金魚の寿命は10数年と言われているのを知っていますか?お祭りや縁日でお馴染みの生き物ですが、その正しい飼育方法を知っている人は少ないのではないでしょうか。今回はその飼育方法と生態について、詳しく知るための本とともに紹介します。
・水槽の用意をする
金魚を飼うのに必要なのが、水槽です。まずはどのようなスタイルで飼育をするのかを考えてみましょう。
少数の金魚といつも一緒にいたいのならば、きんちゃく型の小さな鉢やバケツ、洗面器でも飼育できます。レイアウトを楽しんだり、ゆったり泳ぐ姿を観察したりしたいならば、飼育する数に合わせた大きさの水槽が必要です。
また、水槽内の飼育環境は以下のアイテムを使って整えてください。
・水道水の塩素(カルキ)抜きをする
水槽の水に水道水を使う場合は、塩素(カルキ)を除いておかなければなりません。水道水を半日ほど汲み置くか、市販の中和剤を使って抜くことができます。井戸水には塩素は入っていませんが、不純物が多かったり酸素が溶け込んでいなかったりする場合もあるので、1度水質を調べてから使いましょう。
・餌の用意をする
雑食性のため、イトミミズやミジンコ、コケなどを食べます。初めて飼育される方には人工飼料がおすすめです。彼らには胃がないため、餌が多すぎると消化不良をおこします。
また、食べ残しは水を汚す原因になりますので、1回に5分ほどで食べきれる量を、1日に2、3回与えるのがベストです。また、彼らが眠るまでに食べたものを消化しきれるよう、午後3時頃までには餌やりを終えるようにしましょう。
・水替えについて
餌を与えると排出をしますので、水替えが必要です。白い濁りを目で確認することもできますが、透明の水でも汚れている場合があります。エアレーションの泡がなかなか消えなかったり、金魚が水面で口をパクパクさせていたり、動きが悪かったりしたら、すぐに水を替えてあげましょう。
金魚の飼育に適した水温は15℃〜28℃と比較的広く、10℃以下になると冬眠をしはじめます。このように温度に順応することができるので、水温を保持するためのヒーターがなくても飼うことができます。
そのかわり注意しなくてはならないのが、水質です。
汚れや濁りでの水質悪化を防ぐためには、まず金魚を少なめに飼うという方法があります。たとえば小型の金魚を2匹程度飼うなら5リットル以上の容量の水槽、中型を5匹程度だと60リットル以上の水槽が最適です。エアレーションの有無でも必要な水槽の大きさが変わってきます。
そして金魚が家に来ても、すぐに水槽に放してはいけません。彼らは突然の環境変化にも弱いため、新しい水にも徐々に慣らさなくてはならないのです。
0.5%の食塩水が入った水槽を用意して、購入時のビニールに入ったままの金魚を、袋ごと10分程度水槽に浮かべてから放します。2週間ほど同じ水槽で飼ってから、本来飼う予定だった水槽に移すのがよいでしょう。
金魚は体型や特徴によって、大きく4つのタイプに分けることができます。
体型によって運動能力に差があり、その差は餌を獲得する能力からみることができます。違う種類を同じ水槽に入れると、小さな種類が十分に餌が食べられない場合がでてきますので、できる限り同じ水槽には同じ種類を飼育するようにしましょう。
【和金型】
フナに近い細長い流線型の体型なので、4タイプの中でもっとも俊敏です。特殊な品種の和金を除いて、原種に近いため、丈夫で飼いやすく価格も安いので初心者におすすめです。
和金型の主な種類は以下のとおりです。
【琉金型】
和金型の体長が短く、丸くなった体型で、幅広の尾ヒレを揺らしてゆったりと泳ぎます。餌を与えすぎると肥満になり、バランス調整機能障害をおこして転覆するので注意しましょう。
琉金型の主な種類は以下のとおりです。
【オランダ獅子頭型】
和金型と琉金型の中間の体型で、泳ぎは和金型の次に活発です。頭や顔に肉瘤のある品種が多く大型なので、なるべく広い水槽で飼いましょう。
オランダ獅子頭型の主な種類は以下のとおりです。
【ランチュウ型】
このタイプは背ビレがないため、泳ぎが下手です。原種ともっとも遠いので、遺伝的にも弱い傾向があります。金魚飼育の上級者向けの種類です。
ランチュウ型の主な種類は以下のとおりです。
品種カタログから、飼い方、育て方、病気への対処法や繁殖方法まで、幅広く紹介しています。
お祭りから持ち帰った金魚を初めて飼育する人でも上手に育てられるように、彼らに適した飼育環境については特に詳しく、わかりやすく説明しています。
- 著者
- 出版日
- 2009-07-01
本書は飼育方法が詳しく書かれているだけでなく、金魚のいる風景が写真付きでレポートされているので、飼育のイメージがわきやすいのがよいところです。
理容室やカレー店の店先に飼われている金魚の写真があったり、食器や実験道具で金魚を飼う大学教授の飼育レポートがあったり、建物の屋上に飼育スペースを特注し、そこでのびのびと過ごす金魚の様子がレポートされていたり……。
この本を読むことで、金魚の飼育にはさまざまな楽しみ方があるのだ、ということをあらためて実感できるでしょう。
江戸時代から続く老舗「金魚の吉田」の吉田社長が、金魚に関するいろいろな話を詳細に紹介した本です。雑学的要素がいっぱいで、金魚のルーツや歴史、金魚すくいの歴史まで詳しく述べられています。
カラー写真ではありませんが、金魚カタログや種類別の特徴、飼い方、病気への対処法も記載されています。
- 著者
- 吉田 信行
- 出版日
- 2015-09-18
「ギネスブックには、43年生きた金魚の記録が載っています」
「これまでに公認されている世界最大の金魚は、ジャンボオランダ獅子頭で、体長54センチ」
「空気がカラカラに乾燥する秋から冬にかけての時期、部屋の中に金魚の水槽を置いておくと、インフルエンザの予防にも役立ちます」(『金魚はすごい』から引用)
など、金魚にまつわる驚きの知識が満載です。
また、和金や琉金などのそれぞれの種類についても、その歴史から特徴まで詳しく述べられています。金魚のことを深く知りたいと思う人は、ぜひ読んでみてください。
タイトルに「医・食・住」とあるように、金魚の病気や餌のこと、水槽のことなどが詳細に述べらた本です。
季節によって違う餌やりのポイントや、水槽のセッティング方法、池などを利用した屋外飼育の方法まで掲載しています。繁殖方法についても多くページを割かれていますので、はじめて金魚の繁殖に挑戦される方には、本書がおすすめです。
- 著者
- ["川田 洋之助", "佐藤 昭広"]
- 出版日
この本の特徴は、屋外飼育の方法や繁殖方法が充実していることでしょう。屋内の水槽による飼育とは管理方法が違う屋外での飼育について、詳しく知ることができます。
また繁殖方法のページには、産卵数や見分け方、魚巣のセッティング方法、稚魚の餌として使うブラインシュリンプの孵化方法まで載っています。
四季ごとの病気の予防対策も充実している本書は、金魚と長く付き合っていきたい人の助けになってくれることでしょう。
金魚の飼育方法について簡単に説明し、初めて飼う人向けのものから、もっと深いことを知りたい!という人に向けたものまで、おすすめの3冊を紹介しました。ぜひ、おすすめの本を手に取り、金魚の飼育を楽しんでいただけたらと思います。