神秘的な雰囲気があるクラゲを自宅で眺めている時間は格別です。しかしその飼育は意外と難しく、いろいろな準備が必要です。今回はクラゲを飼うために必要な設備や本をご紹介します。
クラゲは非常にデリケートな生き物です。そのため飼うことは難しく、しっかりと設備を整えなければあっという間に死んでしまいます。しかも飼育できるものは元々短命な種が多く、うまくできたとしても1年ともたない場合が多いのです。
少しでも長生きさせるために必要な設備は、大まかに以下のようになります。
・人口海水
クラゲの多くは海に住んでいるので、海水が必要です。ペットショップなどで購入することができます。
ちなみに淡水で生きるクラゲも存在し、ペットとして飼うことができるので、人口海水を用意するのが難しい場合はこちらがおすすめです。ただし、カルキ抜きした真水が必要になります。
・クーラーやヒーターなど水温調節装置
温度変化に弱く、しっかりと水温を管理しないと死んでしまいます。適温は種類によって違うので、しっかり調べて管理してあげてください。こちらもペットショップで購入が可能です。
・水流ポンプ
泳ぐ力が弱く、自然界では海流に身を任せて生きています。そのため水槽の中でも水流を作ってあげないと、底に沈んだ状態で浮かび上がれなくなってしまうのです。さらに、水槽全体をうまく循環するように水流を作らなければ、水槽の壁に押し付けられてしまいます。
・メタルハライドランプ
光を浴びて光合成をする種も存在し、そういったクラゲは光が不足してしまうと弱ってしまいます。その場合は、光合成に必要な強い光を出すことができるメタルハライドランプを設置する必要があります。
・給餌用のスポイトや注射器
餌を与える際に使用します。後述するクラゲ用のエサは粉末状になっており、口元に流し込んであげないと食べ残しや水質汚染の原因になります。
クラゲは、体の95%以上が水分でできているため、水槽の環境を整えることが非常に大切で、必要な設備が多くひと苦労です。しかし近年では人気も相まって、飼育するための設備がセットで販売されている場合があります。またクラゲに必要な水流を作りやすいように、丸い形の専用水槽も販売されているので、参考にしてみてください。
自然界のクラゲは、長い毒のある触手で魚などを補食するほか、触手に絡みついたプランクトンや微生物を食べています。ペットとして販売されているものは、後者のプランクトンを食べる種が多いです。
そのため、餌は市販されているクラゲ用のもので問題ありません。 また、クラゲ用と銘打たれた餌以外にも、キューブ状にプランクトンを固めたものや、液体状のものなど、多くの種類が販売されています。
どれも飼育中の食性に適していれば問題はありませんが、餌のあげ方や食べ残しの掃除などに気を付けなければいけません。
餌をあげる際は、スポイトや針のない注射器を使い、口元に流し込む必要があります。餌を水槽に撒いてしまうと、クラゲの口に入る量はごくわずかで、これでは水槽の水を汚してしまうだけなのです。
また、うまく餌を与えることができても、消化しきれず食べ残してしまったものは粘膜とともに体外に排出されます。これも水槽の水を汚す原因になるので、見つけたらこまめに掃除してください。
意外と面倒な餌やりですが、これを1日に2回はおこなう必要があります。彼らは本来、海中に漂うプランクトンを常に補食し続けている生き物です。そのため餌の回数が少ないと、すぐに栄養が不足してしまいます。
水槽内に餌を大量に入れておけばよいのでは?と思う方も少なくないでしょうが、この方法では水の汚染が原因でクラゲが弱ってしまうのです。
このように非常に手のかかる生き物ですが、それでも飼いたいという方は、下記のような比較的飼いやすい種類をおすすめします。
・サカサクラゲ
名前のとおり、一般的なクラゲが逆さまになっているような姿をしています。水中を回遊することはなく、海底に沈んだ状態です。
そのため優美さには欠けますが、元々沈んでいる種類なので水槽に流れを作る必要がありません。
餌はプランクトンを与えますが、光を浴びて光合成もするため、餌不足が原因で弱ることが少なく初心者でも飼いやすいでしょう。
・ミズクラゲ
非常に一般的で、海辺や漁港などで漂っているところを簡単に見つけることができます。他の種に比べて丈夫なので、飼いやすいでしょう。
しかし、それでもデリケートなのは変わりません。ポンプなどの水泡がカサに入り込むだけで死んでしまうこともあるので、先述した水槽の設備はしっかりと整えておく必要があります。
・マミズクラゲ
淡水で生きるクラゲです。人口海水が必要なく、しかも他のクラゲに比べて水質の汚染にも強いため、飼いやすいでしょう。
ただあまり市場に流通してないため、ペットショップでは購入することが難しい場合があります。オンラインショップで購入するか、近くの河川や池で捕まえてくるしかありません。
また微弱ながら毒があるので、目などに触れないよう注意してください。
クラゲはどこか無機質で、クールな存在……といった先入観を打ち壊してくれる作品です。
さまざまな角度から魅力を紹介し、イメージどおりの静かな美しさの他に、非常に可愛らしい姿も見ることができます。クラゲのことがもっと好きになってしまうこと間違いなし!
- 著者
- 平山 ヒロフミ
- 出版日
- 2016-02-02
さまざまな種類のクラゲの写真が楽しめる本です。より好きになるための知識や生態について書かれています。
妖しくも美しい姿や、不思議で可愛らしい魅力を味わえる一冊です。なかには一緒にお散歩に出かけて、カフェでくつろいでいる場面など、思わず頬が緩んでしまうようなユニークなものも。
タイトルどおりのほんわかとした本です。実際に飼う前にこの本を読んでみて、お気に入りを見つけてみてはいかがでしょうか。
本書で紹介されている種類の多くは、ペットとして飼うことは難しいものが多いですが、クラゲの不思議がしっかりと詰まった本です。
想像を絶する造形に驚き、好奇心をさらに高めてくれます。
- 著者
- ["並河 洋", "楚山 勇"]
- 出版日
- 2000-07-01
ガイドブックとありますが、さながら図鑑のようで、ゆるふわな雰囲気はありません。その代わり、クラゲのミステリアスな美を充分に感じられるものとなっており、音も無く海中を漂う神秘的な世界に誘われます。
他にも、サルパと呼ばれる生き物の写真や解説もあり、こちらも非常に美しく奇妙奇天烈な生き物です。
クラゲに関する学術的な記載もあるので、深く知りたい方にもおすすめの一冊です。
クラゲ界の2人の権威、村上龍男と下村脩の対談形式で進んでいく、少し変わった作品です。
お堅い本かと思えばまったくそんなことはなく、分かりやすい語りでさまざまな解説をしてくれていて、自然に知識が頭に入ってきます。
- 著者
- ["村上 龍男", "下村 脩"]
- 出版日
- 2014-05-16
本書は、おわんクラゲをきかっかけにノーベル化学賞を受賞した下村脩と、クラゲの展示数世界一を誇る水族館館長の村上龍男の対談の様子が記されています。
活字が中心ですが、目次から知りたいページをすぐに開くことができ、随所に美麗な写真も挿入されているので、読みやすい構成になっています。
見どころは何といっても、長年クラゲを研究してきた下村と、クラゲ飼育の第一人者である村上のコアで確かな知識です。対談形式だからこそ、ただの図鑑解説ではない、生の声やエピソードを知ることができます。
ややマニアックながらも、入門書としても取っ掛かりやすい魅力的な一冊になっています。
飼育方法が丁寧に書かれている本です。初心者にもわかりやすく書かれているため、これから飼い始める方にはうってつけでしょう。
- 著者
- 岩間 靖典
- 出版日
これまで紹介してきた本は、クラゲの生態や魅力を楽しむことに重きを置いていましたが、本書は飼い方についての記載が多くなっています。飼育するうえでの注意点や、用意するもの、種類など実用的な知識が詰まっています。
またタイトルにもあるように、クラゲの不思議な生態や魅力についてもしっかりと記載されているので、初心者には非常に頼もしい一冊です。
今回ご紹介させて頂いた本は、クラゲ好きなら読んで損は無い本ばかりです。ぜひ、気になった本を読んでみてください。