『今日から俺は!!』は成りあがりヤンキーの三橋と伊藤がくり広げる青春ドタバタコメディです。ギャグ要素満載、個性的な仲間たち、青春ならではの悩み、たまに出てくるシリアスな喧嘩シーン……あらゆる要素がもり込まれた傑作漫画です!2018年秋にはドラマ化もされるということでさらに注目ですね。
『今日から俺は!!』は三橋貴志と伊藤真司という2人のヤンキーを主人公にした物語です。この漫画の魅力はなんといっても、2人の個性の強さにあるでしょう。
自称世界一強く、わがままで、この世は自分のためにあると言い張る三橋。将来の夢は帝王もしくは石油王、とかなりスケールが大きく、とんでもない人物です。
一方の伊藤は男気の溢れるヤンキーで、性根が真面目で人望も厚い人物です。三橋とつるんでいなければ本当に良いやつで、とても不良とは思えないほど。そんな性格が真反対の2人ですが、なぜかいつも一緒にいるのです。
- 著者
- 西森 博之
- 出版日
基本的には2人とその仲間たちを中心としたコメディ要素の多い作品ですが、たまに真面目なシーンがあったり、仲間を思いやるシーンがあったりとメリハリがきいています。
学生時代の青春を思い出したい方や、仲間との熱い絆を持っている方、また、貴重な若き日々を怠惰に過ごしてしまったという方も、ぜひ読んでみてください。自分と彼らの青春を重ねて、楽しめるでしょう。
そんな本作は2018年秋に、賀来賢人、福田雄一の2人で実写ドラマ化されました。さらに2019年には映画化のニュースも!そこでどんな掛け合いが見られるのかも楽しみですね!
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『今日から俺は!!』は、転校する際に「今日から俺はヤンキーになる!」と決めた三橋と伊藤が織りなす青春コメディです。ごくごく平凡に生きてきた2人ですが、転校を機にヤンキーになることを決意します。
三橋は金髪、伊藤はウニのようにとんがった髪型をしていますが、初登校日の前日、2人はたまたま同じ美容室で髪型を変えていました。そのため、2人だけが元々ヤンキーではなかったという互いの秘密を知っているのです。最初はライバル意識を燃やす彼らでしたが、上級生に絡まれた際に共闘し、意気投合していきます。
本作では、そんな2人に降りかかるさまざまなトラブル、ライバルの出現、地元凶悪高校との激闘、はては本物のヤクザとのいざこざなど、彼らの日常が描かれています。慌ただしい日々のなかでも、恋愛や友情など普通の高校生が送る日常的なストーリーも展開され、飽きずに読み進めることができるでしょう。
今回は、数ある名シーンや名言からダイジェストでご紹介していきます。
『今日から俺は!!』はどの巻から読んでも楽しめますが、絶対に外せないのが第1巻の第1話、2人の出会いの場面です。彼らが高校に入る前はどういう人物だったか、そしていわゆる高校デビューに対してどのような意気込みを持っていたのかが丁寧に描かれています。
主人公の三橋と伊藤は、転校をきっかけにヤンキーデビューすることを目論んでいました。
初登校の前日、その後同じ学校に通うことになるとはつゆ知らず、2人は美容院で出会います。パッとしない容姿を変えるために、貴志は金髪、真司はツンツン頭にするのですが、互いに「この今日からツッパリが!!」(ある時からツッパリデビューを果たすやつの意味)と心のなかで馬鹿にしていました。
そして次の日、転校先で2人は同じクラスになっていたため、願わずとも再会してしまうのです。お互いに「あんな野暮ったかった奴がヤンキー気取ってやがる」と言いたげで、結果として喧嘩になってしまいます。
はじめのうちはいがみ合ってばかりの2人でしたが、街で出会ったヤクザから一緒に逃げるなどしていくうちに、徐々にお互いのことを信頼していくのです。
さらに、物語が進んでいくと無敵感が溢れていく2人ですが、成りあがる前は普通のツッパリと何ら変わりありません。実は1番最初は、上級生にすらビビッていました。
そんな2人が、大人数でかかってくるヤンキーの上級生に立ち向かう、初めての共闘シーンは必見です。
- 著者
- 西森 博之
- 出版日
同級生の理子の実家が経営している空手道場に、同じ地区の空手道場が殴り込みにきて看板を賭けて戦おうと言い出します。ただでさえ門下生が少ないのに、同じ地区にふたつも道場はいらないというのが理由でした。
こうして対決することになりますが、相手チームのエース黒崎に次々と仲間がやられていきます。
倒した選手の顔を踏みつけるなど、非人道的な態度をとる黒崎に伊藤の怒りが爆発。相手は空手の有段者ですが、怒った伊藤は敵を追い込みます。格上の相手に対して、仲間思いの伊藤は何度でも立ち向かっていくのです。
伊藤たちと同等の力量を持った数少ない相手との、本気のバトルが見どころとなっています。仲間思いの彼の迫力と男気が描かれ、やっぱり伊藤大好きだ、こんなやつと友達になりたい、と読者に思わせるほどの傑作シーンです。
- 著者
- 西森 博之
- 出版日
作中、初めて三橋の父親が登場する場面があります。破天荒な彼ですが、父親はどんな人物なのでしょうか。
その正体は意外にも普通のサラリーマンでした。しかもオヤジ狩りにあったり、会社では部長にいじめられたりと散々な様子です。
そんな父親のことを三橋は「母ちゃんの旦那」と呼んでいます。かなり遠まわしな表現ですね。「こんなのが自分の父親であるはずがない……」という彼の心の声が聞こえてくるようです。
ある日、父親のあまりの情けなさを見かねた三橋は、強硬手段に出ます。なんと父親の頭を丸刈りにするのです。すると見た目が一変!ヤクザのような見た目になりました。
丸坊主にされた後の「なんだこりゃー!!」と叫ぶ父親の顔が怖いうえに傑作です!その後、あまりに見た目が怖いため、周りの反応が変化し、当の本人は浮かれています。オヤジが調子にのる可愛らしさと三橋の隠れた父親への思いやりがうかがえるシーンです。
- 著者
- 西森 博之
- 出版日
千葉県随一の不良高校、開久高でもっとも凶悪な男、相良(さがら)。三橋を物語の最後までつけ狙う執念深い男です。年少(少年院)から戻った彼は、鍛えた空手の技で、三橋や伊藤とその仲間を次々と襲います。
そのなかには三橋の想い人の理子もいました。普段はおちゃらけている彼も、これには大激怒。相良を探し出します。
「チンチクリンがやられた ヨワムシがやられた ボケナスがやられた……こいつは俺がやる!!」(『今日から俺は!!』10巻より引用)
普段は面倒くさがりで、自分にメリットがないと動かない三橋ですが、このときばかりは先に喧嘩を始めていた伊藤にこのセリフを吐き、喧嘩を横取りして自らの手で相良を瞬殺します。
三橋の仲間思いの一面と、普段はおちゃらけている彼の本気の怒りが見られるシーンです。
- 著者
- 西森 博之
- 出版日
これまで語られてこなかった伊藤の実家。はじめて彼の家に行く三橋でしたが、なんとそこは豪邸でした。いつも一緒にいて、伊藤を小馬鹿にしていた三橋がイメージしていたものとは大違い。しかも彼には妹までいたのです。
「これも金で買ったのか?」衝撃のあまり、妹を金で買ったと勘違いした三橋ですが、そこに伊藤の母親も登場します。これがまたキレイな母親なのです。
そんなはずはない……混乱の極みに達した三橋の頭に浮かんだのがこの言葉でした。
「なぜだ。なぜこんなに差があるんだ。星はどこから生まれてくるんだ。地球はなぜ丸いのだ。」(『今日から俺は!!』11巻より引用)
……そうなりますよね。いつも一緒に馬鹿騒ぎしている友達がまさかお坊ちゃんだったとは。 親にヤンキーであることを隠している伊藤をいじり、妬みを隠さない三橋がとてもコミカルに描かれているシーンです。
ちなみに伊藤の母親はとても綺麗で優しい方なのですが、実は意外と怖い一面もあります。ぜひ実際に読んで確認してみてくださいね!
- 著者
- 西森 博之
- 出版日
三橋のライバル、他校で番長をしている今井に対する復讐を描いた傑作シーンです。三橋は今井をある廃アパートの部屋に軟禁します。罠にはまった今井をバカにする三橋ですが、なんと作った罠に自らもはまってしまい、出られなくなってしまうのです。
……と実はこれは三橋の演技で、実は自由に出入りができるように手はずを整えており、自らは自由気ままに過ごします。
一緒に生死の淵をさまよっていると信じ込んでいる今井は、三橋がごみ箱から持ってきたバナナの皮や卵の殻をもらうだけで優しい奴だと思い込み、それを何でも口にします。
そんな彼を三橋は陰で爆笑するのです。今井のなんでも食べる姿と、この時に限って因縁のライバルである三橋を良いやつだと信じる無垢さは、かなりの間抜け具合で笑えてしまいます。
そして最後の最後に三橋は、今井にネタをばらします。この瞬間の今井の表情が今作品で1、2を争う大爆笑のシーンです。見開き2ページを使ってリアクションを描いているのはここだけではないでしょうかか……まぁそんな顔になっちゃうよね、と今井に同情したくなる表情です。ぜひ実際に読んで確かめてみてください!
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- 西森 博之
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元開久高校のトップ、片桐智司の卒業後を描いた場面です。高校を卒業した片桐ですが、働こうにもその風貌からそもそも面接すら受けさせてもらえません。
そんな彼は、ひょんなことから立ち寄った公園のたこ焼き屋で、ヤクザとたこ焼き屋の領地争いに巻き込まれます。自慢の腕っ節にものを言わせてヤクザを撃退しますが、そのせいで無関係のたこ焼き屋が腕を折られてしまい……。
責任を感じた智司は、たこ焼き屋が戻るまで代わりに屋台を経営します。そんななか、三橋と伊藤が立ち寄り、喧嘩したことは間違いではない、という話をした際に智司がこう言うのです。
「うるせぇ、なにもしらねぇくせにホザクな!!自分が暴れたせいで人1人傷つけてんだよ!!頑張ってまっとうに生きよーとしてる奴をよ、俺がいらねぇ事したばっかりによ、大事な腕折れちまったんだよ。」 (『今日から俺は!!』20巻より引用)
元ヤンキー高のトップとは思えないほど思いやりに満ちた言葉です。智司、すごくいいやつじゃないですか……!散々学生時代にグレてきたヤンキーの、生きる苦悩や実社会の悩みを見事に捉えたシーンとなっています。
元ヤンキー高のトップとして自慢の腕っ節が、実社会では何の役にも立たないことや、自分の無力感に苛まれる智司の心情を描いており、実際に同じような悩みを抱えたことのある人は共感できるでしょう。
その後の智司の行くすえにも注目しながら続きを読んでみてください。
- 著者
- 西森 博之
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東京人である白原が千葉県内にのり込み、三橋やその仲間にちょっかいを出してきます。三橋と伊藤は、最終的には実家を荒らすほどにエスカレートした白原の行動に激昂。しかし、白原はまんまと地元の東京まで逃げおおせます。
人口密集した東京では何の情報もなく、とても探せるとは思えない状況……。2人はは白原の外見以外、彼の個人情報を一切知らなかったのです。
普通の人であれば泣き寝入りをしてしまうこのシチュエーションですが、彼らはある手段を使い、名前も住所も知らない白原のもとへ辿り着きます。白原を見つけた三橋は、出会い頭にこう言いました。
「その節は本当に…いろいろお世話になりまして。」(『今日から俺は!!』28巻より引用)
白原を見つけた際の三橋の凶悪そうな表情と、白原の信じられないという顔が対照的で愉快なシーンとなっています。また性根の腐った白原を追い込むシーンは見ててスカッとするとともに、三橋の執念深さを目の当たりにできるでしょう。三橋、敵に回すべからず……。
あなただったらどのように外見しか分からない相手を見つけ出しますか?彼らの驚きの探索方法をぜひ確認してみてくださいね!
- 著者
- 西森 博之
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タイトルとは裏腹に、作中でもっとも緊迫した場面といっても過言ではないでしょう。基本的に三橋と伊藤は小競り合いこそあれ、本気で戦うことはありません。しかしこのシーンでは敵にハメられた2人が真剣勝負をします。
三橋はあるカップルにお願いをされ、その要望を聞き入れるために依頼人の敵を叩き潰しに向かいます。
そのお願いとは、そのカップルの彼女が強姦され、一部始終を撮られたため、被害が拡大する前に食い止めてほしいというものでした。コトがコトなので、他言は一切しないでほしいという依頼人。依頼を聞き入れた三橋が満を持して敵のもとに向かうと、そこには伊藤の姿が……なんと伊藤も同じ依頼を受けていたのです。これは2人を同士討ちさせようとしていた、敵の策略でした。
困惑した彼らは学校でも話し合いをおこないます。しかし依頼の内容はお互いに相手に伝えられません。そこで仲違いをしてしまった2人は、いよいよ真剣勝負をおこないます。地力は三橋のほうが上ですが、意地になった伊藤は実力以上の力を発揮するため、なかなか決着がつきません。
膠着状態の2人は最後にとどめの一撃を加えようとするのですが……。その瞬間、なんと2人同時にその拳を引くのです。お互いを信頼しあっている彼らは「こいつがここまでするなら、相手は間違っていない」と考え、自分が殴られて、この戦いに幕を引こうと思っていたのでした。
普段は口に出さず、小競り合いをしてばかりの2人ですが、このシーンはお互いの信頼が目に見える形で表れているので、とても感動できるシーンでしょう。
- 著者
- 西森 博之
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いよいよ最後の戦いのクライマックスとなるこの場面ですが、おそらく『今日から俺は!!』を読んだ人であれば全員が名シーンのひとつに挙げる場面なのではないでしょうか。
相良が取り巻きたちを連れて、三橋と伊藤に復讐するためにやってきます。その時、理子が連れ去られてしまい……。彼女を助けようとした三橋も、相良に捕まってしまいました。
鎖で身動きを封じられた三橋と理子。今まではどんな窮地を切り抜けてきた彼も、さすがに絶体絶命です。
三橋を恨む相良は、理子に火傷を負わせようとします。その瞬間、三橋は鎖を引きちぎり、相良の後ろに仁王立ちしていました。鎖で縛られていた手の皮はずる剥け、血だらけです。このシーンはかなりのド迫力!三橋の表情は、とてもコメディ漫画とは思えないほど鬼気迫るものです。
三橋と理子は互いを思っているのですが、2人とも素直ではないため直接気持ちを伝えたことはありません。しかも三橋は自己中心的で、自分が傷つかなければ人が傷ついてもよいとさえ考えている、超がつくほどのわがままキャラです。
そんな彼ですが、このときばかりは自分の身が傷つくことすら、気にしませんでした。また彼の迫力に見過ごされがちですが、理子も火傷を負うことすらかまわず、彼を守ろうとします。
三橋はその場にいない伊藤が来ることを信じて、ただただ理子を守るのです。口にしなくともわかる確かな絆と、相手を守りたいと思う気持ちに心打たれる名場面です。
さて『今日から俺は!!』の名シーンをいくつか取りあげましたが、興味は持っていただけたでしょうか。今回は三橋や伊藤にまつわる場面を多く紹介しましたが、各キャラクターとも非常に個性が強く、ここに載せていない名シーンや爆笑シーンもたくさんあります!基本的にはコメディ漫画なので肩肘張らず読めますし、どの巻から読んでも話は分かると思いますので、気軽に読んでみてくださいね。