ばれる尾崎の、複雑で繊細な頭のなかに必死で食らいつく第2章の対話は、まさに彼らの関係性を表しているといえるでしょう。

尾崎の死後、須藤も失意の底に沈みますが、最期に残した「鎮魂歌」に想いが詰め込まれています。「尾崎が生きていたら……」という諦念にかられながらも、前を向き必死に彼の姿を追った一冊です。

尾崎豊をとおして新旧の若者の心の内を照らす

社会への批評を歌詞に込めて、自分の想いを伝えようとした尾崎豊。彼の姿は、当時の若者たちの心に克明に刻まれました。彼が目指していた姿を、彼の書いた歌詞や若者たちの言葉から探っていきます。

失望や諦めなど、一見すると負の要素が目立つこともある彼の歌詞ですが、読み取っていくとその裏側には強く生きていくためのヒントが隠されていました。それは、現代の日本人がもっとも必要とするべきことなのかもしれません。若者が社会を変える可能性を秘めていることを暗示しています。

著者
瀬川 正仁
出版日
2010-07-13

大切なのは、尾崎豊のすべてを見つめることなのだと気づかされるでしょう。派手さが目立つ歌詞の本質と、等身大の若者たちに刺さった言葉を辿っていく本作。平凡で淡々と続いていく日常への警鐘が、頭のなかで鳴り響きます。

これから激動の時代を迎えるであろう若者に手にしてもらいたい、彼の魂が乗り移った一冊です。

時代を颯爽と駆け抜けて消えていった尾崎豊。彼を追いかけた先に、新たな時代の扉が待っているのかもしれません。あなたの手でこじ開けてみてはいかがでしょうか?

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