イーロン・マスクを知っていますか?アメリカでも類を見ない起業家であり、成功を手にした実業家です。これから「地球を救う」かもしれない、今まさに注目すべき彼の本を、半生とともにご紹介します!
あなたは「イーロン・マスク」という人物をご存知でしょうか?彼の名前を聞いたことがなくても、PayPalやテスラモーターズ、スペースXという会社の名前は聞いたことがある、という方は少なくないと思います。彼は、アメリカでいくつもの有名企業の創設や運営に携わり、日々その動向が注目されている、世界屈指の起業家です。
イーロンは1971年6月28日に、南アフリカ共和国のプレトリアで生まれました。父親はイギリスとアメリカをルーツにもつ南アフリカ人、母親はカナダ人です。
幼いころからコンピュータを操作していたイーロンは、独学でプログラミングを習得しました。なんと12歳でBlasterというシューティングゲームを開発し、これを販売することでお小遣いを稼いでいたといいます。
高校を卒業するころには、アメリカへの移住を夢見るようになります。「あの国では、自分の力次第ですごいことがやれる」という、まさにアメリカンドリームを抱いたのです。
カナダ国籍を持っていたイーロンは母親の親戚を頼り、1989年にカナダに移住します。この時18歳でしたが、移住してしばらくは親戚の小麦農場や、野菜畑で働いていました。その後ペンシルベニア大学に入学し、夢だったアメリカでの暮らしが始まります。
大学卒業後はスタンフォード大学の大学院へ進学しますが、わずか2日で休学し、そのまま退学してしまいます。
ちょうどこの頃、アメリカではインターネットの普及が急速に進んでいました。世界中がコンピュータでつながり、インターネットに関係するベンチャー企業が増えてきていた時期です。イーロンも、インターネットの持つ可能性に強く惹かれていました。好機を見逃さなかった彼は、大学で勉強を続けるのではなく、自らインターネット関連会社をつくるという決断に至ったのです。
Zip2社
24歳の時、大学院をやめた後に弟と創業した会社です。アメリカの新聞社などのコンテンツをネット配信するサービスを提供していました。インターネットの普及とともに事業は拡大し、4年後には大手コンピューター販売のCompaq社に買収されます。28歳で経営者から身を引きますが、このとき得た巨額の資産をもとに次のX.com社を立ち上げました。
X.com社(のちのPayPal社)
PayPal社はインターネットショッピングの決済をオンラインでおこなうことができるシステムを提供している会社です。日本でも徐々に使用できるサイトや店舗が増えてきており、PayPalの文字の入ったブルーのロゴもよく見かけるようになりました。
1999年にPayPal社の前身となるX.com社を立ち上げます。当初はEメールで決済をする会社として設立されたのですが、同時期にオンライン決済サービスの運営をしていたConfinity社とライバル関係になり、激しくしのぎを削りました。
一時経営困難な時期がありましたが、最終的にConfinity社と合併することで、オンライン決済を中心とする現在のPayPal社ができあがります。今やPayPalは世界最大のオンライン決済システムになっています。
スペースX社
ロケットの製造開発を行っている会社で、2002年にイーロンによって起業されました。
部品の開発を自社でおこなうことなどで、低コストのロケット開発をしています。当初は数ある宇宙ベンチャー企業のひとつでしたが、2006年には国際宇宙ステーションへ物資を補給するための、打ちあげ機の設計などをNASAから任されるなど、他社と一線を画した実力を見せるようになりました。
その後も民間企業ながら多数のロケット打ちあげに成功し、経営を拡大しています。
テスラモーターズ社
こちらは彼が投資をした、電気自動車のメーカーです。
電気自動車の会社として一時経営難だったテスラに可能性を見出したイーロンは、巨額の投資をおこない、自ら会長に就任。倒産寸前だった会社を上場させ、見事再建を果たしました。テスラ社は新しいモデルの電気自動車の発表や、新世代の電気自動車用バッテリーの開発などを続けています。
ソーラーシティ社
2006年にイーロンと、そのいとこであるリンドン・リーブとともに起業しました。
「ソーラー」という社名からもわかる通り、太陽光発電の会社です。これまでより実用的な太陽光発電をめざし、技術的な革新を続けています。2016年には、屋根に太陽光発電のパネルを取り付けるのではなく、発電パネル自体を屋根にする「ソーラールーフ」を発表しました。
イーロン・マスクが創業、経営する数々の会社は一見ばらばらで、統一感のないように思われます。時には車、また時には宇宙開発……彼は何のためにこれらの会社を運営しているのでしょうか?
その行動はすべて、彼の目標のもとに成り立っています。目標は大きく分けてふたつあり、①地球環境の悪化を防ぎ、②地球以外の惑星で人類にとって新しい居住地を探索することです。つまり、大げさではなく「人類を救う」「地球を救う」というとてつもなく大きな夢があるのです。
そのために彼は、環境負荷の少ない電気自動車や再生可能エネルギー事業に積極的に着手しています。また従来よりも安くロケットを打ちあげる方法を開発することで、宇宙空間を少しずつ身近なものにしようとしているのです。
「人類の火星への移住」も夢見ているイーロン。まるで幻想のようにも聞こえますが、これまでの彼の行動力や実績をみると、「イーロンならやってくれるかもしれない!」と思わずにはいられないでしょう。
グーグル創業者、ラリー・ペイジですら「財産を残すとしたら、この男に贈る。彼なら未来を変えられるからだ」と、彼に大変な期待を寄せています。
世界中の企業や経済界がこぞって彼の動向に注目し続けている理由が、おわかりいただけたでしょうか?
本書はイーロン・マスク初となる公認の伝記です。彼の半生やこれからのビジョンを知るには最適の一冊となっています。
- 著者
- アシュリー・バンス
- 出版日
- 2015-09-16
少年時代の思い出から初めての起業、X.com社をはじめとする数々の会社設立、そしてこれからの野望……イーロン・マスクの半生すべてがわかるといっても過言ではない一冊です。
特に、彼がこれからの世界で何を目指すのかが語られる後半の章は、身震いするような勢いがあります。アメリカン・ドリームを地でいく彼のエネルギッシュな人生は、読者にも前進するための勇気を与えてくれるでしょう。
経営者、CEOとしてのイーロン・マスクについて知りたければ、本書がおすすめです。著者はビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズ、松下幸之助などの経営者をテーマにした本を多く執筆しています。
- 著者
- 竹内 一正
- 出版日
- 2015-02-19
イーロンのCEOとしての実態が描かれている本です。なかでも宇宙開発をおこなうスペースX社に関する内容が目を引きます。
本書の見どころは、経営者としての面だけでなく、これからの企業のあり方に関しても考えさせられるところでしょう。「自分の会社が大きくなればいい」ではなく、「企業の成果を人類共通の財産としてとらえ、人類のため、地球のためになることをする」という発想は、現在の日本ではあまりみられない考え方かもしれません。
本書を読むと、イーロン・マスクのような人物の登場が歴史を変えていくのだと気づかされるでしょう。
イーロン・マスクという人物を大まかにおさらいしたいなら、こちらの本はいかがでしょうか?彼のこれまでの実績や、これから期待される活躍について読みやすくまとめられている新書です。
- 著者
- 桑原 晃弥
- 出版日
- 2014-11-22
人類、はたまた地球を救うことを目標としているイーロン。そのためにいくつもの会社を経営し、夢を現実にしようとする彼の戦略は、まさに宇宙レベルといっても過言ではないでしょう。
壮大すぎる夢を夢のままで終わらせず、チャレンジを恐れない姿勢は、自分自身の生き方を見直すきっかけにもなります。 新しいことをやってみたい人や起業を考える人にぜひとも読んでいただきたい一冊です。
イーロンの生き方に興味がある方にはこちらの一冊もおすすめです。
- 著者
- 竹内一正
- 出版日
- 2016-11-07
全8章からなり、最後には彼の年譜も載っています。
結果だけ見ればお手本のような起業家、成功を収めた経営者という面に目を奪われがちですが、そこに至るまでは相当な苦難も乗り越えてきています。
本書を読むとよくわかりますが、彼は失敗も多々経験しているのです。普通の人なら、「もうだめだ、傷が深くなる前に諦めよう」となるところでも、彼は諦めませんでした。
現在の成功はその失敗のうえで成り立っているということが、本書を通して痛感できるでしょう。
大学生だったとき、イーロンは「これからの人類に重要なのは、インターネット、クリーンエネルギー、そして宇宙だ」と考えていたそうです。
起業家・経営者として成功した今、この発言を振り返ると、彼は学生時代に感じとったものをそのまま現実に反映していることがわかります。強い信念と思いがあり、またそれを実現させるための能力と手腕をもった彼は、天才と呼ぶにふさわしい人物でしょう。
今後もイーロン・マスクの活躍からは目が離せません。