小説家としてもデビューをしているつぶやきシロー。しかしどうやら、読書に対してはかなりの抵抗があるらしい。彼に「おもしろい本と出会って読書の楽しさを知ってほしい」と考えたホンシェルジュ編集部は、半強制的に何冊かの本を渡しました。さて、つぶやきシローは何を思うのか。包み隠さず感想をつぶやいてもらう連載です。 第3回の今回は、「ちょっと失礼かな~」と思いつつも、こんな本を読んでもらいました。
コンビニへ行ったとき。
昼時だから混んでいたんだよね。
お菓子の棚やカップ麺の棚の狭いスペースのとこまで行列が続いている。
レジ1つ空いてるんだから、誰かやればいいのに。と思っていたら、やっと、「こちらのレジどうぞ」。
これでスムーズになるかと思いきや、店員さんがもたついている。
店員さんの胸元を見ると、「研修中」の名札。
先に先手を打っておく感じが嫌だ。
まだ研修中なんだからイライラしないでね。
クレームとかやめてねって言われている感じ。
トイレの張り紙に、「いつもきれいに使っていただいてありがとうございます」と同じ先手方式だ。
ただ今回のポイントはここではない。
「研修中」の名札を付けている人が、若い子ではなく、おじさんなのだ。
研修中のおじさんには、哀愁があるよね。
50過ぎくらいだろうか、なにもその歳になってわざわざ若者が多いコンビニで働かなくても、他に落ち着いて仕事ができるとこあったんじゃない?
この人の人生に何があったのだろう?
つい、いろんな物語を想像してしまうよね。
タイトル「おじさん図鑑」
- 著者
- なかむら るみ
- 出版日
- 2011-12-07
有名な本なので、いつか読んでみたいなと思っていた本。おじさんをいろんなジャンルに分け、イラスト付きで楽しめる本。
登場するおじさんは、
普通のおじさんから始まり、
偉いおじさん
休憩中のおじさん
たそがれるおじさん
カメラ好きおじさん
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:
50以上あるかな。
イラストを見ているだけで、あ~こんなおじさんいるいるってなる。
決しておじさんに悪意を持っているわけではないが、いじり方が絶妙でおもしろい。これが、おばさんだとすんなりいかない気がする。
おじさんだから、許されるのだ。
っていうか、おじさんなら許してくれるだろうという甘えのもとに成立しているのかな。
おじさんの特徴を、手書きの小さめの字で細かく書いているのは、なるべくなら、おじさんには読んでほしくないからなのかな。でも、その一言がいいとこついているんだよね。
それにしても、よくこれだけおじさんを分類したな~と感心した。著者は、本当におじさんが好きなのだろう。
ものまねの人が、「その人が好きだからマネするんです」って言うタテマエとは違う気がする。ホンキのおじさん好きだと思う。
たとえば。
自転車で姿勢のいいおじさんっているよね。
そんなに風の抵抗を受けなくてもって思うよね。
頻繁にベル鳴らすしね。
っていうか、ベル鳴らしながら乗っているおじさんもいるよね。プチ暴走族だよね。
あと、電車でマンガや雑誌を読んでいると、しれ~と覗いてくるおじさん。おもいっきり顔を近づけてくるおじさんもいるよね。
友達?このおじさんと友達だったっけ?って錯覚するくらいの距離。
けれど、ページめくる時、おじさんは読み終わったかな?って気を使っている自分がいるんだ。
あと、ハイウエストおじさんって知ってる?
何年か前に若い女の子の間で、ハイウエストが流行ったけど、もっと前からおじさんはハイウエストだから!流行の最先端だから!お腹は絶対冷やさないんだから!
こういうのもあった、怪しいヘアスタイルのおじさん。ちょっと浮いていたり、海苔より黒かったり、人工的なツヤツヤ感に目を奪われます。
自分がいいと思ってるんならいいんじゃない。ちゃんと隠せてる、バレてないと思ってるんだから。
いや、もしかして周りの人間を試しているのかもしれないよ。わざとわかりやすいヅラをかぶって、人間を観察して一人楽しんでいるのかもしれない。
メジャーなのは、ちょいワルおじさんだね。
著者の女性が言うには、ちょいワルおじさんに成れるかどうかは、「顔」なんだって。
男前以外がちょいワル気取っても、勘違いおじさんになっちゃうらしい。勘違いおじさんって、一番言われたくないかも。おじさん図鑑中、最悪かもしれない。
あと、何か知んないけど、「俺が育てた!」ってすぐ言うおじさんいるよね。嘘っぽいけど、もし本当だったらと思うと邪険にできないしで、結局確認取れないからやめてほしい。
そういうおじさんほど、大抵、本人を前にするとさっきまでの強気の発言はどこへやら。誰よりもペコペコするパターンが多いんだ。
総評すると、おじさんは悲しい。
女性に「おばさん」って言うと、何よ失礼ねって怒られてしまうけど、男性に「おじさん」って言っても、怒らず、グッと飲み込み受け止める美学。ここに悲しみを見る。
おじさんに味方はいるのかな?
おじさんの味方は、おじさんだけ?
いや、おじさんは他のおじさんが嫌いだ。
そしておじさんは、毎年少しずついろんなものを諦めている。これがまた、悲しい。
……なんか、身につまされちゃったな。
僕はどのおじさんに属しているのだろう?
せめて、元気でいたいので、
「おかわりおじさん」になろう!
ご飯をもりもり食べて、「おかわり!」ってどんぶり突き出すおじさん。
生命力感じて良くない?
つぶやき読書
お笑い芸人のつぶやきシローさん。小説家としてもデビューをしています。しかし、「本を1冊読むのに数ヶ月かかることもある」など、読書に対してかなりの抵抗があるらしい。「おもしろい本と出会って読書の楽しさを知ってほしい」と考えたホンシェルジュ編集部は、半強制的に何冊かの本を渡しました。さて、つぶやきシローは何を思うのか。包み隠さず感想をつぶやいてもらう連載です。隔週金曜日更新!