バクステ外神田一丁目の堀内華央理です。皆さんは衝動買いをしてしまうことはありますか? 私はこの間、いつもコンビニでは同じコーヒーを買うのに、ふと隣に陳列されていたドリンクが気になって、買ってしまったことがあります。
たまに、見た目やセールス文句に魅了されてつい商品を手に取ってしまうということは、皆さんにもあるのではないでしょうか。私は読む本を選ぶ理由がさまざまあり、以前も偶然出会った本で印象的だった本を紹介させていただきました。が、今回はタイトルにひかれて、つい手に取った本の中からおすすめを紹介させていただきます。
- 著者
- ウィティ イヒマエラ
- 出版日
- 2003-07-31
ニュージーランドの先住民族に、カフと名付けられた少女がひとり。クジラに乗って土地にやってきたという先祖をもち、代々、男を長としてきたマオリの一族です。
男の跡継ぎを切望していた部族長である祖父は、カフをどうしても受け入れられない気持ちと、純粋に孫を愛する気持ちの狭間で苦しんでいました。
カフも同じく、祖父に認めてもらいたい、愛されたい気持ちと、自分の出生で死んだ母への罪悪感、自分の存在意義に悩まされています。祖母や叔父はそんなカフを見守り、だんだんと彼女に不思議な力が備わっていることに気づいていく。
一方、祖父はカフの代わりに跡取りの男の子を探し続けます。そしてある時、マオリ族に突然の危機が訪れますが、そんななかカフがとった行動とは……。
この本は海に行きたいと思っていたときに目にし、以前友人にもおすすめされたことがあったので手に取った一冊です。読み進めるにつれ、カフの苦しみ、祖父の苦しみとの両方を理解できるようで、自分自身も胸がぎゅっとするような気持ちになりました。
人間関係とは色々難しいもので、それは家族でも同じなのかなと思います。お互いの気持ちがすれちがったり、相手のことを思ってとった行動が裏目にでたりして関係がこじれてしまったり……。私自身、家族や友人とうまくいかないことも人生では何度もあったりと、カフと祖父の関係や心理描写を読んでいて、今までの経験を少し思い出してしまいました。自然の描写、マオリ族の伝統なども細かに描かれていたり、登場人物からは切ない思いを感じながら、最後は心温かくなれるおすすめ本です。
- 著者
- 船戸 与一
- 出版日
舞台はアメリカ、湾岸戦争後の90年代。主人公がインタビューを受け、自分とエル・ドュロという男の話を語りだすところから物語は始まります。
主人公は日本語も喋る謎多き男。エル・ドゥロに喧嘩のピンチから救われ、盗まれた金を取り返すはずだったのに、一緒に犯罪を始めることに。インチキ賭博、密造酒略取などの詐欺を仲間たちと繰り広げていきます。主人公たちは犯罪を重ねているのに、不思議と読んでいてどこかスカッとする爽快感をくれる一冊です。自分の家の本棚にたくさんの本があるなか、新しく読む本を探していたところ「蟹喰い猿……?」とタイトルにひかれて読み始めました。
コメディ要素もちりばめてあったり、登場人物たちが時にギリギリで作戦を失敗したり、時に計画通りに犯罪に成功したりと、スリルもありながら読み進めることができます。
- 著者
- 北 杜夫
- 出版日
阿呆、ケチ、強情、尊大、無恥、粗野、野蛮、ならず者、身勝手、天邪鬼、不浄、臆病、ヘツライ、おせっかい、口まめ、つましさ、迷信、作り話、酒飯み。
マンボウ博士こと著者の北杜夫さんが、高校時代に読んだことのある古代ギリシャの哲学者テオフラストスの『人さまざま』に触発され、自分なりの様々な人間模様を描いた作品。この一冊もタイトルにひかれて手に取った本です。一編一編がさくっと読め、どの章を読んでもくすっと笑ってしまうところがあり、「こんな人確かにいるな……」と納得できてしまいます。
そしてすべての章にユーモアと豊富なエピソードがあふれ、1日で最後まで読み通してしまいました。時折出てくる著者の奥様のエピソードもおもしろく、本書の読みどころです。私自身、笑って読みながらも自分もあてはまってるところがないか……などと、今一度自分の行動を見つめ直す良い機会になりました。本とアイドル
アイドルが、本好きのコンシェルジュとして、おすすめの本を紹介します。小説に漫画、詩集に写真集に絵本。幅広い本と出会えます。インタビューも。