仕事は完璧、見た目もかなりのイケメン。だけど恋には不器用で……という主人公の関根を描いた作品『関根くんの恋』をご紹介します。何に対しても興味が持てず、どこか心に寂しさを感じていた彼は、初恋を通じてどのように変化していくのでしょうか。
仕事から些細なことに至るまで何でも完璧にこなすことができ、さらにはイケメンである主人公・関根圭一郎。まさにハイスペックな男ですが、本作では彼の不器用な恋が描かれていきます。
関根は、自身は何も望みがないものの、完璧すぎて万事順調に進んできた30歳でした。端正なルックスで、まだ独身だったこともあり、女性からの人気も絶大です。
- 著者
- 河内 遙
- 出版日
そんな彼でしたが、たまたま訪れた手芸屋で出会った女性に恋をします。しかし、これまで女性に好かれるばかりで、自分からアプローチしたことがなかった彼は初めての恋に悪戦苦闘して……。
一見すると完璧なイケメンなのに、意外にも恋には奥手。そんな彼のギャップが可愛らしい、魅力あふれる作品です。
今回は、本作の魅力をたっぷりお伝えします。ところどころ、ネタバレも含みますのでご注意ください。
容姿端麗、スポーツ万能、仕事も順調……と一見、完璧に見える主人公・関根の不器用な恋を描いた作品です。
関根は基本的に何でも人並み以上にこなせる男性なのですが、自ら何かを求めて行動したことがなく、周りの要望に合わせて流されるがまま生きてきた人間でした。
そんな関根が手芸屋の娘、サラに恋をし、初めて自分から行動を起こします。
しかし、初めての恋心に戸惑い、うまくいかないことばかりで……。彼の隠れた苦悩や努力がとても可愛らしく、読みながら思わず応援したくなる作品です。
- 著者
- 河内遙
- 出版日
- 2010-12-15
イケメンで仕事ができるけれど、ちょっと残念な30歳独身の関根が主人公の本作。ここからは各巻の見どころを紹介する前に、作品の魅力を3つご紹介していきます。ややネタバレも含みますので、未読の方はご注意ください。
まず最大の本作の魅力は、関根の不器用すぎる可愛さ。目鼻立ちが整っていて、さらに仕事ができるため、会社の女性たちから秘かにモテている彼ですが、当の本人は他人に関心がありません。そのためそもそも好意に気づいていないことが多いのです。
そんな彼ですが、学生時代から何でも難なくこなせるほどポテンシャルが高かったため、一応彼女らしき女性や、肉体関係を持っていた女性がいた模様。しかしどんな女性にも無関心で、受け身の姿勢でした。その結果、関根は趣味がなく、自分は中身がない男だと悩んでいたのです。
そんな彼が出会ったのが、手芸屋の孫・サラ。明るく快活な女性で、誰に対しても分け隔てなく接する性格です。彼女との出会いが、何事にも関心がなかった関根の乾いた心を癒していくのです。
30歳にして、恋という恋をしたことがない関根。サラと近づくために、持ち前の不器用さを発揮しながら、さまざまな行動に出ます。
しかし頑張って行動するのはするのですが、彼はよく泣く。家で、サラの前で、と無防備にその弱さを見せます。そんな自分が彼は好きではないのですが、周囲の女性はイケメンに母性本能をくすぐられてドキドキ。本当に罪な男です。
そんな彼の言動のひとつひとつは、もう見ていられない!と、つい手を貸したくなるような可愛さ。読んでいるうちに応援したくなることでしょう。
可愛すぎて、本作のヒロインと言っても過言ではない関根ですが、そんな彼に負けず劣らず、不器用な大人は関根だけではありません。彼の好意を徐々に感じとるサラも、どのような距離感をとればいいのか分からず、思い悩むのです。
当初はうじうじと悩む関根にズバッと言う物言いが印象的な人物でした。ある女性に苦手意識を持っていた関根に、それが恋心だったのではないかと指摘し、彼の思いをほどいていきます。
そして徐々に彼女自身の心もほぐされていき、関根に惹かれていくのです。しかしそんな気持ちが芽生えてきたものの、モテ男である意味地雷臭のする関根にひっかからないようにと、現実的なサラは気をつけます。
学生の頃とは違って、いろんな人生経験から、酸いも甘いも知る尽くした大人。とは言え、恋愛がすんなりうまくいくわけではないでしょう。大人だからこそ、「好き」という感情だけでは単純に行動できない、もどかしさもあります。
『関根くんの恋』では、そんなまっすぐだけではいられない大人の恋模様が描かれていきます。
関根とサラのもどかしい関係が描かれていく本作。物語の途中では、サラに想いを寄せる堂島が登場し、ふたりの思いがすれ違い、簡単には結ばれない関係性が非常に歯がゆく感じられます。
堂島については単純にふたりの関係を邪魔する登場人物にも思えるかもしれませんが、彼がまた魅力的。努力を重ねながらも誰にもそれを気づいてもらえない人物で、その恋の終わらせ方も切なさに溢れたものです。
サラと出会って、関根の心はどのように変化するのか。また、恋に自信のない大人たちは、一歩前に進むことができるのか……。
それぞれの人物の優しさが感じられる最終回。恋をすることでその人の本当の部分が現れ、それでいて変化していく様子を描き切った感動の内容です。5巻で完結しているので、最終話まで一気に読んでいただきたい作品です。
今作品の主人公、関根圭一郎は容姿端麗、スポーツ万能、仕事も出来る、という一見完璧な30歳の男性です。その魅力的なルックスから社内にも女性ファンが多く、これまでの人生で苦労をしたことがありません。
しかしその完璧さやスペックの高さがゆえに、物事に対して熱中したことがなく、能動的に行動を起こしたことがありませんでした。
ある日、古くからの付き合いで既婚者の紺野に合コンに誘われた関根でしたが、そこで自らが無趣味であることを改めて自覚します。そんな自分を変えるべく、彼は近所にあった手芸屋に通うようになります。
手芸屋にいたのは、店主の老人とその孫娘のサラ。この2人との出会いが関根の行動を変えていきます。
- 著者
- 河内 遙
- 出版日
本作の1番の魅力は、なんといってもハイスペック男子の関根の周りから見た評価と、自らの幸福感のギャップでしょう。
登場からそつのない理想的な三十路の男性として描かれる彼ですが、いつも表情は憂いを帯びており、受け身で無気力というなんとも残念な内面が伝わってくるのです。
さらに、これまでの人生を受け身で生きてきた彼は、自らの感情や心情の変化に非常に疎く、わけも分からず急に泣き出すことがあります。
とても情緒不安定で涙の理由も自覚していないのですが、そんな関根を見かねたサラは、彼に自分の気持ちを自覚させるように働きかけていきます。
サラはどちらかというと、あか抜けない女性として描かれているのですが、そんな年下の彼女が完璧男子関根の面倒を見る、という構図もどこか滑稽で面白く感じられるのです。
1巻は、読めば読むほど関根が残念な男性であることが伝わってくるのですが、そんな彼に思わず感情移入し、応援したくなってしまうでしょう。
「幼馴染の紺野の妻である、数音のことが好きなのでは?」とサラから問いただされた関根は困惑します。
これまで自らの気持ちを自覚したことなどなかったため、どうしていいか分からず、いても立ってもいられなくなった関根は手芸屋を訪れ、サラにアドバイスを求めます。
そんな折、関根は紺野から数音が妊娠したという報告を受けるのでした。とにかく数音のことを頭から消してしまいたいと思う彼は、サラからアドバイスを受け、生まれてくる子供のために靴下やぬいぐるみを編むようになります。
彼が作った完璧な作品を見て感動するサラでしたが、そんな彼女を見た関根はわけも分からず涙が止まりません……情緒不安定がどんどん加速していくのです。
ある日、関根は紺野に誘われた飲み会で堂島という男性に出会います。彼はとてもスマートな男性でしたが、実はモテるためにものすごい努力を積み重ねており、何もしなくてもモテてしまう関根を妬ましく思っていました。
関根が手芸屋に通っていることを突き止めた堂島は、サラにちょっかいを出します。この頃、以前に自分が編んだ作品を見て感動してもらったことから、関根は無自覚にサラのことが気になりはじめていました。そんな矢先に堂島とサラが仲良く話し込んでいるところを目撃してしまい、意気消沈してしまいます。
- 著者
- 河内遙
- 出版日
- 2010-12-15
2巻ではサラに数音への想いを指摘され、初めて自らの気持ちと向き合う関根の姿が描かれています。このときの彼の取り乱し方は半端じゃありません。受け身で生きてきた彼の葛藤がよく伝わってきます。
自らの気持ちに振り回されながらも、表向きはクールに見えてしまう……そのギャップの激しさが、彼の魅力のひとつでもあるのです。
一方で、親身に自分のことを思ってくれる、裏表のない性格のサラに徐々に惹かれていく彼の様子も、見どころとなっています。
堂島は関根に対しての嫌がらせとしてサラに近づきますが、このときの関根の焦りっぷりも見物です。これまではクールに振る舞ってきたものの、露骨に嫌な表情をしてみたり、嫉妬の感情を感じたりと、どんどん人間らしくなっていきます。
2巻では、そんな関根の変化に注目してみてください。
3巻では、ついに関根が積極的に行動し、サラとの距離を詰めようとします。サラがサーカスのチケットを持っているということを聞き、関根はとっさに自分も興味があったと嘘をつくのです。
ようやくサーカスデートにこぎつけたものの、関根のあまりの完璧なエスコートにサラが驚き、悪意なく「(関根さんが完璧すぎて)いくらなんでも私たち似合わなすぎ」と言ってしまいます。
その言葉にショックを受けながらもデートを楽しむ関根でしたが、なかなか距離は縮まらず、アドレスすら手に入りません。
なかなか行動できないもどかしさや、サラから見たら自分は大勢のうちのひとりなのでは、という立場に焦りと苛立ちを覚えた関根は、ついにサラに想いを伝えようとして……。
- 著者
- 河内遙
- 出版日
- 2011-11-10
3巻から、関根は空回りながらも自発的に行動するようになります。仕事など手順や目的がはっきりしている物事であれば、完璧にこなす彼ですが、自らの恋愛となるとまったくうまくいきません。
まさかの連絡先を交換することにすら、手間取る始末。そんなギャップが、より関根の残念さと可愛さを際立たせています。関根とは別の意味で女性慣れしている堂島も存在感を発揮し、関根の奮起の材料として活躍するのです。
意中の相手との距離をなかなか詰められない……思春期にこんな経験をした方は多いのではないでしょうか?そんな甘酸っぱい恋に、30歳の完璧男が初めて挑みます。不器用な関根に笑いながらも、応援せずにはいられないでしょう。
4巻では関根がサラに自らの気持ちを伝えます。2人きりのデートでないと意味がないと言い、ついにサラと2人きりの遠出デートにこぎつけます。
初恋の少年のごとくウキウキする関根と、なぜ自分なのかが腑に落ちず恋に臆病になるサラ。 関根は一所懸命にサラにアプローチしますが、なかなか彼女は一歩を踏み出せません。
デートが終わった後もサラと離れたくない関根は手芸屋に立ちより、最後は自分を抑えきれず、ある行動に出て……。
しかし、好意を素直に受け入れられないサラは、あまりに完璧な関根への恋に臆病になってしまっており、なぜ自分じゃないといけないのか、他にもふさわしい相手がいるのではないか、と話します。
初めての恋で一所懸命頑張った挙句、そんな言葉を聞いた関根は大号泣……しかし、気を取り直して再び食事に誘います。
行くか迷っていたサラでしたが、そんな彼の一所懸命さを思い出し、食事に向かうことにします。しかし、何ともタイミング悪く、関根は交通渋滞にはまって、挙げ句の果てに携帯の電源も切れてしまうのでした。
はたして2人の関係は進展するのでしょうか……。
- 著者
- 河内遙
- 出版日
- 2013-01-24
第4巻では、初の遠出デートで少年のようにウキウキしている関根と、どこか距離を置こうとしているサラの対照的な心情が描かれます。
関根はデート前に検索エンジンでデートスポットを調べるなど、かなり舞い上がっている様子。しまいには、サラといられればどこでもよいと考えるほど……。30歳男性とは思えないほど、とにかくピュアです。
しかし、関根は内心でウキウキしているものの、元々表情があまり豊かでないため、逆にスマートで女性慣れしているように見えてしまいます。そんな彼に遊ばれているのではないか、とサラは不安を膨らませてしまうのです。
お互いに好きという気持ちは芽生えているのに、なかなか素直になれず気持ちを通じ合わせることができない2人。少しずつ進展しながらも、もどかしい展開が続きます。
予約していたお店につくも、そこにサラの姿はありませんでした。携帯の充電を済ませ電話をするものの、サラは電話に出ることを拒否します。
せめて直接謝らなければならない、と翌日手芸屋に立ち寄ることを決めた関根でしたが、たまたま重要な取引先の接待が入ってしまいます。
その取引先の女性、サチコは以前関根と堂島を逆ナンしてきた女性であり、関根に引き続きアプロ―チを続けてきました。
一方、サラは関根の気持ちを確かめるべく家の近くを訪れていました。そんな間の悪いタイミングで、彼女は接待から帰る関根と酔って関根にまとわりつくサチコを目撃してしまい……。
幻滅したサラは関根にキツイ言葉を浴びせ、それを信じた関根はアドレスも連絡先も消去してしまいます。
- 著者
- 河内 遙
- 出版日
- 2014-09-10
最終巻では、2人のすれ違いが大きくなってしまい、関根もアドレスを消してしまうなど、ネガティブな展開から始まります。
そんななか、関根は取引先のサチコから猛烈なアプローチを受けますが、アプローチされればされるほど、サラのことを強く思い出し、自らの気持ちの強さをあらためて自覚します。
これらのシーンからは、これまで何事にも必死になったことがなかった関根が恋をすることで、人間的に成長する姿を感じることができるでしょう。
また彼と同様、恋心に振り回されるサラの心情もよく描かれています。完璧な30歳になぜ自分が選ばれるのか、考えれば考えるほどわけが分からず、自信を失ってしまい……最終的に彼女はどのような決断をするのでしょうか。
そんな2人のすれ違いがもどかしい反面、互いを真剣に想っているからこそ、空回りしてしまう様子はおかしくもあり、また切なくもあります。
最後に2人が出会い、話をするシーンはとても感動します。彼らがどんな答えを導き出すのか……ぜひコミックスで確認してみてくださいね!
- 著者
- 河内 遙
- 出版日
男性にはリードしてほしい。
そんなことを考える女子は少なくないはず。しかしそれと同じくらいに押しても引いてもなびかないような受け身でスペックの高い相手を落としたいという肉食系の女子も多いかと思います。
そんなどちらの女性も虜にすると言っても過言ではない関根。肉食系女子は言わずもがなですが、リードしてほしいと思っている女性も関根なら仕方ないな、可愛いな、と思えてしまう魅力があるのです。
彼の性格はこじらせにこじらせまくったもの。時に本気でイライラし、しかし本気で感情を動かされたからこそ、彼の恋を強く応援したくもなるのです。
乙女心を揺らす関根のラブストーリーの行方をぜひ作品でお確かめください。最後まで読者を飽きさせることなく、むしろまだまだふたりの日々を読みたかったとも思わせられる完成度の高い作品です。
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30歳の関根の恋は、思春期の高校生のようでとても可愛げがありながら、不器用すぎてつい応援したくなってしまいます。大人のクールな振る舞いと、少年のような恋心のギャップがとても魅力的な作品に仕上がっています。
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