数々のベストセラーを生み出した敏腕編集者として、そして幻冬舎社長として現在も出版業界に多大なる波動を送り続ける男、見城徹。彼の成功の源はどこにあったのか探る書籍をご紹介します。
元角川書店取締役で、2017年現在幻冬舎の社長の見城徹(けんじょうとおる)は、数々のヒット作を世に送り出してきた編集界のレジェンドともいえる存在です。
1950年に静岡県で生まれた見城は、地元の高校を卒業後、慶應義塾大学法学部に進学。卒業後は廣済堂出版に入社し、1975年に角川書店にうつります。
角川書店では「月刊カドカワ」の編集長として腕をふるい、発行部数を30倍にまで伸ばしました。同時に多数の直木賞作品を担当し、話題性のみならずセールス面でも大成功を収めます。
41歳で角川書店の取締役編集部長になりますが、1993年に退社、幻冬舎を創立します。代表取締役に就任した見城は、幻冬舎においても、石原慎太郎や村上龍など著名な作家も含めたさまざまなヒット作の発表に携わりました。
類まれなる編集者としての能力だけではなく、電子出版やエンタテインメント業界などにも関与し、実業家としても異彩を放っています。
見城徹とサイバーエージェント社長の藤田晋の共著となる本書。働く人に向けて、仕事に対する姿勢を説いた一冊です。自己顕示欲の強さにも小心さにも触れた、説得力のある言葉が並んでいます。
人としての基本、自分の内面的な部分、コミュニケーション、いかにして成功するかなどについて、見城と藤田がそれぞれの意見を語ります。
2人の意見の若干の違いに注目することで、興味深く読み進めることができるでしょう。
- 著者
- ["見城 徹", "藤田 晋"]
- 出版日
- 2013-06-20
実業家という共通の肩書きを持ちながらまったく違うタイプである2人が、息の合った掛け合いを見せてくれます。まず見城が掲げた意見を、藤田が噛み砕いて読者に伝えるという読みやすい構成が魅力です。
「順調な仕事こそ怪しむべきである」というのは、まさに著作権を扱う仕事をしてきた彼の体験から出てきた姿勢です。一方で「極端に振れることこそが重要なのだ」という大胆さも持ち合わせており、相反するような2つの考えが共存していることが端的にまとめられています。
非常に癖の強い人ではありますが、とにかく努力をしなくてはならないという彼の主張は成功者が必ず語るものでもあり、そういう意味でもやはり見城徹の考えはビジネスマンにとって有用なものといえます。
インターネット番組にて彼が言った言葉をまとめた作品で、彼の仕事論および人生論が収められています。
全7章にわたり、仕事、恋愛、人生について熱く語っています。時折刺激的な言葉も現れるものの、紛れもない成功者による言葉のため、今後何かを成し遂げたいと考えている人には参考になる部分が多いでしょう。
精神論的な部分が多いため、がむしゃらに仕事を頑張りたいという人向けの内容です。またある程度高く明確な目標を持っている人にとっても、本書に並ぶ言葉は心に響くでしょう。
- 著者
- 見城 徹
- 出版日
- 2015-03-18
とにかく圧倒的に努力し、圧倒的な結果を出す、これが彼のテーマであり主張です。努力したことを自ら肯定することは案外難しいことかもしれません。しかし、その方法で結果を出している見城の言葉には確かな説得力があるため、挑戦する価値は大いにあります。
本来裏方である見城徹が本書においてこのように何かを主張することは、読者に対しての挑戦であり、それが納得できてしまうほどの結果を出した人物の語る成功論としてぜひ読んでおきたいものだといえるでしょう。
2007年に出版された見城徹の文章を編集した作品で、短い文章を連ねることにより彼の人間性に迫っています。
編集者という存在のパラノイア的な部分がクローズアップされており、作家とどう対峙しているのかが門外漢でもわかるようなものとなっています。編集の仕事はかくも強烈なものかということがよくわかるでしょう。
どうやって作者にものを書いてもらうのか、尋常ではない熱意がなければここまでできないであろうというほど見城は作家を追い詰めますが、それと同時に自分も追い詰めていることが痛いほど伝わってきます。
- 著者
- 見城 徹
- 出版日
- 2009-03-19
本書は序章を入れて4章立てとなっており、尾崎豊についてかなりのボリュームが割かれています。
散文を編集した作品だけあって何度も似たような文言が登場し、ともすれば若干散らかった印象を受けるかもしれませんが、逆に考えると見城が常に同じ姿勢で物事をおこなっていることがわかるでしょう。
彼はあまりにもストイックで、ナルシスティックであるがゆえに好き嫌いが別れるタイプの人ですが、見城徹ファンはまずこの一冊を手にとるべきといえる、熱くなれる作品となっています。
見城徹と松浦勝人という当代きってのヒットメーカーによる人生論を収録した作品です。ひと回り年齢の違う2人が語る、ちょっぴり過激な展開が楽しめます。
みんなと同じ人生で何か楽しいことがあるのか?という内容で、いわゆるハイ・ライフ的人生をつかむにはどうしたらよいかを逆説的に説いています。
雑誌「Numero TOKYO」でおこなわれた対談をまとめたもので、2人の会話形式で話が進んでいくので、論理展開も含め読みやすいでしょう。時代の潮目とは関係なく我が道を行けという教えが詰まっています。
- 著者
- ["見城 徹", "松浦 勝人"]
- 出版日
- 2017-04-11
藤田晋との対談もそうですが、本作にもまた過激に突っ走る見城徹と、それを楽しそうに広げていく松浦勝人という図式があります。そのせいか、これまであまり見城が見せなかった恋愛話なども登場し、楽しく読むことができるでしょう。
読んでいると2人の仲がよいことがわかる微笑ましい対談ですが、、同時に性格は正反対なこともわかります。
見城の猛烈な仕事論も興味深いですが、女性論もまた一読に値するものとなっており、どの分野においても彼らの経験談が満載の本書は、肩のこらない一冊となっています。
『憂鬱でなければ、仕事じゃない』に続く藤田晋との対談の第2弾。相変わらずの見城節が炸裂しており、圧倒的な努力のすえこうなったんだが、君たちは圧倒的努力をしてきたか?という挑戦的なテーマが一貫して本書で述べられています。
どう仕事をしていくかに関して重点的に語られていて、個性を持つことが大事なのだと、2人はくり返し読者に説いてきます。
- 著者
- ["見城 徹", "藤田 晋"]
- 出版日
- 2012-04-12
タイトルはある意味逆説的で、人は人、自分は自分という考え方が重要。人も自分のことを考えていないが、自分もまた人のことを考えない、という考え方がテーマになっています。
これまでの「成功者による仕事術」という内容から1歩進んで、いかに死ぬかという領域まで話は及んでいます。死ぬときにどれだけ自分はやったかを考えよ、というのは非常に冷徹なものの見方ともいえますが、見城の考えが垣間見られる興味深い部分です。
結果主義・成果主義を過激に展開しているともいえる本書ですが、成功を収めた裏側にはどのような熱量があったのかを推し量る、よいテキストだといえるでしょう。
非常に個性的で大胆かつ繊細なイメージのある見城徹ですが、彼の人となりを知るにも、今後の彼の動向を占ううえでも、おすすめの5冊です。