【第2回】つぶやきシローのつぶやき読書/ごめんね、子供の頃、埋めちゃって

【第2回】つぶやきシローのつぶやき読書/ごめんね、子供の頃、埋めちゃって

更新:2021.12.3

小説家としてもデビューをしているつぶやきシロー。しかしどうやら、読書に対してはかなりの抵抗があるらしい。彼に「おもしろい本と出会って読書の楽しさを知ってほしい」と考えたホンシェルジュ編集部は、半強制的に何冊かの本を渡しました。さて、つぶやきシローは何を思うのか。包み隠さず感想をつぶやいてもらう連載です。 第2回の今回は、まだ長い物語を読むのに抵抗がありそうなため、とっても身近なのに知らないことが多そうな、こんな世界を覗いてもらいました。

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へ~とは思うけど、虫大好きにはならない。

前に、海沿いのペンションっていうのかな? そこに泊まることになって、どんな部屋なのかなって、ドアを開けたの。

そしたら、ワサワサワサーってゴキブリ数匹が一斉に蜘蛛の子を散らすように。(虫を虫で例えてややこしくてごめんなさい)

机の上に置いてある注意事項を読んでみると、「たまに虫さんたちが遊びに来ることがあります」って、手描きで可愛い虫の絵が描いてあった。

蝶々やカブトムシがニコニコしている絵の中に混じって、ゴキブリもニコニコしている。

一緒か?
ゴキブリは飼わないし。
「遊びに来ることがあります」って、住んでるし。

恐怖で寝れなかった思い出がある。
ゴキブリは、ちょっと別格だが、
僕は、虫自体が苦手である。なのに…

タイトル「昆虫はすごい」

著者
丸山 宗利
出版日
2014-08-07

なんと11万部突破!
新書大賞2015年第7位受賞!

すごいね。
昆虫よりまず、こっちの方がすごいね。
虫が苦手な人にも大好評だって。
ホントかな? 僕は虫が大嫌いなんだよ。

読みはじめようとすると、なんだか、今から生物の教科書を勉強するみたいで気が重い。

けれど始めの「昆虫って何?」ってところで、グッと気が楽になった。著者自身が、「少々難しいところもあるので、ここからの第一章は読み飛ばして、第二章から読むのもいい」と言ってくれているから。

ラッキー! すごい得した気分。
たぶん第一章には戻らないし。
この著者は正直で信用できる。

そうして第二章へ進んでみたら、「へ~」と思うことの連続だった。

まず、「変態」というワードが時おり出てきた。
小学校の授業中にこのワードが出てきたら、絶対バカな男子がさわぐよね。

「へんたいだって、お前のことだ! アハハハ!」なんて、ひと盛り上がりしたよね。これは全国共通だよね。

あと、夏ごろにうるさかったセミ。なぜあんなにうるさいのかって言うと、自分の縄張りを誇示するためなんだって。

そうなんだ~。だけどもうわかったよ!縄張り荒らさないから静かにしてよ!っていいたいね。

セミだけじゃなくて、多くの昆虫が、ヒトの耳に聞こえていないだけで、音を出しているらしいよ。ヒトがその音を不必要としてか、感知しないだけ。届かない声って、あるよね。

ヒトと昆虫が同じ音を聞いていないことを示す実験として、ファーブルさんが、セミの近くで大砲を鳴らす実験をしたらしい。

結果、セミは全然ビックリしなかったんだって。セミには、不必要な音だから感知しなかったらしい。

っていうか、なんだこの実験。
そんなことに大砲を使うなんて。
ヒトがビックリするよ、セミよりうるさいじゃん。

あと、ヒトの女性は贈り物が好きだけど、昆虫界でもそうなんだって。オドリバエというハエは、雄が雌に獲物をあげて交尾に持ち込むらしい。

中には、獲物を前脚から出る糸でくるみ、包装して渡すものもいるらしい。

たしかに女性にプレゼントを渡す時、「裸でゴメンね」ってのもないよね。だからって過剰包装も開けるの面倒くさいね。

しかし、ハエの羽ってすごいよね。
いったい1秒間に何回動いてんの?
そんなに動く羽は、ヒトの技術をもってしても、いまだに作れてないもんね。それが体の一部なんだよ。どうなってんだろうね。

あとね、カマキリの雌は交尾し終わった後、雄を食べちゃうってのも、本当らしい。さらに、交尾中に雌に上半身を食べられながらも下半身だけはしっかり生きていて、交尾をまっとうするんだって。

本能ってすごいね。痛くてそれどころじゃないよね。

意外だったのは、全部の雄が食べられるわけじゃないってこと。うまく雌と交尾して逃げて、また他の雌と交尾するという要領のいい奴もいるんだって。そして逆に、交尾させてもらえなかったのに、雌に食べられちゃう雄もいるんだって。

悲しいね。交尾くらいしか楽しみがないのに、できずに死んじゃうなんて。

あと蟻地獄は子供の頃よく見たけど、中の「主」は見たこと無いよね。写真で紹介してくれているから、こんな奴だったんだーって思ったよ。

蟻地獄に獲物が落ちる確率って実は低くて、巣穴で待ち伏せする時間が数か月ってこともあるんだって。お腹すくよね~。

ごめんね、子供の頃、埋めちゃって。

あと目を引いたのは、カブトムシが平和主義ってこと。ヒトが勝手に「戦闘」のイメージをつけて戦わせているだけで、野外ではそれほど頻繁に戦いはしないらしい。

雄同士、互いの角の長さを確認して、その時点で勝負が決まってしまうんだって。できるだけ無駄な戦いは避けるんだって。

生き物の行動には無駄が少ないね。

それに比べて、ヒトは無駄な行動が多いよね。教室のカーテンにくるまったり、映画館で隣に座っている人とひじ掛け取り合い戦争したり、居酒屋出たとこで大勢でぐだぐだして、無駄!邪魔!早く二次会行けよ!何の時間だよ!無駄だろ。

いや~読んじゃったね。
虫嫌いなのに。写真気持ちわりーのに。

まだまだ面白い項目いっぱいあるよ。
僕は交尾関係を中心に読んだけどね。

ゴキブリがなぜ嫌われるか? って項目もあった。幼少期からの刷り込みなんだって。親がゴキブリを見つけて大騒ぎしている様子を見て、恐ろしいものだと思い込んでいるのだろうと著者は言っている。

これだけ虫のことについて書いているのだから、著者は相当虫好きなんだろうと思ったら、終わりの方でさらっと、「私はケムシが大嫌い」って言っているところが好き。

最後に、読んでて思ったのは、たくさん「雄」と「雌」の漢字がでてくるの。

そのたんびに一瞬、ん?ってなる。

オスとメス、もっと明確に違う漢字にしてほしかったなって思わない?

この記事が含まれる特集

  • つぶやき読書

    お笑い芸人のつぶやきシローさん。小説家としてもデビューをしています。しかし、「本を1冊読むのに数ヶ月かかることもある」など、読書に対してかなりの抵抗があるらしい。「おもしろい本と出会って読書の楽しさを知ってほしい」と考えたホンシェルジュ編集部は、半強制的に何冊かの本を渡しました。さて、つぶやきシローは何を思うのか。包み隠さず感想をつぶやいてもらう連載です。隔週金曜日更新!

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