七つの大罪がひとり、強欲の罪バン。エレインとの恋の馴れそめから、キング、メリオダスとの関係、彼の背負う罪の詳細、未だ行方不明の神器など、考察を交えながら紹介していきます。30巻までのネタバレを含みますので、未読の方はご注意ください。
- 著者
- 鈴木 央
- 出版日
- 2013-02-15
リオネス王国の聖騎士として国に尽くした「七つの大罪」は、ある出来事がきっかけで国から追われる身となってしまいました。
10年後、リオネス王国王女エリザベスによって、大罪たちが再び集結。ただ彼らが背負う「罪」だけは、どんなに月日が過ぎようとも、決して消えるものではありません。
強欲の罪を課せられた彼は、愛するエレインの命と引き換えに不死身の力を得ました。一体それにはどんな理由があるのでしょうか。また、トレードマークにもなっている顔の傷は、誰につけられ、なぜ治らないのでしょうか。
2018年1月から放送されるアニメで、バンの声を演じるのは鈴木達央。イケメン声優としてファンも多いです。キャラクターのイメージにぴったりの性格で、メリオダスの声を演じる梶裕貴は「ほぼそのまんま」と評価しているほど。低音ボイスがワイルドさに磨きをかけます。
一方、恋人のエレインを演じるのは小岩井ことり。原作漫画のなかでも、特に容姿が可愛いと人気の高いキャラクターで、アニメでは声が入るため、さらに可愛さがアップします。胸キュンなバンとのイチャつき、ぜひ注目してみてくださいね。
それでは、エレインやキング、メリオダスとの関係や、未だ手元に戻らない神器など、考察しながら紹介していきます。30巻までのネタバレも含みますので、まだ先を読んでいない方はご注意ください。
『七つの大罪』のストーリーをおさらいしたい方は<漫画『七つの大罪』の魅力を全巻ネタバレ紹介!アニメ2期前に復習!>の記事がおすすめです。
通称、強欲の罪(フォックス・シン)および、不死身のバンなどの異名を持つ大罪人です。強欲とつく通り、自分の興味のあるものには執着心を示しますが、その他には記憶にすら残らないほど無関心。
かつて、強欲の罪で投獄されていた頃、メリオダスにスカウトされ「七つの大罪」に加入しました。左側の顔から首筋にかけて、メリオダスにつけられた傷があり、大罪人の印となる狐の刺青は、左のわき腹にあります。
幼少時代は、親に虐待されていたため、ジバゴという獣人に育てられ、盗みを教わっていました。そのせいか、洋服や武器などを強奪するという、手癖の悪いところがあります。物語が始まる10年前からバステ監獄に囚われており、メリオダスの復活を聞いて脱獄しています。
また、意外にも料理が上手で、メリオダスが営む「豚の帽子亭」では、料理を担当しており、残飯も最高だとホークも満足している模様。リオネス奪還編の10巻では、七つの大罪の仲間が聖騎士らと戦っている最中、バンだけは戦いと関係のない「ケルヌンノスの角笛」を探すなど、時折身勝手な行動をすることがありますが、これにも様々な理由もあるのです。
彼はジバゴから、不老不死をもたらす「生命の泉」の話を聞き、それを奪うために妖精王の森を目指しました。しかし、彼が生命の泉を飲む前に、古の対戦で封印されたはずの魔神族が、生命の泉を奪いに来たのです。
彼はとっさに魔神族の心臓を強奪しましたが、魔神族の心臓は7つ。魔神族はエレインを攻撃すると同時にバンをも攻撃し、ふたりに瀕死の重傷を負わせます。そこで、隠しておいた生命の泉を口移しで飲まされた彼は、不死不老の身となったのです。
彼は魔神族を倒しましたが、生命の水欲しさに妖精王の森を破壊したこと、聖女エレインを殺害したことなどすべての罪を彼が負うことになりました。
キングは自分の妹を殺害した犯人だと思い込んでいたため、3巻では正面からいきなり「霊槍シャスティフォル」で、彼を突き刺すといった再会を果たしています。
それを確かめるかのようなキングのセリフ
「キミの犯した深い…深い……罪」
「自分の<強欲>を満たし 永遠の命を得る代償に 生命の泉の聖女を殺した」
「…図星なんだね」(『七つの大罪』3巻から引用)
このときのバンも、罪に関して一切否定していませんが、その理由は「<本当の罪>ってのは…滅ぼすことなんてできね~~のさ」から読み取れますね。
彼にとって本当の罪は「強欲の罪」ではなく、聖女を、愛する女性を救うことが出来なかった、という罪なのでしょう。
13巻で、王国を支配する2人の聖騎士長を倒した大罪たち。王国には平和が戻り、祭りムードになっていたところ、突然バンが団長に「七つの大罪を脱退する」と宣言しました。
お前がいなくなったら、誰が飯を作るんだ!と反対するメリオダス。団長、そこじゃない!という意見はさておき、団長に反対されるも決意は固い様子です。
彼の動向を怪しんだキングは、背後からついていきます。どこへ行くのか聞いたところ、彼が目指す場所は妖精王の森でした。一体何のため……?
次の項目で、キングとの関係をまとめながら、その時のシーンをふり返っていきます。
3巻で2人は10年ぶりに再会。キングがバンの胸に剣を刺して登場します。なんとも衝撃的なシーンでした。
生命の泉を守る聖女であり、自分の妹であるエレインを殺した彼を恨んでいたキング。バンが生命の泉を飲んで、不死身の体になっていたことを知っての行動でしょう。キングは妹の無念を晴らすため、何度も襲いかかります。
そもそも10年前は仲が良かったのに、なぜこのような再会になってしまったのでしょうか?
10年前、王都転覆疑惑をかけられて解散した七つの大罪。あてもなく、キングは故郷である「妖精王の森」に戻りました。
そこで目にしたのは、無残に荒れ果てた故郷の姿でした。その後、故郷や仲間たちを傷つけ、燃やし尽くしたのが一人の賊によるものだったと知るのです。その賊は故郷を荒らすだけでなく、生命の泉を守っていた聖女・エレインを殺し、森の宝を奪ってしまいました。
このように聞かされていたキングは、その賊がかつて仲間だったバンだと気づき、妹の命、そして森を壊した彼を恨むようになるのです。
しかし実際のところ、エレインを殺し、森を破壊したのは魔神族。バンは彼女を愛していて、必死に助けようとしていました。それについては、後ほど詳しく説明していきます。
死者の都で、死んだはずのエレインとバンのやりとりを見て、2人が深い絆で結ばれていることを知り、少しずつ彼を受け入れていきます。
13巻では、彼が突然「妖精王の森へ行く」と言い、キングは困惑してしまいました。森は、10年前に焼き尽くされて今はもうないはず……。バンが嘘をついているのでは?と勘ぐったキングは、彼に付いていきました。
しばらく歩き進めると、あたりが霧で真っ白に。視界が開けたところには、かつての妖精王の森のような光景が広がっていたのです。そこには、妖精の仲間たちもいました。キングは感激して涙腺を緩ませます。
しかし、「妖精王さま!」と彼らが駆け寄ったのは、なんとバンの方でした。一方のキングは、「森を守らなかった裏切り者のハーレクイン」と罵られてしまうのです。
エレインが死んだ後も、自らの血を捧げ、森の成長に貢献するためにたびたび訪れていたバン。彼が本当は愛する人を守るために戦っていたことを知っている妖精たちは、キング(ハーレクイン)ではなく、彼を妖精王として崇めていたのです。
その事実に、相当のショックを受けてしまうキング。誰も自分を必要としていない……そう思い、故郷を後にしようとしていたその時、復活した魔神族の兵器が森を襲いかかりました。
妖精王の森と仲間たち、そしてバン。今度は誰一人として失いたくない、と強く願ったキングは進化した神器を携えて敵と戦い、守ることができたのです。ハーレクインは「妖精王」として、また仲間たちから認められるようになりました。
誤解がとけ、一層互いの絆を深めることができたシーンでした。2人とも、妖精王の森にとって重要な人物です。この出来事以降も、彼らは助け合いながら困難に立ち向かっていきます。
妖精族と人間という異なる種族にして、どのように出会い、愛を深めていくことになったのか。ここでは、4巻に収録されている「-外伝-バンデット・バン」の内容を中心に、2人の出会いから現在の関係について考察していきます。
エレインとは、妖精王の森で出会いました。もともと、彼女自身も妖精王ではないので、森の守り人というわけではありません。しかし、キングが親友のヘルブラムを救おうと森を離れる際、エレインに押し付けていった形になったため、彼女はキングの帰りを待ちながら、700年も妖精の森と杯を守り続けていたのです。
エレインは初め、何度も盗賊の彼を追い払っていましたが、「諦めた」という彼の言葉が嘘ではないことや、心の底に広がっている「何か」を感じ、次第に心を開いていくようになりました。
これまで、永遠の権力を求めて軍隊を送ってきた王がいたことや、巨万の富を得たいがためにだまそうとした商人、森ごと焼き払おうとした蛮族がいたことなど、エレインはバンに多くを語りました。
話をするうちに、2人の距離がだんだん縮まり始めた頃、彼女は自分が「変な気持ち」になっていることに気がついたのです。
2人が互いに心引き寄せられていた矢先、突然1体の魔神族が襲いかかってくるのです。このときバンは、まだ不死身ではなかったため、エレインとともに重傷を追ってしまいました。とっさに隠した杯の水を彼に飲むように言いますが、彼は自分にはもう飲む力は残っていないと、彼女が飲んで生きるよう言います。
しかしエレインは、彼を生かせるために杯の水を自分の口に含み、口移しで飲ませました。彼女は、700年間たったひとりだった自分を、楽しませ続けてくれたバンを生かせたかったのでしょうね。彼が「そうするか」と言ってくれたことが、本当に嬉しかったのです。
また、妖精は人の心を読むことが出来るということもあり、賊を名乗っていても、彼が優しくて情のある人間だと分かっていたのでしょう。妖精王を連れ戻せば、エレインは自由になるといってくれたことなど、彼の言葉のすべてが700年の長い時を、打ち消してくれたのかもしれません。
だからこそ彼は、いつか必ずエレインを生き返らせようと心に誓っていたのです。それが10巻の、ケルヌンノスの角笛に繋がっていきます。
ケルヌンノスの角笛は王国の至宝として、王城の地下深くにありました。女神と交信出来る祭器ということで、彼は自分の命と引き換えに、エレインを生き返らせてくれるよう頼んだのです。
このとき、彼女が生き返ることはありませんでしたが、メリオダスの常闇の棺が奪われ、十戒が復活したあとは、十戒メラスキュラの魔力によって死人が生き返るという事態が起こりました。その際、死んだはずのエレインもまた、生き返ったのです。
ただ、メラスキュラが死んでしまった場合、その魔力の効果がなくなり、彼女にも再び死が訪れます。27巻で、メラスキュラの心臓は残りひとつになりました。続く28巻では、再び七つの大罪が対峙します。彼らはメラスキュラを倒すことができるのか、またそのときエレインは一体どうなるのか……。
以下、28巻のネタバレを含みますので、ご注意ください。
城塞都市コランドにて待ち構えていたメラスキュラ。「暗澹(あんたん)の繭」でメリオダスをとらえている間に、大蛇の姿になって七つの大罪に襲いかかります。普段の可愛らしい女性の姿は仮のもので、可愛くない蛇の姿になるのは嫌だったそう。これまでの邪悪な様子を見ていたら、こちらが本体だったことに納得いきますね。
心臓は残りひとつでしたが、長い蛇の体中どこでも動かせるため、止めを刺すのが難しい状況。エレインを再び失うかもしれないという不安があるなか、バンは仲間たちを救い、最愛の人を傷つけた無念を晴らすため、メラスキュラに立ち向かいます。
しかし、相手は体の大きさも力も今までとは桁違いでした。彼は今にも噛み砕かれそうな状況で、絶体絶命のピンチ。
エレインは弱った体のまま、彼を救い出そうとします。
「私だって……あなたを護りたいの!!!」(『七つの大罪』28巻より引用)
こう叫び、大蛇の口に挟まれていたバンを一瞬のうちに救い出しました。
驚くことに、このときのエレインの闘級はなんと2万1050にまで達していたのです。そして、彼女の背中には大きく綺麗な羽が生えていました。
彼を愛する気持ちが、ここまで彼女を強くさせたのです。2人の絆の深さを目の当たりにした、感動のシーンでした。
メラスキュラは、その後七つの大罪にコテンパンにされて、小さな蛇の姿に。ここでエレインがどうなるのか気になるところですが、敵はまだかろうじて命がある状態です。だから死者の都に戻らずに済んだ、というのが現段階で考察できることでしょう。
妖精族と人間。種族の違う2人は、どのように出会ったのでしょうか?
上記でも紹介しましたが、馴れ初めについては4巻に収録されている外伝で描かれています。
生命の泉目当てで妖精王の森へやってきた盗賊のバン。泉を守る聖女のエレインは、必死に彼を追い払おうとします。
しかし、心を読み取れる彼女は、バンが野蛮なことを考えているわけではないことに気づくのです。700年もたった1人で泉を守り続けたエレイン。徐々に心を開いていきます。
「バンが奪いにきたのが『生命の泉』じゃなくて
私だったら…良かったのになァ……」(『七つの大罪』4巻より引用)
一緒にいるのが楽しくて、そのうち彼が人間の世界に帰ってしまうことを寂しく感じるのです。
すでに彼女の心はバンに奪われているようですが……。こんな独り言を呟いてしまうエレインの、しゅんとした表情が可愛すぎます!
死者の都にたどり着いた一向。妹を殺され、生命の泉を奪った張本人としてバンを憎んでいたキングは、彼を石化してしまいました。
そこでエレインが魂の状態で現れ、石化した彼にキスをします。すると、みるみるうちに彼にかけられた術が解けていったのです。
バンは「よう♪エレイン」と言って久しぶりの挨拶をします。頬の傷、どうしたの?と心配する彼女の優しさから、彼を大切に思っていることが窺えます。
聖女さまと盗賊出身の男という、種族も立場も違う2人ですが、絆の深さでは他のどのカップルにも引けを取りません。
十戒のメラスキュラは、死者を蘇らせる禁呪を使うことができました。エレインは、この世に生きるものへの未練や嫉妬の念によって、バンの目の前に再び姿を現します。
感動の再会と思いきや、彼と一緒に旅をしていたジェリコに対して、嫉妬で荒れ狂ってしまうのです。かつて澄み切っていた美しい瞳は、深い闇に引き込まれるような暗さになっていました。
問答無用でジェリコに攻撃を仕かけるエレイン。愛するバンにも、私以外の女を庇ったとして切りつけてしまうのです。
自分でも暴走を止められなくなってしまい……。最後はバンに抱きすくめられて、やっと我にかえるのです。
「いつか必ずお前を奪う 約束しただろ…?」(『七つの大罪』18巻より引用)
この包容力、どう表現したらよいのでしょうか……。彼の広い背中から、彼女のすべてを受け止める覚悟があるように感じられました。
普段は団長とやんちゃばかりのバンがエレインに向ける、真剣な表情。このギャップがなんといっても素敵なのです。
22巻で、十戒と戦いで倒れたメリオダスを助けるシーン。
エスタロッサに攻撃され、メラスキュラがとどめに魂を抜き取ろうとしている絶体絶命の状況です。そのとき、彼を救えるのはバンしかいませんでした。
メラスキュラを倒せば、術で一時的に生き返っているエレインを失うかもしれない。そう思っていながら、メリオダスを助ける決意を固めるのです。
お前を再び失うかもしれない……とバンが苦悩しながらも、エレインは彼に「私に許しを求める必要なんてない」と告げます。強く強く抱擁する2人。姿が見えなくとも永遠に結ばれている、という信頼感の強さが感じられる名シーンです。
ちなみにこのとき、人目をはばからず抱き合う彼らをみて、キングとディアンヌは赤面。他のカップルのことはいいから!と言いたくなってしまいます。シャイな彼らも、少しは大人の恋愛に近づいてほしいものですね。
上記でも紹介しましたが、28巻でエレインに大きな羽が生えるシーンは、特に2人の愛の深さが感じられました。
助けられてばかりではなくて、自分もバンのことを護りたいの!!と叫んだ途端、一瞬のうちに宙を飛びます。そして、なんとメラスキュラに噛み砕かれそうになっていた彼を救い出すのです。
そこで見せたのは、普段のか弱い様子ではありませんでした。大きく立派で綺麗な羽を生やして、バンを見事助けたのです。
これには七つの大罪一同、騒然でした。特に衝撃を受けたのはキングではないでしょうか?未だちっちゃな羽しか生えていない自分よりも格上で、妹に先を越されてしまった感が否めません……
大切な人を愛する気持ちが強い力をもたらしてくれる、と感じられる名シーンでした。
週刊少年マガジンで、第219話と一緒に掲載されたのが「番外編/パンツを求めて」です。そもそも妖精族は普段パンツを履いていない、という事実はご存知でしたか?ざっくりと紹介すると、パンツを履いてみたいノーパン系女子・エレインが、バンと一緒にお買い物に行くという内容です。
これがまぁぁあ可愛すぎるっ!ということで、少しだけ紹介しちゃいます。
ジェリコに「女なら下着ぐらい履きなさいよ」と言われたエレインは、その言葉を真に受けて「パンツが欲しい」と可愛くおねだり。バンは不思議そうに思いながらも、一緒に買いに行くことになります。
パンツが欲しいって……と半ば他のメンバーに呆れられながらも、本人は履く気満々です。両手を腰に当てて、「私 パンツをはくわ…!!」とかっこよく宣言しちゃうほどの勢い。清々しすぎて、こっちが恥ずかしいわ。風が吹いて、本当にパンツ履いてないのバレちゃってるし。
いざパンツ屋(?)へ向かう一行。試着もできると言われ、履き方が分からないエレインはバンに履かせてもらうことに。ここにきて、まさかのエロ展開?と期待も高まりますが……!?
さて、可愛らしいパンツ姿を拝むことはできるのでしょうか。見逃しちゃった方は、スマホのアプリ「マガジンポケット」で掲載されていますので、そちらからぜひ!単行本に収録されるのが待ち遠しいですね。
エレインについては<『七つの大罪』戒めの復活でエレインが復活!?バンとのいちゃつきに期待>の記事で紹介しています。気になる方はこちらもあわせてご覧ください。
バンの闘級は通常3220(魔力1380:武力930:気力910)ですが、「狩りの祭典(ハンターフェス)」時は2万6000以上まで上がります。
魔力は「強奪(スナッチ)」で、まさに盗みの能力です。ただ、その力にもさまざまな形があるので、そちらから解説していきましょう。
1.身体狩り(フィジカルハント)
相手の身体能力を強奪する魔力ですが、ただ強奪するだけではなく、自分の力に上乗せすることができます。ただし、この力を使った後、極度の疲労感に襲われるという副作用があるのがデメリットです。
2.狩りの祭典(ハンターフェス)
魔力中心の身体狩りと違い、武力を中心にして周囲にいるすべての生物を対象に、身体狩りをする能力です。ただ、この技には許容範囲があるため、それを越えることは出来ないというデメリットもあります。
3.獲物狩り(フォックスハント)
強奪の魔力を使い武器を用いて、物理的に存在している対象を掴み取る技。
4.バニシング・キル
高速回転をしながら、武器で相手を切りつけるという技。遠距離からの攻撃が可能ですが、バンの神器は未だ行方不明のままなので、神器を使用した場合、現時点よりもさらに強力になると推測されます。
5.絶気配(ゼロサイン)
自分の気配を一切消して、対象に近づく技です。バイゼルで十戒と対峙したメリオダスを援護するため、メラスキュラの後ろに廻り、首を捻って殺害したときにも使用しています。
6.死神の一薙ぎ(アサルトハント)
鞭を高速で廻して、対象をなぎ払いながら斬りつける技で、広範囲に渡る攻撃が可能です。
【神器】聖棍クレシューズ
当初、バンをはじめメリオダスやディアンヌも神器を失くしたり、売り払ったりしていて手元にありませんでした。その後、ディアンヌの神器はバイゼル喧嘩祭りで取り戻し、メリオダスの神器もマーリンによって買い戻されています。よって、7人の大罪人のうち、6人がすでに神器を手にしているのです。
しかし、神器に至っては行方不明のままで、本人曰くバステ監獄に投獄されるとき、「盗られた」とのこと。いまだ彼の手元に戻らない神器は、誰が持っているのでしょうか。盗られたのが、没収されたということであれば、バルトラ国王の手元にあるとも考えられます。
ただ、本当に国王の元にあるのであれば、ゴウセルの心臓を渡そうとした27巻で、バンにも神器を渡そうとするはずです。このときは、ゴウセルが心臓を見て逃げたということもありますが、だからといって渡しそびれたとも考えにくいですよね。
だとすれば、彼をバステ監獄に投獄したときの、聖騎士もしくは兵士といった人物が、持っている可能性が高いように思えます。もしくは、メリオダス同様にマーリンが……?
バンは、強欲の罪で33回もの死刑を執行されたのにも関わらず、すべてを生き延びていました。首をはねても炎で焼かれても、生命の水を飲んでるため、何度でも生き返ってしまうのです。それから4年後、厳重に造られた牢屋に、囚われた彼の元に来たのがメリオダスでした。
「まーた死刑のお時間か~~♪もう面倒いから動かねーぞ♪用があンならじじで済ませよ」(『七つの大罪』5巻から引用)
メリオダスは牢から出てもらうと言いましたが、会いたいやつも帰りたい家があるわけじゃないと渋ります。しかし、力づくで外に出された彼は、エレインの死後で一番楽しかった出来事だったのでしょうか、もう一回やろうとせがみました。
続きがしたかったら牢を出て自分と組めというメリオダスに、バンは満面の笑みで答えたんですね。そしてまず、ここでメリオダスが1勝。このときからふたりは、勝負するたびに勝敗を数えることになったのです。
3巻で2人が腕相撲したときには、すでに720戦おこなっていると描かれています。
彼らの勝負は、あいさつみたいなもの。ですが、地面が崩れようと何があろうと、全力で戦うことで、絆をより深めているのです。
顔から首にかけてある彼の傷は、メリオダスが刃折れの剣を持っているかが気になって、無理矢理取ろうとしたときに、怒ったメリオダスにつけられたものです。このとき彼は、すでに不死不老だったので、傷もすぐに完治するはずなのですが、この傷だけは残ったままです。
そもそも彼が不死身の力を得たのは、エレインに妖精王の森に伝わる「生命の泉」を口にしたことがきっかけでした。妖精王の森に魔神族が襲いかかってきたとき、エレインは「ここの木を燃やすことができるのは、魔神族が操る煉獄の炎だけ」と言っています。
これらのことから、バンに傷をつけることができるのは魔神族の力だということが分かるでしょう。
メリオダスによる傷が癒えず、そのまま残っているのは、彼が魔神王の息子である可能性を表しています。
かつて、魔神の血を取り込んだジェリコにやられた傷も回復に時間がかかりましたが、それも「魔神族の力」と関係があるようです。
18巻では、妖精王の森を抜けてジェリコとともに旅をしていたとき、育ての親であるジバゴに再会します。
盗賊都市レイブンズは、バンが幼いころに暮らしていた場所でした。死人を生き返らせている人物がいると噂になっていたため、2人は訪れていました。
たまたま通りを歩いていると、フードを深くかぶった怪しげな男が数人に追われているところに遭遇。目の前で倒れてしまったので、宿で介抱してやると、なんと顔が獣姿の獣人でした。
所変わって、バンの回想シーンにうつります。ベットに横たわる獣人の言葉や姿から、彼は昔の出来事を思い出していたのかもしれません。
孤児だった彼は、盗みをしながら日々を過ごしていました。ある日、牢獄の中で出会ったのがジバゴです。「クソ野郎」がありがとうの代わりというほど、言葉遣いがひどいバンに言葉を教えてくれたり、盗みの仕方を伝授したり、本当の親子のように生活をともにしていました。
ところが、2人に突然別れがやってきます。実はジバゴは獣人。珍しい存在であることから、普段は山奥で1人息子と生活をしていました。ジバゴは、「山の中にいた獣男の子を見つけた」という噂を聞いて、バンが敵にやられている場面を見過ごして山に帰ってしまうのです。
彼のことを自分の息子のように可愛がっていましたが、ジバゴは救ってやれなかったことをずっと悔やんでいました。
ベットに横たわりながら、ぽつりぽつりと昔の話を聞かせてくれる獣人がジバゴである、とバンは気づいていました。そして、「最高の親父だった」と伝えるのです。
ジバゴがいなかったら、今のバンは存在しなかったでしょう。仲間思いで、見かけによらず素直で優しい一面をもつ彼の性格は、見ず知らずの孤児を助けて育ててくれたジバゴに由来しているのです。
聖騎士の見習いであるジェリコは、バスタ監獄の見張り役として就任したときにバンと出会います。脱獄を図る彼を連れ戻そうと切りつけるジェリコ。しかし、彼女の攻撃は彼の伸びきった髪やひげを整えたにすぎませんでした。「散髪の才能あるじゃん♪」とからかわれてしまう始末です。
そのうえ、服と鎧を奪われ、醜態をさらすはめに。聖騎士になることを夢見て、女であることにコンプレックスを抱いていた彼女にとって、屈辱を味わう出来事でした。
これをきっかけに、彼を倒すべく奮闘することになります。ヘンドリクセンから魔神の血を飲むよう諭されたは、躊躇しながらも彼を倒すための強い力を得るために、促されるまま飲んでしまいます。後に化け物の姿になってしまうことも知らず……。
12巻で、ジェリコが魔神になってしまったときに助けてくれたのがバンでした。自分の意思に反して仲間を傷つけていることに耐えきれず、「俺を殺してくれ!!」と叫びます。その痛切な叫びを聞いた彼は、魔神を斬りつけて彼女を救い出します。
これをきっかけに、ジェリコは命の恩人として彼を想うようになるのです。何かと後をつけては旅に出る彼に付いていくなど、一見するとただのストーカー。彼は正確な名前を覚えておらず、会うたびに「ジョリコ」「ジャンコ」などと呼んでいるところから、彼女にあまり興味はない様子です。
一人称が「俺」でかなり男勝りですが、一途に彼を想うところは女の子らしさがあり、そのギャップが可愛らしくもあるのです。
ストーカー気質のあるジェリコですが、18巻では大活躍を見せてくれます。
メラスキュラの禁呪「怨反魂(おんはんごん)の法」によってエレインが復活したシーン。彼女は死んだ身ですが、生きるものへの嫉妬や未練による怒りを生命力として、この世に蘇らせられたのです。
愛するバンと一緒にずっと旅をしてきたジェリコに対して、嫉妬で怒り狂うエレイン。容赦なく彼女に攻撃します。バンが彼女は仲間だと説得しますが、「なぜ彼女をかばうの?」と愛している彼にも斬りかかるのです。
そんなエレインに対し、ジェリコはこう告げました。
「てめぇ 本当にバンが好きなのかよっ!!?」
「俺の命の恩人なんだ!!バンのためなら俺はなんだってやってやるぜ!!!
けどな 好きな男を苦しめるような真似は絶対しねぇ!!」(『七つの大罪』18巻より引用)
ジェリコの熱い想いに、やっと目が覚めたエレイン。バンが抱き寄せ、暴走を止めることができました。
こんなに想っているけれど、自分に振り向くことは絶対にない……。そう分かっていても、彼のことが好きでたまらないジェリコの切ない気持ちがひしひしと伝わってくるシーンです。
命の恩人であり、想い人であるバン。そして、彼にとって大切な人であるエレイン。ジェリコは、その後も何かと彼らの助けになってくれる存在です。
「団ちょは…一緒に来いっつったんだよ!!! 生まれた時からずっと どこ行っても つま弾き者のクソみてぇな人生送ってきたクソみてぇな男にな!!!」(『七つの大罪』7巻から引用)
ヘンドリクセンの新世代聖騎士の計画により、リオネスに不穏な空気が漂い始めました。バイゼル喧嘩祭り後に、魔神の血を取り込んだギーラやジェリコらと戦った際、メリオダスの額にあるマークが浮き出ていました。
また、ギーラたちよりもっと禍々しいメリオダスの魔力に、キングがもしかして団長の正体は魔神族ではないかと疑っていたシーンです。バンは、かつて妖精王の森は破壊して、エレインを殺害した魔神族とメリオダスが、同じ化け物のわけがないと反発していました。彼がメリオダスに信頼と感謝を寄せていることが分かります。
「いつか必ずお前を奪う」(『七つの大罪』4巻から引用)
キングを探すため、バンはメリオダスやディアンヌたちと死者の都に向かいました。死者の都はお墓ではなく、亡くなった人たちが住むといわれています。キングが見つかったため、行く必要がなくなりましたが、キングも死者の都を探していると聞き、行ってみることに……。
バンがそこで見たのは、亡くなったエレインの姿です。彼がたったひとつエレインに伝えたかったこと、それがこの言葉でした。
「<七つの大罪>の掟 その三…」
「『<七つの大罪>は互いの罪に干渉せず』…忘れたのか?」(『七つの大罪』6巻から引用)
かつてメリオダスが滅ぼした、ダナフォールの聖騎士ケインとメリオダスとの一戦で、キングとディアンヌがメリオダスの大罪を推測し始めた頃、罪には干渉してはいけないと、ふたりに促したシーンです。誰も自分の罪も探られたくないはずで、それがいかなる理由であっても、決して触れてはいけないという掟の一つです。
いかがでしたか?普段はチャラそうなバンも、本当は誠実な人物ということが分かりますね。