かわいいヒロインやSF設定、細密な画力などが魅力の漫画家。『ウイングマン』や『電影少女』、『I"s』など多くのヒット作を生み出してきました。今回はそんな人気作家のおすすめ作品をランキング形式でご紹介します!
1962年、福井県生まれ。その後千葉県で育ちました。
漫画家を目指したきっかけは中学生の時。周囲が読んでいた様子を見て何の気無しに読んでみた「週刊少年ジャンプ」で、その時載っていた手塚賞の入選作に惹かれます。それまでは漫画自体あまり読まず、ほとんどテレビを見ていたそう。また当時50万円するオーディオが欲しく、ちょうど同じ賞金だったジャンプの新人賞を受けてみることに。
それからはオーディオが欲しいというよりも漫画を書くこと自体が楽しくなってきて、高校まで学校に通いながら年に2作品くらいを仕上げていました。当時全ての作品に自信が持てなかったという桂正和。しかしフレッシュジャンプ賞に応募した作品を、編集者がゴミ箱の中から見つけてくれたことをきっかけに、彼とつくりあげた作品『ツバサ』で手塚賞の佳作を受賞しました。
その後専門学校に入学し、『転校生はヘンソウセイ!?』で手塚賞の準入選を果たし、漫画家デビュー。その後『ウイングマン』で初の連載を始め、同作はアニメ化もされました。
そして1989年に桂正和最大のヒット作であり、2018年にはテレビドラマ化もした『電影少女』の連載が開始してからは『SHADOW LADY』、『エム』、『I"s』などの人気作品を次々と生み出します。
哀しい世界観と、発想が光るSF設定、人々の心を震わせる純愛の要素は多くのファンを魅了しています。
本作の舞台は、DNAによって人々の行動が制御された近未来。DNAが無意識下で人に与える影響が解明され、その書き換えによって行動をコントロールしていたのです。同時にその社会では人口も厳しい規律によって制限。人口過多で子供をふたり以上つくると死刑という法律があるほどです。
そんな社会で女性を魅了するDNAを持つ「メガプレイボーイ」が100人以上の子供をもうけていることが判明。政府はメガプレイボーイのDNA書き換えを画策し、過去に「DNAオペレーター」のかりんを送ります。しかしその血を持つ最初の男である純太のさえない様子は、血統をまったく感じさせない人物でした。
また、かりんはなんと純太のDNAの書き換えに失敗しています。そして純太は徐々にメガプレの血を感じさせる男になっていき……。
- 著者
- 桂 正和
- 出版日
- 2012-10-18
近未来を舞台にしたSFアクション漫画。女性のイラストが可愛い!とかねてから評判の桂正和が描くハーレム要素は、まさに最高の一言です。SFとかわいい女の子、両者のいいとこどりがなされたのが本作。徐々に存在感を増していく大迫力の戦闘シーンもいいですが、やはりこの漫画の魅力は作者の描く女性キャラクターでしょう。
ハーレム的なラブコメ展開は、女性キャラクターがどれだけ魅力的かによって物語に入り込めるかどうかが決まります。桂正和の描く女性は、優しさや純粋さなど理想的な女性のファンタジー像が核にありながらも、どこかリアル。
その理由は緻密な心情、そして身体描写にあるでしょう。桂正和の描く女性は、思わずどこかにいるのではないかと感じさせる、立体的な身近さが魅力なのです。
そんな女性キャラクターたちを次々と男性主人公が魅了してしまう展開は、まさに男性の夢と言っても過言ではありません。あなたが思わず胸キュンしてしまう女の子が、必ず1人はいるはずです。ぜひ好みのヒロインを本作で見つけてください。
ヒーローに憧れる中学生の主人公、健太はある日突然、頭上から降ってきた女の子と出会いました。その美少女を家に連れていき、彼女が持っていたノートに自分で考えた「ウイングマン」というヒーローを落書きしてしまいます。
実はそのノートは書いたものが現実になるという「ドリムノート」というもので……。
- 著者
- 桂 正和
- 出版日
桂正和の初期作品ということもあり、時代を感じさせるほのぼのとした展開やまだ荒削りな画力などがバトル漫画にしては緊張感にかける要素でもありますが、それが独特の世界観をつくっている作品です。
その世界観の芯となるのは王道の展開。初期作品とは思わないほど、その力強さは作品を完成度の高いものとしています。
ストーリーはヒーローになりたかった男の子がそのままヒーローになって喜ぶという、なんとも肩の力が抜けるもの。そしてその流れのまま最終的に世界まで救ってしまうのですから、それが受け入れられていたよき時代の漫画という雰囲気です。
そしてこの安心感こそが、本作品の魅力です。ルーチンでおこなう作業や、よく読む連載漫画、小説、テレビ番組のように読むと落ち着く「ベタさ」があるのです。ほどよくハラハラして、女の子が可愛くて、勧善懲悪な展開で、とまさに王道のツボをおさえた作品となっています。
主人公のジンは圧倒的な身体能力を持つ少年。手の甲に円状のコブを持ち、「じィちゃん」とホームレスとして精一杯の暮らしをしながらも平穏に暮らしていました。しかしある日突然、人ならざる容貌をした殺人鬼が現れ、今までの暮らしは一変してしまうのです。実はその戦いは世界の命運を握るもので……。
- 著者
- 桂 正和
- 出版日
もともと読み切りで始まった本作。当初からのテーマである正義と悪の定義に疑問を投げかけるというものは変わっていませんが、ほとんど別の作品となっています。また、青年漫画での連載ということもあり、暴力や非道徳的な描写なども多く見られます。
その少年漫画よりリアルな描写で引き立つのは最も大きいテーマ、「正義、そして悪とは?」です。そもそも現実では王道の少年漫画のように、はっきりと善悪が分けられることはあまりありません。多くの場合両者がないまぜになった姿が、その人物や物事の真相だったりします。
この作品で桂正和はどちらの人物が正しいという書き方はしていないと言います。読む人によって解釈の幅があるのも本作品の魅力なのです。少年が殺人鬼と闘う様子にあなたはどんな感想を持つでしょうか?その価値観に揺さぶりをかけてくる骨太なバトル漫画です。
『ZETMAN』については<『ZETMAN(ゼットマン)』面白さをネタバレ考察!桂正和の胸アツ漫画!>の記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。
桂正和がかねてから編集部に「恋愛をテーマに」という要望を受けていたことから始まった作品です。それまでも恋愛漫画を数多く出してきた作者ですが、この作品はSFなどの要素を入れずに、恋愛だけに重きを置いて、さらに彼の作風にあったピュアな世界観で書き進めてあります。
主人公の一貴と彼が物語以前から恋心を抱いていた伊織、そしてその後に登場する泉、藍子たちとの恋愛模様を高校2年から高校卒業までの時間軸のなかで描かれています。
- 著者
- 桂 正和
- 出版日
- 2012-08-17
一貴と伊織がメインの本作。夢をもたない主人公と役者になりたいという夢を追い続けるヒロインは時間とともに成長していきます。当初は青春漫画のようなゆったりとした趣で始まりますが、ストーリーでは青春の影が徐々に深まっていきます。
主人公の一貴がだめだめなところが、この作品の結末をより鮮やかにしています。彼はいつも迷っており、自分の思い込みで勘違いの行動をしたり、流されたりと、読んでいて腹がたつこともしばしば。
しかし、そんな風にイライラしてしまったらもう物語に引き込まれている証拠。青春ならではの心の揺れ動き、未熟さを、最後の結末で見事に昇華し、読者を感動の渦に巻き込むのです。
その結末に涙する人も多い、泣ける漫画・『I”s』。この作品を読んで、不恰好でもまっすぐだった青春を取り戻してみませんか?
『I’'s』については<『I’'s』(アイズ)ヒロインの可愛さネタバレ紹介!ドラマ化の名作漫画>で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。
本作は読み切りの「ビデオガール」から始まり、作品のヒロインの名前から「あい編」と「恋編」に分かれます。今回は前半の「あい編」をご紹介いたします。
高校生の洋太は同学年のもえみという美少女が好きでしたが、彼女は彼の親友に想いを寄せていました。洋太が報われない恋心を抱いている中、彼の目の前に「GOKURAKU」という奇妙なビデオショップが出現。そこでであったのはビデオガールのあいでした。
しだいに惹かれ合うようになるふたりですが、ビデオガールにはある「決まり」があり……。
- 著者
- 桂 正和
- 出版日
2018年には、テレビ東京でドラマ化した本作。この作品は桂正和らしい女の子の可愛さやそのちょっとエッチなシーンも魅力的ですが、まさに王道の恋愛漫画であることが特筆すべき点です。
作者らしい丁寧な人物、風景の描写は、登場人物たちの心情とあいまって、作品を繊細な雰囲気で包むのです。恋愛をするとこんなにも感受性が豊かになるのだということを表現しているようにも感じられます。
また、作品の大きな転機となるビデオガールに課せられた規約。それがふたりを試す障害として物語のカタルシスを出すのに一役買っています。桂正和のセンチメンタルな作品だからこそ感情移入がしやすく、物語の仕掛けもすんなりと受け入れてストーリーにのめり込めるのでしょう。
読むと愛を、恋をしたくなる純度の高いラブストーリーです。
『電影少女』については<漫画『電影少女』あい編の魅力を最終回までネタバレ紹介!あのお尻は国宝もの>の記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。