吉本ばななさんの物語からは、希望を感じることができて気持ちが明るくなります。その明るさは無理なものじゃないので、読んでいる私も安心して進んでいくことができました。そして登場する女の人たちの姿からは、それぞれの事情を抱えながらも向き合って進んでいく強さを見ることができます。本を読んで励まされるってこういうことだなぁと思いました。自分の友達とか、ホンシェルジュを見てくださっている皆さんにもお勧めしたい5冊です。
窓ガラスが湯気で曇っていたこと、スプーンが皿にあたる音、そんな些細な事まで覚えているもので、そんな些細な記憶がきっかけで他の思い出まで引き出されることってある。失恋での落ち込みっぷりが半端じゃない「私」がふるさとに帰って、人と関わりながら癒されていくんですが、読んでる方も一緒に癒されます。そしてその道筋がとてもさり気なく、時間が流れていくのと同じ速さでものごとが進んでいく感じに、とてもホッとすることができました。赤いダウンの「大丈夫な人」みつるくんの存在がとても頼もしくて、あぁこんな人っているなぁと思いました。
- 著者
- よしもと ばなな
- 出版日
- 2006-06-28
現実にもあり得るストーリーながらも、ファンタジーの雰囲気を纏って感じられるお話達の短編集。子供の頃の経験から、人は抜け出すことができるのかと考えることがあります。小さい頃、身近な人間の悲惨な死を、間近に見る経験をした「とかげ」と似た境遇のその恋人「私」の物語。終わるはずがないと思っていた暗くて閉塞した状態が、終わる。ガラスケースの中に入った植物たちが助け合うように伸びていく先のない気分も、新しいたった一言で変わったりもする。そんな希望に共感しました。
- 著者
- 吉本 ばなな
- 出版日
- 1996-05-29
作家さんのエッセイを読むのが好きです。素敵な物語を書く人の日常に触れることができる。そしてやっぱり、ぐっとくる話をしてくれています。「子供の頃、あるように思えた無限の可能性は失ってしまっても、ずっと毎日やってきたことが、ちゃんと心や頭に残るから、大人になるっていいことだなあと思う」確かにそうだよなあ、毎日を、頑張ろうと思う。S・キングを愛しているらしい。好きな人の好きな物はやっぱり気になる。私もS・キングを、読んでみようと思う。
- 著者
- 吉本 ばなな
- 出版日
絶対的に美しい人というのが物語には度々出てきます。目で見た美しさではないのでいっそう、自分の中での理想的な美しさを想像しながら読んでしまう。逆に言えば何も見てはいないのにこの人は美しいのだと信じ込まされてしまうのが不思議です。そんな美しいゆきのさんと妹、弥生のお話。2人の間に隠れていた事情が明らかになっていって、全てがあるべきところに整備されていく。事実は気楽なものではないけれど弥生の言う、知らなくていいことなんてひとつもないんだという台詞が、現実に向き合っていく強さとして響きました。
- 著者
- 吉本 ばなな
- 出版日
いくつもの、それぞれの、さきちゃん達の夜。短編集なのですが、さきちゃん達の共通点は女の子であることと今の世の中を生きていること。「癒しの豆スープ」に出てくる豆スープを本当に美味しいのだと思う、文章でしか存在していないはずの食べ物を本当に美味しいと思うなんて変だけど。それぞれの事情を抱えたさきちゃん達の中に自分の姿を見た様な気がします。そして進んでいくさきちゃん達からは、力をもらいました。
- 著者
- よしもと ばなな
- 出版日
- 2015-08-28
本と音楽
バンドマンやソロ・アーティスト、民族楽器奏者や音楽雑誌編集者など音楽に関連するひとびとが、本好きのコンシェルジュとして、おすすめの本を紹介します。小説に漫画、写真集にビジネス書、自然科学書やスピリチュアル本も。幅広い本と出会えます。インタビューも。