足利義満の意外な5つのエピソード!金閣寺を建設し室町時代最盛期を築いた男

更新:2021.11.9

足利家3代目の将軍として南北朝時代からの朝廷との争いに終止符を打った足利義満。勢力争いを制した室町幕府の象徴の如く金閣寺を建立しました。武士から公家、さらには天皇の地位まで狙っていた彼は、いったいどんな人物なのでしょうか。

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武士であり、公家であり、野心家だった足利義満

足利義満は1358年に足利義詮の嫡男として生まれ、足利家3代目の将軍になります。祖父は室町幕府を創始した足利尊氏です。 

主な功績として、南北朝合一を実現して58年間続いた朝廷との争いを終結に導き、守護大名を抑えて幕府の権力を世に示したことが挙げられます。金閣寺を建立したことでもよく知られています。

武士から公家社会に通じ、明の国からは日本国王とまで言われた将軍・義満ですが、国内の酷評のなか、苦難の人生を歩みました。

足利義満にまつわるエピソード

1:家臣もびっくり!義満少年の大胆発言 

南朝の争いで京を離れていた幼少時代の義満は京に戻るときに、「ここの景色は美しいから持って帰ろう」と言い、家臣たちに「お前たちが担いで帰れ」と話したと伝えられています。 

子供らしい発想なのか大人のような気の利いたジョークなのか、さだかではありませんが、なかなかの大物発言で周りのものを驚かせました。

2:日本で最初の酒税を課した 

義満は日本で初めて酒税を課しました。ツボひとつで200文の税金が掛けられたそうですが、今のお金で2万円くらいですので相当な額になります。

幕府設立から30年くらい経っていましたが、反乱の鎮圧などに軍事費が掛かり過ぎたので、彼は酒に目をつけて税金をかけたのでした。

3:天皇を自殺未遂まで追い込んだ?!

義満はその才能と性格から、北朝第5代天皇にあたる後円融天皇を自殺未遂にまで追い込んでしまったことがありました。

多才溢れる義満は雅楽の楽器である笙(しょう)の名手でしたが、後円融天皇は自分より上手く奏でる義満に嫉妬しており、人としても好ましく思っていませんでした。

お妃の藤原厳子が出産を終えて宮中に戻った時に義満との密通があったのではと疑い、彼女を殴ってしまったり、愛妾の関係だった按察局(あぜちのつぼね)も密通を疑い内裏(だいり)から追い出してして出家させたりするなど、後円融天皇は荒れ放題でした。

義満は人を通じて上皇に相談しようとしましたが、後円融天皇はそれを知ると流罪にされるのを怖れて持仏堂で切腹未遂の騒ぎを起こしてしまいます。

ちなみに厳子と按察局が義満と実際に関係があったかは定かではありません。 

4:中国との貿易で超金持ち 

この頃の中国は明という国名で、義満は積極的に貿易をおこない日明貿易として多額の利益を得ていました。

中国は日常的に銅不足が悩みだったので日本の銅は重宝されました。また、銅には少し銀が混ざっていたので高値で取引されたのです。

日本は銅から銀を取り出す技術はなかったので、銅が高値で売れるのは都合が良かったため、この貿易は双方にとって有益なものでした。

5:義満は暗殺されたのか?

義満は天皇家の乗っ取りを企んでいましたが、それを果たす前に突然死したといわれています。当然ながら、その死には暗殺説が噂されているのです。

犯人は義満に寵愛された能の世界の美少年・世阿弥とか、自分の地位の失墜や生命の危険を感じていた家臣たちだとか、さまざまな推測がされています。

足利義満が建設した金閣寺。金箔にまつわる秘密とは?

金閣寺の金箔の秘密 その①

金閣寺の金箔は約20kgと言われ、昭和の大修復の時には金箔だけで約2000万円の費用が掛かったといわれます。

義満が金閣寺を金箔で飾ったのは権力の象徴といわれ、織田信長が討ち取った浅井長政の頭蓋骨を金色に塗り髑髏杯として披露したり、豊臣秀吉が金の茶室を建てたりしたことと同じような意味あいだったと考えられているのです。

また、極楽浄土は金色の世界であると平安時代や鎌倉時代には考えられていたため、その影響だったという説もあります。

金閣寺の金箔の秘密 その②

金閣寺の金箔には、もうひとつ意味があるといわれています。なんとそれは、義満の公家への嫌がらせの行為だったのです。

きらびやかな金閣寺の装飾ですが、金箔は一階には貼っていません。もちろん、貼り忘れや資金不足ではありません。

1階は寝殿造りという様式で公家や平安貴族たちの住居の形です。2階は武家造り、3階は仏殿造りになっており、すなわち公家や平安貴族を下に見ているという義満のメッセージだったのです。3階は明(中国)の禅宗様式であり、明と親交の深い義満の敬意を示したものでした。
 

皇位簒奪は本意なのか。足利義満の見つめる先はどこにあったのか?

武士から公家になり、死後は皇位にまでついた足利義満。皇位簒奪(こういさんだつ)、屈辱外交といわれ周囲から悪評が絶えませんでしたが、本当に義満は天皇家に代わり自らが覇権を手にしようと思っていたのでしょうか。 

さまざまな資料を検証しながら、俗説にとらわれず、義満の真の思いはどこにあったのかを探っていきます。教養に満ちた足利家3代目の将軍は単純に野心だけで天皇家と関わっていたわけではありませんでした。

本書では公武に君臨した義満の真の姿を追求しています。 
 

著者
小川 剛生
出版日
2012-08-24

武士は公家を守る存在だった時代に義満の選んだ道は過酷であり、国内からは厳しい批判をされます。 公武の争いは長きに渡り続きましたが、その争いを一度治めた男はさらに次の策を練っており、常に遠くをみていた印象をこの作品から感じられるでしょう。

本書では、俗説と違う義満像を追いかけていきますが、そこには彼の教養に裏付けされた考えがあったと筆者は語ります。

野心家である義満を描く作者も多く、一般的には天皇の地位を乗っ取ろうとしたイメージが強いのですが、むしろ先見の眼差しで未来を見ていた義満の姿が本書では書かれています。

足利義満の野望をテーマに日本の天皇制度を考えさせる作品

天皇の地位を奪う野望を企む足利義満という視点で書かれた作品です。天皇に対して血統的なコンプレックスはまったくなく、己の野心に忠実に活動をして、着々と皇位簒奪の機会を狙いますが突然の死により、その思いは叶わなくなります。 

本書の冒頭に、作家・松本清張の「実力のある武士がなぜ天皇にならなかったのか」という問いを掲げており、その問いに答える形で話が始まります。

著者
今谷 明
出版日
1990-07-01

歴史書のひとつの面白みは、それぞれの作者がいろんな観点で検証していくところにありますが、この作品では皇位簒奪を企てる義満の陰謀をテーマにしており、作者の考え方や裏づけの資料とともに話が展開していきます。

また、義満の話に終始せず、天皇家の存在や存続、皇位などについても触れており、日本の国にとって天皇の存在とは何かと考えさせられるような内容になっています。1990年に発刊され、賛否両論の評価のなか、話題になった一冊です。

これぞ歴史小説!世阿弥との切なき恋心も描いた平岩弓枝作品としての義満像

作家・平岩弓枝の長編歴史小説です。天皇の地位を狙う義満を描きますが、生涯もち続けた乳母への切ない思い、世阿弥、三宝院満済との男性同士の愛の物語、北山文化への描写もあり、女流作家らしい繊細なタッチや視点で物語が展開します。

能に生きる美しい少年、世阿弥とのアブノーマルな愛と乳母である玉子へのプラトニックな思いなど、平岩作品のなかの義満は時には荒々しく、時には純粋な心の一面をみせる孤独な男であり、その切なさが主役としての魅力を引き出します。

著者
平岩 弓枝
出版日
2003-10-11

歴史ものとしてだけではなく、全体的に人間ドラマとしても深みのある作品に仕上がっています。

全編において、美しさを意識しており、読み手の気持ちをしっかり掴むような構成です。歴史ものは男性が読むイメージもありますが、登場人物の魅力や繊細な文章表現など女性が楽しめる歴史小説となっています。

もちろん、男性が読んでも面白いことは間違いありませんが、女性と男性により感想が大きく変わりそうな雰囲気をもつ作品でしょう。

誰が足利義満を殺したのか?歴史に秘めたミステリーな展開

足利義満だけでなく、太平記の主役である祖父の尊氏についても書かれた一冊であり、南北朝時代についても、わかりやすく面白く説明されています。

戦乱の世を描いた本がなぜ太平記という書名なのか、後醍醐天皇の遺言の秘密、金閣寺に隠された義満暗殺の謎など推理小説やサスペンスドラマのように話が展開していきます。歴史は難しいというイメージのある方にも読みやすく楽しみやすい作品です。

著者
井沢 元彦
出版日
1998-03-01

ミステリー作品のような切り口は、作者のセンスが活きていて読み手をしっかりと楽しませようとする意図がしっかり伝わってきます。『逆説の日本史』の作者である井沢元彦の作品であるだけに独特な世界観を表現しています。

歴史を正面から捉えるというより、遊び心のある本なので、義満や尊氏に興味を持ち始めた人や歴史ものを読み尽くした人にも楽しんでもらいたい一冊です。 

武士から公家、天皇の地位まで狙っていたと言われる男・足利義満。その真偽は定かではありませんが、歴史の中で南北朝や室町の時代は戦国時代や明治維新と違った浪漫のようなものがあり魅力的です、当時の京都の街を思い浮かべながら義満の物語を読むのも、なかなか素敵な時間になりそうですね。

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