バドミントンを題材に、キャラクター同士の友情と掛け合いが魅力的な作品『片翼シャトル』。スポーツ漫画としての熱さを持ち、少年たちの個性に萌えられる本作の魅力を、今回は全巻ネタバレ紹介していきます。
バドミントンにかける熱い青春と、少年たちの友情を楽しむことが出来る作品『片翼シャトル』。
バドミントンという競技の奥深さと、2人の主人公によるダブルスペアの絆が成長していく過程を描いた本作は、本格的なスポーツ漫画としての読みごたえと、個性的なキャラクター同士のテンポのいい掛け合いが魅力になっています。
今回は、そんな本作の魅力と、全巻の見どころをご紹介していきます。
- 著者
- 栗田 あぐり
- 出版日
- 2016-10-12
中学時代にバドミントンで「最強の盾」と呼ばれていた主人公の玉木海虎(たまきかいと)は、「最強の剣」と呼ばれていたダブルスペアの神嶋由(かみじまゆう)とある理由からペアを解消し、進学した高校では他部員との温度差から高校生活に対し無気力な日々を送っていました。
ある日玉木は、同じくなぜ高校に来ているのか分からないという保地犬志郎(ほちけんしろう)と出会い、優れたリズム感とジャンプ力を持つ彼と新たにダブルスペアを組んで、頂点を目指すことを決めるのでした。
バドミントンという競技にはシングルスとダブルスがあり、特にダブルスはそのペアの特色によって戦略も変わるという奥深さを持っています。
本作では、そんなバドミントンに本気で取り組む選手たちの関係性がしっかりと描かれているところが、大きな魅力といえるでしょう。
まず主人公ペアである玉木と保地ですが、保地はバドミントンの経験がなく、まったくの素人です。それに対し、玉木は中学時代に全国大会で準優勝を果たしたほどの実力者であり、とてもではありませんが実力が噛み合うペアとはいえません。
そのため初期は、玉木が出した指示のとおりに保地が動き、ポイントを得るといった試合スタイルでしか試合をこなすことができませんでした。
しかし、雲の上の存在だった玉木の役に立ちたい、という保地の強い想いが玉木自身にも伝わり、徐々に試合の関係にも影響を与え、しだいに2人で戦う本当のダブルスペアとして成長していくことになるのです。
強くなっていく2人の絆と、ダブルスペアとしての練度は、まさしく少年漫画の王道だといえるでしょう。
また、彼ら以外のダブルスペアや、シングルスで活躍する選手たちの特性や活躍にもフォーカスがあてられており、読者がキャラクターを通じてバドミントンという競技に真剣になれる作品となっています。
バドミントンという競技ならではのキャラクターの関係性もそうですが、本作はそもそも彼らひとりひとりが個性的。特に少年たちの可愛らしい一面には、女性読者も夢中になれること請け合いの内容となっています。
玉木は初期こそ無気力で周囲に対しても冷めた雰囲気をまとっていたものの、保地と出会って以降、徐々に周囲に対してのわだかまりを解消していき、他人に対する気遣いができるようになっていきます。
さらに、献身的に自分のために尽くそうとする保地に対しては、厳しいながらもしっかりとバドミントンのいろはを指導し、しだいにペアのパートナーとして信頼関係を築いていくのです。
最初は頑なだった彼が徐々に変化していくさまは見ていて微笑ましく、いわゆるツンデレキャラクターが好きな方にはたまらないのではないでしょうか。
一方の保地は、玉木と出会うまでは音ゲーが趣味のいじめられっ子という根暗キャラ。玉木とは別の意味で周囲とのコミュニケーションが苦手で、初期は玉木にも気味悪がられるほどでした。
しかしどんな時でも、玉木のためにという強い想いで行動し、そのためには努力を怠らず、多少の無茶な練習もこなしてしまう献身的な彼の姿は、まさに愛犬のようでとても愛おしく感じられるのではないでしょうか。実際に玉木からはポチと呼ばれています。
そんな彼も、玉木のペアとして相応しくなろうとしだいに自己主張を強くしていくのですが、それもすべて玉木のためにしていると考えると、まるでお互いを思いやる恋人同士のような強い絆が感じられるのです。
主人公ペア以外にも、玉木の元パートナー神嶋由や、部内のライバルペアである「サルキジ」コンビなど、個性豊かな面々が織り成す人間模様は見ていて読者を飽きさせることがなく、関係性の変化に思わず夢中にさせられてしまうことでしょう。
- 著者
- 栗田 あぐり
- 出版日
- 2016-10-12
玉木と保地の出会いから、2人のダブルスペア「ポチタマ」誕生が描かれる1巻です。無気力な高校生活を送っていた玉木は、バドミントンに重要な要素である優れたリズム感とジャンプ力を持っていた保地の才能を見出し、バドミントン部でペアを結成します。
才能はあるものの、バドミントンについてはまったくの素人だった保地の指導に悪戦苦闘する玉木でしたが、部内での初の練習試合をとおして、しだいにペアとしての在り方を見出していくことになります。
そんな1巻の見どころは、部内で初のダブルス練習試合です。素人である保地はもちろん試合など経験したことがなく、玉木の指示に従った行動をするしかありません。
しかし、それでは勝つことができないと考えた彼らは、勝つためにどうするべきかを真剣に考えて、その結果驚くべき大技をくり出すことになるのです。
走り出して間もないポチタマペアが、今後の大きな成長の可能性を見せる展開に、思わず息をのむことになるでしょう。
- 著者
- 栗田 あぐり
- 出版日
- 2017-02-10
玉木の中学時代のパートナーだった神嶋由との再会から始まる2巻。神嶋は、玉木と中学時代に交わした約束だと言って、再びペアの結成を求めました。
しかしそんな神嶋に対し、今のペアは自分だといって立ちはだかる保地と、かつてペアを解消したのは神嶋の方だと言って反発する玉木。明らかに不機嫌になった神嶋は、シングルス対ダブルスの試合を要求するのでした。
そんな2巻の見どころは、神嶋との試合を経て、ポチタマペアが打倒神嶋を目指すことになる場面です。結成したての新生ペアとはいえ、2人を相手に1人で圧倒的な実力を見せつけた神嶋は、試合後玉木に対し、弱くなった、不要だと吐き捨てました。
そんな神嶋に対する悔しさと敵対心に火が付き、いつか必ず再戦して打ち倒すことを心に決める場面は、読んでいてアツくならずにはいられません。
- 著者
- 栗田 あぐり
- 出版日
- 2017-07-12
結成から山あり谷ありだったポチタマペアでしたが、インターハイ団体戦のメンバーに選ばれ、いよいよ本格的に全国に向けて動き出します。
バドミントン部では、部員全員が一丸となり、それぞれの実力を高めるために強化合宿をおこないました。しかしそこで、順調だったポチタマペアの関係に思わぬ亀裂が入ることになってしまいます。
そんな3巻での見どころは、保地が玉木に対して反発と自立を訴える場面です。これまで玉木の「盾」としての役割に守られていた彼が、自分自身の意思で玉木を助けたい、という強い想いをぶつけます。
当初玉木はそれに反対しますが、真摯な彼の想いを聞き、主従ではなくパートナーとして対等な関係で成長していく決意を固めるのです。
玉木への憧れだけでバドミントンを始めた保地でしたが、ここまで強い想いを抱くほどに真剣になっている姿は、出会ったころの姿からは考えられないほど成長していて感動的です。2人の今後が気になる展開になっています。
少年たちの熱い青春を楽しめる作品『片翼シャトル』。少年たちのやり取りや成長に大注目です。ぜひチェックしてみてくださいね。
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