『白星のギャロップ』登場人物と3巻までの見所ネタバレ紹介!

更新:2020.12.17 作成:2017.10.31

競馬に欠かせないジョッキーを育成する、競馬学校に通う少年たちを描いた『白星のギャロップ』。競馬ファンでもなかなか知らない訓練の模様や、厳しい寮生活の実態を、入念な取材を経て丁寧に物語のなかに落とし込んだ注目の作品です。そんな本作の見どころを、登場キャラの魅力も含めてたっぷりご紹介しましょう。

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『白星のギャロップ』の魅力に迫る!その魅力を最終回まで全巻ネタバレ紹介!

『白星のギャロップ』は、競馬ファンにもほとんど馴染みのない競馬学校を扱った作品です。競馬学校とは、競馬の花形であるジョッキーや、競走馬の世話や調教をする厩務員(きゅうむいん)を育成する専門の学校のことを指します。

入学してくるのは主にジョッキーや厩務員を親族に持つ子供が多いなか、本作の主人公・森颯太(もりはやた)は、競馬好きの母に女手ひとつで育てられた少年。競馬界に通じる繋がりといったら、幼い頃から通っている乗馬苑だけです。

颯太自身も馬は好きで、乗馬スキルも相当なものですが、競馬が嫌いなうえ精神を患っている母の面倒もみなければならないので、コーチに競馬学校へ行くことを薦められても拒否し続けます。

そんなとき、母が急死。これまで聞かされたことのなかった自分の父に関する情報を祖父母から聞き、ある目標を抱いて競馬学校への進学を決意しました。

著者
西 連助
出版日
2017-08-18

その目標というのは、自分の父でありNo.1ジョッキーの藤宮将二をトップの座から引き摺り下ろすこと。

これまで母と自分に何も手を差し伸べなかった憎い父を超えることを目標に、嫌いな競馬の世界に進むのは何とも皮肉な話ですが、復讐劇の王道ともいえるストーリーでどのように展開していくのか気になります。

目標のためには、ルールに反していなければどんな狡いことでも手段を選ばず取り入れる颯太には、ダーティーな魅力があります。

競馬学校に入学してからは、生意気で見下した態度をとってくる元騎手の倅や、とんでもない発想力と並外れた動体視力を持つ乗馬未経験者などの同期生たちも登場し、互いに競い合いながらも成長していくさまは青春漫画としても楽しめるでしょう。

今回はそんな『白星のギャロップ』の見どころを、注目の登場人物3人の魅力をお伝えしつつ、最終回が収録された3巻までの見所をご紹介します。ネタバレを含みますのでご注意ください。
 

『白星のギャロップ』は競馬好き以外にもおすすめの青春スポーツ漫画!【あらすじ】

森颯太は、競馬好きな母の影響で幼い頃から近所の乗馬苑に通っていて、コーチから競馬学校への進学を薦められるほどの乗馬スキルを持っています。

数年前にパート中に倒れてから、精神を患ってしまった母親と2人きりで暮らしています。彼女は家に引きこもって競馬中継にかじりつくようになり、颯太は身の回りの世話をしながら、国から支給される手当てと内職で得たパート代で細々と生活していました。

颯太自身は、馬も、馬に乗ることも好き。しかし、競馬中継を観ている母の覇気のない後ろ姿を見ているからか、競馬に対しては嫌悪感を抱くようになります。

そんな母が、ある日急死してしまいます。颯太は葬式の場で、疎遠になっていた祖父母から、顔も知らない父親が騎手だということを知らされるのです。

母親が長年ファンだったNo.1ジョッキーの藤宮将二こそが、自分の父だと判明しました。

その事実を知った颯太は、母と自分の苦労も知らずにのうのうと騎手をやっている藤宮に憎悪の念を抱きます。自分も騎手になって彼をトップジョッキーの座から引きずり下ろすことを決意し、競馬学校への進学を選びました。

登場人物1:憎き父を超えることを目指す主人公、ダーティーな魅力!【森颯太】

登場人物1:憎き父を超えることを目指す主人公、ダーティーな魅力!【森颯太】
出典:『 白星のギャロップ』1巻

主人公の森颯太は、父が誰なのかも知らずに母子家庭で育ち、病に倒れた母の世話をしながらチラシ折りとチラシ配りのパートをこなす苦労人です。

これだけでも十分悲劇の主人公としてやっていけそうですが、母が急死したことで突然知らされた父の存在を中学生ながらしっかりと受け止め、父への復讐とはいえこれからの目標を定めて邁進する姿からは、尋常ではない意志の強さを感じさせます。

現実をしっかりと見据え、困難をクリアするために打開策を捻りだして行動に移す力は、母と2人で生き抜いていくために自然と身につけたものなのでしょう。その経緯を考えると、少し切なく思えます。

そんな苦労人でいかにも応援したくなるような境遇の颯太ですが、どんな手段を使ってでも実の父である藤宮将二をトップジョッキーの座から引き摺り下ろすという目標を掲げています。

手段を選ばないダーティーさは近寄りがたい雰囲気があり、反抗期の少年っぽさも相まって彼の魅力になっているのです。

ある日彼は、自分の騎乗フォームと藤宮の騎乗フォームが似ていることを教官に指摘されます。フォームを変更するか思い悩むのですが、人馬一体の理想形とも呼べる完成された藤宮のフォームに少しでも近づくことが、彼を超えるための最短ルートだと気付き、嫌悪感を抱きながらも彼のフォームに近づけていくことを受け入れるのです。

この一種の潔さは見ていて爽快。また、ダーティーでありながらも、ルールに違反しないギリギリのところを攻める勝利への執着は、将来のジョッキーとしての活躍を予感させるようで、読んでいてドキドキさせてくれます。

著者
西 連助
出版日
2017-10-12

登場人物2:恐るべき才能を秘めた乗馬初心者【鷹野光太郎】

登場人物2:恐るべき才能を秘めた乗馬初心者【鷹野光太郎】
出典:『白星のギャロップ』1巻

鷹野光太郎はいつもニコニコしてほんわかした雰囲気をもち、坊主頭が特徴的です。

騎手や厩務員の子息の入学が多いなかで、颯太と同じく競馬界に通じるコネなしで競馬学校に入学してきました。同期のなかで唯一乗馬経験がない真の初心者で、馬術訓練が始まったばかりの頃は騎乗すらまともにできずに、先生にこっぴどく叱られる日々が続きます。

障害飛越訓練でも、障害物を飛び越える時に馬と息が合わずに落馬をし、授業を何度も中断させてしまいます。口の悪い同期の柏原勇也からは、足手まといと言われてしまいました。

周りに迷惑をかけてしまっている負い目を感じつつも、同期の実力に追いつくべく、寮内での自由時間も木馬を使って騎乗姿勢を保つ自主トレをおこなうなど、ひとりで努力を続けます。

一方みんなの前では笑顔を絶やさないその姿は「The・少年漫画の主人公」で、本来の主人公である颯太を完全に食ってしまう勢いなのです。

努力のすえ落馬する回数も減り、障害飛越訓練も何とかこなして、走路訓練の一環である200mインターバル走の練習が始まると、光太郎は秘めていた才能を発揮します。

少しずつ頭角を現していく彼の類稀なる才能と成長スピードに気付き、颯太は若干の焦りを感じだすのです。今後の2人の関係が物語のポイントになってきそうですね。
 

登場人物3:親の威を借る生意気な同級生【柏原勇也】

登場人物3:親の威を借る生意気な同級生【柏原勇也】
出典:『 白星のギャロップ』1巻

柏原勇也は、颯太と同期で競馬学校に入学した生徒で、入学前研修の初日にいきなり喧嘩腰で挑発してきた生意気な少年です。父親が元騎手で引退後も調教師として名が知れていることから、親の名前を出して威張り散らしているため、颯太とは犬猿の仲になっています。

競馬界と無関係な家庭出身の颯太と光太郎に対して「一般人」と見下した態度をとっていて、当初はおそらく多くの読者からも嫌われていたと思われます。

しかし物語が進むにつれて、勇也の世話好きで人を放っておけない性格が見えてくるのです。

3人1組でグループを作り、障害飛越訓練のチーム対抗戦をする際、颯太・光太郎・勇也がグループを組むことになりました。

最初は犬猿の仲である颯太と足手まといの光太郎がいるチームは嫌だ、と言っていた彼ですが、チームの勝利のために自由時間を削って光太郎の自主トレに付き合うなど、意外と友達思いでツンデレなことがわかり、可愛く見えてくるから困ったものです。

2巻では幼い頃から知り合いの上級生に目をつけられてしまうなど、トラブルメーカー的なポジションでもあるので、今後も目が離せない注目人物でしょう。

母の死を乗り越え、憎き父への宣戦布告【1巻ネタバレ注意】

颯太は唯一の楽しみである乗馬苑に通いながらも、母と2人きりの貧困生活を送っていました。母が亡くなったことで祖父母から聞かされたのが、母親が長年ファンで精神を患ってからもTVの前で応援していた、No.1ジョッキーの藤宮将二です。

この話を聞いた颯太は、母と自分のことを放っておきながら、父は騎手として名声を得て大金を稼いでいたことを知り、憎悪を抱くことになります。

そして、自分も騎手になって藤宮をNo.1ジョッキーの座から引き摺り下ろすことを決意して、競馬学校への進学を祖父母に懇願しました。

この時の壮太の表情はまるで氷のように冷たくて、とても中学生とは思えないほどに、静かな怒りをため込んでいます。読んでいて冷や汗が出てくるほど、鬼気迫るものを感じるでしょう。

著者
西 連助
出版日
2017-08-18

見事、競馬学校の試験に合格し、迎えた入学式。颯太は来賓で学校に訪れていた藤宮将二と、直接顔をあわせることになります。

入学式の後、新入生の6人は記者に囲まれてそれぞれの目標を発表することになり、そこで颯太は本人を目の前にして藤宮将二を超えると宣戦布告するのです。

堂々としている颯太もかっこいいですが、それに対して藤宮が余裕を見せながら「光栄です」と答えるところも、緊張感が張りつめていてドキドキしてしまいます。

この他にも、鷹野光太郎や柏原勇也など、同期との友情が徐々に芽生えていく様子も見逃せません。

そして1巻最後のページでは、教官の口から颯太の心を揺さぶるとんでもない言葉が発されるのです。どんな内容かは、ぜひご自身で確かめてみてくださいね。
 

父と兄の呪縛に囚われる勇也【2巻ネタバレ注意】

2巻では走路訓練に入り、モンキー乗りという腰を浮かせて背中を丸めた騎乗法での本格的なレース訓練が始まります。

教官から発された言葉に思い悩む颯太は、モンキー乗りのフォームを変更しようと工夫するもうまくいかず、ドツボにはまっていました。

それに気付いた教官は、颯太たち1年生を集めてある映像を見せるのですが……この映像を見て、颯太のモンキー乗りはどう変化するのでしょうか。

著者
西 連助
出版日
2017-10-12

また、颯太と光太郎につらくあたっていた勇也が、3年生にいる彼の兄の友人・三原大志から目を付けられて、嫌がらせを受けてしまいます。この問題を解決する手段として、大志と勇也が200mインターバル走で勝負をすることになってしまいました。

勇也が3年生の大志に勝つ手段はあるのでしょうか。そして、父親と兄の呪縛から解放されて、ひとりのジョッキーとして自分を確立することができるのでしょうか。大注目の正念場です。

競馬学校編終了!物語はプロジョッキー編へ!【3巻ネタバレ注意】

3巻では勇也の親友であり、長身の鮎川圭祐が過酷な減量に悩まされます。当初は我関せずの颯太でしたが、この競馬学校にいる間に少しずつ彼にも心の変化があり、圭祐のためにある計画を企てます。

今までどちらかというとダーティヒーローだった颯太の影響でシビアな展開が多かった本作ですが、この一連の流れは青春そのもの。胸を熱くさせるものがあります。

しかし3巻最大の見所は厩舎(きゅうしゃ)実習が始まることではないでしょうか。騎手課程2年世は9月から1年間実習をすることになっており、いよいよ颯太がプロの世界に向けて動き出します。

しかし癖のある性格から、なかなか所属厩舎が決まらない颯太。

そこに武藤という調教師が名乗りをあげます。美しすぎるフォームに対し、勝気な性格を持つ颯太のいびつな様子に惹かれた彼は、10年以上前に最多勝利調教師(リーティングトレーナー)と呼ばれた人物でした。

著者
西連助
出版日
2018-01-19

いよいよここから新たな日々が始まるのだとワクワクする展開ですが、初日に颯太が出会ったのは柄が悪く、調教手当で生活している田端洋平という男。

過去の実績はあるものの、現在はその名を潜めている武藤厩舎、粗暴の悪い底辺騎手を兄弟子として教わることに颯太は不安を覚えます。

しかし実は洋平は10年前まで藤宮(颯太の父)騎手を抑えて最多勝利騎手、天才と呼ばれた男で……。

その後の詳しい内容は作品でご覧ください。最終回は厩舎実習を終えて学校に戻ってきた生徒たちが「プロへの第1戦」とも言える模擬レースを行います。

勇也は堂々と1位宣言をしますが、もちろん颯太は気にせず。彼がライバル視するのはスタートが早く、安定した走りを見せるようになった光太郎です。

果たして彼らの学生時代すべてをかけたとも言えるレースの結末はどうなるのでしょうか?

リアルな競馬学校での日々に、父親への復讐心を燃やしてレースを走る主人公の姿、そんな彼とは正反対のこちらも天才である光太郎の存在、さらに勇也など他ライバルとのかけあいなど、様々な要素で読者を引き込んでくれた『白星のギャロップ』。

ひとまず競馬学校編は3巻までの内容で終了です。ここからはついにプロジョッキー編。まだまだ颯太の物語は見られるのでご安心ください。

悲願の相手である父親、兄弟子の洋平、永遠のライバルになるであろう光太郎との対決など、今から楽しみですね!


競馬をまったく知らない人でも、読み進めるうちに不思議と夢中になってしまう『白星のギャロップ』。普通の学園モノとは一線を画した特殊な環境や厳しさがあるので、非日常を求める人にもぜひ読んでいただきたいです。