世界をまたにかけ、巨額の富を築いている大富豪、ロックフェラー一族。石油王にはじまり、政治経済界に名をはせる一族の面々を、書籍の紹介から掘り下げていきます。実は彼らの富は、意外な教えから生まれていました。
ロックフェラーは、アメリカを拠点とした名門一族です。石油王のジョン・ロックフェラーを起点として、銀行を創設したウィリアム、アメリカ合衆国副大統領を務めたネルソンなど、アメリカだけでなく世界を牛耳る人物もいます。
ボート選手としてオリンピック金メダルを獲得した人や民俗学者など、分野の違う世界で活躍した人物も有名ですし、慈善家として社会貢献に励んでいる人もいます。
彼らの間で語り継がれている数々の社会貢献への意識の強さや、慈しみの心は、全てキリスト教の教えにならったものです。
初代ロックフェラーの母が敬虔なキリスト教徒だったところから、変わらない一族の理念となっています。
一族は、資産を使ってシカゴ大学やロックフェラー大学の創設に寄与しました。さらに、世界各地で集めた美術品をメトロポリタン美術館に寄贈するなど、文化の発展に繋がる活動も怠りません。
お金のためにお金を使っていない所が、彼ららしいところと言えます。
初代ロックフェラーが巨万の富を築いたからか、息子たちは実は金儲けや資本主義に対して懐疑的であった、ということが囁かれています。
どのような形でも、そんな自らの意志に基づいて歩んだ人生が、一族の経歴をより華やかにしていった所も目が離せません。
『ロックフェラー回顧録』の著者でもあるデイヴィッド・ロックフェラーは、銀行マンとして働きながら世界各地の権力者と対談し、「世界を一つにする」という目標を掲げてきました。
その力は政治界も巻き込みながら巨大になり、「世界皇帝」とささやかれるほどの実力を手にしてからこの世を去りました。
一族の意外な一面が、子だくさんかつ長寿であることです。ロックフェラー家はだいたい子どもが4~6人おり、ジェームズやデイヴィッドは100歳を越える人生をまっとうしました。
健康に気を遣っているからこそ実現できることかもしれませんね。
ジョン・ロックフェラーは、なんと5歳のころに父親に利子付きでお金を貸し、6歳で帳簿係として職場に勤め始めたそうです。天性のビジネスマン気質があり、かつ聡明な子供であったことが伺えますね。
創始者ジョンから共通した一族のお金に対する姿勢は、「常に溺れず、踊らされない」というものです。
ジョンも「快楽に溺れるほどつまらない人生はない」という格言を残していますが、彼らにとってお金はより崇高な目標を達成するためのツールでしかなかったのでしょう。
ロックフェラー一族の生きざまと影響力が淡々と描かれた傑作です。
現存するデイヴィッド・ロックフェラー自らが語る、ー家の仕事、家庭環境、そして世界中を見据えた視線が興味深く読めます。
- 著者
- デイヴィッド ロックフェラー
- 出版日
- 2007-10-01
「大富豪である」という印象は大きいものですが、ロックフェラー一族が具体的に何をしたのか、どういった人間たちで構成された一家であったのかということは、意外と知らない方が多いのではないでしょうか。
本書は、一族の1人であるデイヴィットが見た一族の全てを描いています。彼らが成し遂げた偉業の詳細はもちろんですが、興味深いのは家庭環境についてです。
父親が巨額の富を築いたことで、そこに生まれた息子たちは、たとえば金以外の名誉や天命に価値を見出すようになります。それが、政治界への進出や慈善事業といった形に浮き出ていくのです。また、さらにその後生まれた世代はスポーツ選手や民俗学者など、幅広い活躍を見せていきます。
そのどれもが「金」という価値と、世界的影響力を携えた親への反抗心によって芽生えていくというところが、なんとも運命を感じさせます。
ロックフェラー家がいかに成功してきたかを、格言を通じて読める一冊です。
一言一言が重みをもって現代の私たちに訴えかけてきてくれます。「お金の教え」というタイトルですが、人生論のようなメッセージを多く読むことができます。
- 著者
- ジョン・D・ロックフェラー
- 出版日
- 2016-06-20
お金は常に誠実な姿勢や努力から生まれてくるのだ、ということをあらためて読者に痛感させる一冊です。一族は、ありあまる資産があってなお、その資産に甘んじて楽をしようなどとはこれっぽっちも考えていませんでした。
たとえば、「失敗を成功に変える努力をする」という考え方が載っています。失敗が自然に成功に繋がる、なんて彼らは考えていません。そこには「努力」が必要なのです。
また、「業や職を選ぶときは『自分はどこでなら世の中に一番貢献できるだろうか』と考える」という一文も魅力的。自分本位の「〇〇をしたい」「〇〇のように生きたい」という視点ではなく、社会という器の中でどのように貢献するかという視点なのです。
こういった考え方と、その教えを忠実に守った子どもたちによって築かれた功績が、まさにロックフェラー一族そのものなのです。
一族の歴史を作り上げた初代ロックフェラーは、敬虔なキリスト教徒であったことでも有名です。そんな彼が仕事に対して貫いたポリシーは、宗教の教えによるものでした。
現代のビジネス論とは一味違った、世界有数の大富豪を作り上げた儲け論を読むことができます。
- 著者
- イ チェユン
- 出版日
本書では、ー家が築いた富を用いて「いかに国際的な社会貢献活動をしてきたか」という部分に焦点をあてています。
かの有名なシカゴ大学など、学問を推し進める教育機関の創設をはじめ、美術館への貢献などの文化発展に対する意識も高かったロックフェラー一族。
その根幹にあったのは、母から伝え聞いたキリスト教の教えです。「什一献金」と呼ばれる自身の生産したものの10%を献金せよという考え方を、ロックフェラーは守り続けました。彼らに共通しているのは、自身の資金を守るのではなく、宗教の教えを継ぐことや世界の発展を願って投資していくということです。
お金に執着せず、一貫した考えを持っているからこそ、お金が集まってくるのかもしれませんね。
世界をまたにかけていたロックフェラー。では、日本との関係はどういったものだったのでしょうか。
実は、一族は日本との交流を積極的に行っていた歴史が残っています。本書は、日米交流を振り返る一冊です。
- 著者
- 加藤 幹雄
- 出版日
- 2015-12-23
戦後の日本は多くのものを失い、ゼロからのスタートが必要な状態でした。ジョン・ディヴィソン・ロックフェラーは日本の再建に対して前向きに動き、日米間を取り持つ存在となりました。
特に、日本の文化を守ることやアーティストの育成に関して彼は強く感心を抱き、ボランティアの一貫として日本に関係を持ち続けています。
ロックフェラーの視点から見た日本の価値、文化の将来性などを読むことで、それらについて改めて考え直すことができます。著者の加藤幹雄は、実際にロックフェラーを見てきた立場からつぶさにその群像劇を描いており、読み物としても大変面白い作品に仕上がっています。
世界有数の大富豪であるロックフェラー一族。その貢献は、実はお金儲けとは少し違った形で多くの人々に富をもたらしました。
独自の理念に基づいて築き上げてきたその富について深く知りたい方は、ぜひ本を手に取ってみてください。経営者の方やこれから起業しようという方には特に読んでほしい本ばかりです。