SF恋愛漫画として伝説的な人気を誇る『電影少女』。ビデオから現実世界へあらわれたビデオガールと人間の心の交流を描いた本作は、リアルな内面描写と魅惑的な作画も話題となりました。今回はそんな本作の魅力をネタバレ紹介します。
ビデオを再生すると、中から人が飛び出てくる……という斬新すぎる設定でスタートする『電影少女』。
純粋な心の持ち主の前にしか現れないレンタルビデオ店で貸し出されている、特殊なビデオテープから出現した少女(通称:ビデオガール)と、ビデオガールが救いの対象としている恋に悩む少年との心の交流をリアルに描いた恋愛漫画として、ファンから絶大な人気を誇っています。
作者の桂正和は「美少女と尻を描かせたらピカイチ」と言われるほど画力が高く、本作にもとびきりキュートな女の子が多く登場します。さらに、少年漫画らしくお色気シーンも満載。
特に、高校生のリアルな恋愛を描くにあたって避けては通れない「性」に対する表現を、漫画における表現規制のキワまで攻めたな、と思わせるようなギリギリにエロい描写は必見です。
もちろん桂の真骨頂である美尻もたっぷり描かれているので、少し目をとおすだけでもかわいい女の子とプリンとしたお尻を存分に満喫できます。
本作は第1部「あい編」、第2部「恋(れん)編」という2部構成となっており、この記事では第1部の「あい編」について魅力をご紹介していきます。
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- 著者
- 桂 正和
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恋に恋する思春期まっただなかの主人公・弄内洋太(もてうちようた)は、同級生の早川もえみに密かに恋心を募らせていました。
しかし彼はまったく恋愛経験がなく、勇気もないオクテな性格のため、もえみに気持ちを伝えるどころか、目の前にすると緊張して会話もままならないほどです。さらにもえみは、洋太の親友である新舞貴志(にいまいたかし)に恋をしており、彼の恋は前途多難な状況でした。
そんなある日、洋太の前に「ピュアな心」の持ち主にしか見えないというレンタルビデオ店「GOKURAKU」が現れます。
店で借りたビデオを再生してみると、テレビの中からビデオガール・天野あいが飛び出してきて……!
こんな斬新な設定から物語は展開していきます。
洋太のビデオデッキが壊れていたことから、元々の設定とは違った性格(ガサツ)と容姿(巨乳だったのに縮んでつるぺた)で再生されてしまったあいと、優柔不断で頼りないけど心優しい洋太の心の交流を軸に、周囲の人間を巻き込んだ複雑な恋物語が動き出します。
モテないながらも純粋な優しさで周囲を惹きつけるのが弄内洋太。恋愛方面での残念さから「モテナイヨータ」というあだ名をつけられてしまうほどです。
幼い頃に母親が他界、デザイナーの父も不在がちということで大きな家にほぼひとりで暮らしていました。
洋太の特徴はとにかく優しいこと。普段はキョドキョドしていますが、ふとした瞬間にまっすぐな優しさを現し、それを常に自然にできていたらモテるだろうに……と思わされる残念さがあります。
その優しさは全方位。同級生のもえみに惚れていながらも、彼女が自分の親友の貴志に片思いしていることを知るとそれが報われないことに涙したり、好きな女の子がいながらも目の前で困っている子がいると放っておけなかったりと流されやすい優しさを持っています。
実は洋太の優しさは相手のためというのもありますが、自分が傷つきたくないから、という反射的な考えからきている部分もあり、それゆえに「不誠実な優しさ」とも言われてしまうのです。
しかしあいとの出会いをきっかけに少しずつ彼は人間として成長していきます。ドラマ版では野村周平がその役を演じます。
心が綺麗な人にだけ見ることができるというビデオ店「GOKURAKU」のビデオガールで「なぐさめてあげる♡」というタイトルの作品から現実に出てきたのが天野あいです。
しかし洋太のビデオデッキが壊れていたことから、当初の優しい性格、大きめの胸からガサツな性格、貧乳になってしまい、初対面の洋太に責任をとれ、と胸を丸出しにするという衝撃的な登場をします。
しかしその偶然の事故によってあいは失ったものばかりではありませんでした。実は彼女は人を愛する心を手に入れたのです。そしていっしょに過ごすうちに、洋太に惹かれていきます。
ところが彼女を生み出したローレックという男からするとあいは失敗作であり、彼によって消されそうになってしまい、記憶を失ってしまいます。
それでも洋太を好きな気持ちが変わらなかった彼女はローレックに洋太と結ばれれば人間にしてもらえる、という約束をするのですが……。
桂正和のヒロインを演じるのはなかなかハードルが高いかと思われますが、ドラマ版も楽しみですね。そちらでは乃木坂46の西野七瀬が役を演じます。
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洋太の同級生でマドンナ的存在なのが早川もえみです。当初は洋太を友達としてしか見ていませんでしたが、貴志に思いが通じす、寂しい気持ちを洋太の優しせで埋めようと彼と付き合うことにしました。
しかし徐々に洋太の純粋な性格に本気になっていくのですが、彼はあいに惹かれ始めていってしまいます。普段の優しくて女の子らしい雰囲気とは異なり、洋太にどうすれば好きになってくれるのかと詰め寄ったり、あいを嫌いになろうとわざと嫌な態度をとることもありました。
結局どちらも大好きだということを理解した彼女は、洋太から身を引こうとします。
その後スイスへの留学の話もでますが、洋太と付き合ったことも含め、自分はあいと違って逃げたり他人に頼ったりばかりしていたと気づいた彼女は日本でひとり暮らしを始めるのです。
途中不安定になることも多かった彼女ですが、最後はヒロインらしく自らを律する道を選んだしっかりとした少女です。
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- 桂 正和
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あいを生み出した人物であり、いつもコートを着て不穏な空気を漂わせているのが人工人間のローレックです。彼はビデオガールとしての役割を果たさず、普通の少女のように生きようとするあいを失敗作とみなし、彼女をさらったり、神尾まいという新たなビデオガールを送り込んだりして存在を消そうとしてきます。
しかし最終的にはあいの必死の抵抗により、洋太と結ばれれば人間にしてやるという約束をすることになるのでした。
「GOKURAKU」ではあのお方と呼ばれ、上のポジションにいるようにも思われますが、「わたしの首がかかってる」から約束の期日は変えられないということも言っており、上にはさらに大きな存在がいることが伺えます。
愛というものを信じられず、洋太の言うことも戯言にしか聞こえない冷酷な性格のローレック。最後までその考えを変えずにいた彼は、ある意味最もかわいそうな人物かもしれません。
『電影少女』の作者・桂正和といえば、SFとラブコメを融合したストーリーづくりと、美少女の曲線を描かせたら抜群にうまいことで有名です。
なかでも特筆すべきは、彼の描く美少女の「お尻」でしょう。
桂正和の描くヒロインたちはみな基本的に健康体で、細すぎず、ほどよくもったりとした「肉感」があるリアルな体つきをしているのが特長です。その肉感が、彼女たちの色気を惜しみなく醸し出す要素のひとつとなっています。
なめらかな曲線、腰からお尻にかけての圧倒的に美しいフォルム、キュッと上がっていて、それでいてむっちりした肉惑的な「お尻」は、桂正和の代名詞と言っても過言ではないでしょう。ついつい触りたくなってしまい、まさに国宝級のやわらかさなんだろうな……と想像してしまいます。
さらに彼の作風の特長として、ドキドキするほど際どい性的描写が挙げられるでしょう。
『電影少女』の連載中、恋愛漫画の執筆に乗り気でなかったという桂は、あえて超現実的な男女の恋愛を描くことを決め、「裸を出さすにエロく描く」という試みに見事成功するのです。
実際に本作でも、主人公の洋太が、ヒロインのあい・もえみ・伸子といった女の子たちと体を触れ合うシーンや、彼女たちの服が際どく破けたり、意味深にエロいポーズで転んでみたりという性的な印象を持たせる描写が数多く登場します。
際どいシーンが多すぎたゆえか、当時はPTAなどからも目の敵にされるほどの人気と話題を集めました。
しかし桂自身はお色気というよりは特撮ヒーローが大好きで、特にバットマングッズのコレクターとしても有名です。
その影響か、代表作のほとんどにバトルシーンがあったり、コンピューターや配線ケーブル、戦闘スーツなどのメカニック要素が登場したりし、結果としてSFと恋愛を織り交ぜた、切なくて甘苦い、リアルな物語を生み出しています。
あいの可愛さといえば、やっぱり一途なところです!
洋太の壊れたビデオデッキで再生されたために、一人称が「オレ」になってしまったサバサバ系女子ですが、そんなことは気にもならないくらいキュートな姿をたくさん見せてくれます。
ビデオガールとしての彼女の役割は、再生してくれた人間を「なぐさめる」こと。しかしあいは、不完全なデッキで再生されたせいか、本来持つべきではない「心」を持ってしまいます。
そのため、洋太の心をなぐさめるのではなく、恋に悩む洋太に嫉妬したり、自分のことを構ってほしいと願ってしまったりと、まるで本当の人間の女の子のようになってしまうのです。
象徴的なのが1巻の中盤ごろ、洋太が自宅にもうひとりのヒロイン・もえみを連れてきたシーンです。
洋太がもえみの手料理を食べた後にも関わらず、彼女が来る前に実はすでに作ってしまっていたあいの料理を「うまいじゃん」と食べてくれたうえ、プレゼントに服を買ってきてくれたことを知ったときのうれしそうな顔ったらありません!
あいが「あんまりマジなマネすると本気でホレるぞ!」と、茶化しながらも洋太への愛を自覚しはじめる展開は、ほほえましいやらキュンとするやらでむず痒い気分になります。
洋太への想いを自覚してからのあいは、どこから見ても普通の人間の女の子。
だからこそ、彼女のようなビデオガールをつくった「GOKURAKU」の上層部の人間は、本来の目的から逸脱して「心」を持ってしまったあいを不良品とみなして処分しようとし、洋太とあいの絆が試される大きな事件が起こるのことになるのです。
一途に洋太を想い続けるあいですが、ビデオの再生期間である3ヶ月が終了すると、現実世界から消えてしまいます。
互いにそれを理解しつつも、徐々に心の交流を深めていくあいと洋太の関係性は、刹那的だけど幸せに満ちていて、読者の心を掴みます。
裸=エロい、というのは当然のことですが、本作には桂正和の挑戦ともいえる「裸じゃなくてもエロい」というシーンが数多く登場します。
しかしあいは細かいことを気にしないガサツな性格として再生してしまったため、洋太の前で服を脱いだり裸になったりすることに、あまり抵抗がない様子が見てとれます。
洋太にも「シューチシンを持て」と言われるほどなので、脱がないことのエロティシズムよりむしろ全裸になる潔いエロさが彼女の特長ではないでしょうか。
そんなあいですが「脱いでないけどエロい」シーンも、ちゃんとあるんです。
「愛」を知ってしまった不完全なあいを回収しようとやってきた、同じビデオガールの「まい」が、自らの体に流れる磁力を武器にしてあいを葬り去ろうとするのですが、その時に衝撃で服がびりびりに破れてしまうのです。
それがまた、絶妙に大切な部分を隠すように破れるからたまりません。さらに、いつも元気なあいが、まいの磁力で弱ってしまってはぁはぁしている姿との相乗効果で、色気が爆発した名シーンとなっています。
また、「おっぱいが縮んだ」と服をめくり上げて、洋太に胸を確認させるシーンでも、エロかわいい彼女を拝むことができますよ。
あいの名言は数ありますが、やっぱりコレしかないでしょう。
「おまえのいいとこひとつめーっけ」(『電影少女』より引用)
物語全編において、何度も登場する名言です。洋太だけでなく周りの登場人物にも使われるセリフで、「人のいいところ」を見つけるのが上手な彼女らしい名言です。
たとえば、あいの壊滅的にマズい料理を洋太が「せっかくつくってくれたから」と食べた時、その優しい気持ちに対してすごくうれしそうな顔で言うので、その可愛さたるやぎゅーっと抱きしめたくなってしまうほど。
自分では気づかない「いいところ」に、誰かが気づいてくれるのは嬉しいこと。寂しい人を「なぐさめる」あいの、ビデオガールとしての本質が現れたすばらしい名言ではないでしょうか。
人のいいところを見つけることができる、というのは、その人に興味をもって愛情を傾けているからこそできることです。
あいは不完全なビデオガールとして「愛」という感情を持つことができたからこそ、人間の人間らしいところ、ちょっとダメだけど愛すべき長所を見つけられる存在に成り得たのではないでしょうか。
いいとこひとつめーっけ。自分の周囲の人間にも、言ってあげたくなる名言ですよね。
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早川もえみは、洋太の同級生でスタイルのよい美少女です。
世の男性が考える「女の子」の理想型ともいえるビジュアルで、彼女自身もあいとは正反対のおしとやかな性格。セミロングの髪がよく似合う、女の子らしい見た目をしています。
洋太の親友の新舞貴志に恋をしていて、洋太のことは友だちとしか思っていないため、彼に自分の恋愛相談をしたり、「弄内くんを好きになってればよかった」と言ったりするなど、洋太を傷つけている自覚もなしに交流を深めていきます。
恋する女の子らしく、貴志へのプレゼントに悩む彼女を応援する洋太の気持ちが切ないです。
やがてもえみは貴志と付き合うようになるのですが、2人きりだと緊張してうまく話すことができず、空回りしてしまいます。そのたびに洋太に相談してその優しさに触れ、「どうして弄内くんを好きにならなかったのか」「でも、やっぱり新舞くんが好き」「でももしかしたら……」と葛藤していくのです。
「さびしい時に…その”やさしさ”はドクだよ…」(『電影少女』1巻より引用)
貴志に対して自分の言いたいことを言えずに我慢しているもえみを見て、「何でも相談して」と心配する洋太に、こう告げました。
心に隙がある時に優しくされると、好きになってしまうってことありますよね。もえみも、まさにそんな感情を洋太に抱きはじめていることが推測されるこの場面は、感情の起伏やジレンマの様子がとてもリアルで、可愛いだけじゃない、人間味ある姿に共感を覚えます。
もえみは恋愛に関してはなかなか不幸な女の子。貴志と付き合えたものの、彼は洋太ともえみをくっつけるために自分と付き合っていただけで、洋太の優しくて真摯な態度に惹かれるものの、彼とあいの絆を見せつけられて傷ついてしまい、本当に不憫です。
特に洋太に対しては、彼を想う気持ちを徐々に強くしてのめり込んでいくのですが、そのころには洋太の気持ちはあいに向いていて、もえみとの関係を清算しようとします。
もえみは洋太と別れたくないばかりに体で引き留めようとしたり、あいのような服装をしたりと、彼をつなぎとめるために必死の努力をするのです。
「ひとりぼっちにしないで」と涙目で訴えるもえみは健気で儚くて、なぜ彼女の想いが果たされないのかと、その不憫さは止まるところを知りません。
さらに、洋太の心を支配しているあいのようになれば自分を見てくれると思い、長くて女の子らしかった髪の毛を、あい同様ショートカットにしてしまうのです。
洋太を想う気持ちが強くなると、あいに対する嫉妬心も隠さなくなり、「自分だけイイコにならないで」とドロドロした感情をぶつけます。しかしビデオガールのあいは、洋太ともえみのことを想って、言葉を尽くしてくれました。
「あたしは…競争ニガ手だから…ガンバッたのに
あなたの事キラってキラって大っキライにならないと…
いつものクセで弄内くんの事あきらめちゃうから…でも…
どうしてよ…どうしてそんなにいい娘なのよ
キライになれないじゃない」(『電影少女』7巻より引用)
そしてもえみは心情を吐露し、あいとも和解することになるのです。
「競争が苦手」という言葉にも表れているように、元々もえみは相手を思いやる優しい気持ちを持っている女の子。恋に関しては少し不憫で、報われないこともありましたが、そんな風に人を思いやる優しいところが、洋太が彼女を好きになった理由なのではないでしょうか。
リアルな恋愛模様を描くゆえに、悩んだり苦しんだり、嬉しかったり嫉妬したりともどかしい気持ちを抱えた登場人物たちに感情移入して、つい涙してしまうことも多いのが『電影少女』の醍醐味です。
恋愛に振り回されて涙するシーンは数多くあるのですが、うまくいかない人間模様もまた、泣かせる展開を用意しています。
ビデオガールゆえに人間との愛を育むのが困難なあいと、洋太の優しさや思いやりにしだいにのめりこんでいくもえみをはじめ、洋太を取り巻く人間関係はさまざま。それぞれのエピソードについ涙してしまうのですが、特筆したいのは、洋太と親友の貴志の友情についてです。
女性と真面目に恋愛ができず少し軽いところがある貴志ですが、親友の洋太ともえみをくっつけようと画策する、友情にあつい性格も垣間見えます。
しかし洋太と貴志との友情には、もえみを巡るある出来事を経て、決定的な溝ができてしまうのです。これは洋太の誤解だったのですが、貴志は甘んじてその誤解を受け入れ、洋太に対してひと言の弁明もしません。貴志が悪いんじゃないのに、貴志が悪いことになるなんて理不尽なことです。
貴志……良い奴過ぎるだろ、とツッコミながら、不器用な彼の生き方につい涙してしまいます。
その後、袂を別った2人は別々の世界に生きることとなり、洋太の世界に貴志はほとんど出てくることはありません。
再登場するのは、あいが洋太への気持ちを忘れようとひとりでテント暮らしを始めた時です。気になって様子を見に行くと、あいが風邪を引いているのを発見し、自宅へ連れていってくれる優しさをみせます。
「人の事ばかり気づかって・すこしは自分の事を大事にしろって思ってたけど…
反面…うらやましかった…あいつのそういうとこ好きだったんだよな」(『電影少女』より引用)
このように、洋太の優しさに対して憧憬に似た気持ちを吐露しているところからは、貴志が洋太のことを本当に大切な友人だと思っていたことがよく分かります。
貴志、やっぱりいい奴……とついホロリとしてしまう人間模様も、本作の魅力のひとつです。
あいのビデオガールとしての再生期間が終わりに近づいてくると、いよいよ物語も終盤を迎えます。
洋太は夢である絵本作家になるために、日々絵本を執筆しながら平穏な時間を過ごしていましたが、あいがいずれ消えてしまうという事実に打ちのめされていきます。
彼女を失ってしまうことを認めたくない洋太は、やっと自分があいに頼り切っていたこと、あいを愛しているということに気づき、人間としても大きく成長するのです。
一方のあいは、洋太に恋をし愛しながらも想いを押し殺し、今までと同じようにビデオガールとして彼を支えることに全力を注ぎます。
2人の想いのすれ違いが、やがて大きなうねりとなって、衝撃のラストへと繋がっていくのです。
やがて、不完全なあいを回収し、「愛」という感情を徹底排除したビデオガールとして再生しようとする「GOKURAKU」の上層部が本格的に動きだし、あいの回収が近づいてきます。
完全な姿での再生、つまり本来のビデオガール・天野あいとして再生することで、「あい」として生きた日をすべて消してしまおうとする「GOKURAKU」のやり方に反発し、懸命に抗う洋太とあいの姿からは、一瞬たりとも目が離せませんよ。
果たして洋太とあい、人間と人ならざるものの恋愛の行く末には、何が待ち受けているのでしょうか? 終盤からラストにかけての展開は、涙なしに読むことはできません。
- 著者
- 桂 正和
- 出版日
「ビデオガール」と人間との切なく純粋な恋模様をリアルに表現した『電影少女』の魅力、少しはおわかりいただけたでしょうか? あい編はもちろん、第2部の「恋」編も短いながらスッキリまとまった良作です。ピュアな恋愛漫画が読みたいという人は、ぜひ手に取ってみてください。いつまでも心に残る作品に出会えるはずですよ。ちなみに本作の出典元はジャンプコミックスDIGITAL版によります。