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5分でわかる!パリ協定をわかりやすく解説、アメリカ離脱の問題点も

更新:2017.9.28 作成:2017.9.28

世界中で考えなければならない要検討事項である地球温暖化の防止について規定しているのが「パリ協定」です。今回は、その概要について分かりやすく解説するとともに、もっと知りたい方のための本をご紹介していきます。

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パリ協定とは?内容を簡単に解説

「パリ協定」とは地球温暖化を防止するために、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることができるように世界中の国がその削減目標を決め、2020年以降の地球温暖化対策を定めた協定です。2015年にパリで会議(COP21)が開催され、制定されました。

具体的な目標は、世界の平均気温の上昇を産業革命以前と比較して2℃未満、できれば1.5℃未満に抑えることです。そのために温室効果ガスの排出量の削減をおこなうことが必要になります。

これにはプレッジ&レビュー方式が採用されています。つまり、「パリ協定」における各国の削減目標については、各国が削減目標を自ら掲げ(プレッジ)、その内容の確認を第三者から受けながら(レビュー)、温室効果ガスを削減していくというものです。

また、この目標は5年ごとに更新されるものとされています。今世紀後半には、温室効果ガスの排出量が森林などの吸収量とのバランスをとり、プラスマイナス・ゼロとすることを目指しているのです。

「パリ協定」では、そういった直接的な温暖化対策のほかに、先進国は発展途上国に温暖化対策のための資金を提供するという支援策も打ち出されています。また、温暖化による異常気象などの結果、何らかの被害を受けた国を救済する国際的なシステムづくりをしていくことも定められています。

パリ協定はなぜ制定に至ったのか?

上記では「パリ協定」の要旨について紹介させていただきましたが、ではなぜ制定が必要だったのでしょうか?

産業革命以降、地球全体の平均気温は年々上昇しており、具体的には1880〜2012年の間で0.85℃も上昇しているのです。今後、平均気温の上昇はさらに加速するとみられています。

そこで、「パリ協定」で地球温暖化による平均気温の上昇を産業革命前と比較して1.5~2℃未満に抑えるという目標が定められるわけですが、「なんだ2℃未満って大したことないじゃないか」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかしもし、地球温暖化により2℃平均気温が上がると、海面が26cm〜82cmほど上昇するといわれています。

海面が上昇するということの影響は、まず直接的に世界中で海抜以下や海抜の低い地域では、当然浸水する危機に直面し、集団移民を計画せざるを得なくなります。また、浸水の危機はなくても、高潮などで最大波高があがることから、災害の危険性も増して、それに対する防潮扉などの自治体としての対応も必要となってきます。

このようなことから試算すると、15cmの海面上昇につき、毎年5兆円の負担がかかることになるのでは、とも考えられているのです。

加えて、地球の気温が1〜3℃上昇するだけで、20〜30%の動植物が絶滅の危機にさらされると予測されています。さらに、北極の氷が解けて、北極の広さが30%ほど狭くなるそうです。

このほかにも、地球温暖化によって寒冷地の生物の減少し、海水温の上昇により現在あるサンゴは白化するとともに、その生息区域は北上および南下することが予測されます。それによって現在の生態系は崩れ、ほかにも大きな気候変動が起き、多くの国が深刻な状態に陥ってしまうでしょう。

そのような状況を避けるために、世界中の国が集まり「パリ協定」を締結するに至ったわけです。

パリ協定の参加国は

この「パリ協定」には、世界中のほぼ全てである196ヶ国(内戦中のシリアとトランプ大統領率いるアメリカを除く)が批准しています。これほどの規模で地球の環境問題を考えるのは画期的ともいえるとともに、問題の深刻さを表しているともいえるでしょう。

特に、中国、アメリカ、インドの温室効果ガスの排出量は3ヶ国だけで全体の半分を占めています。とはいっても「パリ協定」は持続可能な開発目標を設定することを基本としており、現在の排出量と開発目標は完全に比例するものではありません。

日本でも「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部」を設置し企業を含めて、実現に向けて多様な取り組みをおこなっています。

パリ協定、アメリカ離脱の問題点は

2017年6月、アメリカの大統領であるドナルド・トランプが「中国、ロシア、インドは何も貢献しないのに米国は何十億ドルも払う不公平な協定だ」として「パリ協定」からの離脱を宣言しました。アメリカの離脱によって多くの国が動揺したのは当然といえば当然のことでした。

アメリカは温室効果ガスの排出量が世界で中国に続いて2位です。そのアメリカが地球環境の問題よりも自国の利益を優先させたというのが大方の見方といえるでしょう。加えて、アメリカが負担してくれるはずの資金もなくなり、「パリ協定」の存続自体にさえ大きな影響を与える出来事となったのです。

これに対して日本を含めた各国は批判し、アメリカを除いた国々だけでも続けていくということで合意しました。そして、アメリカ国内においてもドナルド・トランプの決定がどうであろうとC40(世界大都市気候先導グループ)のメンバーであるニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコなどの11の都市についてはこの協定を実現するべく責任を果たすと述べています。

パリ協定と京都議定書の違いは

「京都議定書」とは、1997年12月に、2008~2012年の5年間の温室効果ガスの排出量を1990年比で5%削減するという内容を、アメリカ、ロシア、日本などをはじめ先進国を中心に41の国と地域(EU)に促すものでした。

「パリ協定」が世界中のほぼ全てとなる196ヶ国へ削減目標を設定するものであることに比べ、「京都議定書」は排出量の多い先進国に限定して削減目標している点で違いがありました。

これによってアメリカ、カナダ、アンドラ、パレスチナ、南スーダンは、排出量が多い中国やインドに削減目標が設定されておらず、不公平感が強いとして批准せず、日本、ロシア、ニュージーランドが2012年までに脱退しています。

また、「京都議定書」では先ほども記述した通り、1990年の数値を基準として5%を削減するという数値目標でしたが、6種類の温室効果ガスのうち、3種類については1995年を基準値として5%の削減を目指してもよいとされていました。

これはあくまで「京都議定書」の枠内のみの規定で、その上位条約である1994年3月21日に発行された「気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC)」でもその規定はありません。したがってその組織によってもどちらの基準年をとって数値を述べているかを考慮する必要があります。

パリ協定の入門書

著者
小西 雅子
出版日
2016-07-21

地球温暖化を科学的に考えるとともに、気候変動交渉やパリ協定について、さらに日本のエネルギー政策の課題などがわかりやすく書かれています。

ジュニア向けに書かれた新書のため、本書の対象は中高生となっていますが、大人でも手に取りやすい入門書としてぴったりです。

地球温暖化を防ぐために必要なもの

著者
有馬純
出版日
2016-10-27
本書では地球温暖化を少しでも防止するためには、目標数値やスローガンだけでは達成不可能であると述べられています。

地球温暖化防止を叫ぶあまり、エネルギーの安全保障や経済成長が後回しになるような形では、達成することはできないというのです。そのすべてのバランスがとれて初めて達成されるのだということです。

著者は、そのためには原子力発電の増設や、さらなる開発に関して議論していかなければならないと主張しています。

パリ協定と再生可能エネルギー

著者
["井熊 均", "瀧口 信一郎"]
出版日
2017-03-25
2016年4月に電力自由化が始まり、国内的にも再生可能エネルギーの技術開発・実用化に注目が集まるようになりました。本書では、「パリ協定」後のエネルギー政策について、再生可能エネルギーの利用を中心に考えられています。

再生可能エネルギーの事業戦略に関して、ヨーロッパ、アメリカ、中国、インドの動向を踏まえながら詳しく述べられている一冊です。

地球温暖化は世界中の人々が考えなければならない重要な問題です。地球上に住むすべての生き物が危機に瀕してしまうこの問題について、私たちはより深刻に考え、解決策を模索していく必要があるのではないでしょうか。