『ダンベル何キロ持てる?』は、可愛い女子高生たちがトレーニングジムでがっつり筋トレをする物語です。ハイテンションなギャグ展開のなかに、専門的な筋トレ解説をもり込んだ本作の魅力を、ネタバレ紹介致します。
筋肉隆々の男たちが持てる力と技を競い合う、生死をかけた拳願仕合の舞台を描いた本格格闘漫画『ケンガンアシュラ』。その原作者であるサンドロビッチ・ヤバ子が作画にMAAMを迎えて描く筋トレギャグ漫画が『ダンベル何キロ持てる?』です。
『ケンガンアシュラ』から打って変わって、今時のJKがジム通いで汗を流す爽やかな内容……ではありません!
やはり筋肉が好きな作者だけあって、筋トレについてガチガチの本格的な解説をしつつ、なぜかこれ見よがしに女の子たちのエロスを披露するハイテンションギャグ漫画です。
今回はそんな『ダンベル何キロ持てる?』の魅力について、ネタバレも含みながらご紹介していきます。
食べ歩きが趣味の女子高生の紗倉ひびきは、あるとき友人から太ったことを指摘され、その日からダイエットを決意します。
しかし自力でのダイエットに失敗し、駅前に新設された「シルバーマンジム」に見学に行くことにしたのでした。
容姿端麗、さらに生徒会長を務める優等生の奏流院朱美(そうりゅういんあけみ)がたまたま同日に見学に来ており、一緒にジムを見て回ることになったのですが……。そこは爽やかさとは無縁のガチンコトレーニングジムだったのです。
- 著者
- 出版日
- 2016-12-19
物語の主役となるのは、皇桜女学院に通う個性豊かで魅力的な女子高生たちです。まずは、彼女たちの魅力についてご紹介致しましょう。
【紗倉ひびき】(さくらひびき)
今作の主人公で、色黒金髪、食べ歩きが趣味というイマドキの女子高生。1日に6食も食べるという大食らいでありながらろくに運動をしていなかったため、体重がシャレにならないことになってしまい、ダイエットを決意しました。
見学に行った「シルバーマンジム」がガチガチの筋トレジムだったという実態に腰が引けてしまうものの、トレーナーの街雄が爽やかイケメンだったため通うことを決めてしまう面食いの一面を持つ彼女。いろいろな欲求に素直で正直な彼女は、見ていてとても可愛らしいと感じられるでしょう。
ちなみに、運動はしていなかったはずの彼女ですが、なぜかサンドバックを一撃で粉砕するほどのハードパンチャーという一面も垣間見れます。
【奏流院朱美】(そうりゅういんあけみ)
同級生であるひびきと同じ日に「シルバーマンジム」に見学に来ていた文武両道、眉目秀麗を体現したカリスマ女子高生です。
ダイエット目的でジム通いを決めたひびきとは違い、本格的なトレーニングができるジムを求めて「シルバーマンジム」の門を叩きました。
健康で文化的な生活のために運動は不可欠と語る意識高い系を匂わせる彼女ですが、実際には筋肉隆々の男たちが汗だくで体を鍛える姿を見て、興奮に身を震わせるほどの筋肉フェチというギャップを見せるのです。
【上原彩也香】(うえはらあやか)
ひびきと同級生で同じクラスの健康美少女。むっちり体型のひびきとは違い、筋肉質で引き締まった体型の持ち主です。
家が世界チャンピオンを輩出したほどの有名ボクシングジムを経営しており、彼女自身も家の手伝いで門下生の指導をおこなう立場となっています。
基本的にサッパリとした性格の彼女ですが、ひびきとは映画好きという趣味で共通しており、2人の掛け合いからは気の置けない友人であるという様子が見て取れます。
【立花里美】(たちばなさとみ)
皇桜女学院の教師で、29歳の独身女性。世界史教師という立場でありながら、イベントでギリギリラインの露出度に挑むコスプレイヤーという裏の顔があります。(コスプレイヤー名は百合亞リコ。)
イベントに向けてスタイルを作るために「シルバーマンジム」に通うことになりますが、そこには教え子のひびきたちがいたため、趣味のコスプレがバレないように気を遣い続けることとなります。
基本的に不憫な立ち位置で、ひびきたちと絡む際には大抵流されて面倒に巻き込まれることになってしまい、同情してしまうほどかわいそうなキャラなのです。
【街雄鳴造】(まちおなるぞう)
主要キャラクターのなかで唯一の男性キャラクターです。「シルバーマンジム」のトレーナーで、顔立ちは爽やかイケメンのため、面食いのひびきをジムに通わせるきっかけを作ることになりました。
普段はジャージを着ていますが、なぜかボディビルのポージングを決めると同時に、盛り上がった筋肉でジャージを破り捨てて裸になるという癖を持っています。裸になった際は、顔だけイケメンで首から下はゴリマッチョ(ビキニパンツ一枚のみ着用)であるため、今のところ本作における一番の不審人物です。
基本的にハイテンションなギャグ展開を中心に話が進む作品ですが、実はトレーニング解説のクオリティーが非常に高く、本格的な肉体改造を目指す方にもためになる内容となっています。
初回の筋トレ解説ではベンチプレスについて解説していますが、トレーニングの際の正しい姿勢やおこなう際のコツ、鍛えられる部位などを中心に分かりやすく説明されています。
しかも解説は文字だけではなく、作中のキャラクターがモデルとなって実践している様子が描かれているので、動きがイメージしやすいのです。
また、筋力強化だけではなくダイエットに有効な情報も満載なので、少し体型が気になっている方にもうってつけの内容ではないでしょうか。
……と、これだけを聞くとまるで漫画で分かるトレーニング解説書のようで、青少年の健全な育成にもお役立ちの一冊となりそうなのですが……なぜか、キャラクターがモデルとしてトレーニングを実践している際のイメージが、全体的に色っぽいというか、ぶっちゃけて言うとエロい!
もちろん、トレーニングの描写なので着ているものが薄着なのも汗をかいているのも、何ら不思議ではないのですが、女子高生たちを中心としたキャラクターが、鍛えられる部位の服を捲り上げているのは、もはや狙っているとしか思えません。
まさしく……
「エロを前面に出した解説で露骨に媚びてきたッッッ!!!」(『ダンベル何キロ持てる?』1巻より引用)
という感じです。
トレーニングとエロの魅力については上述しましたが、さらに面白さを加速させるのはハイテンションなギャグシーンの数々であり、それを演出するキャラクターの存在です。
一見お嬢様でおしとやかに見える朱美は、汗に濡れる大胸筋を目にしただけで絶頂しそうになるほどの筋肉フェチ。そのリアクションはもはや変態の域に近いので、ノーマルなひびきはドン引きしながら心のなかでツッコミを入れるのです。
また、ひびきが一目惚れした街雄は普段こそ長身の爽やかイケメンといった見た目なのですが、ことあるごとに筋肉を盛り上がらせて服を破り、(ほぼ)全裸になります。彼は作中でトップクラスのクセモノであり、読者としてはどこかのコマに現れるたびに身構えてしまいそうになるでしょう。
そんな彼女たちに対して、ギャルっぽい見た目の割には常識人のひびきは必然的にツッコミ側に徹することになりますが、そんなひびきもサンドバックをパンチで粉砕したり、豊満な肉体で水着を破ったり、ところどころでやらかしてくるため、油断なりません。
筋トレやダイエットにさほど興味のない読者であっても、彼女たちの強烈な個性のぶつかり合いを読んでいるだけで楽しめます。これを機に、ギャグ漫画を読みながらトレーニング知識を身につけていってはいかがでしょうか。
1巻は登場人物たちの特徴や、作風に慣れていただくのが一番でしょう。何せ本作は先ほど魅力であげた内容をまだまだ説明できてしまうほど濃いのです。
まずは先ほども少しお話ししたエロさ。当初はひびきのツッコミがあったものの、どんどん彼女自身もそのエロ解説に利用されるようになり、ますますけしからん感じになってしまいます。
- 著者
- 出版日
- 2016-12-19
そしてひびきの食欲のすごさがこれでもかと毎回見せつけられます。隙あらば何か食べている彼女は食べる、と決めたらすごい。普段の間食が本当におやつ程度だったのだと思い知らされるほどの弁当の量、ステーキの食べっぷりなどを見せます。
しかし1巻で見慣れない人の記憶に残るのはそんなヒロイン勢の魅力だけではないでしょう。街雄のやばさは見れば見るほどに癖になっていくものがあります。
当初は爽やかイケメンの彼でしたが、服を脱ぐと、すごい。かっこい〜い、くらいの生やさしいものではなく、いや、人体の構造的におかしいだろ、というほどムキムキになるのです。ちなみに半袖だと中間くらいの体の大きさになります。それどうなってんの?
どこを見ても変人だらけの本作の魅力に、まずは1巻で慣れてみてください(笑
- 著者
- 出版日
- 2017-06-12
『ダンベル何キロ持てる?』の2巻の見どころを、本編の内容とともに少しだけご紹介致します。ネタバレを含みますので、お読みになる際にはご注意ください。
ひびき、朱美、彩也香、里美の4人が海水浴に行く話では、女子高生3人+女教師の水着姿を見ることができ、目の保養になります。また、海らしく浜辺でできるトレーニングの解説もあり、夏場には重宝しそうな話となっていました。
同じく4人がサウナに入る話では、いつの間にか長サウナ対決になってしまい、ひびきと里美が競い合います。サウナ自体の効能と誤解についても解説されており、トレーニングで汗をかいた後に役に立つネタとして使えそうです。
そして、2巻でもっとも見どころとなるのはアームレスリング大会でしょう。2話にまたがって描かれるアームレスリング大会編では、賞金10万円を目指してひびきたちが奮闘します。
2話を通してバトル漫画調で描かれており、少年漫画的な熱いノリに興奮する読者であれば楽しめること請け合いです。
テクニック解説などもあるため、アームレスリングが強くなりたい男性には、入門としてピッタリな内容でしょう。
また、アームレスリング編の後半では新しいトレーニング仲間が加入します。パワー系の種目であれば無類の強さを発揮するひびきですが、対戦相手もアームレスリングの実力者、真剣な2人の闘いは見物です。
この巻は残念先生こと、里美の可愛さが際立った内容となっています。ことの発端はシルバーマンジムで筋トレをしたあとのこと。みんなで休憩しているところにジーナが通りがかり、里美がコスプレイヤー(エロ寄り)の百合亜リコだと気づくのです。
そのことをつきつけられた里美。誰にも言うわけないと言うジーナに、それでは信用できないからバラさない代償として何かさせてくれと土下座をします。どういう人生送ってきたんだろう……。
- 著者
- MAAM サンドロビッチ・ヤバ子
- 出版日
- 2017-12-12
ジーナは彼女に1日付き合ってもらい、コスプレツアーをすることに。それが終わった後、彼女が里美を連れて行ったのは、秋葉原。実はジーナはアイドルが大好きだと言うのです。
しかも見るだけに飽き足らず、アイドルになることを目指していると続け、なぜかその未来予想図に里美まで勝手に入れられているのです。そのほかにも響などもメンバーとして入れられているのですが、女子高生の中に囲まれるオトナ女子は現実的にはキッツイものがあることでしょう……。
そして他JKたちは断ることもせず、ノリノリの返答。そのまま流されてしまった里美は彼女たちと一緒にアイドルオーディンに出ることになるのです。
そこには普通の可愛い子たちに見慣れたプロデューサーがいました。アイドルは普通じゃなく、ぶっとんでなきゃだめだ、と思う彼の前に現れたのは、覆面を被ったゴリマッチョたちに肩車されてやってきた水着姿の彼女たち。
しかも里美、もとい「ファック・ザ・武道(仮)」はなぜか剣道のお面をかぶって参加しており……。
まさかのアイドルデビューか!?
3巻のこれからの展開に言葉は不要でしょう。ツッコミどころしかない「筋肉少女隊」に注目です。とりあえず、「アイドルは『普通』でいいや」って感じです。
- 著者
- 出版日
- 2016-12-19
キャラ全員がどこかおかしく、一度見たら忘れられない人物ばかりの本作。エロいのに、興奮するというより笑える展開の方が多く、女性でも楽しめる作品となっています。
最大の魅力であるカオスさは、作品でしか体感できないもの。ツッコミが追いつかず、どんどんボケが盛り込まれていくので、そのスピード感に合わせてサクサク読めてしまいます。
筋トレやストレッチについての知識も蓄えられ、一石二鳥の本作。ぜひその面白さを作品でご覧ください。スマホアプリで無料で読めるのでそちらからこの魅力を体感してみてもいいかもしれません。
筋トレをこよなく愛する方も、ダイエットを目的とした女性も、トレーニングに興味がない方も、幅広い層の読者に楽しめる内容となっている『ダンベル何キロ持てる?』は、マンガワンなどスマホアプリで無料で気軽にお読み頂けますので、ぜひお試し頂ければと思います。