ダイオウイカって知ってる?世界最大級のイカを簡単に解説!

更新:2021.11.11

大きさが世界最大級といわれているダイオウイカ。世界の科学者が夢中になって研究を進めるほどその生態は謎に包まれています。今回は、ダイオウイカの生態について簡単に解説するとともに、彼らについてもっと知ることができるおすすめの3冊の本を紹介していきます。

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ダイオウイカの生態

ダイオウイカは世界最大のイカです。その大きさは18mほどで、世界最大級の無脊椎動物といわれています。

1882年にカナダで打ち上げられた死体は27mほどだった、という記録もあるほど、この世の物とは思えないくらい想像を超える大きさなのです。ダイオウイカは世界の暖かい深海に暮らしていると考えられています。近年の研究では北アメリカ、ヨーロッパ付近の大西洋、ハワイ島付近や日本の小笠原諸島に生息するとされていますが、深海に暮らしているため詳しいことは明らかになっていません。

彼らは生物最大級といわれる30cmほどの大きさの目を持っているため、深海の暗闇でも視力を発揮し生活することができます。

彼らはアオイカなどの小型のイカを餌にしています。ダイオウイカの吸盤にはのこぎり状の鋭い歯があり、この歯を体に食い込ませることで強く餌に絡みつき、捕獲をしているのです。

逆に彼らの天敵はマッコウクジラです。マッコウクジラは体長16~17mの大きなクジラで、ある調査では胃の中からダイオウイカの肉片が見つかっています。

生息海域によって彼らの腕の長さや太さや体形は違いがあり、これまでに18種類が確認されています。しかしこれらのDNAを調べた結、DNAはすべて同じで1種類しかなかったのです。

彼らの死体の漂着は世界でも2年に1回程度。生態や個体差ともに不明な点も多く、これからの研究が期待されています。

ダイオウイカに関する豆知識

伝説の生き物クラーケンのモデルと考えられている

巨大なタコやイカのような頭足類の姿で描かれる海の怪物クラーケンは、ヨーロッパで語り継がれている伝説の生き物です。このモデルはダイオウイカだといわれています。

昔の人は彼らのあまりの大きさに、怪物だと思い込んでしまったのかもしれません。

生きている姿の世界初の撮影

生きている姿の撮影に世界で初めて成功したのは、なんと日本人もかかわった研究チーム。窪寺恒己(くぼでら つねみ)が率いるNHKチームとアメリカのディスカバリーチャンネルが共同で研究をおこない、小笠原沖の深海で泳いでいるダイオウイカの調査映像の撮影に成功しました。

この映像によって得られた情報をまとめた論文は、ダイオウイカの研究に携わる世界中の研究者に大きな衝撃を与えました。

寿命はどのくらい?

彼らの寿命は意外なことに2~5年と短命。科学者によって多少寿命とされる数字のばらつきはありますが、いずれにせよ短命であるというのが定説です。

実はダイオウイカの卵は1mm程度。この小さな卵が短い寿命と関係しているのでは、と考えられていますが、寿命についてはまだ研究段階です。

ダイオウイカは食べられるのか?

結論から言ってしまうと、食べることはできません。彼らの体組織には浮力を得るための塩化アンモニウムが大量に含まれているため独特のえぐみや臭みがあり食用には向かないのです。死体が漂着した際に漁師や研究者などが試食したことがあるそうですが、その感想は「独特のアンモニア臭がある」「しょっぱくて食べられない」「えぐみや苦みがあって美味しくない」といったものでした。

一方、南アメリカ諸国では本格的な食用化に向けた研究が進んでいます。ダイオウイカ以外にも塩化アンモニウムを大量に含む魚介類は存在し、それらの加工技術を応用して食用化することができると考えられているのです。

いつか一般的に流通しているイカのように、ダイオウイカが食べられる日がくるかもしれません。

ダイオウイカのものすごい衝撃写真が楽しめる一冊!

2013年に窪寺恒己らによって世界で初めて生きている姿で撮影されたダイオウイカ。そのときに撮影された写真に、彼らの生態の解説や当時の撮影秘話を添えたのが本書です。

未知の世界に潜む彼らの姿を間近に感じることのできるビジュアルブックになっています。

著者
出版日
2013-06-29

本書はとにかく写真が豪華です。光り輝くボディに、大きくて人間が吸い込まれてしまいそうな目……まさに世界初の撮影に成功した撮影班だからこそ撮ることのできた貴重なダイオウイカの写真が満載です。

かなりアップの写真や質感が伝わってきそうなほど鮮明な写真、それらのリアルさに鳥肌が立ってしまうことでしょう。

また、吸盤のアップ写真などポスター4枚とシールという、ファンに嬉しい付録もついています。ポスターやシールはまさに本書でしか手に入らない貴重なものではないでしょうか。貴重な写真が楽しめるだけでなく、豪華な付録まで楽しめるので、コストパフォーマンスも抜群です。

メガマウス、ミツクリザメなど深海に棲むほかの生物についてもふれられています。まさに一冊で大満足の内容。ダイオウイカを目で楽しんでみたい人は本書を読めばその欲求が満たされること間違いなしでしょう。

不可能を可能にした感動ドキュメンタリー

著者は窪寺恒己は、世界で初めて生きているダイオウイカの姿の撮影に成功した科学者。そんな彼がいかにして世界初のプロジェクトを成功させたのか、その記録を著者自身の言葉で語った一冊です。

著者
窪寺 恒己
出版日
2013-10-18

生きているダイオウイカの写真を撮ろうとするこのプロジェクトは成功率1%以下といわれていました。それほど不可能と思われたプロジェクトを成功させるまでの道のりは一体どんなものだったのでしょうか?

海洋生物学を専門とする窪寺恒己がダイオウイカの研究に着手して十数年。本書では研究を始めるきっかけや、研究を始めてからぶつかった困難などが臨場感たっぷりに伝えられています。

著者のダイオウイカ研究に対する熱意がひしひしと伝わってきます。困難にも負けず挑戦し続ける姿は多くの読者の心を打つことでしょう。読者に分かりやすく伝えることを最優先した、やさしい語り口の文章なので、ダイオウイカについてあまりよく知らない人でも安心です。深海のロマンについて知ってみたい人はぜひ手に取ってみてください。

ダイオウイカって何?子ども向けに書かれたやさしい科学ノンフィクション

本書は窪寺恒己がダイオウイカを追い求めたチャレンジを伝える科学ノンフィクションの児童書です。小学校高学年ぐらいから読めるように、彼らの生態について分かりやすく説明されています。

著者
窪寺恒己
出版日
2013-07-04

本書では写真やイラストを豊富に掲載。全63ページとコンパクトながら、彼らの秘密や窪寺恒己の研究の成果がぎっしり詰め込まれています。子どもにも理解できるように平易な言葉に置き換えられているなど「子どもにダイオウイカの魅力を伝えたい」とする著者の情熱が感じられる一冊です。

謎の生物を追うという冒険書的要素もあり、その見事なストーリー性は子どもの好奇心を存分に刺激してくれることでしょう。ダイオウイカについて知りたいというお子さんを持つ親御さんは、この一冊をお子さんに与えてあげればきっと満足させることができるはずです。

本書は児童書ですが、軽く概要をつかみたい大人にもおすすめです。大人も子どもも一緒に楽しめる一冊だといえるでしょう。

いかがでしたでしょうか?今回はダイオウイカについて解説し、彼らについてもっと知るためのおすすめ本を3冊ご紹介しました。彼らの未知なる生態はまだまだ人類を惹きつけて止みません。あなたもその魅力を楽しんでみてはいかがでしょうか?

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