『七つの大罪』怠惰の罪キングの妹エレイン。バンと出会った後、魔神族に襲撃され命を落としましたが、メラスキュラの魔力で復活し、再びその命も尽きようとしています。ここでは、29巻現在までに明かされている情報の中から、エレインに焦点を当てて紹介していきます。
- 著者
- 鈴木 央
- 出版日
- 2013-02-15
エレインは、『七つの大罪』がひとり、怠惰の罪(グリズリー・シン)のキングの妹です。700年前、ヘルブラムおよび、妖精族の仲間を救いに向かった兄の代わりに、妖精王の森を守っていた「聖女」。キングと同じように、妖精のシンボルである羽はありませんが、空中を飛ぶことは出来ます。
また、キングが巨漢の「正装」姿になれるのと同じように、エレインも姿を変えることが出来ますが、緊張したり見栄を張ることがないため、現時点でも姿を変える必要はないとのこと。キングにはおよびませんが、妖精族のなかではそれなりの実力者でもあります。
死後は、妖精王の森の大樹の根元に遺体が納められていました。その後、死者の都では霊としてバンにだけ見える存在に。そしてメラスキュラの魔力によって、実体での復活を遂げました。一時は、命も危ぶまれましたが、バンへの未練を維持することで、命をつなぎとめています。
21巻のバイゼル大喧嘩祭りでは、エリザベスとペアを組んで、マラキアの民と戦い勝利しましたが、この時のエレインは、生命の泉の聖女としての力を発揮し、元気な姿を見せていました。
「七つの大罪」と「十戒」についておさらいしておきたい方は<「七つの大罪」と「十戒」の強さを30巻までネタバレ考察!神器と闘級も紹介>の記事をご覧ください。
エレインはキングの代わりに、聖なる水を狙う人間たちから「生命の泉」を守っていたため、人間は悪であるとの見方をし、冷たい感情を持っていました。そして20年前、聖なる水を求めて森にやってきたバンもまた、これまでの賊と同じだと思っていました。
しかしバンと接するうち、これまでの賊とは違うことに気づき、次第に心を許すようになります。やがて、ふたりはお互いを大切だと思うようになった頃、魔神の襲来によってバンとエレインは瀕死の重傷を負ってしまいました。
エレインは、彼だけでも救いたいと生命の水を口移しで飲ませ、自分の命に代えて彼を守りました。不死身の体を得たバンは彼女を守れなかったとして、強欲の罪を負うことになったのです。
その後4巻で、亡くなった者が暮らすという「死者の都」にてバンと再会。この時はまだ実体はなく、死者と生者それぞれのお互いへの強い想いがある者しか会えないため、エレインの姿はバンにしか見えていませんでした。
またこの時バンは、「必ずお前を奪う」と約束していたので、いつか生き返らせるための方法を探っていたのでしょう。そんな時バンが選んだ方法は「ケルヌンノスの角笛」に頼むことでした。10巻でのリオネス奪還編で、バンがひとりだけ別行動していたことにあります。
ネルヌンノスの角笛が、女神族と交信出来ることを知ったバンが、自分の命と引き換えに、エレインを生き返らせて欲しいとお願いしますが、その条件はメリオダスの殺害。考えた挙句、メリオダスの命を奪うことを選んだバンからは、エレインへの愛情の深さが伺えます。
18巻でついに実体あるエレインが登場。<十戒>の封印が解かれたことで、メラスキュラが魔力で死者を甦らせ、死者である彼女もまた同様に、バンの前に姿を現しました。ただこの魔力は、死者の未練を増幅させ、その怒りを生命力としているので、エレインも未練を残していたということになります。
その証拠となったのが、ジェリコへの攻撃なんですね。エレインは、バンと一緒に旅する前に命を落としてしまったことが未練として残っていたため、バンの旅に同行していたジェリコに牙を向いたのです。しかも、ジェリコはバンのことが好きだったので、彼女への怒りも加わったことになります。
ただ、怒りに抗ったり未練が消え去ったりしてしまうと、再び死を迎えるため、エレインの命は皮一枚でつながっているようなものです。また、メラスキュラが死亡した場合にも、その効果は失われ、死者たちは、再び死ぬ運命となります。
バンとの関係については<『七つの大罪』強欲のバンを徹底考察!エレインとの関係は?【ネタバレ注意】>でより詳しく紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。
エレインとキングは兄妹の関係ですが、エレインは少なからずキングに対して、許せない気持ちを持っていました。キングが、親友ヘルブラムを救うため妖精王としての義務をエレインに押し付け、記憶を無くしたとは言え、700年間も放ったらかしにしていたことは、許されるものではありません。
そのため、エレインは生命の泉に縛られ続け、挙句の果てに命をも落としてしまいました。また、初めて恋したバンと旅に出る夢も、叶わずして終わってしまいました。だから、死者の都でキングはエレインの姿を見ることが出来なかったのです。
それもこれも、バンがエレインを殺害したと思っていたからというのもありますが、本当は自分自身への後悔の念でいっぱいだったはず。でも、罪をバンにすり替えることで、自分の犯した罪を認めようとしなかったことが、一番の理由だったのでしょう。
その証が、25巻で描かれた聖戦の様子で描かれています。グロキシニアの姿となったキングは、かつて自分が、妖精王の森を離れた時と同じ状況に立たされていました。でもその時、人間族のロウが、自分に任せるように言うと、安心して妖精王の森を後にしてしまったのです。
以前はエレインに、そして聖戦ではロウにと、本来自分がやらなければいけない使命を誰かに託してしまったんですね。そしてこれがまた、自分の犯した罪と同じような結果を招いてしまうわけです。
エレインとキングの距離感が縮まっているようでまだ遠いのには、そういった理由があるのかもしれません。
2人の出会いの場面は、4巻の「外伝 バンデッド・バン」で描かれています。
エレインは、妖精王の森に存在する「生命の泉」を守る聖女です。この泉がなくなってしまえば、森が枯れてしまうというほど大切なものでした。本来なら、彼女の兄であるキングが守る役目なのですが、森を留守にしているため、彼女が1人で守っています。
そこにやってきたのが、盗賊のバン。一口飲めば100年も生きられるという噂を聞きつけた彼は、妖精王の森に侵入して泉の水を奪いにきたのです。
エレインは、森にとって大切なものだから絶対にゆずれないと主張します。その言葉を聞いて、バンはすんなり諦めるのです。
相手の心を読むことができるエレインは、彼に本当に悪い気はなく、素直な心を持っていることに気づきます。そして、2人はいろんな会話をしながら徐々に心を通わせていくのです。700年も1人で森を守ってきた彼女にとって、話し相手ができたことはとても嬉しかったのでしょう。
外の世界を知らないエレインは、バンの旅の話を興味津々に聞き、もっと一緒にいたいと感じるように……。そして、「彼が生命の泉を奪いにきたのではなくて、自分を奪いにきたのだったら良かったなぁ」と切ない一言をもらすのです。
バンが「じゃあそうするか?」と軽々しく言うところにもまたキュンとしてしまいます。
死んでしまったはずのエレインは、十戒のメラスキュラの術によってこの世に再び姿を現します。
エスタロッサ戦で、メリオダスを救うことができたのはバンだけでした。ただ、メラスキュラを倒してしまえば、エレインをまた失うことになってしまうかもしれません。
それを心配していたところ、彼女からは「私より彼を救ってあげて」という優しい気持ちを伝えられます。
上記は、そのとき2人が交わした抱擁のシーンです。小柄な彼女の体がバンにすっぽりと収まり、もう2度と会えないかもしれないのに、2人の表情は穏やかなものでした。姿が見えなくても、強い絆で結ばれているということが分かる場面ですね。
見ているだけで、ほっこりしてしまうカップルです。
城塞都市コランドで十戒のメラスキュラと対決していたときに見られたシーンです。
普段は悪役とは思えない可愛さのメラスキュラですが、大罪たちに猛攻撃するため、大蛇の姿に変身しました。バンが先頭を切って襲いかかります。しかし、猛毒をもった牙で噛み砕かれそうになってしまい……。
その時、エレインは瞬時に空をとび、バンを救い出しました。彼女の背中には大きな羽が生えていたのです。妖精族なのに羽が生えていなかったことを不思議に思われていましたが、バンを救いたいという愛情が彼女に大きな力を与えてくれたのでしょう。
本誌で掲載された番外編「パンツを求めて」では、エレインとバンのとても可愛らしいやりとりが描かれていました。
この話で、妖精族は普段パンツをはく習慣がないという秘密が明かされました。もちろんエレインやキングもノーパンで過ごしているということです。
「女の子なんだから、パンツぐらい履いたら?」と恋敵のジェリコに言われてしまい、エレインはバンに「パンツを履いてみたい」と可愛くお願いをするのでした。
純粋に下着売り場に連れて行ってあげるところまではいいのですが、なんと「履き方が分からないわ」という彼女のために履かせてあげて……。でもエッチな妄想をしないところが、またバンの良いところ。恋人というより、お父さんと可愛い娘のように感じられるほっこりしたお話です。
メラスキュラが亡くなったら、エレインの命も失う。そういった魔力で甦った彼女ですが、ここにきて様子に変化が訪れました。
<十戒>との最終決戦に突入した28巻では、歩くことも困難となったエレインに、命の限界も見えていましたが、メラスキュラの魔力でディアンヌが操られたことで、兄とディアンヌに自分とバンのような想いをさせたくないとして復活。
この時、エリザベスがエレインの肩をグッと掴んだからなのか、立てるまでになっていました。また、バンの危機には、自らが救出に向かい、いつも護られるだけではなく、自分もバンを護りたいと強い思いから、背中に見事な羽が生えてきました。そして、闘級も2万1050まで上昇し復活を遂げたのです。
- 著者
- 鈴木 央
- 出版日
- 2017-10-17
愛する人を思う気持ちが、力へと姿を変えたわけです。また、メラスキュラが死亡するとエレインも危ないのですが、メラスキュラの正体は魔界の瘴気を浴び続けながら、300年生きた毒蛇が魔力を得た姿だったので、魔力を消してしまえばただの毒蛇に戻ります。
エリザベスは女神族特有の「光」の力でメラスキュラの魔力を奪い、ただの毒蛇に戻したので、エレインの命を護られました。この2人を見て、このままバンと幸せに暮らせればいいと思った方も、多いのではないでしょうか。
エレインを中心に、バンやキングとの関係を紹介してみました。今後、エレインとバンのいちゃつきシーンで、心もホットにしたいですね。