破竹の勢いで登場した若きIT王者のひとり、マーク・ザッカーバーグ。彼とフェイスブックでについて学べる書籍を5冊ご紹介します。巷の評判と違う人物像も見られ中々一筋縄ではいかない人物です。
マーク・ザッカーバーグは、1984年ニューヨーク州で医者の両親の元に誕生しました。早くからその才能は傑出していたようで、高校時代も成績は非常に良かったようです。フィリップスエクセターアカデミーでは、科学や古典の賞を受賞しています。
彼は中学時代からプログラミングを行ない、早くも高校時代に父親の仕事に関係するメッセージングアプリケーションを開発しています。「コンピューターをコミュニケーションに使う」という彼の発想は、この頃すでにあったようです。さらに高校時代に「シナプスメディアプレイヤー」を発表。これはユーザーのリスニングの習慣を学習するもので、大手企業が着目したものでした。
ハーバード大学入学後、彼はさらにアプリケーションを制作しますが、そのうちの一つの「フェイスマッシュ・ドットコム」が学校当局の目に止まり、処罰されます。その後彼は2004年に「フェイスブック」をハーバードの寮で立ち上げ、事務所をカリフォルニアに移し大学を中退。事業に本腰を入れます。
2012年には結婚、2016年には最年少で「フォーブス誌」の長者番付でトップ10に入りました(6位、資産約446億ドル)。
「世界をオープンにする」という目標に向かって、ザッカーバーグは2017年現在もフェイスブックCEOとして活動中です。ザッカーバーグは現在のITの英雄の中の1人であり、時代の寵児といえる存在といえますが、そのサクセスストーリーは非常に現代的だといえるでしょう。
フェイスブック立ち上げから大企業になるまでを追った作品。マスコミ嫌いで知られるザッカーバーグに密着取材をし、独占的に彼の肉声を得て記されたものとなっています。
フェイスブックがどう始まり、どのような形で大企業にまで成長したのか。この過程をザッカーバーグ自らが語ったという興味深い内容です。
企業の成長の様子が事細かに描かれており、またザッカーバーグ以外の、フェイスブック立ち上げに関わった人物についても詳しく綴られています。
- 著者
- デビッド・カークパトリック
- 出版日
- 2011-01-13
驚くべきは、ザッカーバーグの持つ哲学が、学生時代から成功を収めた後まで変化していないという点です。状況がどう変わろうとも同じ信念を持ち続ける姿勢に心を打たれます。
また本書は、グーグルとフェイスブックの哲学の違いについても学べるものとなっており、「世界で一番オープンな場所」という彼の理念が、ある意味真反対の方針を持つグーグルに匹敵する力を持っていることに感動をおぼえるでしょう。
お金よりも中身を徹底的に重視するザッカーバーグの哲学がいっぱいに詰まった本作は、彼を知るにはまず読むべき一冊です。
マーク・ザッカーバーグや、彼の周辺の人物のエピソード、言葉をまとめたビジネス指南書です。しかし、この本通りにことを進めよう、というものではなく、彼(あるいは彼ら)のビジネ哲学をまとめて読めるという構成になっています。
この本でもやはり登場するのが、「自分はどうしたいのか、何がやりたいのかに忠実に仕事をする」という考え方です。
また、本書の内容からは、ザッカーバーグがスティーブ・ジョブズをリスペクトしているということを読み取ることができ、そのジョブスの名言も散りばめられています。
- 著者
- 桑原 晃弥
- 出版日
- 2011-07-22
本書は天才が勝利する世界ではなく、「覚悟のある人」、「楽観的な人」、「揺るがぬ信念を持つ人」が勝利するのだ、ということが伝わってくる作品です。
「やってしまった」は「やりませんでした」よりよいではないかと、挑戦しようとする人の背中を押してくれる役割も果たします。
スピード感を持って生きるということは、後悔しない生き方をするための作戦であると本書は指摘します。現代を生きる人々が持つべき姿勢と、アドバイスがたくさん詰まった一冊です。
ザッカーバーグを軸においたフェイスブック本です。在籍する大学内という閉鎖的なものから、他大学、そして一般と、公開の幅をどんどん拡大していったフェイスブック。なぜそのプライベートなものが世界的IT企業となったかが語られます。
オフラインでの交友関係をオンラインに持ち込むという発想は、匿名性の高かった既存のSNSとは異なる斬新な考え方でした。その中でザッカーバーグは、オフラインにおける個性の確立について苦心したのだそうです。本書を読むことで、彼の華麗な経歴の裏にある企業の成長を読み取れます。
章立ては前章を入れて全部で7章、いかにしてフェイスブックが誕生し、幾多の買収オファーを蹴り、世間のイメージとすり合わせながら歩んできたかがシンプルに表現されています。
- 著者
- スーザン ドビニク
- 出版日
- 2013-02-01
タイトルや本文中のルビを見ると、本書は比較的低年齢層に向けた作品であるということがわかりますが、内容に関しては専門用語も使われており、大人が読むには物足りないという内容ではありません。
フェイスブックがどうやって生まれ、どのような問題を抱え、どれをどう解消し、個人から企業までが参加するSNSの巨人となり得たのかを、ザッカーバーグ周辺の人間模様を交えながら紐解いています。
フェイスブックの今後についての考察された最後章も見どころといえますので、彼が考えるSNSのあり方について知りたい、という方はぜひ手に取ってみてください。
マーク・ザッカーバーグおよびフェイスブックを中心に、シリコンバレーの成功企業に見るリーダー論を著者のエカテリーナ・ウォルターの視点を通して研究した一冊です。彼が一体どうやって起業し、どう会社を成長させていったかについて詳しく学ぶこができます。
著者は彼の成功を情熱・目的・人材・製品。パートナーシップの5章に分けて検証しています。企業を立ち上げて、大きくし、さらにそれを維持するという部分においてのビジネス戦略の書という内容です。
- 著者
- エカテリーナ・ウォルター
- 出版日
- 2014-05-13
「世界を変えようという意思の元には失敗はない」というくだりは、ビジネスと向き合う人にとって非常に心強い言葉となるでしょう。フェイスブックもまた失敗の上に成立しているわけであり、へこたれず続けることが大事だと思い知らされます。
本書はザッカーバーグだけではなく、他企業のことにも触れられています。面白いのはどの企業の最終目的も「お金」ではなく、「自分たちがやりたいこと」だという点です。ザッカーバーグがフェイスブックの買収に興味がなかった理由もここに記されています。
本書は、ザッカーバーグならどう考えるか、という視点で読むと面白いように構成されていますが、フェイスブックがどう成長したかを記した物語として読むこともできるので、単なるビジネス書を超えた評伝として楽しむのもよいでしょう。
デヴィッド・フィンチャー監督の映画『ソーシャル・ネットワーク』の原作となる小説。著者の膨大な取材による情報を時系列的に並べた構成で、単なるザッカーバーグを褒め称えた内容ではありません。
ここで描かれる彼は、若干社交性に欠く天才プログラマーです。彼の猪突猛進的な性格と天才性がフェイスブックを生み出します。
しかし、当然そこには彼の周囲の人物との軋轢が展開されるわけで、とくにお金にまつわる部分は緊張感があり、興味深いドラマが繰り広げられています。
- 著者
- ベン・メズリック
- 出版日
- 2010-04-06
巨大SNSに成長したフェイスブックの初期段階でふるい落とされた者たちの言い分がここにはあり、ザッカーバーグの行動が天然のなせる技なのか、あるいはそれは芝居なのかがわからない不気味さも相まって、光の当たっていない側のフェイスブックを見ることができます。
この作品は、著者による再構成が試みられているという点で、完全なるドキュメンタリーとはいえません。しかし、ザッカーバーグサイドと反対側のサイドからのフェイスブック描写という点で、ややゴシップ感はありますが、エンターテイメント作品として楽しく読めるでしょう。
リーダーシップのある力強い天才なのか、はたまた振られた女の子をあっと言わせたいというちょっぴり根暗な動機だったのか、彼の本質を知るのによい作品ばかりですのでぜひともご一読をおすすめします!