どうも橋本淳です。最近はなんだか、台風が来たり、雨が多い天気だったり、凍える寒さだったり、急に太陽の熱を感じる日だったり、忙しない日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか? 僕はといえばヒートテックを着るべきか、タイツだけにしようか、否!上下着よう!とまぁ、朝の洋服選びがしんどい季節です。
冬の寒さが近づくにつれ、孤独を、独りのさみしさを、色濃く感じてきます。みんなは、今頃、どんな生活を送っているのだろうと、自分と他人を比べてしまう、そんな季節だと思うのは僕だけでしょうか。
SNSを覗けば、キラキラした他人の生活が流れてくる。それはきっと、作り物だとは分かってはいても、なんだか焦りなのか、不安なのかをモヤモヤとしたものを抱えます。
そんな時には、そのくだらない感情に蓋をして、本を開いてみたいと思います。今月は、【それぞれの人間が抱えるモノ】に着目して、3冊を選んでみました。どうぞ、ご一読いただければ嬉しいです。ドラマ「刑事ゆがみ」(フジテレビ系 毎週木曜22時~ 町尾守 役でレギュラー出演中)も引き続きご視聴くだされば、これ幸いです。
- 著者
- 柚月裕子
- 出版日
- 2017-08-25
舞台は昭和63年の広島。日岡秀一は、所轄署の呉原東署 捜査二課に配属された。ヤクザとの癒着を噂される暴力団係の班長・大上章吾とコンビを組むことに。警察庁長官賞をはじめとする表彰を何度も受け、凄腕との噂もあり有名な人物だったが、その反面、褒められない処分歴も数多く持っていた。日岡はヤクザと何ら変わらない大上の違法捜査に戸惑いながらも、仁義なき極道に挑んでいく。ある事件を皮切りに、暴力団同士の抗争が勃発する。それを食い止めるために、大上が大胆な秘策を打ち出すが……。
映画化も決まっている本作。中盤からは怒涛の展開で、一気読みです。ガミさんこと大上の人柄の分厚さ、背負っているものが文面から波動のように伝わってきます。個人的な印象ですと、ガミさんが出てくると脳内イメージ映像が白黒から淡いカラーになるのです。それくらいの魅力を感じました。男の色気が感じられる一冊。
心に刺さった一節
双眸には、有無をいわせぬ強さがあった
- 著者
- 横山 秀夫
- 出版日
- 2002-11-01
署内で一括保管された大量の警察手帳がなくなった。一括保管を勧めた、警務課企画調査官の貝瀬正幸は焦った。はたしてこの事件は、外部によるものか内部によるものか。捜査をしていくと、ある事にたどり着く。日本推理作家協会賞を受賞した「動機」を含む、珠玉の4編を収録。
女子高生殺しの前科を持ち、出獄後普通に働いていた男に、匿名で殺人を依頼する電話が入り、苦悩する「逆転の夏」。ある事件を追っている県民新聞の記者・水島真知子は、他紙との新聞拡張戦争の激闘の日々に、疲弊していた。ある事件を追っているところに、まさか引き抜きの話が。振り回され、苦悩する水島がたどり着いた先には……「ネタ元」。公判中に居眠りをしてしまった裁判官。法廷で、すべての目がこちらに向いていた、さらに運悪く記者にも目撃されてしまう。失脚に追い込まれる安斎裁判官。ラストに起こる衝撃の事実「密室の人」。
「動機」はもちろんのこと。どれも読みごたえがあり、濃度の高い作品でした。本の中に顔が埋もれてくらい、入り込みました。時間を忘れてミステリーにどっぷりハマってみてください。
心に刺さった一節
馬鹿野郎、そんなもん家族に決まってるだろうが!
- 著者
- 寺地 はるな
- 出版日
- 2017-10-17
結婚していて子供はいない、しかし旦那とは別居中。少し前まで契約社員として働いていたが、現在は求職中の弓子。男とすぐに付き合ってしまうが、既婚者とは関係を持たない、現在休職中の楓。2人はアパートの隣人同士であった。弓子の旦那は行方不明であったが、ある島でその旦那を目撃したとの情報が。ひょんなことから、2人でその島へと旦那を探しに行くことに。40女のロードノベル。
弓子と楓、2人の目線で進んでいく。交わりそうで交わらないはずの性格同士の旅路。それぞれの人が抱える大きな悩み、闇、痛み……端から見たら、そうでもないかもしれないが主観者としてはそれはどれも大きな問題。女性の話だとあなどるなかれ、男性の自分もどっぷりとはまり込んでしまう。共感多数で、まるで実体験を目にしているかのような不思議な感覚。1本の映画を堪能したような読後感を、皆様もぜひ。心に何かが残ります。
心に刺さった一節
なにものにもなれるとうぬぼれながら、なにものにもなれないと怯えていた。