知らない人はいない、マイクロソフト社の創業者で、世界一の大富豪で慈善家のビル・ゲイツ。彼がどういう人物なのかを探る本をご紹介いたしましょう。
マイクロソフトの創業者であるビル・ゲイツは、1955年ワシントン州シアトルで誕生しました。裕福でなにごとにも競争ごとが好きな家庭だったようです。彼は中学生になるとコンピュータープログラムに興味を示し、同好の士と共に様々なプログラミングの勉強に勤しみ、1970年代初頭にはいくつかのソフトウェアを企業や組織に提供しています。
彼はSATテストで1590点という強烈な点数を叩き出し(1600点満点)ハーバード大学に入学しました。そこでゲイツは後のマイクロソフトのCEOとなるスティーブ・バルマーと出会っています。
1974年ビル・ゲイツは、友人のポール・アレンと共に当時大流行していたマイコンに使われていたインテル8080 CPUをベースとしたソフトウェア会社を立ち上げます。それがマイクロソフトにつながるのです。ちなみに、この時点で大学は休学していました。
80年代に入りマイクロソフトは、パソコン市場に打って出るIBMからOSの開発を受注、それがMS-DOSとなります。これがマイクロソフトを大企業にする起爆剤となりました。その後ゼロックスで見たインターフェイスからグラフィックベースのOSの開発にも乗り出します。それこそがマイクロソフト・ウインドウズです。
マイクロソフトが破竹の勢いで市場シェアを独占していくなか、2000年にゲイツはバルマーにCEOを譲り、その後は慈善活動家としての活動をメインに行なっています。世界長者番付では2017年まで4年連続首位という一大資産家です。
ビル・ゲイツがいかにしてマイクロソフト社を成功に導いたかを、彼の幼少期から追った伝記。小説の体をとった作品なので、小難しい内容ではなく、楽しんで読める作品です。
彼の若い頃というのは、まだコンピューターは大型企業のもので、ちょうどマイコンが登場してきた時代でもありました。当時の彼がそれらに将来性を見出し、いかにして自分を賭けたかが手に取るようにわかります。
生まれながらにして類まれなる才能を持っていた彼ですが、なにより「商才」を発揮できたことが成功に繋がった要因である、ということがわかりやすく理解できます。
- 著者
- 小出 重幸
- 出版日
- 2005-06-01
本書を読み進めると、彼もまたひとりの情熱的なコンピューター好きの青年であり、成功のステップを上がるための手法よりも、まずは情熱が先んじていたというところに、意外性と親近感を抱くことができます。
そして「才能者の周りには、有能な人材が集まってくる」というパターンはビルにも当てはまり、若き才能がひとつのことに情熱を注いで打ち込む姿は、多くの人が忘れてしまいがちな「夢中になる」という感覚を思い出させてくれます。
自身の才能のみを武器に道を切り開いた男、ビル・ゲイツがどのようにして成功したかを、アメリカという社会背景込みで理解するのに最適な一冊です。
タイトルのとおり、ビル・ゲイツ本人が未来を語る本です。
資本の摩擦係数をゼロにする「情報ハイウェイ」をキーワードに未来を予測していますが、それが見事に現代のIT社会を予見しており、その先見性からはさすがビル・ゲイツ、と思わせるものがあります。
- 著者
- ビル・ゲイツ
- 出版日
本書から読み取れるのは、ビルがこれまでの業績に満足せず、常に新しいものを追求する人物であるということです。テクノロジーをよりよい未来に繋げ続けるという強い意思を感じさせます。
さまざまなものをネットワークに置き換える(書類・教育なども含め)ことによる無駄の排除と、その裏に潜む雇用機会の損失に関する彼の考えが平易な文章で語られており、さらに今後どうなるかの示唆も提示してくれています。
才能のある人の言葉には、やはり説得力があると納得できる一冊です。
一介のベンチャー企業が、いかにして巨大ソフトウェア企業となったか、その内実を丁寧に追った作品です。
同時期に活動を開始したスティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアックがApple I(ワン)を作ったのとは逆に、ビル・ゲイツはアルテア用のBASICインタプリタを作りました。ここが彼の特異な点といえ、またそれが本書の最初のハイライトといえます。
その後も、一貫してソフトウェアで勝負するビル・ゲイツの姿を再確認することができる内容です。
- 著者
- ["ジェームズ ウォレス", "ジム エリクソン"]
- 出版日
1992年の初版ですのでその後のことは書いてありませんが、すでにこの時点で市場を独占しているわけで、ビル・ゲイツがどうやって同業他社を出し抜いてひとつのベンチャー企業がソフトウェアの寡占状態を享受するに至ったかが記されています。
やはり際立つのは彼の情熱と負けん気の強さ、その才能をいかんなく発揮している姿です。常勝を是とするその気質があってこその成功だった、ということを思い知らされるでしょう。
全部で7章の章立てですが、とにかくいろいろな事件と、複雑な人間関係が起こります。綿密な取材と偏りのない視点から見たビル・ゲイツとマイクロソフトの歴史が展開されており、黎明期のパーソナルコンピュータの世界を疑似体験できる一冊です。
『未来を語る』では、技術者的な観点からの切り口を見せてくれたビル・ゲイツ。本書では経営における「思考スピード」の重要さを説いています。
章立ては全6章で、デジタルあるいはネットワーク(インターネット)を意識したビジネス展開と記した内容です。ポイントになるのはインフォメーションであり、「それをどう使うかが成功へのキーである」と彼は語っています。
- 著者
- ビル ゲイツ
- 出版日
- 2000-11-07
ビル・ゲイツによる他者の経営に関しての評論からは、執筆された年代を鑑みてもかなり先を読んでいることがわかり、驚愕します。恐るべきは、彼が最初からある一定のヴィジョンを持って行動していたという点で、その先見性と行動力は勉強になるでしょう。
もちろん2000年に初版が出版された作品ですので、2017年の現在に読むと一般化されていることも多いかもしれません。それでもなお「情報をいかに活用すべきか」という内容における、トレンドに飲まれない金言が満載の作品となっています。
ビル・ゲイツを語るとき、どうしても避けられない人物がいます。そのマイクロソフトの創設者のもう一人、ポール・アレンによる「ビル・ゲイツ/マイクロソフト論」を収録したものがこの作品です。
ポールは中学時代からのビルの友人で、やはりプログラマーでした。マイクロソフト社はそんな彼がビルの尻を叩いて設立した会社です。
マイクロソフトを設立し、IBMとの仕事でMS-DOSをリリースするまでのくだりは、一風変わった視点からの歴史を眺めているようで面白く読めます。
- 著者
- ポール・アレン
- 出版日
- 2013-02-19
本の後半は、2兆円を超える資産家となった彼のマイクロソフト退社後の歩みが記されており、「興味のあることをとにかくやってみる」という彼の人生が記されます。
失敗例もたくさん挙げられており、もはや成功失敗では語れないレベルの大金持ちの思考が文の端々から読み取れますが、なによりも取り上げられる事柄のスケールが大きさが、読者を圧倒するでしょう。
ビル・ゲイツと共同でマイクロソフトを立ち上げ大きくし、そして袂を分かった理由など、ビル側からは書かれないであろう内容が満載の本書は、神格化されたビル・ゲイツを他の角度から検証するための良書といえるでしょう。
ビル・ゲイツはいろいろな評価を受けている人です。一度そういう評価をリセットして、この5冊を読んで自分なりのゲイツ像を作り上げてみてはいかがでしょうか。