プラナリアを知っていますか?実験・飼育・退治の方法などご紹介

更新:2017.10.19

プラナリアという生物をご存知ですか?体長数センチほどのナメクジに似た生物で、体を2つに切ってもそれぞれが個体に再生し、2匹になるという驚くべき性質をもっています。今回はそんな彼らの不思議な生態や飼育方法についてご紹介します。

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プラナリアって何?

池や用水路などに落ちている枯れ葉や石の裏に、体長1~3センチほどのヒルのようなナメクジのような生物がくっついていることがあります。それが今回ご紹介する生物、プラナリアです。

扁形動物門の三岐腸目に属し、三角形の頭とくりっとした寄り目が印象的な彼ら。世界各地の、流れの緩やかな水辺や、湿度の高い陸上などに広く棲息しています。

見た目の愛らしさだけではなく、最大の特徴はなんといってもその再生能力の高さ。刃物で切断されても、数週間ほどで各切片がひとつの個体へと再生し増殖するという、脅威の力をもっているのです。

雌雄同体のプラナリアは、分裂と産卵という2種類の方法で繁殖します。前者の場合、腹部のやや下が自然にくびれて分裂し、2匹の個体になります。さらにこれらが再分裂して増殖を続け、条件が揃えば1年後には数千もの個体になる場合もあるのです。

一方後者の場合、1度に産卵できる数が少ないため増殖率は低く、分裂で増える数の数百分の一程度に留まります。

体の一部を再生できるといえばトカゲのしっぽなどの例がありますが、プラナリアは頭部を切り落とされても再生することが可能で、環境次第では寿命というものがありません。特に再生能力の強いナミウズムシという種の場合、100個の切片に切り刻んでも100匹の個体として再生することができるといわれています。

彼らの再生能力の高さの秘密は、体内に多数ある全能性幹細胞。この万能細胞のおかげで、体の位置情報をもとにして切断された領域の再編成がおこなわれ、欠損した組織を正しく再生することができるのです。

このような能力は医療分野でも注目を浴び、ヒトの再生医療に応用するために日夜研究が進められています。

プラナリアを飼育したいときは

プラナリアをご家庭で飼育する際に必要なものは、主に4つ。ひとつずつ詳しく見ていきましょう。

・プラナリア

日本各地に棲息しているので、みずから採集することが可能です。水質に敏感なため、山間部の水が綺麗で流れが緩やかな用水路や、上流に池のある浅い川などでよく見られます。水中の石や枯れ葉の裏側をよくチェックしてみましょう。他にも熱帯魚店やインターネットなどでも入手できます。

・水

プラナリアにとって居心地のよい環境をつくるためには、採集場所の水を使用するのが1番です。水道水を利用する際は、汲み置きや中和剤、エアレーションなどで塩素を除去してから使用するようにしましょう。

寒さに強いといわれていますが暑さには弱く、水温が25℃を上回ると死んでしまいます。直射日光を避け、10~16℃前後の水で飼育するのが最適です。市販の天然水などでも飼育は可能です。

・エサ

プラナリアは肉食のため、細かく切った牛や鶏のレバー、アカムシ、メダカのエサなどを1週間に1、2度与えます。水質の悪化を防ぐため給餌後は必ず水の入れ替えをおこない、食べ残しを取り除くようにしましょう。

プラナリアは茶褐色をしていますが、与えるエサの種類によって一時的に体色が変化することもあります。

・ 容器

5~10センチほどの水深が確保できれば、基本的にはどのような容器でもかまいません。ガラス瓶やプラスチックのタッパーなど、身近なものでも飼育が可能です。水温を低めに保ち、暗い場所で飼育すると、より大きな個体に成長します。

プラナリアが水槽に繁殖してしまったら?駆除方法を紹介

愛嬌のある姿をしているプラナリアですが、その生命力の強さから、他の生体のいるアクアリウムの水槽内で大繁殖してしまうことも。美観を損ねるだけではなく、稚魚や卵を食べてしまうこともあるため、早めの対処が必要です。そんな時に頼れる簡単な駆除方法をご紹介しましょう。

そもそもなぜ隔離された水槽内でプラナリアが大発生してしまうかというと、水草や水に紛れて外部から侵入してしまうことが原因です。水草などを新たに水槽内に取り入れる場合は、きちんと前処理をおこない、エサの食べ残しは速やかに取り除くことを常に心がけましょう。

・水槽の環境を保持したまま駆除する方法

水槽の環境を保持したまま彼らをできるだけ駆除するには、いくつかの方法があります。まずは小型のペットボトルや醤油のタレビンなどを利用した手製の捕獲器を使う方法です。

プラナリアが入れるような穴をたくさん空けた容器内にエサと重りを入れ、水槽に沈めてセット。たったこれだけで、プラナリアを簡単に捕獲できる罠が完成します。

他にも天然成分を使った市販の駆除薬を使用したり、彼らを捕食する生物を同じ水槽で飼育するという手もあります。チェリーバルブやピグミーグラミーなどの熱帯魚が有名ですが、他の生体との相性もあるため充分に検討したうえで導入しましょう。

水槽の環境をリセットする方法

他の生体をバケツなどに移動させ、水槽内の環境を完全にリセットする方法もあります。こちらの方がより確実にプラナリアを駆除することができるでしょう。

2パーセント以上の濃度の塩水を水槽に注ぎアクアリウム用のフィルターを回しながらひと晩置く方法や、液体漂白剤、木酢液、炭酸水などを用いてクリーニングをおこなう方法があります。いずれも水槽の大きさや状態によって適切な濃度が変化するため、よく観察しながらおこなうようにしましょう。

プラナリアで切断実験をしたいときは

その特殊な再生能力から、プラナリアは理科の実験に使われたり、自由研究の題材として用いられることも多いです。ここではご家庭で切断実験をする際に必要な道具と、その手順を簡単にまとめました。特別な技術や器具がなくても、簡単におこなうことができますよ。ぜひ参考にしてみてください。

必要なもの

・カッターナイフ
・スポイト
・ろ紙(コーヒーフィルターで代用可)
・板状の氷(トレイと飼育水)

切断実験をおこなう際にもっとも重要なポイントは、1週間ほど絶食させた個体を使用することです。なぜなら給餌直後の個体を切断すると、腸管から出た消化液でみずからの体を溶かしてしまう恐れがあるから。いずれの作業も、プラナリアが弱らないように手早くおこなうことが大切です。

実験の手順

1:あらかじめ発泡スチロールなどのトレイに飼育水を張り、冷凍庫に入れて凍らせておきましょう。できあがった板状の氷を作業台にすることで、プラナリアの動きを鈍らせることができます。

2:まずは水中のプラナリアをスポイトで吸い、ろ紙を2、3枚重ねて敷いた氷の上に移動させます。これで準備は完了です。

3:次に切れ味のいいカッターナイフで、手前に軽く引くようにしてプラナリアを切断しましょう。粘液が多量に出るため、ティッシュペーパーなどで小まめに刃を拭って使用します。この時できるだけ切り口を傷めないように注意しましょう。すべて切り終えたら、ろ紙ごと移動させ、切片を水中に戻します。

4:実験では頭部と腹部、尾部の3つに切断することが多いプラナリア。頭部に縦に切れ込みを入れると双頭の、尾部に切れ込みを入れると二股の個体ができるなど、切り方によっても再生の仕方がさまざまに異なります。虫メガネなどでよく観察し、後で振り返ることのできるように記録をつけておきましょう。

さまざまな角度からプラナリアに迫る本

プラナリアを知るための足がかりとなる一冊。生体の不思議から実験方法まで多角的な知識に触れることのできる、充実した内容です。

特に貴重な実験結果の写真は、見ごたえ充分。彼らの魅力が余すところなく伝わってきますよ。

著者
宮崎 武史
出版日
2012-11-28

30年以上プラナリアの教材研究をおこなってきた元生物教師の宮崎武史によって著された本書。生態の特徴や再生の仕組み、飼い方などの基本事項が簡潔明瞭に解説されているのはもちろん、やや専門性の高い知識や筆者による切断実験のレポートまで、内容も多岐にわたります。

イラストや写真も多数収録され、特に後半部の実験写真は必見。なんと世界記録となる14の頭をもった個体まで紹介されています。プラナリアに関心をもつ幅広い層の方におすすめできる、長年の経験と確かな知識に裏打ちされた充実の一冊です。

プラナリア実験を楽しむための必読書

プラナリアの実験をとおして、科学の面白さに触れることのできる良書です。複雑な生態の仕組みが、子どもにも理解しやすいように平易な言葉や比喩を用いて、わかりやすく解説されています。

子どもだけではなく、プラナリアについて興味のある大人にもおすすめできる一冊です。

著者
阿形 清和
出版日
2009-06-04

ユーモアのあるタイトルのとおり、プラナリアの切断実験や飼い方について焦点を当てた本書。子どもでも読みやすいように漢字には読み仮名がふられ、各工程もイラスト付きでひとつひとつ丁寧に解説されているため、自由研究などの参考書としても重宝するでしょう。

なかでも特筆すべきなのは、単に実験の方法だけを箇条書きにするのではなく、科学の面白さや考える力を引き出すことを目的としている点。そのため観察や記録をするうえでの心がけなども紹介されており、洞察力を身に付けたり、仮説の立て方を学んだりすることができます。

小学校中学年前後の子ども向けに書かれた本ではありますが、大人でも充分に楽しめる一冊です。

生物なのに寿命がなく、切断しても増殖する驚異の能力をもつプラナリア。ぜひご紹介した本を実際にご覧になって、ご自身でもその生態の秘密に迫ってみてください。