コンビニ、人間、セックス、家族。知っている世界の知らない物語を知らぬ間に過ぎた秋にハッとさせられながら一気に読ませて頂きました。
- 著者
- 村田 沙耶香
- 出版日
- 2016-07-27
経験した事の無い体験や感じた事の無い感覚に直面した時、自分の中で処理しきれず呆然としてしまいます。きっと自分の中でどう感じて良いのか分からず思考停止状態になっているのだと思います。「コンビニ人間」を読み終わった瞬間はまさにその感覚でした。なんか凄いものを読んだ!!という感覚はあるのにどう処理していいか分からずフワフワと不思議な気持ちに。
軽快に始まる冒頭から主人公の女性のマイノリティな生き方に共感しつつ時にはクスクスと笑いながら読み進んでいると“え? ええ!? 人間の話じゃなくてコンビニ人間の話なんだ!?”と不思議な気持ちになりました。
村田さんの独特で具体性のある世界感に吸い込まれてしまいました。
「コンビニ人間」で155回(2016年上半期)芥川賞を受賞された村田沙耶香さん。
愛するものへの想いを綴ったラブレター形式のエッセイ、『ラヴレターズ』(文藝春秋、2016年2月刊)に収録されていた「コンビニエンスストア様」は村田さんのコンビニへの果てし無い愛が綴られた短編エッセイでした。いや、エッセイではなく想いの詰まったラブレターでした。
コンビニエンスストア様(「ラヴレターズ」収録)
「コンビニ人間」を読んだ後に村田さんのラブレターを読ませて貰ったのですが、他人のラブレターを読む機会がなかった私にとってラブレターを読むこと事態がとても刺激的な経験でした。そしてそれよりも刺激的でドキドキする内容に「コンビニ人間」を読む前の人も、読んだ後の人も間違いなく楽しめる村田さんのラブレターでした。
- 著者
- 村田 沙耶香
- 出版日
- 2015-12-16
バッドエンドであれ、ハッピーエンドであれ今身近にいる人のことを大切にしたいと思える作品が物凄く好きです。「消滅世界」は間違いなくそう思える作品でした。
これから来る具体的な未来の提示から今現在の生活を考えさせられました。そしてそれは誰もが直面するこれからの人生について。未来の家族の形や夫婦の形そして性欲と理性、本能と合理性。選択すべき未来は人として生きるのかヒトとして生きていくのか。漠然とではなく具体的に、現在をどのように生きていくのか。という村田さんの提示にリアリティを感じながら現在の生き方について問われているように感じました。