漫画『殺戮の天使』の魅力をゲームと比較して徹底紹介!【7巻ネタバレ注意】

更新:2021.11.24

漫画『殺戮の天使』のアニメ化が決定しました!100万ダウンロードを突破し、実況動画も有名となった大人気ゲームのコミカライズ版です。今回は、ゲームファンからも大人気な漫画『殺戮の天使』の魅力を、ゲームと比較しながら考察、紹介していきます!

ブックカルテ リンク

漫画『殺戮の天使』の魅力とは?【アニメ化】

漫画『殺戮の天使』は、タイトルからも不穏な雰囲気を感じますが、同名のサイコホラーアドベンチャーゲームのコミカライズ版です。作画はゲーム作者が以前作成した『霧雨が降る森』のコミカライズ版も手掛けた、名束くだんが担当しています。そのため、作品に対する理解もばっちり。作者もゲームファンからも大満足の作品となっています!

『殺戮の天使』は、記憶を無くした少女・レイが、ビルの最下層からの脱出を図るストーリーです。そのビルには1フロアごとに殺人鬼が配されていて、階をのぼるたびにさまざまな危険が襲い掛かります。レイは最下層にいた連続殺人鬼のザックと歪な約束を交わし、協力し合って出口を目指します。

著者
名束 くだん
出版日
2016-01-27

レイがザックと交わした約束は、「ビルから脱出したら、ザックに殺してもらう」というものでした。レイはなぜ自らザックに殺されることを望んだのか、2人はビルを脱出することができるのか、そして、本当に彼女は殺されることになるのか……?

階を進むごとに明かされていく数々の謎や、次第に打ち解けていく2人の奇妙な関係、殺人鬼たちの過去など、練りに練られたストーリーが魅力の作品です。

100万ダウンロードを超えた人気ゲームのコミカライズということで、期待されて連載をスタートしましたが、さらに魅力が加わったとして、原作者からもゲームファンからも大絶賛されています!もちろん、ゲームをしていない方からも面白いと話題です。

この記事では、漫画『殺戮の天使』をゲームと比較して、ゲームを忠実に再現しているシーンや、漫画ならではの魅力を考察し、紹介していきます!

漫画『殺戮の天使』は、ビルに迷う【あらすじ】

漫画『殺戮の天使』は、ビルに迷う【あらすじ】
出典:『殺戮の天使』1巻

ビルの最下階で目を覚ました少女・レイ。彼女の記憶は病院の診察室にいたところまでで、なぜいま自分がビルにいるのか、まったく状況を理解できません。

 

とにかく外に出ようと、出口を目指して部屋を出ると、壁にはこんな言葉が書いてありました。

「君はいったい誰で何者か 
自身で確かめてみるべきである
本来の姿か、望む姿か
天使か、生贄か
己を知れば門は開かれる」(『殺戮の天使』1巻より引用)

隣の部屋へ入ってみると、なかにはコンピューターがあります。自動で流れてくる音声に従い、レイは自分の名前や年齢、なぜ病院へ来たのかを話しました。

すると、突如館内放送が鳴り響きます。

「――最下層の彼女は 
いけにえとなりました
――みなさま
各フロアにてご準備を」(『殺戮の天使』1巻より引用)

そして、彼女を狙って殺人鬼ザックが現れます……。

ビルには1フロアごとに殺人鬼がいて、彼らから逃げながら上のフロアを目指すルールです。しかしレイは、ザックに「殺してほしい」と願い出ました。ザックは「ビルから出られたら」と約束し、2人は奇妙な絆を深めながら、協力し合ってビルからの脱出を目指していきます。

 

著者
名束 くだん
出版日
2016-06-27

漫画『殺戮の天使』のゲームに忠実な部分での魅力とは?

漫画『殺戮の天使』のゲームに忠実な部分での魅力とは?
出典:『殺戮の天使』1巻

漫画『殺戮の天使』は、ゲームのシナリオをそのまま追っていくため、ゲーム内のストーリーやイベントシーンが忠実に再現されています。

展示物の表記やキャラクターのセリフもゲームと同じ文言が使われ、風景も同様に描かれているのです。ゲームではプレイヤーがレイを操作してフロアを動き回り、情報を少しずつ集めるシステムのため、ストーリーは同じですが漫画の方がサクサク進んで分かりやすいという方もいます。

ゲームでは、最初のフロアで高速で移動しながら追いかけてくるザックから逃げなければならない、というイベントがあり、なかなかに恐怖心を煽る演出です。しかし漫画版でも、見開きページを大胆に使った表現方法で、ザックの躍動感はまったく失われていません!漫画ならではの表現方法を巧みに利用し、ゲームの世界観を忠実に再現している点が、ゲームファンからも評価されています。

漫画『殺戮の天使』のコミックオリジナルの魅力とは?

漫画『殺戮の天使』のコミックオリジナルの魅力とは?
出典:『殺戮の天使』1巻

ストーリー展開はゲームを忠実に再現していますが、ゲームと漫画で媒体が異なるため、表現方法による違いはどうしても生じてしまいます。サウンドの効果や映像による表現を、漫画で忠実に再現することは不可能です。

しかし、漫画でしか表現できないことももちろんあり、それが漫画オリジナルの要素として、ゲームをプレイしてストーリーを知っている方も再び楽しむことができる理由となっています。
 

漫画オリジナルの魅力のひとつとして、登場人物の表情を見ることができるという点が挙げられます。ゲームでは、キャラクターがセリフをしゃべる際に要所要所で差し込まれる表情のイラストを見ることができますが、常に表示されているわけではありません。

漫画版ではキャラクターの表情や目の動きなども細かく描写されており、ゲームでは分からなかった彼らの細かい感情の動きや心情が分かり、よりストーリーの理解が深まるでしょう。

さらに、ゲームでは語られなかったキャラクターの過去も、漫画版では見ることができます!フロアごとの殺戮者がなぜ人を殺すという手段を取ることになったのかが、ゲーム本編よりも詳しく語られています。ここでもキャラクターの表情や過去回想を絵のイメージで見られるのがとても効果的です。

また、エディという殺戮者の過去とかわいい素顔も、漫画版では明かされています。キャラクターの過去や素顔を知ることで、より彼らに愛着を持つことができます。漫画版を読んでからゲームをプレイすると、また違った印象を受けるかもしれませんね。

著者
名束 くだん
出版日
2016-12-26

漫画オリジナル!キャシーの過去が見られる!【5巻ネタバレ注意】

漫画オリジナル!キャシーの過去が見られる!【5巻ネタバレ注意】
出典:『殺戮の天使』5巻

5巻ではなんと、ゲームでは明かされなかったキャシーの過去が、まったくのオリジナルのシナリオとして描かれているのです。
 

キャシーは地下3階のフロアで自らを断罪人と名乗り、レイとザックの命を狙って登場するキャラクターです。美しくナイスボディの外見と高飛車な性格から、ファンからも「キャシー姉さん」と親しまれる人気のキャラ。

電気椅子や毒ガスなど、数々の拷問をクリアしなければならない、ゲームでももっとも長いシナリオで、漫画版では3冊に渡って描かれています。

4巻で、殺戮衝動を抑えるために自らを鎌で貫き、倒れてしまったザック。5巻ではキャシーに大量の銃を向けられた絶体絶命な場面からスタートしますが、ついにその戦いに決着がつきます。レイとザックはどうやって切り抜けるのか、気になる結末はぜひコミックで確認してみてください。

また、レイの不可解な行動や言動が、次第に増えてきました。なぜ、レイがザックに殺されることを望んでいるのか、レイはなぜこのビルにやって来たのか、レイの正体とはなんなのか……?

謎は深まるばかりですが、レイとザックにとって協力してキャシーと戦った経験は、2人の関係をより親密なものにしたようで、お互いに信頼し合うシーンも見ることができます。

そして5巻の最大の目玉は、ゲーム本編では明らかにされなかったキャシーの過去が明らかになることです!

キャシーがどんな過去を経て断罪者となったのか、彼女を慕った幼馴染の視点から3話に渡ってしっかりと描かれていて、ゲームをすでにプレイしたという方にも絶対に読んでほしい一冊です。

著者
名束 くだん
出版日
2017-07-27

レイの罪【6巻ネタバレ注意】

怪我をしたザックのためにひとりでビル内を探索することにしたレイ。しばらく歩くとどこからかオルガンの音色と、甘い匂いが漂い始めます。

そしてその匂いに頭がクラクラしたかと思うと、目の前に扉が現れました。そこに「汝の名を告げ 懺悔せよ」という言葉があったので、レイは自分のフルネームを言います。すると扉は開き、彼女はその先で鏡を見つけます。

その後鏡の中の自分が勝手に動き出し、「己を知れ!」と言ったかと思うと、鏡は割れ、歪んでいるようにも見える不思議な空間にたどり着きます。

著者
名束 くだん
出版日
2017-12-27

そこには4枚の絵があり、空中に文字が現れ、「流れ出た罪を受け止めろ」と書かれます。そしてレイはその場にあったガラスの破片でその絵を切り裂くのです。

そこで彼女の記憶が描かれます。両親のような人物が現れますが、レイはどうでもいい、と吐き捨て、今すべきことはザックを助けることだけだ、とその記憶を切り裂くのでした。

そしてその絵から流れ出た血のようなものを手に持っていたビンに移すと再び甘い匂いが漂い、あたりは真っ暗に。しかしレイがそのまま歩き続けると目の前にオルガンが現れました。

そして「罪とは何かこの場で示せ」と文字が促します。ビンの中の液体をそのオルガンにかけたレイ。

耳が、頭が痛いと思ったその時、目の前のオルガンはそのままに、あたりは教会のような場所に変わります。

そしてそこにいたのは、グレイという神父の姿をした初老の男性でした。そしてザックを助けるために必要な治療に使えるようなものはB5のダニーのフロアにしかないだろう、と言うのです。

今まで下に降りられるような設備はなかったはずだと思い返すレイに、彼は自分と一緒ならば可能だと言い……。

甘い匂いとともに不思議な出来事が次々と起こるというグレイ出現の特徴が、漫画ならではの表現方法で描かれています。めくるめくような展開に、読者まで酔っているかのような不思議な感覚を覚えます。

また6巻では試練を受けるという名目のもと、様々な状況でレイが試されることに。無表情な彼女ですが、自分の自己中心的な考えや、目的のためなら手段を選ばないことを妄想だと思われる人物に責められるシーンが多く、やはり何かしらの罪悪感を抱えているのだろうということが伺い知れます。

しかしその闇の中で、ザックとの誓いだけは確かなものだと感じられるのです。この心理描写の細やかさは漫画ならではではないでしょうか。徐々にふたりは絆を深めています。

しかしレイがザックへの気持ちを確かにしている時、死んだはずのダニエルが彼にトドメを刺そうとやってきて……。

続きの詳しい内容、レイの細やかな心理描写はぜひ6巻本編でご覧ください!

魔女裁判で心の闇を暴かれるレイ……!【7巻ネタバレ注意】

7巻は、レイの心の闇が暴かれる展開が続きます。物語は、グレイという神父が、彼女の心の核心を突くようなシーンから始まります。

「君の行動の全ては 自己愛に違いないのだ」
(『殺戮の天使』7巻より引用)

著者
名束 くだん
出版日
2018-04-27

ザックに殺されることを夢見るレイは、それが本当に神のみこころに沿うものなのかと問い詰められ、動揺。そのまま気づくと大蛇の目の前にいる場所にいるのでした。そしてそこから逃げ出すと、そこに息を荒げたザックを見つけます。

そこで神に誓って自分を殺してくれると言ったザックではあるものの、その1点のみで信じたことに不安を感じたレイ。そこで彼本人についてさまざまなことを聞くのですが……。

どんどん自分の信じているものを疑わざるを得ない状況に追い詰められるレイ。そして気づくとまたいた場所が変わり、グレイの目の前へと連れてこられます。そこでレイは、今まさに瀕死の状態になっているザックの責任を問われ、魔女裁判にかけられるのです。

どんどん変わる世界観、特徴的な言い回しなどが魅力の本作。7巻では巻末に作者インタビューもあり、原作を漫画に置き換えることの苦労や工夫なども楽しめるので、そちらもぜひご覧ください。

今回は大人気ゲームのコミカライズ版『殺戮の天使』をご紹介しました!ゲームをプレイした方にも、アニメ化が気になるという方にも読んでいただきたい作品です!この漫画を読んでからゲームをプレイするとより楽しむことができますよ。おすすめの作品です!

  • twitter
  • facebook
  • line
  • hatena
もっと見る もっと見る